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日の出は近い、急げ!アーサー〜「アーサー・クリスマスの大冒険」を鑑賞する [映画鑑賞]

キャラクターデザインはそれなりにいいなあと思ってはいたものの、なんとなく劇場鑑賞をスルーするつもりでいた「アーサー・クリスマスの大冒険」。が、製作があの「ウォレス&グルミット」を世に送り出したアードマン・スタジオと聞いちゃあ、黙って見過ごす訳にはいきません!。それまでタッグを組んでいたドリームワークスと袂を分かち、新たにソニー・ピクチャーズとタッグを組んで製作された今作。
果たして、どんなアニメーション作品が出来上がったのでしょうか?。
もちろん、オイラが鑑賞したのは2Dの日本語吹き替え版ですよっと!(^皿^)/。
 
「アーサー・クリスマスの大冒険」(原題:ARTHUR CHRISTMAS)
  監督:サラ・スミス(共同脚本も)
  音楽:ハリー=グレッグソン・ウィリアムズ
共同脚本:ピーター・ベイナム
声の出演:次男アーサー....ジェームズ・マカヴォイ
     長男スティーブ....ヒュー・ローリー
     サンタクロース20世(スティーブとアーサーの父親)....ジム・ブロードベント
     おじいちゃん(サンタクロース19世)....ビル・ナイ
     サンタクロース夫人....イメルダ・スタウントン
     妖精エルフのブライオニー....アシュレー・ジェンセン
     他
【あらすじ】
サンタクロースがトナカイにひかれたソリに乗ってプレゼントを届けたのも、今は昔。
現在は、サンタクロース20世の長男スティーブが構築したハイテク配送システムのおかげで、一晩に20億人の子供たちにプレゼントを届けることも可能となっていた。今やサンタクロース20世の仕事は、単なる名誉職となりつつあり、今では引退を考えつつあった。一方、実質的にサンタクロース事業を手がける長男スティーブは、クールな佇まいとは裏腹に内心では次期サンタクロース就任を心待ちにしていた。
その頃、次男で末っ子のアーサーは、ドジな性格が災いして、今では手紙係に左遷され、サンタ宛ての手紙にせっせと返事を書く日々を過ごしていた。妖精エルフたちからはバカにされているアーサーだったが、アーサーは誰よりもクリスマスを愛し、父であるサンタクロースのことを尊敬していた。
そんな時、事件は起こってしまった!。些細なミスからプレゼントがひとつだけ未配達だったことが判明したのだ。あせるアーサーをよそに、父サンタや長男スティーブは「たった一個ぐらいいいじゃないか」とまったくとりあってくれない。だが、アーサーだけは違った。
「世界中で自分だけにプレゼントが届かないと子供が知ったら、その子が可哀想だ!」
誰よりも優しい心の持ち主であるアーサーは、プレゼントを届けようと心に誓う。だけど届け先は北極からはるか遠くの地であるイギリス。そんなアーサーに助け舟を出したのが先代のサンタクロースであるおじいちゃん。
「なーに、昔ながらの方法で届ければいいんじゃ!」
こうしてアーサーはおじいちゃん愛用の空飛ぶそり“EVE(イブ)”に乗ってイギリスへと旅立った。日の出まであと数時間!、果たしてアーサーはイギリスに住む8歳の女の子グエンの元へ無事にプレゼントを届けられるのだろうか....!?
 
 
非常に面白い作品でした!。そして、すごく素敵な作品でした。
ディズニーやピクサー、或いはドリームワークスと、CGアニメはたくさんありますが、それらの作品とはまたひと味違った面白さの作品でした。さすが「ウォレスとグルミット」を世に送り出したアードマン・スタジオ!、期待を裏切りません。
オープニング〜さっそく楽しい映像で物語は幕を開けます。
クリスマスイブの夜。巨大なソリ型飛行艇S1で都市の上空に乗りつけるサンタクロースと無数の妖精エルフたち(船底はカモフラージュされており、一見すると空にしか見えません)。と次の瞬間、船底から無数の妖精エルフたちが降下してきます。その様子はさながら「M・I」のトム・クルーズのようであり、迷彩服に身を包んだ特殊部隊風妖精エルフたちがすばやい行動で、次々とプレゼントを各家々に届けていきます。その様子が実に楽しくて、これぞアニメ!といった趣きです。
中でもサンタクロースが子供に見つかってしまいそうになる場面は、爆笑必至。プレゼントのおもちゃを過って起動させてしまったサンタを助けるために、おもちゃの電池を抜くという、まるで爆弾解除のようなシーンは冒頭の見せ場で、ハラハラドキドキの爆笑シーンでした。
(でも、劇場ではオイラしか笑ってなかったなあ....苦笑)
 
主人公のアーサーは、なにをやってもドジばかりで、周囲からは煙たがられたり、バカにされたりしています。このあたりは「ヒックとドラゴン」のヒックと似ていますが、ヒックと決定的に違うのは、アーサーという人物はとても純粋なキャラクターとして描かれている点です。とにかくクリスマスを愛し、父親であるサンタクロースを尊敬しています。下手をすれば嘘臭くなるこのキャラクターを、今作では実にうまく描いています。
その一方で、アーサー以外の登場人物は、とても俗っぽく描かれています。
例えば、父親であるサンタクロース20世は、サンタクロースという職業の意義を忘れ、ただ長男の支持に従って流れ作業のようにサンタ職務をこなしています。長男スティーブは基本的に子供のことが嫌いで、子供達にプレゼントを届けることの意義や意味よりも、いかにして大量のプレゼントを効率よく正確に届けるのか?ということのみに重きを置いて仕事をしています。おじいちゃんに至っては、アーサーを助けるためではなく、単に引退した自分がまだまだ現役のようにやれるということを証明したいためだけに、アーサーを手助けします。サンタクロース家の中で、唯一クリスマスのことを真剣に考えているのが、ダメ人間のアーサーのみというのが実に皮肉です。そんな人たちが、アーサーの行動によって少しずつ心境の変化を見せていくところが、今作の最大の見所です。
 
クライマックス、ついに少女グエンの元にプレゼントを届けることに成功したアーサー。
父サンタや兄スティーブもそこへ駆けつけます。そこでアーサーは父にこう言います〜「お願いだからこれだけは見ていって!」....そう言ってプレゼントをもらって喜ぶグエンの姿を見せるのです。無邪気に喜ぶグエンの姿を見て、忘れていたサンタクロースという仕事の意義を思い出す父。長男スティーブもまた、この時になって初めて自分よりもアーサーの方が時期サンタクロースに適任だという事に気付き、職務を譲ることを決意します。それまでバラバラだったサンタクロース家がひとつにまとまる、とても感動的なシーンとなっています(少女グエンがアーサー=サンタクロースを目撃する場面も、とってもおしゃれな演出になっています!)。
唯一この作品で残念だったなあと感じた部分は、サンタクロース夫人の描き方です。
基本的にこの作品で描かれているのは、父と息子の物語であり、それ故に母親の存在感がやや希薄でした。全編にわたりおっとりとした上品なキャラクターとして描かれていたサンタクロース夫人。夫婦愛は多少描かれてはいるものの、息子たち(アーサーやスティーブ)に対する愛情の描き方が、今一歩といった感じでそこだけが唯一残念な部分でした。
 
アニメに限らず、魅力的な脇役は物語を盛り上げるのに重要な役割を果たしますが、今作ではアーサーと行動を供にすることになる妖精エルフのブライオニーが、実にいい味を出していました。ブライオニーはラッピング部門に所属するスペシャリストで、どんなものでもテープ3切れで包装出来ることが自慢の妖精エルフ。せっかく包装したグエンへのプレゼントが破られやしなか?と不安で、アーサーの冒険につき合うことになるのですが、時にアーサーを励まし、時に叱咤激励をしながら、アーサーをサポートしていきます。中でも圧巻なのが、クライマックスで見せる包装テクニック。アーサーの運転で疾走する自転車(グエンへのプレゼントなのに、それを使用しちゃうアーサー!...笑)を走りながら包装していく様子は、見所のひとつとなっています(途中で使い切った包装紙のロールを、リサイクルのゴミ箱に捨てていくのが芸細!)。
余談ですが、実は作品を見ている間中ずっと、ブライオニーのことをゲイのキャラだと思っていました。妖精エルフにはいろんなタイプ(白人、黒人、黄色人種、etc)が存在していて、それこそ人間と変わりないのですが、ブライオニーの容姿がパッと見、男か女かハッキリとしないので、てっきりオイラはゲイだとばかり....。でも、エンディングでブライオニーのことを“彼女”と呼んでいたので、どうやらブライオニーは女性だったみたいです。英国のアニメだから妖精エルフにゲイがいてもおかしくはないと思ったんですが、さすがにそれはなかったみたいです....苦笑
 
 
「アーサー・クリスマスの大冒険」は、アニメとして非常に楽しい作品となっています。
この作品にはいわゆる“悪人”が出てきません。そういった意味でもファミリー向け映画として、実にぴったりだと思います。子供さんたちは間違いなく楽しめると思いますし、もちろんかつて子供だった大人の方も、充分楽しめる作品です。笑い(笑える小ネタがとにかく無数にあります!)あり、ハラハラドキドキあり、そして感動の涙ありと、エンターティメントとしては非常によく出来た作品でした。
来月にクリスマスを控えた今だからこそ、お薦めしたい作品です。
ご家族で、カップルで、是非「アーサー・クリスマスの大冒険」をご鑑賞下さい!。
(オイラはひとりで見たけどね!....笑)
 
 
     うーん、他人とは思えないアーサーのデザイン♪
     アーサーとオイラ.jpg
 

Arthur Christmas

Arthur Christmas

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Class
  • 発売日: 2011/11/22
  • メディア: CD

ハリー=グレッグソン・ウィリアムズは、いい仕事してました♪。
これはオイラのHGWコレクション入り決定!(^皿^)。
エンディングに流れるビル・ナイの♪MAKE SOMEONE HAPPYが、渋くてよいです。
....っていうか、まんまジミー・デュランテ節を完コピ!。
 
劇中にアードマン・スタジオの人気キャラ・羊のショーンが出てきます。
どこで出てくるかは、作品を見てのお楽しみ♪(^U^)
 
 
次回は、お約束の日本語吹き替え版について語りまっす♪(^皿^)。
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non_0101

こんばんは。
私も観るのをどうしようかと思っていたのですけど、
つい楽しい映画が観たくなってチャレンジしてしまいました(^^ゞ
意外に大人も楽しめる作品でしたね。
ショーンはどこに出てきたか考え中です☆
by non_0101 (2011-12-09 23:16) 

堀越ヨッシー

non_0101さん、こんにちは(こんばんは)。
ぶっちゃけ、オイラも期待値がそんなに高くもなかったし、前情報もほとんどなかったので、逆に大いに楽しめちゃいました♪。
羊のショーンはですねえ...(あ、コレ言わない方がいいのかな?)。
 
オイラがお気に入りの場面は、クライマックスで頑張るアーサーの姿を見ていた妖精エルフたちが盛り上がり、そのうちの一人が感動して「あー、誰かとハグしたい!」と叫ぶ場面です。あの気持ち、すごく良くわかります!(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2011-12-09 23:32) 

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