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これぞ“不意打ち!”〜「エンジェル ウォーズ」を鑑賞する [映画鑑賞]

「サッカー・パンチ」いや、もとい「エンジェル ウォーズ」を観てきました。
「300」や「ウォッチメン」など、斬新な映像美が持ち味のザック・スナイダー監督。
今作「エンジェル ウォーズ」は、初のオリジナル作品だそうで、過去の作品以上に俺ジナルな映像が爆発することは必至です。果たしてどんな物語なのでしょう?。
 
 
『エンジェル ウォーズ』(2011米/原題「Sucker Punch」)
監督・脚本:ザック・スナイダー
音楽:タイラー・ベイツ
出演:エミリー・ブラウニング(ベイビードール)
   アビー・コーニッシュ(スィートピー)
   ジェナ・マローン(ロケット)
   ヴァネッサ・ハジェンス(ブロンディ)
   ジェイミー・チャン(アンバー)
   カーラ・グギーノ(Dr.ゴルスキー)
   オスカー・アイザック(ブルー・ジョーンズ)
   ジョン・ハム(大富豪/医師)
   スコット・グレン(賢者)
   他....
 
【あらすじ】
ある日、愛する母親を病によって失ってしまったベイビードール。だが、邪悪な継父は莫大な遺産を手にすべく、ベイビードールとその妹を亡き者にしようとする。継父の魔の手から間一髪逃れたベイビードールだったが、不運にも妹は犠牲となり、自身も継父の策略により精神病院送りとなってしまった。5日後にはロボトミー手術を強制的に受けさせられ、廃人同様になってしまう。生き延びる方法はただひとつ!、この悪夢のような精神病院から脱走すること。かくしてベイビードールは、病院内で知りあった他の女性患者たちと供に、病院脱出を試みるが、それは試練の始まりでもあった....。
 
 
 
うーむ、これは何と言ったらいいものか....
タイトル通り、正に“不意打ち”をくらったような作品でした。
というのも、作品として非常にわかりづらい構成になっていたからです。
 
冒頭、主人公のベイビードールが精神病院に送られてくるまでは現実パートです。
これが精神病院に到着してからほどなく、その世界はベイビードールの妄想世界へと突入します。舞台だった精神病院は、娼婦の館へとその姿を変え、入院患者だったベイビードールたちも娼婦へと変貌します。そこでベイビードールは娼婦の館からの脱出(=精神病院からの脱出)を目指すことになります。
で、ややこしいことにこの妄想世界で、ベイビードールは更にもうひとつ上の妄想世界へと突入することになります。娼婦の館から脱出する(=精神病院からの脱出)には“5つのアイテム”が必要となる訳ですが、このアイテムを入手する過程が、妄想世界の中でベイビードールが新たに生みだした第2の妄想世界で繰り広げられることになるのです。
(うーん、自分でも何言ってるのか段々わからなくなってきたぞ....汗)
その世界とは、例えば....
 
・甲冑を着たサムライ風巨人と刀で戦ったり
・第一次世界大戦風な舞台で、ゾンビなネオナチと銃撃戦を繰り広げたり
・中つ国にあるようなお城でゴブリンたちやドラゴンと戦い、竜が所持する水晶を奪ったり
・近未来な世界で、暴走する列車に仕掛けられた爆弾をロボット兵と戦いつつ解除する
 
といった様々なバトルとして描かれていきます。
このバトル・シークエンスは、正にザック・スナイダー節が全開で、彼らしい迫力ある映像が存分に楽しめます(ここ一番!って時に必ずスローモーションになる)。しかし、一方でどのバトルも同じような展開であり、演出としてはワンパターンで飽きを感じたのも否めませんでした。また、塹壕でのゾンビ兵との戦いに於いて、映像のブレが激しかったのも見ていてちょっと辛かった(いわゆるプライベート・ライアン的効果を狙ったんだと思うけど、ちょっとカメラぶれ過ぎ!)。
物語として一番残念だったのは、ベイビードールが妄想世界に行ったきりのままストーリーが進行してしまうこと。物語の進行過程で現実世界のパート部分である精神病院の世界をもっと掘り下げて描くことで、現実世界と妄想世界との対比を見せて欲しかった。そういう点でいうと、ベイビードールの容姿は現実世界ではもっと普通であっても良かったと思う。金髪である必要もなかっただろうし、長い付けまつげも必要なかったと思う。そういった派手な容姿は妄想世界にだけ特化すべきだったと思う。普通の容姿の女性が、妄想世界では大胆にイメージチェンジする....そういう違いこそがビジュアルとしても物語としても面白く感じる部分だし、だからこそ現実パートをもっと描くべきだったと思う。
 
ザック・スナイダー監督がこの映画で一番描きたかったのは、様々な妄想世界で繰り広げられる派手なバトルアクション部分のみで、ストーリーは完全にあと付けな感じが否めませんでした。だから冒頭でベイビードールが精神病院に入れられるくだりもちょっと強引だし、最後の正に“不意打ち”とも言える結末もなんだか突拍子もなくあっけにとられて終わってしまった感がありました。
 
妄想世界で繰り広げられるバトルシーンは、確かに見応えがありました。
(特にオイラのお気に入りは、甲冑を身にまとったサムライたちとのチャンバラシーン)
でも冷静になって考えると、ベイビードールの妄想にはそもそも説得力がありません。
ベイビードールの思い描く妄想世界が、なぜ日本の寺院なのか?、なぜ第1、2次世界大戦のような場所なのか?、なぜファンタジックなお城なのか?、なぜ近未来の都市なのか?、その明確な説明はありません。その理由はしごく単純明快、なぜならあの妄想はベイビードールの妄想などではなく、ザック・スナイダー監督自身の妄想だからです。それこそがこの映画の最大の欠点であり、また同時に最大の売りでもあります。
この作品はザック・スナイダー監督の思い描く妄想世界を一緒になって存分に楽しむこと、それが基本です。間違っても物語に期待してはいけません。露出度の高いコスチュームを着た綺麗な女性たちが、刀や銃を手にしてバッタバッタと敵をなぎ倒す映像をただひたすら味わう、そんな映画です。その点に関しては、ザック・スナイダー監督の非凡なセンスを満喫出来ました。
一方、ザック・スナイダー監督の物語を構成する能力に関しては至って“普通”だということが今回判明してしまいました。やはり重要な脚本はちゃんとしたプロの人に任せた方が賢明なようです。例えオリジナル作品だとしても、今後は共同脚本という形でちゃんとしたプロを雇った方がより素晴らしい作品になることでしょう。
“不意打ち”は今回限りにして、次回作では是非“真っ向勝負”な作品をお願いしたい!。
 
 
  小柄な姿がとってもキュートなエミリー・ブラウニング
        ベイビードール.jpg 
オイラはどちらかというとあまりロリコン率は高くない方ですが、ベイビードール演じるエミリー・ブラウニングには正直キュン♪としてしまいました(^皿^)。
 
 
さて、オイラはこの作品を平日の夕方に鑑賞した訳ですが、吹き替え版ということもあってか他のお客さんはゼロ!。「おー、これはカンフー・ハッスル以来の貸し切り状態かー!」と喜んでいたら、上映が始まって間もなくひとりのお客さんが入ってきた。「....ちぇっ」と内心ちょっと悔しかったオイラなのでありました。上映終了後、そのお客さんをちらりと見たら、なんと高校生か大学生風の若い女性でした。うら若き乙女がたったひとりでザック・スナイダー監督作品を鑑賞....グッジョブ!。君の将来が楽しみだッ!(^皿^)b。

エンジェル ウォーズ オフィシャルガイド (ShoPro Books)

エンジェル ウォーズ オフィシャルガイド (ShoPro Books)

  • 作者: ザック・スナイダー
  • 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
  • 発売日: 2011/03/26
  • メディア: 単行本

最近判明したのだけれど、なんと我らが寺田克也先生がコンセプトアートに参加していたのであった!。寺田先生は以前「ヘルボーイ」にもコンセプトアートを提供しており、その活躍はますますワールドワイドに!。という訳で、寺田克也先生のイラストが載っているというこのアートブックをオイラも早速買おうとしたのだけれど....
これはひどい!
もちろん内容ではなく、その紙質。本屋さんで見本を手に取って愕然としたのだけれど、まるで少年ジャ◯プのような、ペラペラでザラザラの粗悪な紙質(今にも破れそうな勢い)。アートブックにこんな粗悪な紙を使用するなんてとても信じられない。にも関わらず定価は4000円弱と高価。小学館集英社プロダクションという大手が、こんなに粗悪なアートブックを出版するなんて....これこそ正に“不意打ち!”。
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エナミ

吹き替えどうでした?
自分は字幕がいいんですけど
周りの映画館は吹き替えだけで・・・
気になるとことかありましたか?
by エナミ (2011-05-01 01:03) 

堀越ヨッシー

エナミさん、はじめまして(...でしたっけ?)。
ご訪問&コメント、ありがとうございます。
 
吹き替えに関しては別記事を立てるつもりではいたんですが、オイラが率直に感じたことをここにいくつかかいつまんで記しておきますね。
 
メインキャストを演じられたのは、スフィアとかいうユニットを組んでる声優さん4人組だったらしいですね(オイラはよく存じ上げないのですが)。ベイビードールを演じられた寿美菜子さんやスイートピーを演じられた甲斐田裕子さんは、それなりによかったです。特に甲斐田さんは一番安定感がありました。
問題はブロンディを演じられた豊崎愛生さんとアンバーを演じられた高垣彩陽さん。お二人とも声がいかにもアニメ声!って感じで、実写の吹き替えとしても、キャラクターとしてもかなり声が浮いてました。もちろんこれには感じ方に個人差があると思うので一概にはダメだとも言えないのですが、もう少しアニメ声を押さえて演じても良かったかな?と、感じました。
あとスコット・グレンを山路和弘さんが演じられていましたが、ちょっとかっこ良すぎでした(^皿^)。山路さんは大好きですが、スコット・グレンの声を演じるには少し若すぎましたね。もう少しおじさん声の声優さんでも良かったように感じました。
一番良かったのは、ブルーを演じられた志村知幸さんでした。
 
オイラもオリジナル音声が気になっているので、それはDVDが発売されてからチェックしてみたいと思います。
by 堀越ヨッシー (2011-05-01 08:12) 

inuneko

ボクは「どっかから逃げてきたかわいそうな女の子が親切な運転手にバスに乗せてもらえるだけ」のシンプルで小さいストーリーのお皿に、そのお皿が完全に見えなくなるほどタップリと童貞の妄想とジャパニメーションミックスの甘いクリームを大サービスで盛り付けてもらった感じでした。しかも意外と胸焼けせずに完食できちゃって、おかわりイケそうです。
by inuneko (2011-05-02 23:09) 

堀越ヨッシー

inunekoさん、こんにちは。
「そこで主人公が入れ替わっちゃうのは、禁じ手だろう!」と、突っ込みを入れたくもなりましたが、ザック・スナイダー監督の童貞妄想には、激しく共感したオイラです(ついつい太ももに目がいってしまう哀しい男の性)。ただちょっとだけオイラには生クリームの量が多すぎました(^皿^;)。
by 堀越ヨッシー (2011-05-03 18:36) 

テンプラ・ソバ・ニーロ

小学館集英社プロダクションって初めて知りました。
講談社秋田書店少年画報社プロダクションは無いようですね。
by テンプラ・ソバ・ニーロ (2011-05-06 20:23) 

堀越ヨッシー

テンプラ・ソバ・ニーロさん、こんにちは。
(...アレ!?、改名されました?)
出版業界、どこも大変みたいですね(^皿^)。
出版社と言えば、やっぱり民明書房ですね!
by 堀越ヨッシー (2011-05-06 20:35) 

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