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「トイ・ストーリー3」の美麗CG映像に感じる、ちょっとした違和感 [映画鑑賞]

遂に公開となったピクサーのCGアニメーション映画「トイ・ストーリー3」。
そして映画公開と並行するようにグッズ商戦も大いに熱を帯びてきたようです。先日立ち寄ったビックカメラには「TS3」関係のおもちゃが所狭し!とばかりにたくさん店頭に並んでいました。思わず立ち止まり、まじまじと商品を見つめるオイラ。アラフォーなのにも関わらず、その脳内はアンディ少年のごとくガキそのまんまなのであります(^皿^)。
個人的には、一作目に出てきたクレーンゲームのミニ版が欲しいですよっと♪。

ディズニー トイ・ストーリー スペース クレーン

ディズニー トイ・ストーリー スペース クレーン

  • 出版社/メーカー: タカラトミー
  • メディア: おもちゃ&ホビー

 
ま、それはともかく映画「トイ・ストーリー3」について。
今作は前2作を監督したジョン・ラセターが監督を降りて製作総指揮にまわったこともあり、オイラ的にはやや期待度も下がってる訳ですが、1、2、共にお気に入りであるオイラとしてはやはり劇場で見ずにはいられません。でも気になるのは、例の3D映像。
映画「コラライン」で初めて3D映像というものを初体験して以来、個人的には3D映像はもうコリゴリなので、出来ることならノーマル版で作品を観たいところなのですが、どうやら現在のところ、大手のシネコンでは3D版のみの上映となっているようです。もしこのまま3D版のみの上映で終わるようなら、残念ながら今回は劇場で観るのを断念せざるをえないなあ....と漠然と思っているところです。
 
 
さて、ここからが本題。
この数年、CG映像の発達には目をみはるものがあります。最近では「アバター」など、文字通り“驚異の映像”を目にする機会も多くなりました。しかしながら、同時にそのCG映像にアレルギーを感じる事も多くなりました。原因のひとつがCG映像から感じられる“リアル(現実感)”の欠如です。
 
例えば、「タイタンの戦い」に出てくる巨大サソリ。
ビジュアルはすごく美麗でリアルなのに、その挙動があまりにもマンガちっくで実写としての現実味がありません。あれほどの巨大な生き物が重力のあるこの地球上で、あんなに素早く動ける訳がない。それを「これはファンタジー世界なのだから!」という常套句で片付けてしまうにはあまりにも乱暴な気がします。戦う人間は重力に比例した動きをしているのに、一方で巨大サソリは重力を無視した動きをしている....これでは画としてアンバランスにならざるを得ず、結果的にその映像は嘘っぽくなってしまいます。それでなくても観る側には、潜在的にCG映像=作り物という意識があるのに、そこに輪をかけて嘘の動きを見せてしまっては、映像からは到底“リアル”を感じる事は出来ないでしょう。だから観ていてちっともハラハラドキドキしません。最近のCG映像からは、画はリアルなのに動きはアニメチック....そういう事を強く感じることが多々あります。「トランスフォーマー」だったり、「アイアンマン」だったり。
 
では、「トイ・ストーリー3」のCG映像はどうでしょうか?。
文字通りアニメ映画なので、その挙動が大袈裟になるのは致し方ない事として、今回の「トイ・ストーリー3」には別の側面からそのCG映像に違和感を感じています。
「トイ・ストーリー」1作目から10年以上が経ち、その映像レベルは飛躍的な進歩を遂げています。一見同じように見えても1作目のウッディと3作目のウッディとでは、そのビジュアルに雲泥の差があります。でも、それはあくまで裏方の技術的な話なので観る側にはさほど関係ありません。オイラがすごく気になったのは、そのあまりにも綺麗すぎるビジュアルについてです。
今作は1作目からかなりの月日が経ったところからスタートしますが、そこに物語としての“嘘”を感じます。というのも、ウッディからもバズからもおもちゃとしての“遊び込まれた感”が感じられないからです。
なぜ、ウッディもバズも年月が経ったというのに、あんなにも綺麗な状態なのでしょう?。物語の背景を考えたらそんな事は絶対にあり得ないはずです。おもちゃが大好きなアンディによって、遊び込まれた形跡があって然るべきなのにそれがない....そこに映像としての物語としての“嘘”を感じるのです。
 
実際に子供を育ててらっしゃる方ならおわかりだと思いますが、子供というのは残酷です。こうしたら汚くなる!とか、こうやったら壊れる!なんて事は考えずに、おもちゃで遊んだりするもんです(大人がフィギュアを大事にコレクションするのとは違うのだから)。そうなれば、当然壊れもするだろうし、汚れたりするもの。ウッディなら背中の紐が切れるかもしれないし、胸のバッヂが取れてしまうかもしれません。バズなら指が破損するかもしれないし、翼がもげてしまうかもしれません。そういった“長年遊んできた”感が、「トイ・ストーリー3」のウッディとバズからは感じられないところに、リアル感の欠如を感じてしまいます。ウッディの服なんか、手垢がついて汚れていて然るべきなのに、それすらない。バズのフードキャビネットは、今もピカピカの透明で傷ひとつありません。そういう部分にこそ、CG技術を用いるべきなんじゃないか?...そう強く感じます。
 
また、別の視点からもその綺麗すぎるビジュアルに違和感を感じます。
例えば、実際に「トイ・ストーリー」関連グッズを買われた事がある方なら実感して頂けると思うのですが、実際の商品は映画の中のように“綺麗”ではありません。これは何も「トイストーリー」に限った事ではありませんが、実際のおもちゃというものは得てしてそんなものです。塗装が雑だったり、ディテールが甘かったりすることは常です。そういう雑であるという“リアル”さが、「トイストーリー3」の中には存在しません。CG映像技術が発達して映像が綺麗になった今こそ、逆にそういう“雑”というリアルさを表現する絶好の機会なのに。CG技術は映像を綺麗にすることよりも、リアルさを表現することに使って欲しいと願うのであります。ピクサーがアニメ作品を実写に近づけようとしていないことは明白ですが、その一方で例えアニメでも描くべきリアル(現実感)は存在すると思います。そのあたりの見解を一度、ジョン・ラセターに聞いてみたいものです。
 

CG映像はこれからも更なる発展を遂げ、これまで観たこともないような映像を映画内で目にする機会も増えるかもしれません。でも、現実味という部分を忘れないで欲しい。それが例え、実写映画であろうがアニメーション映画であろうが、その作品ごとに描くべき“リアル”というものがあるはずです。なんでも映像可能なCGだからこそ、そういう部分をおろそかにしないで欲しいと強く思います。 
 
 
まあ、固い話はこれぐらいにして。
「3」の評判はやはりというか、あちこちで上々のようですね。オイラとしては俄然日本語吹き替え版の出来が気になるところなのでありますが。映像を見たあとで2、3日偏頭痛に悩まされることがわかっていても、やはり3D版を観に行くべきなのでしょうかねえ...うーむ、悩ましい問題です(^皿^)。
    

      おもちゃ好きは、死んでも治りそうにありませぬ(^皿^;)
      RIMG0735.JPG
 
THE ART OF トイ・ストーリー3

THE ART OF トイ・ストーリー3

  • 作者: チャールズ ソロモン
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/07/15
  • メディア: 大型本

相変わらず高価なピクサーのアート本。
せめて、せめて、¥3000ポッキリで販売してくれれば....
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