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激弾BKYU舞台「HELP ME!」、ここが面白かった [舞台・コンサート]

【前回・前々回の記事のあらすじ】
激弾BKYUの舞台を初めて鑑賞したオイラ。当初の期待とは裏腹に初BKYU鑑賞は違和感を感じる事が多い舞台となりました。そんな訳で前記事はかなり辛口な内容となりましたが、もちろん楽しめた部分もたくさんありました。今回はそんな部分をピックアップします。
 
【塩原美鈴さん演じる“カオリ”はとってもかわいい女性♪】
今回の舞台の登場人物でオイラが一番魅力的だなと感じたのは、主人公コーイチの恋人であるカオリ(演じるは、塩原美鈴さん)。カオリはいわゆる天然系の女性で、その言動や行動にコーイチは振り回される事になるんだけど、その様子が傍から見ていてとっても微笑ましかったです。コーイチもカオリを前にした時の台詞はとっても自然で、二人のやりとりのシーンはオイラも違和感なく感情移入して見る事が出来ました。
途中、カオリが突然ミュージカル口調になる演出にも個人的には大笑いしてしまいました。こういう演出、嫌いじゃないです。カオリのキャラ、芝居が過剰になり過ぎるとクドくて嫌みになるところだけど、その手前で踏みとどまった芝居をしてた塩原美鈴さんが素晴らしい。オイラは舞台を見ながら「なんでコーイチはこんな素敵な女性と結婚する事に躊躇してるんだろう?、オイラだったらこんな可愛らしい女性が相手なら即結婚しちゃうけど」って思ってました(苦笑)。
 
 
【生きてる台詞のやりとりは見ていて気持ちがいい】
今村有希さん演じるサチと、その母親タミーを演じた蔵重美恵さんとの間で交わされる会話が楽しい。二人とも何故か関西弁だ(苦笑)。確か今村さんは関西出身だし、おそらく蔵重さんもそうなのだろう..そんな二人の間で交わされる会話は“生きて”いた。生きた台詞だから、見ていて気持ちがいい。自然体だから、見ているこちらは違和感なくすんなりと舞台の世界へと入っていける...オイラが見たいのはこういう芝居なのだ。
タミーは典型的な関西のオバチャン風で、サチは目をクリクリさせて本音をズバッと言うかわいい女の子。この魅力的なキャラクター2人がコーイチの頭の中だけの存在とは実にもったいない。願わくば、コーイチが現実世界に戻った時、この二人もなんらかの形で現実世界に存在する人物として描いて欲しかった。
 
 
さて...ここまで良かった部分を述べてきましたが、最後にどうしても腑に落ちなかった演出があったので、その事について書きたいと思います。
それは、物語中盤だったと思いますが、海賊船が地上を暴走するシーンです。
コーイチの舵取りで地上を爆走する海賊船。信号機をなぎ倒し、車を吹き飛ばして暴走する海賊船。だが、ふいに急ブレーキをかけるコーイチ!..目の前にいるのは恋人のカオリだ。カオリはお婆さんの手をとり横断歩道を渡ろうとしている。そこで海賊たちはそんな彼女に対してエールをおくるのだった...。
そのシーンでの事です。海賊船上にいたクッフ船長の影(演じるは、作・演出を手がける酒井晴人さん)が突然船から降りてきてカオリの横に陣取ったかと思うと、そのままお婆さんを演じたのです。会場からはその様子に笑い声も起きました。でも、オイラはそれを見て思わず心の中で叫んだのです...
「何してくれてんだよッ!!!!(怒)」
...それは紛れも無く怒りの感情でした。どうしてオイラがそのシーンを見てキレたのか?...それはオイラの中にあった“想像力”を踏みにじられたからです。
 
カオリが袖口から舞台上へと登場した時、カオリはお婆さんの手をひいていました。このシーンではお婆さん役の役者さんはいません。だから舞台上にはカオリ演じる塩原美鈴さんが想像力で創りだした“お婆さん”が存在しています。役者は例えそこに存在しないものでも想像力を駆使して創りだす事が出来るのです(もちろん役者の力量によって創りだせるものは限定されますが)。カオリ演じる塩原さんは確かにそこに“お婆さん”を創りだしていました。そしてその様子を見て観客のオイラたちもその場に想像上の“お婆さん”を創りだす事が出来るのです。もちろんオイラも想像してそこにお婆さんを創りだしました。役者・塩原さんの創りだしたお婆さん像とオイラが創りだしたお婆さん像とは必ずしも100パーセント一致はしないかもしれないけど、少なくともあの時あの舞台上には塩原さんとオイラが創りだしたお婆さんが確かに存在していたのだ!。なのに、影を演じた酒井さんは横からひょいと出て来てお婆さんになりすました...それが許せなかったのです...「ちょっと待てよ!」と。「オイラと塩原さんが創りだしたお婆さんはどこへ行っちゃったんだよ!」と。
 
舞台を見る大きな楽しみのひとつに“想像力”というのがあると思います。想像力を使うから舞台上に作られたセットが大海原に浮かぶ大きな海賊船に見えてくる訳だし、衣装を着た役者さんたちも“海賊”に見えてくる。その場にないものだって見えてくる...想像力の力は絶大です。
酒井さんはご自身のホームページ上で「役者は観客が創りだす想像力の手助けが出来るような芝居をしなくちゃいけない」という意味合いのコメントをされていましたが、果たして今回の演出はその趣旨にそったものだったのでしょうか?。オイラはこの演出に関して、自分が創り出した想像の産物を足蹴にされた気がして、とっても不愉快でした。塩原さんはこの演出をどう思ったのだろう?...同じ役者として聞いてみたいものです。
 
 
【最後に...】
今回初めて激弾BKYUさんの舞台を観劇させて頂きましたが、正直個人的にはあまり好きなタイプの舞台ではありませんでした。むろん、これはあくまでもオイラいち個人の意見であって、「今回の舞台、楽しかったです!」って人もたくさんいるだろうし、「感動しました!」って人もたくさんいらっしゃる事と思います。
ただオイラが舞台を見ながら感じた事は、親子の葛藤だとか、恋人との関係に踏ん切りがつかない男の話とかを作品にするのに、別にファンタジーの力を借りなくてもいいんじゃないか?って事です。もっと正攻法で真正面からどうどうと取り組んだ作品が見てみたいです。
それと、楽しい舞台にしようって意気込みはひしひしと感じましたが、それとウケ狙いの演出は別物だと思います。もちろん笑いのハードルは人それぞれでしょうけど。
今回、会場にてアンケートを出せなかったので、このような形で舞台の感想を述べさせて頂きました。生意気と感じられた部分も多々あったかとは思いますが、いつわりなき正直な感想を書いたつもりです。そのことをご理解頂ければ幸いです。
 
ともかく、激弾BKYUの役者さん、そしてスタッフの皆さん、舞台公演本当にお疲れ様でした。秋の次回作も楽しみにしています。
..という訳で、全3回にわたってお送りしてきた激弾BKYU舞台「HELP ME!」観劇リポートは、今回にて終了です。かなり独断と偏見に満ちた長記事となってしまいましたが、貴重な時間を割いて読んで下さった皆様、ありがとうございました。
 
〜おまけ〜
激弾BKYU弾長にして、作・演出も手がける酒井晴人さん

タイツ姿に、男の哀愁を感じました。


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Catcat44

ヨッシーさん、こんばんわ。
ええっと、実際に舞台は見ていないなので、その事に関しては、何をか言わんやなのですが、ヨッシーさんの心意気にナイス!を。
好きで見に行った舞台に、きっちりダメ出しをできる勇気、ステキです。是非、見習わなきゃ、と。
もちろん、好きを好きという勇気も大事です。どちらも大切ですよね。
勇気をもらいました~。
by Catcat44 (2007-03-31 01:24) 

堀越ヨッシー

LICCAさん、こんにちは。
無難な感想を述べた方が波風立たなくていいんですけどね...そんな器用な生き方が出来ないオイラです(苦笑)。
「...不器用ですから」by高倉健
もちろん好きになったら徹底的に褒めまくりますよ!。
by 堀越ヨッシー (2007-03-31 09:03) 

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