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激弾BKYUの舞台「HELP ME!」を見て、いろいろ考えた [舞台・コンサート]

【前回のあらすじ】
今村有希さんが所属する劇団「激弾BKYU」の舞台を見るため、中野を訪れたオイラ。凝った舞台装置、豪華な衣装、個性的な役者の皆さん...開演前の高まる期待感とは裏腹に、上演まもなくから舞台との距離を感じていくオイラ。一体なぜオイラは劇弾BKYUの創りだした世界にとけ込めなかったのか!?...その原因を考える。
 
 
オイラがいち観客として舞台で見たいもの...それはもうひとえに“人間ドラマ”に他なりません。舞台上で役者の皆さんが演じる人物の生き様を通して、自分の人生を振り返ったり、また登場人物に自分を重ねあわせ一喜一憂するのが、舞台の醍醐味だとオイラは思っています。
そのためにはまず、登場人物に対して感情移入出来る部分を見つけだす必要があります。そこでオイラは登場人物を観察しながらまずその部分を探し出す作業に入ります...と言っても別に複雑な作業ではなく、要は共感できる部分があればいいんです。登場人物たちに対して何かひとつでも同じ共通認識を感じた瞬間、感情移入が始まり、舞台への世界へと入っていけるのです。
 
 
【予定調和の行動に違和感を感じる】
物語冒頭...主人公コーイチはパーターピン(クッフ船長)に半ば強引に乗組員にさせられる。まわりには海賊たち...訳がわからないままコーイチは仕方なくメンバーに加わる事に...
 
皆さんは“海賊”と聞いてまず何を連想しますか?。最近だとジョニー・デップの影響でジャック・スパロウの事を思い浮かべるかもしれませんね。でもオイラがまず感じる感覚はそういった呑気な感覚ではなく、まず間違いなく“恐怖”です。海賊=強盗団ですからね、そりゃまず第一に身の危険を感じますよ。一刻も早くこの場から逃げ出したいと思う。ところが主人公コーイチにはそれがない。オイラがコーイチの立場だったらこう思うこう感じるって事を彼はいっこうに表現してくれません...ジレンマを感じました。
もちろんそれなりの反応はしてました。でも、少なくてもオイラが見る限り切迫した印象はほとんど感じなかった。つまりリアクションが“リアル”じゃないのです。予定調和内の行動(アクション)だからハラハラドキドキもない。彼から緊迫した雰囲気を感じないから、目の前の海賊も恐くない。恐くないからリアルじゃない。リアルじゃないから、目の前の人達がいつまでたっても“海賊っぽい”人達にしか見えない。酷な言い方をすれば“海賊のコスプレをした人達”を前に物語が進んで行く...そんな感じでしょうか。“演じています”というフィルターが外れない舞台...舞台と自分との間に見えない壁が存在しつづけます。
舞台上に“リアル”を感じた時にはじめて、見てる人は舞台の世界へと入って行けるし、その世界を“現実”として受け入れられる...オイラはそう思うのですよ。
 
【笑いとは何か!?..を考える】
物語冒頭...パーターピンが緑色のタイツ姿で現れる。ピッチピチだ..当然局部はもっこりとしている。それを意識してか会場からは笑い声も聞かれた。でもそんな一部の客に対してオイラは思った...「何がおかしいの?」って。別におかしくないじゃん、タイツ姿。それがこのキャラの、この世界における格好だとしたら普通でしょ?って。
でも、もしこれが演出側の意図(見た目で笑わそうとする安易な演出)だったとしたら?...余計に笑えない。
今回の舞台を見ていて、時々こうした瞬間に出くわした。演出側の「はい、ここ笑うところですよ」といったあからさまな意図が透けて見える演出だ。オイラはこれがダメなのだ。これを感じた瞬間にサーッと引いてしまう。
例えば、バカボンのパパそっくりな格好をして出てくる人がいる。確かにそっくりだった。でもそれって作品にとって本当に必要な事だったの?って思う。
体育会系の海賊がかけ声をかける時にいう台詞「ウォン・ビン!、ウォン・ビン!」...安易すぎるし、笑えない。
主人公コーイチが全裸になるシーンでなげかけられた「お前、裸になるの好きだなあ」という内輪受けと見られる台詞など...etc。
演者が“今面白い事をやってる”とか面白い台詞を言って観客を笑わせてやるぜ”といった意識を持って芝居をすると、たいてい面白くなかったり、いわゆるスベったりします。
 
最初のタイツの話に戻るけど、仮にあれで笑いをとれたとして、それは正解なの!?って思う。例えるなら「スーパーマン」の中でクリストファー・リーヴのタイツ姿を笑うようなものですよ。でも誰もスーパーマンのタイツ姿を笑うものはいない。何故ならC・リーヴがスーパーマンという役をきちんと演じているから。
パーターピンのタイツ姿を笑われるって事は、言葉を言い換えれば役をきちんと演じきれてないって事じゃないの?。因みにオイラは下ネタも下品なギャグも好きですよ。だから局部をもっこりさせて笑いをとるっていうギャグ自体は嫌いじゃない(ドリフ世代だし)。だから、コメディアンとしては正解なのかもしれないけど、役者としてはあそこで笑われるってことはある意味不正解だと思いますね。タイツ姿で笑いが起こるって事は、海賊の格好をしている時に(似合ってないよと)笑いが起こるのと同じ意味合いですからね。
 
 
....うーむ、ちょっと辛口でしょうか?。
またまた記事が長くなりそうなので、とりあえず今回はここまでにします。
今回はネガティヴな内容ばかりになったので、次回は一転、オイラが舞台を見て面白かったところなどを記事にしたいと思います。
そして、オイラが今回舞台を鑑賞していてどうしても納得が出来なかったある演出部分について書きたいと思っています。
 
                   〜続く〜

おまけ〜激弾BKYUのちょっと気になるこの役者さん
有友正隆(ありともまさたか)さん

パーターピンとクッフ船長の二役をこなす有友さん。存在感で言えば舞台一だったかも。いかついお顔(失礼)と裏腹に、芝居ではかなりひょうきんな表情を見せてくれました。そのギャップがとっても魅力的でした。
ご自身は役者業の他に、バンド活動もされてるとの事です。

 


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コメント 2

舞台を観客、あるいは演劇の一部として(観客の笑いも演出効果になるような舞台)見れる時と、製作者側に回って見てしまう時があるけど、今回のヨッシーさんは後者だったのかな(’’?
自分も演技を学んでいく内にそういう気持ちが強くなってしまたとか?
違ったごめんなさい(>x<;)

でも今回ヨッシーさんが感情移入できなかったことで、子供の頃舞台を見た時ストーリーが難しくて良く分からなかったんだけど、照明や音楽、セットや衣装の早代わりが面白くてどうなってるんだろうとか、どうしてこういう演出の仕方にしてるんだろうとか考えて見てた頃を思い出しました。
それが結構楽しくて、同じ舞台を何度も見に行ったことがありましたよ(^-^*)
舞台にもいろんなものがあるように、見方や感じ方も色々ですよね。
by (2007-03-30 01:25) 

堀越ヨッシー

Soraさん、こんにちは。
確かに、見方や感じ方は人それぞれですからね。今回はたまたま肌にあわなかっただけかもしれません。
 
...え..っと、とりあえずいつもたくさんのナイスをありがとうございます♪。Soraさんに来て頂けると一気にナイスが増えるんですよね(苦笑)。
by 堀越ヨッシー (2007-03-31 08:36) 

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