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かたつむり、カーレースの殿堂インディ500に挑む!〜『ターボ』を鑑賞する [映画鑑賞]

         
        夢に大きすぎるものなどない
        夢は見られる....小さき者にも
     〜インディ500チャンピオンレーサー、ギー・ガニエの言葉〜 
   
         
         『ターボ』(原題:TURBO)
         ドリームワークス・アニメーション作品
         2013年 アメリカ映画 カラー 96分
       字幕翻訳:益江貴子  吹き替え翻訳:小寺陽子
 
 監督・原案:デヴィッド・ソーレン
    脚本:デヴィッド・ソーレン、ダーレン・レムケ、ロバート・シーゲル
    音楽:ヘンリー・ジャックマン
 
 【声の出演】
 ライアン・レイノルズ    ....テオ(ターボ)/カーレース好きのカタツムリ
 ポール・ジアマッティ    ....チェット/テオの兄で心配性な性格
 サミュエル・L・ジャクソン ....ウィップラッシュ/カタツムリレーサー集団リーダー
 スヌープ・ドッグ      ....スムーヴムーヴ/ウィップラッシュの仲間
 マヤ・ルドルフ       ....バーン/ウィップラッシュの仲間で紅一点
 ベン・シュワルツ      ....スキッドマーク/ウイップラッシュの仲間
 マイケル・パトリック・ベル ....ホワイトシャドゥ/ウィップラッシュの仲間
 
 ビル・ハダー        ....ギー・ガニエ/インディ500のチャンピオンレーサー
 マイケル・ペーニャ     ....ティト/兄とタコス店を経営する男
 ルイス・ガスマン      ....アンジェロ/ティトの兄でタコス作りの名人
 ミシェル・ロドリゲス    ....パズー/整備工場を営む若い女性
 リチャード・ジェンキンス  ....ボビー/模型店を営む中年男性
 ケン・ジオン        ....キム・リー/ネイルサロンを営む初老の女性
 
【あらすじ】
とある住宅街の庭先....
トマトが栽培される家庭菜園に、たくさんのカタツムリが生活していた。
その中の一匹、テオ(ライアン・レイノルズ)は、カーレーサーに憧れる一風変わったカタツムリ。インディ500のスター・レーサー、ギー・ガニエ(ビル・ハダー)のビデオを繰り返し見ては興奮する毎日。そんな変わり者のテオはカタツムリ仲間からは嘲笑の的で、テオの兄チェット(ポール・ジアマッティ)も、そんなテオのことを心配しているが、当のテオはまったく意に介さない。
そんなある日のこと、テオはストリートレースに興じる車のエンジン内に巻き込まれるというアクシデンドに遭遇する。幸い、命に別状はなかったものの、体調に違和感を感じるテオ。なんとか自宅に戻ってきたテオだったが、不運にもそこにカタツムリたちがクラッシャー(=壊し屋)と怖れる幼児が登場、彼の乗った三輪車がテオを襲う。その時、テオの殻が青白く光り、テオは高速スピードで三輪車を交わす。テオは“高速スピード”で移動出来るカタツムリとなっていた。
やがて、テオは新たに出会った人間ティト(マイケル・ペーニャ)やウィップラッシュ(サミュエル・L・ジャクソン)をはじめとするカタツムリ仲間たちと共に、憧れのカーレース、インディ500に出場することになる。
だが、それはテオにとって厳しい試練となるものだった....!
 
 
【世界最速のカタツムリ....その名はターボ!】 
カーレーサーが主人公のCGアニメ映画....と聞いて、誰しもが真っ先に頭に思い浮かぶのは、ご存知ピクサーの大ヒット作品『カーズ』だと思います。『カーズ』はオイラも大好きな作品で、それ故に当初この『ターボ』にはカーズの二番煎じの印象が拭えませんでした。
しかし、映画というものは実際に見てみなければその中身はわからないもの....
今作『ターボ』は『カーズ』とはまったく違った魅力で溢れていました。
この作品....メチャメチャ面白い作品ですッ!(^皿^)/
 
【ひたむきに夢を追い求める主人公テオ】
一匹のカタツムリが、カーレーサーになることを夢見る....
あまりにも荒唐無稽な夢物語です。
しかし、夢に向かってひたむきに突き進むテオの姿は、素直に感動的です。
兄チェットの言うように、それはある意味“現実逃避”の姿なのかもしれません。
スピードに憧れながらも、そこに立ちはだかるカタツムリと言う、どうしようもない現実。
兄チェットは「現実を受け入れろ」と、弟テオを諭します。
しかし、避ける事の出来ない残酷な現実を目の前にしても尚、テオは夢を諦めきれません。
そんなテオの姿に、かつて夢を諦めてしまった過去の自分を重ねて見ると、
頑張るテオの姿を応援せずにはいられないのです。
 
【カタツムリを魅力的に描く】
カタツムリを主人公にしたアニメを作る....よくぞまあ、この企画が通ったものだと感心します。なぜなら、とてもリスキーだからです。カタツムリには手足がありません(正確に言うと、“足”はありますが....)。だから、お芝居に関していわゆる身振り手振りが行えないため、他の動物と比較すると格段に擬人化しにくいのです。しかしながら、監督のデヴィッド・ソーレンはこうしたハンデをものともせず、実に魅力的にカタツムリを描いています。ユニークなのは、カタツムリの目を手に見立てたジェスチャーを取り入れているところです。例えば、兄チェットがテオを抱きしめる時、目で身体を挟んでギュッと抱きしめます。或いは、テオが夢中になって見ていたテレビ画面が消えた時、「映れー!」と言って目でポコポコとテレビを叩きます。こうしたユニークな擬人化した動きが、アニメ的に楽しいカタツムリを見事に表現しています♪。
 
【テオが出会う、魅力的な仲間たち】
ターボと運命的な出会いを果たす人間の男、ティト。
兄の経営するタコス店を盛り上げようと日々奔走している男です。しかし、その行動はいつも空回り。今回はカタツムリレースを開催してお客を呼び込もうと考えるティトでしたが、そんな弟に対して兄アンジェロは呆れるばかり。見果てぬ夢を追い続けるティトは、ちょうどターボと映し鏡になっていて、似た者同士の二人は互いに惹かれあいます。一見するとティトは自分の夢を叶えるためにテオを利用しているようにも見えますが、実際にはティトはカタツムリであるテオに対して人間のように接しています。テオがレース中負傷した際も、迷わず棄権しようとします。こうした非常に善良な人間として描かれたティトは、すごく魅力的です。
 
寂れたショッピングモール“スターライト・プラザ”に集う面々もまた心優しき人々。
自動車整備工場を経営する若き女性パズー。常に髪型が右目を隠す“ゲゲゲの鬼太郎”スタイルがクールで、肩幅の広いマッチョ体型が逆にとてもセクシーな女性です。
模型店を経営する中年男性ボビーは、ターボが身につけるカウルを制作するスペシャリスト。
いかにもオタク的な容姿が、雰囲気バッチリです。
ネイルサロンを経営するキム・リーは、毒舌が持ち味の初老の女性。
白髪リーゼントに2頭身姿が、お茶目で可愛い女性です。
彼らはいわゆるマイノリティな存在ですが、誰もが心優しき人ばかり。
実に気持ちのいい連中です。
それと非常に対照的なのが、ターボが憧れるレーサー、ギー・ガニエです。
ギー・ガニエは、自惚れが強いいかにもスターといった趣きで、
ヒール役としてターボと壮絶なレースを展開することになります。
 
一方、カタツムリの面々も愉快なメンバーが揃っています。
テオの兄チェットは、弟思いのお兄さん。夢見がちなテオを心配するあまり、接する態度がどうしてきつくなってしまう兄チェット。そのチェットが最後の最後で遂にテオを応援するくだりは、涙なしでは見られない感動場面です。
テオが出会う、はぐれ者カタツムリ集団も、ユニークなメンバーの集まり。
リーダーを務めるウィップラッシュは、文字通りの頼れるタフガイ。
スキッドマークは、お茶目な性格が魅力のナイスガイ。
スムーヴムーヴは、スケボーが得意で、サイコロのネックレスをしたお洒落さん。
紅一点バーンは、姉御肌のクールビューティー。
ホワイトシャドウは、いわゆるデブキャラ。常に台詞は「ホワイトシャドウ」が笑えます。
優れた映画はこうしたサブキャラの活かし方がすごく巧いものですが、本作はその典型。
5匹のカタツムリは、どれもが魅力的です♪
 
【迫力あるレース場面、そして感動のクライマックス】
クライマックスで展開されるレース場面は見応えがあり、3D映像で鑑賞したら、おそらくその迫力も倍増することでしょう。カタツムリ目線で展開されるレースは、正に迫力満点!。更にこのレース場面でのカメラワークがとにかく秀逸です。画面ががたがたと揺れる映像は、まるで実際にカメラをレース会場で走らせているような錯覚に陥り、それが見事な臨場感を生み出しています。
 
遂に憧れのインディ500に出場を果たしたターボでしたが、実際にレースに出るとその迫力に圧倒され、怖じ気づいてしまいます。そんな時、ウィップラッシュがターボにゲキを飛ばします〜
 
 ウィップラッシュ:お前は自動車か?、自動車のつもりなのか?
      ターボ:...違うよ
 ウィップラッシュ:じゃあ、車みたいな走りをしてんじゃねーよ!
      ターボ:....!!
 ウィップラッシュ:カタツムリらしく、ツムってこいやッ!
 
ウィップラッシュの激励を受けて、遂に自分らしい走りを取り戻したターボ。
それまで、車のような走りをしていたターボは、その固定観念から解き放たれ、遂に自分らしい走りでぐんぐんと順位を上げていきます。
ここで流れる名曲♪アイ・オブ・ザ・タイガーが、レースの興奮を一層盛り上げます。
遂に、ギー・ガニエに追いついたターボは、彼とトップ争いを繰り広げます。激戦の末、ターボは壁と接触してしまい、その影響で殻にヒビが入ってしまいます。殻を負傷し、その高速スピード性能が不調となるターボ。ティトたちはレースの棄権をターボに進言しますが、諦めきれないターボはレースを続行させます。不調ながら、トップのガニエに必死で食らいつくターボ。そして、遂にガニエを抜き去りトップへと躍り出たターボ....勝利は目前です。しかし、勝利を譲りたくないガニエは無茶な走行をした結果、ゴール手前でスピン、後続車を巻き込んで大クラッシュを引き起こします。ガニエをはじめ、後続のレーサーたち、それにターボもクラッシュに巻き込まれ、レースは中断、テオはゴール手前数メートルのところで遂に高速スピード能力が完全に停止してしまいます。普通のカタツムリへと戻ってしまったテオは、意気消沈のあまりレース続行を諦めてしまいます。
その時、ターボの耳に兄チェットの声が聴こえてきます....
 
最後まで諦めるな!、ターボ!!
 
これまでずっとテオのことを否定し続けていた兄チェットが、最後の最後でエールを贈るこの場面(遂に“テオ”ではなく、“ターボ!”と呼びかける)は、兄弟の絆を感じさせる感動的なシーンです。兄チェットの叱咤激励を受けて、再び走り出すテオ。その歩みはカタツムリ本来の動きでゆっくりですが、確実にゴールを目指していきます。一方、勝負を諦めていなかったのはテオだけではありません。ギー・ガニエもまた動かなくなった車を引きずりながらゴールを目指します。カタツムリ本来の歩みでゴールを目指すテオ。その後を追うギー・ガニエ。ゴールまではあと数メートル!....果たして、勝利を手にするのはカタツムリのターボか?、はたまた人間のギー・ガニエか?。その勝敗の行方は、是非ご自身の目で確かめて下さい!(前フリがちゃんと活かされる演出がお見事!)。
 
 
見果てぬ夢をがむしゃらに追い続ける主人公の健気な姿が、爽やかな感動を呼ぶCGアニメ『ターボ』。新年が始まって新たなスタートを切るこの時期に、実にピッタリの作品だと思います。
更に、本日は成人の日。夢に向かって進もうとしている新成人の皆さんにもお薦めします。きっと皆さんのエールとなる事でしょう。
是非、この機会に『ターボ』をご覧下さい!(^皿^)/
 
 
    世界最速のカタツムリ、その名は....ターボ!
    ターボ.jpg

ターボ [Blu-ray]

ターボ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray
この作品が劇場未公開だなんて、本当に信じられない!
こうした優良作品が劇場で見られない今の日本を取り巻く映画産業は、絶対におかしい!
『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』、
『クルードさんちのはじめての冒険』、
そして本作と、劇場未公開が続くドリームワークス・アニメーション作品
どの作品も本国アメリカでは興行収入はあまり芳しくなかったとのことですが、
どれも面白さは保証付きです!
子供向けアニメだと思って見逃すと、絶対に後悔します!
ダマされたと思って、どれでもいいから是非鑑賞してみて下さいッ!(^皿^)/
CGアニメは、ディズニーやピクサーだけじゃないぞッ!!
 


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