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ラルフ、悪役やめるってよ!?〜「シュガー・ラッシュ」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
        『シュガー・ラッシュ』
     【原題:Wreck-it Ralph(ラルフが破壊するぜ!)】
      2013年 アメリカ映画 カラー作品 1時間48分
 
  監督:リッチ・ムーア
  脚本:フィル・ジョンストン ジェニファー・リー
  音楽:ヘンリー・ジャックマン
 
声の出演:ラルフ     ....ジョン・C・ライリー
     ヴァネロペ   ....サラ・シルヴァーマン
     フェリックス  ....ジャック・マクブレイヤー
     カルホーン軍曹 ....ジェーン・リンチ
     キャンディ大王 ....アラン・テュディック
 
【あらすじ】
ここはとある街のゲームセンター。
80年代に人気を博したゲーム「Fix it Felix Jr.(フェリックスが直すよ)」は、今もゲームセンターの片隅で稼働している。ゲーム内の悪役キャラクターであるラルフ(ジョン・C・ライリー)はこの30年間、物を破壊する仕事に徹してきた。だが、ゲーム内の主人公フェリックス(ジャック・マクブレイヤー)に憧れていた彼は、長年の思いを実現させるべく、ヒーローの証しであるメダルを目指して他のゲームへと進入を試みる。やってきたのは最新SFシューティングゲーム「HERO'S DUTY(ヒーローの職務)」。ここで念願だったヒーローの証し“メダル”を手に入れたラルフだったが、トラブルが発生しメダルもろとも別のゲームへと飛ばされてしまった。やってきたのは、お菓子の世界でレースが展開される「シュガー・ラッシュ」。ここでラルフはヴァネロペ(サラ・シルヴァーマン)という一人の少女と出会う。ヴァネロペは不良プログラムのためレースに参加出来ず、疎外された日々を過ごしていた。だが、ラルフの持って来たメダルがあれば念願だったレースへと出場出来るヴァネロペは、勝手にメダルを使用してしまう。メダルを取り戻すためには、レースで優勝するしかない。
こうしてラルフは不本意ながらヴァネロペに協力することになるのだが....
 
 
【新鮮な面白さ!】 
前作「塔の上のラプンツェル」で、見事に原点回帰し成功を収めたディズニーアニメ。
ところが続く今作では、お得意のミュージカル要素を一切排除した、新たな作品への挑戦を試みています。その姿勢に一抹の不安を感じていましたが、それはまったくの杞憂に終わりました。監督に抜擢された「ザ・シンプソンズ」のリッチ・ムーア監督は、およそディズニーらしくない演出で物語を盛り上げてくれます。
例えばそれはオープニングから早速披露されます。ラルフの独白でスタートする「シュガー・ラッシュ」。様々なゲームに登場する悪役キャラクターたちが集まってグループセラピーを開いています。日本ではあまり馴染みのないグループセラピーですが、アメリカ映画では頻繁に出てくる一般的な光景です。ここで悪役たちが、決してゲーム内では見せることがない姿を披露して笑いを誘います(でも日本人として是非ひとこと言っておきたいことがある....ストⅡのザンギエフは悪役じゃないよッ!)。また劇中でフェリックスがカルホーン軍曹に殴られる場面があります。とある理由でフェリックスはカルホーン軍曹に自分を殴って欲しいと懇願する訳ですが、これが結構なバイオレンス場面で爆笑してしまいました。ここまで激しいバイオレンス描写はディズニーアニメではとても珍しいのではないでしょうか?。ある意味ギャグマンガ的描写ではありましたが、かなりブラックなギャグで大笑いしました。
 
こうしたおよそディズニーらしくない演出で作品を盛り上げるその一方で、
ディズニーらしい感動もしっかりと見せてくれるリッチ・ムーア監督。
ラルフとヴァネロペが二人で協力して作ったレースカーを、とある理由で壊すことになるラルフの姿には思わず涙がこぼれました。また、クライマックスでヴァネロペを救うため、自らを犠牲にしようとするラルフの姿は本当に感動的で、こちらも号泣必至の場面でした。
とにかく脚本が素晴らしくて、そのことに感動しました。
何気ない前フリが、後半になってちゃんと活きてくる展開が、実にお見事。
リッチ・ムーア監督の演出が随所でキラリと光った「シュガー・ラッシュ」。
こうして涙、涙の感動で幕を閉じた訳ですが、その一方で作品を見ていて「こうだったら良かったのに」と感じる部分もいくつかありました。無粋ではありますが、敢えてその部分を列挙してみたいと思います。
 
【ラルフはドット絵で描いて欲しかった!】
ゲーム画面ではドット絵のラルフやフェリックスも、ゲームの中に入るとその姿はハイクオリティCGになってしまいます。まあ、CGアニメなんだからそれは当たり前なんですが、せめて自分のゲーム世界にいる時ぐらいはドット絵の姿のままでいて欲しかったです。フェリックスが初めてカルホーン軍曹に出会った時、「何て解像度の高い美しい顔なんだ」とつぶやく場面があります。台詞としてはすごく笑える場面なのですが、画的には面白くありません。何故なら、そう言ってるフェリックス自身の顔も実際には高解像度のCG映像だったからです。これはフェリックスがドット絵の姿でいて初めて成立する台詞であり、そういった意味では非常に惜しい場面となっていました。
また、ラルフやフェリックスは普通なのに、マンションの住人だけカクカク動くのもいただけません。マンションの住人もラルフやフェリックス並に普通の動きにするか、もしくはラルフやフェリックスをマンションの住人のようにカクカク動かすか、どちらかに統一しなければ世界観があやふやになってしまいます。その統一感の無さが非常に残念な部分でした。
 
【悪役は、悪い人....なの!?】
今回の物語で一番無理がある設定は、ラルフが悪役として嫌われているという点です。
これは物語の核となる設定ですが、それこそが一番無理がある部分でした。例えば、ドラマや映画で悪役を演じる人が、実際には悪い人ではないというのは、誰もが知っている周知の事実です。それは「シュガー・ラッシュ」に於けるゲーム世界でも同じです。ラルフに限らず、ゲームのキャラクターは皆それぞれの役割を演じています。ゲームが終われば、皆その役割から解放されます。にも関わらず、何故悪役だけがゲーム終了後も演じている役を引きずって嫌われているのでしょうか?。これは相当に無理があると感じました。
むしろ、ゲーム中は善人=フェリックス、悪人=ラルフという構図が、OFFの時は立場が逆転するという設定の方が面白かったのではないでしょうか?。ラルフは悪役を演じてはいるけど、ゲームが終わるとマンションの住人に慕われていて、フェリックスはゲーム中はヒーローだけど、実際はうぬぼれ屋の自信家でマンションの住人には嫌われているという設定の方が、現実世界をより反映していて面白かったように思います。
 
【ラルフとフェリックスの友情を描いて欲しかった!】
今回の物語の核はラルフとヴァネロペの美女と野獣スタイルを借りた友情物語となっています。これはこれで実に感動的な物語となっていましたが、オイラはむしろラルフとフェリックスの友情を描くロードムービーにして欲しかったと思いました。ラルフとヴァネロペの交流が描かれるのに並行して描かれるのが、フェリックスとカルホーン軍曹の恋愛模様です。もちろん、それはそれで面白くはありましたが、物語の本質にはそれほど関係のないエピソードです。むしろ、ラルフとフェリックスが他ゲームを旅しながら、お互いの価値観を共有しつつ、協力してヴァネロペを助ける....といった三角形の構図の方が面白かったように思いました。劇中でフェリックスがカルホーン軍曹にフラれた後で、ラルフに八つ当たりする際「のけ者にされ、犯罪者扱いされる気持ちがお前にわかるか?」とフェリックスに問われたラルフが、「その気持ちわかるよ、30年間味わってきたから...」とポツリと漏らす場面があります。二人の心が近づく感動的場面です。こうした二人の交流をもっと掘り下げて描いて欲しかったと感じました。
 
 
まあ、オイラの個人的な意見はともかく、新作「シュガー・ラッシュ」はディズニーらしくない演出と、ディズニーらしい演出が見事にミックスされた、非常に面白い作品でした!。
山寺宏一さんによる日本語吹き替えも、本当に素晴らしかったです。
こちらに関しては、また改めて記事にしたいと思います。
劇場公開終了間近ですが、間に合う方は是非劇場へ!
お薦めの作品です!
 
 
    ハンマー使いの二人、夢の共演!
    フェリックスとソー.jpg
 
『ソー&フェリックス 金と銀のハンマー』〜近日公開決定!?
ディズニーがマーベルを買収した今だからこそ、実現出来る夢の企画!
是非、実写映画化をご検討下さい♪(^皿^)/
  


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