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「グラン・トリノ」を、日本語吹き替え版で鑑賞する [吹き替えについて]

「グラン・トリノ」の安価版DVDが発売されたので、ようやくこの名作をゲットすることが出来ました。改めて作品そのものを観直すことももちろんですが、やはり気になるのは日本語吹き替え版の出来なのであります(^皿^)。果たしてその出来や如何に....!?。
 
「グラン・トリノ」日本語吹き替え版キャスト
ウォルト・コワルスキー:クリント・イーウトウッド....滝田裕介
タオ・ロー:ビー・バン....細谷佳正
スー・ロー:アーニー・ハー....小笠原亜里沙
 
 
ソフトのパッケージに表記があったものだけを記載しています。他に山野井仁さんが参加されていました(「CSI」メンバーの声はすぐわかるのだ!)。
山田康夫さん亡き後、クリント・イーストウッドの声を数多く吹き替えされてきたのは、ベテラン声優の野沢那智さん。だから今回もてっきり野沢さんが吹き替えされるものとばかり思っていましたが、意外にも今回クリント・イーストウッドの声を担当されたのは、俳優の滝田裕介さんでした。
テレビドラマなどでもお馴染みの滝田裕介さんですが、吹き替えではあまりお目にかかることがありません。個人的には野沢那智さんの大ファンなので、野沢さんの吹き替えで見たかった思いも強くありますが、作品を見た率直な感想として、滝田裕介さんの声もかなりクリント・イーストウッドにハマっていました。頑固で偏屈なキャラクターであるコワルスキーという役柄に、滝田さんの低い声がぴったりとハマっていたような気がします。
 
でも、ひとつだけ「惜しいッ!」と思う部分がありました。
それはモン族のギャングたちがタオの自宅に現れて彼らに絡むシーン。いざこざの後ウォルトの敷地内へと足を踏み入れたギャングたちの前にライフルを構えたコワルスキーが現れます。その時の台詞....
 
字幕スーパー版の台詞:「お前ら何してる? 芝生に入るな うちの芝生から出てけ!」
 
吹き替え版の台詞:「お前ら、いい加減にしろ! 俺の芝生に入るな 俺の芝生から出て行けと言ってるんだ!」
 
 
意味合いとしてはほとんど同じなのですが、気になったのは吹き替え版での“俺の芝生”という部分。
確かに“俺の芝生”でも間違いではありませんが、ここは字幕版の“うち(家)の芝生”という表現の方がより正確なように感じました。
“俺の”と表現するとものすごく狭い個人的な所有物をイメージしてしまいます。しかしながらウォルトにとって、家とは“家族(ファミリー)”を象徴するものであり、家長として守るべき存在のものです。例え、愛する妻を失い、子供たちが家を去り、孤独となった今でも、その思いに変わりはないはず。だからこそ、“俺の芝生”ではなく、“うち(家)の芝生”の方がよりウォルトのキャラクターや感情を的確に表現していると感じました。ま、微妙なニュアンスの違いでもありますし、人によって感じ方も違うとは思いますが、オイラはそう感じました。
 
そして、この場に於けるウォルト・コワルスキーの鬼気迫る雰囲気が、吹き替え版では今イチだったような気がします。モン族のギャングたちは、何もウォルトのライフルにビビった訳ではありません。老い先短い老人とは思えないウォルトの狂気にビビって退散したのです。滝田裕介さんのお芝居は全体を通して実直そのものでしたが、この場面に関してはその狂気の部分がやや不足していたように思えました。極端な言い方をすれば、あの場面にはウォルトの背後に“ハリー・キャラハン”が見えなきゃダメなんです。それが感じられなかった点がとても残念でした。
 
 
以前にも記事に書きましたが、「グラン・トリノ」を見ていて、つくづくこの名作を「山田康夫さんの吹き替えで見たかったなあ!」と強く思います。生前、山田康夫さんは自身の声がクリント・イーストウッドには似合っていないと仰っていたそうです。実際、クリント・イーストウッドの地声と山田康夫さんの地声は、かなり違います。しかしながら、そこが吹き替え版の面白いところでもあります。もし山田康夫さんが今も存命で、クリント・イーストウッドと同じように歳を重ねられた時、果たしてウォルト・コワルスキーという役柄を役者としてどう演じられただろうか?....そんなことを想像すると興味が尽きません。
もちろん、今となってはそれも叶わない夢な訳ですが、オイラの脳内イメージにある山田康夫さんの声を映画を見ながらアテてみる....ついそんなことをしてしまうオイラなのであります(^U^)。
 
 
 
「世の中には、怒らせてはいけない人間というのがいるんだ。....それが、俺だ!
     コワルスキー.jpg
 
 
グラン・トリノ [DVD]

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  • メディア: DVD

静かに流れるエンディングテーマが、心に染みます....(TuT)
 

クリント・イーストウッド:レトロスペクティヴ

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  • 作者: リチャード シッケル
  • 出版社/メーカー: キネマ旬報社
  • 発売日: 2010/05/13
  • メディア: 単行本

つい最近発売されたクリント・イーストウッド関連本
欲しいッ!→高価ッ!→買えないッ!(T皿T)ギャフンッ!
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