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3D映画を初体験してみて、率直に感じたこと [映画鑑賞]

先日「コララインとボタンの魔女」という映画で、自身初めての3D映画というものを体験して参りました。3D映像自体はすごく昔からありますが、例えばテーマパークなどにあるようなアトラクション用映像も含めてオイラはこの歳になるまで未だ3D映像というものを未体験で、今回本当の意味での初体験となりました。
ひと口に3D映画といっても、そのタイプは色々とあるようです。
例えば3D映画の本命とも言われている「アバター」は、これまでのように絵が飛び出して来るというよりは、奥行きを強調することで立体感を表現しているそうです。また劇場によってその立体の見え方に差異があるとも言われています。「アバター」に先駆けて昨年末に公開された「クリスマス・キャロル」や「カールじいさんの空飛ぶ家」などの3D映像は、「アバター」とはまた違った立体映像なのでしょうか?。残念ながらそのあたりの比較論はオイラにはわかりかねますが、今回「コララインとボタンの魔女」で初体験した3D映画に対して、オイラが感じた率直な感想をここに述べてみたいと思います。
 
 
【立体に見えることが、物語に必要な事なのか?】
一番強く感じたのは、正にこの一点に尽きます。映像が立体的に見えること....それが果たして物語を語る上で本当に必要なのかな?という疑問です。確かに初体験した立体映像は、それなりに驚きではありました。映画冒頭で人形を裁縫する場面があるのですが、その際針の先端が客席に向かってビヨ〜ンと伸びてくるその映像は、確かに刺激的でした!。でも....はっきり言ってそれは単に映像としての驚きであり、特に物語とリンクしている訳ではありません。それは例えるなら、物語には関係ないのに大爆発シーンが挿入されるようなもの。演出として立体映像である必然性はまったく感じられませんでした。
唯一オイラがこの作品の中で3D映像である事が効果的に用いられてると感じたシーンは、かつてボタンの魔女によってさらわれた子供達が幽霊として現れる場面でした。幽霊という掴みどころの無い存在と立体映像という手法が演出として見事にリンクしていて、その場面だけは立体映像が効果的に感じられました。それ以外は特に3D映像でなければならない必然性は感じられず、ただただ目が疲れただけでした。
 
【眼鏡on眼鏡は、やはり辛い....】
視力が悪くない裸眼の人(或いはコンタクトの方)と、オイラのような眼鏡人間とでは、3D眼鏡使用に際してやはりその快適性には大きな差があると感じました。3D眼鏡にも色んな種類があるようですが、総じて眼鏡の上からかけても快適に過ごせるタイプのものは恐らく皆無なのではないでしょうか?(そもそもメガネ利用者の眼鏡自体が千差万別な訳で、それにフィットしたものを作ること自体が不可能に近い)。
眼鏡をかけている皆さんにならご理解して頂けると思うのですが、例えば普段使用している眼鏡にはベストポジションがありますよね?(鼻骨のココに乗せる!というポイント)。それをキープした上で3D眼鏡をかけるのはなかなかに骨が折れる作業で、オイラ的には難儀な作業でした。加えて鼻には普段の2倍の眼鏡重力がかかる訳で、それも不快さを増す要因となりました。
恐らくテーマパークのアトラクションのように、3D映像用眼鏡着用がほんの数十分間程度レベルであるならば、それにも耐えられるのでしょうが、映画のような2時間弱もの長時間となると、かなりの精神的苦痛を伴います。現在の3D映画視聴環境は、眼鏡派の人にとってはなかなか厳しい状況を強いられることになりそうです。
 
あとこれは劇場側の問題と思われますが、3D眼鏡が汚れていたのが気になりました。
多くの人が共有して使うものだから多少の事には目をつぶりますが、せめてグラスの指紋ぐらいは拭き取っておいてもらいたかったです。それでなくても映画ファンの劇場離れが著しい昨今、例え劇場自体が綺麗でも従業員のこうした配慮が感じられない劇場には、足を運ぼうという気にはなれません。それでなくても3D映画鑑賞にはいつも以上のコストを観客は支払う訳ですから、サービスもそれなりのものを提供して頂きたいものです。
  
【身体的影響は、本当にないのか!?】
これはまったくもって私的なケースとなりますが、オイラは「コララインとボタンの魔女」を見た日の夜から翌日にかけてモーレツな偏頭痛に見舞われました。3D映画との因果関係は定かではありませんが、映画鑑賞中いつも以上に眼の筋肉を酷使した事は確かです。立体映像はピントを合わす作業が頻繁となり、結果的に眼球が非常に疲れます。オイラの偏頭痛はおそらくこの眼の疲労からきたものなのではないか?と推測しています(もちろん個人差はあると思いますが)。
立体映像を導入するにあたり、そのあたりの臨床実験は果たしてなされたのでしょうか?。
それでなくても暗闇で光=映像を見るという、眼にとっては決して良いとは言えない環境下の中で、加えて目のピントを常に変化させ続けなければならない事を強いられる3D映像は、果たして身体に与える悪影響は本当にないのでしょうか?....少々疑問符が付くところです。
 
 
余談ですが、映画秘宝4月号の中で「アバター」に関する興味深い記事が載っていました。
 
『3D映画の問題点は画面端を見切れるような構図が使えないということ。顔のアップとかが半分に切れてたら気持ち悪いから(笑)。だから3D映画は基本的に人物や風景が画面内に収まるようになっている。でも、それって最初から映画の重要な芸術的要素が制限されてるって事だよね?』
  
確かにその通り!。構図というのは映画にとって演出的に大きな意味があるもので、映像が演出より立体映像に見えることを最優先するのであれば、それは本末転倒と言わざるをえません。そうして出来あがった映像は、果たして映画と呼べるものなのでしょうか?。映像の驚きを見せる事を主体としたアトラクション用映像と人生や物語を語る映画は一緒ではありません。今、巷で注目を浴びている3D映画と呼ばれるものは、どちらかと言えばアトラクション寄りな気がしてなりません。
 
 
【結論】 
少なくとも現時点に於いて、オイラには3D映画というものは“まったく必要のないもの”だという結論に達しました。
いつの日か3D映像を視聴する際の環境がもっと快適になり(例えば専用眼鏡無しでも立体映像を体験出来るとか)、尚かつ3D映像そのものがその作品を語る上で本当に必要だと感じられたら、或いは3Dということを特に意識することなく当たり前のように鑑賞出来るようになったら、その時に改めて3D映画というものを受け入れたいと思います。
とりあえずこの先公開される「アリス・イン・ワンダーランド」も「トイ・ストーリ−3」も、3Dで観る気はまったく無くなりました。気掛かりなのは、3D上映が多くなり普通版の上映館数が少なくなってしまうこと。そうなればオイラは必然的に劇場離れが進むことでしょう。映画は映画館で観るもの!....という当たり前の事が出来なくなるのは辛いことですけどね....。
 
【終わり】
 
 
 
     『ベ....ベストポジションは、どこだッ!?』
     うっとしい3D眼鏡.jpg 
 
 
【最後にぼやきツィート】
今回の3D映画関連で何よりショックだったのは、「ターミネーター」以来あれほど大好きだったジェームズ・キャメロン監督が、3D映像に固執するあまり物語を語る能力やクリーチャーやメカなどのデザイン力が平凡なものに成り下がってしまったこと。「アバター」を見て強く感じたのは、映像はCGを駆使した美麗な一方で、クリーチャーやメカのデザインがすごく古めかしいことでした。キャメロンは明らかにデザイン能力が落ちてるか何年か時代を遅れてる....元々はそっち方面出身だたったはずなのに。
かつて「ファントム・メナス」を見た時に感じたジョージ・ルーカス監督と似たような空気を感じます。映像がすごくても物語を語る演出力が落ちたら、それはもう映画監督じゃなく単なる映像作家です。3D映像開発に注いだのと同じくらいの情熱をデザイン力にも見せて欲しかったな。映画監督たるもの、現場を10年以上も離れていたら、やっぱりダメってことですね。
“大ヒット=良い映画”じゃない!、洋画も邦画も。
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inuneko

NO 寺田克也、NO LIFE.
そうですそうです!素晴らしい!!
そしてプロフィールページのジョーカーも素晴らしい!
ぐいと目をひっぱられる感がありました。
また目の保養におじゃまさせてください。

by inuneko (2010-03-07 01:28) 

堀越ヨッシー

inunekoさん、はじめまして。
ご訪問&コメント、ありがとうございます!。
inunekoさんも寺田克也先生のファンですか?、やっぱりラキガキングは偉大ですよね!(^皿^)。今年は「西遊記伝〜大猿王」の2巻がようやく発売されるようなので、非常に楽しみです♪。
 
あのジョーカーはだいぶ前に描いたものなんですけど、個人的に気に入ってたものだったので、プロフィール欄が一新されたのを機会に再掲載致しました。
ブログに掲載しているラクガキは稚拙なモノばかりではありますが、少しでも目の保養になるのなら、こちらとしても幸いです♪。
by 堀越ヨッシー (2010-03-07 19:14) 

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