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泣けるぜ. . . 「グラン・トリノ」を見る [映画鑑賞]

先日、久しぶりに1日で映画を2本ハシゴしてしまいました。
若かりし頃は1日で映画2本なんて苦もなく見られた訳ですが、さすがにアラフォーともなると、そんな気力・体力もなく(^皿^;)、下手をすると1ヶ月に1本も劇場で映画を見ないなんてこともザラです(←映画ファン失格)。
そんな折り、たまたま見たい作品のタイムテーブルがうまい具合に続いていたので、スケジュール的な問題もあって、一気に2本立てで鑑賞することを決意、老体に鞭打って鑑賞してまいりました。
その2本とは、「グラン・トリノ」と「ミルク」の2作品です。今回はクリント・イーストウッドの傑作との呼び声も高い「グラン・トリノ」について語りたいと思います。
 
 
 
クリント・イーストウッドの監督作品は、比較的好きなのですが、割りと見ていない作品も多く、今回の作品もDVDスルーかなあと思っていたのですが、久しぶりの出演作だし、なにやら俳優稼業は今作で最後だ...なんて話を聞いて、こりゃやっぱり劇場で見なくちゃいけないなと思って見に行った次第です。
さて、作品の感想ですが、相変わらず地味な作品でしたね。でもそれがイーストウッド映画の持ち味だし、例え題材が地味でも、しっかりとしたドラマを見せてくれるところに彼の監督としての力量を感じてしまいます。
パンフにも書いてありましたが、クリント・イーストウッドっていうのは自身のパーソナリティを最大限に活かして芝居をする役者で、演じる人物によって自身をも変えてしまう、いわゆるデ・ニーロ的な役者とは対極的な役者さんです。過去演じてきたどの役柄もイーストウッド自身のキャラがなければ成立しないようなものばかりで、良く言えばどれもハマり役だし、悪く言えば、どれも同じような人物ばっかり演じてきた、とも言えます(日本で言えば、キムタクさんみたいな感じ?)。
でも、それが彼の持ち味であり、そんな彼の姿を見ることにファンは喜びを感じてしまうのです。今日もまた眉間にシワを寄せ、眩しそうな表情でスクリーンに登場する...それだけで、ファンとしては大満足。映画の冒頭、葬式のシーンでしかめっ面で登場するイーストウッドに、思わず「待ってました!」と声をかけずにはいられませんでした(もちろん実際に声をかける訳にはいかないので、心の中でかけた)。ウォルトが人差し指を突き出して銃を撃つ仕草をする場面に、イーストウッドファンはダーティハリーの姿を重ねて見てしまうのですね。そう、「グラン・トリノ」のウォルトには、過去イーストウッドが演じてきた様々なキャラクターを垣間見る事が出来るのです。
 
それ故に、今作での結末はある意味衝撃的でした。
別に大袈裟な大どんでん返し!が待ってる訳じゃありませんが、今までクリント・イーストウッドが好きで彼の映画を見て来た者にとっては、そんなファンの期待をバッサリ裏切る結末が待っています。「...ふーむ、そう来たか!」と、オイラも思わず劇場で唸ってしまいました。
代表作「ダーティ・ハリー」を例にあげるまでもなく、イーストウッドは常に自身の手によって物事の解決をはかってきました。「許されざる者」の老ガンマン然り、「目撃」の老泥棒然り。でも今作でのウォルトはそれまでの過去の作品の人物とはまったく真逆の解決法を選択します。
それは自己犠牲
自己犠牲によって、悪を法のもとで裁いてもらう...今まで演じてきたどのイーストウッドのキャラにも見られなかった行動です。クリント・イーストウッド自身の中で果たしてどんな心境の変化があったのだろう?、晩年を迎えて彼の中で何かが変わったのだろうか?....そんな事を考えると、すごく感慨深いものがあります。最後、芝生の上に横たわるウォルトの姿が、まるで十字架にはりつけにされた某偉人のようにも見え、その姿に神々しさを感じてしまうオイラなのでありました。
 
エンディング...静かに流れ出すジェイミー・カラムの歌が、ぐっと心に染み入ります。
結局、ウォルトは最後まで自身の家族とは打ち解けられないまま、終わりを迎えます。それでも、彼は後悔などしなかったと思う。何故なら彼の高潔な精神は、モン族の少年へとしっかり引き継がれたのだから。グラン・トリノが走り去る一本の道のように. . . . 。
おそらくこの映画は、年代が高くなればなるほど、その感動度も比例して増していく、そんな映画なのかもしれません。オイラはまだアラフォーな若造でありますが、あと10年20年経った時、再びこの作品を見たら、また違った何かを感じる事が出来るのかもしれません。決して派手ではないけど、確かに劇場で見るべき価値はあった!...そう感じさせてくれた映画でした。
 
 
 
 
     「. . . 泣けるぜ」(似てなくて...トホホ)
     グラン・トリノ.jpg
【 . . . 泣けるぜ】とは?
ご存知「ダーティ・ハリー」に於ける山田康夫さん吹き替えの中の名文句のひとつ。
他にも「やれやれだぜ」とか「ちっきしょう!」など、男が聞いて涙する名フレーズが作中に溢れている。願わくば、クリント・イーストウッドの傑作として後世に伝わるであろうこの作品を、山田康夫さんの吹き替えで是非見たかったなあと、しみじみする今日この頃である. . . 。
(でも、野沢那智さんがいるから、大丈夫さ!)
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コメント 2

dorothy

ついにご覧になったのですね。
「ミルク」と2本立てってかなりハードじゃないですか?
私も1日2本は本当にやらなくなりました。
体力と、あと記憶力が・・・2本がごっちゃになってしまう!

「泣けるぜ」・・・いいですね。まったく泣けるぜって作品でした。
by dorothy (2009-05-19 00:34) 

堀越ヨッシー

dorothyさん、こんにちは。
おっしゃる通り、「ミルク」との2本立てはかなりヘビーでした(^皿^)。でも、言葉を言い換えればそれだけ濃密な時間を過ごせたってことで、ある意味幸せな4時間でしたね。
クリント・イーストウッドとショーン・ペン、対照的な役者の素晴らしさを堪能した4時間でした(^U^)v。
by 堀越ヨッシー (2009-05-21 07:03) 

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