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アーロン・エッカートのトゥーフェイスについて考える [映画鑑賞]

「ダークナイト」3回目の鑑賞(^U^)v。
我ながら己のバットマン好きにちょっと呆れ返っております。
(^皿^)デモ、スキナモンハショーガナイ!
巷ではヒース・レジャーのジョーカーばかりに注目が集まっていますが(もちろんオイラもその一人だけど)、今回はちょっと目先を変えてアーロン・エッカートが演じたトゥーフェイスについて語ってみようと思います(また語るの?...こりゃ長くなるな)。
 
オイラはバットマンに出てくる悪役キャラクターの中でも、トゥーフェイスは特にお気に入りのひとりです。左右で顔が違うというその奇抜なルックスも去ることながら、悪役へと変貌したその過程や、何かを決定する際にコインを使用するなど、キャラ造形がすごく魅力的な悪役です。
まだ「ダークナイト」が制作中だった頃のお話...「ヒース・レジャーがジョーカー役に決定したらしい」との情報と前後して、「どうやらハーヴェイ・デントも出るらしいよ」との情報を入手したオイラは胸がわくわくしました。何故ならハーヴェイ・デント=トゥーフェイスだからです。ジョーカーのみならずトゥーフェイスまでも見られるのか!?...作品への期待感が高まりました。
ティム・バートン監督の「バットマン」にも実はハーヴェイ・デントは登場します。でもこの時は純粋に検事として登場しただけでした(それだけに続編の「〜リターンズ」ではトゥーフェイスが登場するかも?...と期待しましたが、結局登場したのはペンギンとキャットウーマンでした)。1995年に公開された「バットマン・フォーエバー」には晴れてトゥーフェイスが登場しました。しかしながら作品自体のテイストが軽くなってしまったために、トミー・リー・ジョーンズが大げさな芝居で演じたトゥーフェイスはオイラが期待していたものとは大きくかけ離れていました。それだけに今回の「ダークナイト」でクリストファー・ノーラン監督が果たしてどんなトゥーフェイスを見せてくれるのか?、期待とともに興味津々でした。さてその結果は果たしていかに...!?
 
 
映画をご覧になられた方はご存知かと思いますが、今回のダークナイト版トゥーフェイスのビジュアルは驚愕のひと言に尽きます。ひどい火傷(原作では硫酸を浴びせられるのですが)のため顔面の左半分が見るも無惨な姿となってしまったハーヴェイ・デント。入院中のベッド上で初めて“トゥーフェイス”としての容姿がスクリーンに映し出されるや、そのあまりのおぞましさに息を呑みました。頬の肉は削げ落ち、かろうじて残った皮膚は緑色に焦げており、ほお骨や歯、左目眼球までもがむき出しとなったその外見。このあたりは原作コミックに忠実な描写となっています。
昔は特殊メーキャップによって、役者自身の顔に直接メイクする手法がとられていましたが、現在はデジタルCG技術が進んだおかげで実際にはあり得ないような表現が可能となりました。今回のトゥーフェイスの外見は、まさにその恩恵を受けているといっていいでしょう(わかりやすい例を挙げると、「ターミネータ−2」と「ターミネーター3」に於けるシュワちゃんの顔の違い。顔面にダメージを受けてその下にある金属部分が覗くショット。「2」では直接シュワちゃんの顔にパーツを貼付けメカの部分がむき出しになったように見せていたが、「3」では完全にデジタルCG処理されていた)。
「ダークナイト」に於けるトゥーフェイスのビジュアルは確かに迫力満点でした!。でも...何故だかオイラの中で琴線に触れません。
 
. . . 一体何故なのか!?
 
思うに、リアルを求めすぎるあまり、かえってそれが逆効果を生んでしまったのでは?...というのがオイラの見解です。今回のダークナイト版トゥーフェイスを初めて見た時にオイラが感じた第一印象は...
“なんだか理科室に置いてある解剖人形っぽいなー”
...でした(皆さんの学校にはありましたか?。映画「学校の怪談」にも出てくる例のヤツです)。そのビジュアルは“もし火傷を負ったらどうなるか?”という考証から作られたものだと推察されます。確かにリアルです。しかしながらオイラにはどうにもその迫力が伝わってきません。例えば、むき出しとなってしまった左目なんですが...肉が削ぎ落ちたせいで眉の動きがほとんどありません。それ故に表情が乏しいのです。怒りの時も悲しみの時も、ピンポン玉のような目がギョロギョロ動くだけ...なんとも味気ない印象が拭えません。ひとによってはそれが骸骨みたいで気持ちが悪い、怖いという人も居るでしょう。でも、オイラ的にはちょっとひっかるものがありました。
 
オイラはなんというかもっと違う感じのビジュアルを期待してたんですよね。ああいう“解剖学を元にして作った”的なビジュアルではなく、もっと良い意味で“漫画的”なビジュアルを求めていたんですよ。でもリアルを追求するクリストファー・ノーラン監督だから、おそらくああいったビジュアルになってしまったんでしょうね。
オイラはCGに頼らないもっとアナログな生々しさを持ったトゥーフェイスが見たかった。だから何も顔左半分全部をデジタルCG処理にしなくても良かったんじゃないか?って思いました。例えば特殊メイクでは表現不可能な“むき出しの歯”部分のみをデジタルCG処理にして、火傷のあと等は今までのような特殊メイクで表現するとか、アナログ部分とデジタル部分を上手く組み合わせて顔の造形を完成させてたら、もっと生々しいトゥーフェイスが見られたんじゃないか?って思ったんですけどね。左目に関しても別にコミックそのまんまのむき出し状態ではなく、たとえばコンタクトをして左右の違いを表現してみるとか方法は他にもあったと思うんですよ。確かにデジタルCGを使えばリアルな表現も可能ですけど、だからといってそれが良い効果を生むとは限りません。今回のダークナイト版トゥーフェイスはリアルな描写を求めすぎたあまり、結果それが“漫画的”な印象を与えてしまった...そう思った次第です。
 
原作のジョーカーは肌が白く、口が耳元まで裂けています。でも「ダークナイト」のジョーカーは裂けた口元を醜く縫合した上にピエロのメイクをしている...という大胆な解釈をして結果大成功しました。ならばトゥーフェイスに関してもコミックそのままの表現ではなく、大胆なアプローチがあっても良かったんじゃないかなあ?...そんな事を感じた、ダークナイト版トゥーフェイスでありました。 
 
という訳で、映画を見た記憶のみで描いてみたダークナイト版トゥーフェイス。大体こんな感じだったと思うけど. . .
   「この世で平等なのは“運”だけだ」
   悲しみのトゥーフェイス.jpg
違和感を感じてしまった一番の原因は、左目が“CG”になってしまったこと。“本物”の右目と“CG製”の左目...このアンバランスさが生んだ大いなる誤算。
 
 
映画のデジタルCG映像は日進月歩です。デジタルCGを使えばどんな表現も可能ですけど、それが“生物”としての生々しさを伝える事に成功しているかと言えば、実際のところそれはまだまだだと思う。CGに騙されるほど、映画ファンの見ている眼力は衰えちゃいませんぜ。先日「インクレディブル・ハルク」のCG製ハルクを見ながら、改めてそんな感想をもったオイラでした(^皿^)。
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コメント 4

:

分かります。自分もトゥーフェイスの顔がCGだったのは残念でなりません。
でも、『フォーエバー』のトゥーフェイスよりは二つの顔が印象的でよかったと
思います。あっちは意味もなくコインにこだわるただのアブナイおっさん
だったので……(汗)
でも、確かに『ダークナイト』のトゥーフェイスはCGではなく特殊メイクで
やってほしかったですね。
確かにCGは発達していますが、生物より機械などの方が向いていますね
自分はゲームの勉強をしているので参考になります。
メイクといえば『バットマン』、『リターンズ』の敵役だった
ジョーカーとペンギンは見事でした。
漂白されたジョーカーが顔を肌色に塗ったりハンカチで拭いたり水を掛けられた時に顔が白くなるのはまさに見事でした。
日本語版は声はあのデーモン小暮閣下でした。
そして、ペンギン。
監督ティム・バートンの異形への愛が炸裂したキャラクターであり
ティム・バートンの自画像のような人物と評されるペンギンですがあの鼻に水掻きの手はまさにペンギンでした!
さらに日本語版では樋浦勉で見事に演じていました。
ところで第3作ではあのジョニー・デップがリドラーとして登場という話が
あのますが自分としてはビギンズ、ダークナイトで連続登場した
スケアクロウをスケアビーストとして出してほしいです。
そして、幻覚剤で父親やレイチェル、ヘンリー・デュカード、トゥーフェイスの
幻覚で苦しむという感じに……または今だ映画に出ていないクレイフェイス
とかが出てほしいです。
もし、第3作があったらどの敵に出てほしいですか?では、
by : (2008-09-20 19:46) 

堀越ヨッシー

:さん、こんにちは。
「バットマン・リターンズ」でのペンギンのメーキャップは、確かに素晴らしかったですね。今は亡きスタン・ウィンストンの実力が発揮されたメイクでした。
クレイフェイス!...これこそまさにCG向きキャラですね。「スパイダーマン3」のサンドマンのような変幻自在な姿を是非スクリーン上で見てみたいもんであります。ただクリストファー・ノーラン監督の求める世界観にマッチするヴィランかと言えば、そのあたりは結構微妙な感じだと思われます。記事にも書きましたが、オイラはノーラン版バットマンはこれで打ち止めでもいいと思っています。次回作は、また違った世界観を構築出来る監督さんに新たなバットマンを撮って欲しいなと思っています。
by 堀越ヨッシー (2008-09-21 07:08) 

NISHIMO

はじめまして、ヨッシーさん。
私はトミー・リー・ジョーンズのトゥーフェイスは許容範囲だけど、アーロン・エッカートのトゥーフェイスは単にグロいだけで大嫌いです。あれは人体模型どころか、ミイラか腐乱死体です。
確かにアーロン・エッカートのトゥーフェイスも特殊メイクにしたほうが今より気持ち悪さが幾分か減少したでしょうし、トゥーフェイスの心境やジョーカーの存在がもっと引き立ったと思います。
余談だがDEVIANARTの投稿でノーラン版のMr.フリーズはダニエル・クレイグが演じて、ポイズン・アイビーはシャーリーズ・セロンが演じて、ハーレー・クインはクリステーン・ベルが演じてほしいという案がありました。
by NISHIMO (2009-01-10 10:34) 

堀越ヨッシー

NISHIMOさん、はじめまして。
ご訪問&コメント、ありがとうございます!。
オイラは基本的にグロいのは嫌いじゃないので、その辺はOKです。それにDVDが発売されてからというもの、毎日のように視聴してたので、もう慣れちゃいました(^皿^)。
「ダークナイト」に於いて、ヒースのジョーカーや、あるいはトゥーフェイスの容姿にばかり注目が行きがちですけど、アーロン・エッカートの素晴らしい演技についても、もっと評価されるべきだと、オイラは思いますね。
 
他の記事にも書きましたが、オイラはノーラン版バットマンはこれで打ち止めでも全然OKです。バットマンファンとしては確かに他の怪人たちも見てみたいっていう思いはありますが、こと映画に関しては駄作を生み出されるより、良い時に終わるのが一番だと思いますから。でもフィリップ・シーモア・ホフマンのペンギンは見てみたいなー(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2009-01-13 09:14) 

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