SSブログ

BABACHOPシアターで自主制作映画「面道」を見る [映画鑑賞]

高田馬場にあるBABACHOPシアターというところで、自主制作映画「面道」の上映会があったので見に行ってきました。初めて降り立つ高田馬場駅...いきなり反対側出口に出て道に迷うオイラ(東京信金ってどこだよ〜!?)、危うく上映会に遅刻するところでした(←Mr.方向オンチ)。上映開始直前ギリギリに会場に到着!..丁度その場にいた出演者の今村有希さんに「お久しぶりです」とご挨拶、相変わらずクリクリしたお目目が魅力的な役者さんです(笑)。入場し残り少ない空席に着席、なんとか立ち見は免れました(ホッ)。なぜだかピンクのカツラを被ったオネーサンの挨拶があり、いよいよ上映開始です。出演者でもないのに何故だかドキドキします(苦笑)。
 
【あらすじ】
表情を以て相手の心を掌握する武道、その名も「面道」。一子相伝で受け継がれてきた武道も今は昔、現代に於いてその流れは衰退の一途をたどっていた。“面力の武士”と呼ばれる流派「武顏流」の唯一の継承者・鈴木武道(小林博)は、今は武道の道から離れ暮らしている。一方「武顏流」とは対極の位置にあり“笑顔と平和”が信条である「武笑流」では、田中弾吉(斉藤浩義)がその才能を開花させ頭角を現していた。そんな折り恩師の訃報を聞き武道が戻ってきた。期せずして再開する2人の男たち。やがて運命の歯車は2人を戦いの渦へと巻き込んでいく...
(...って、そんな大げさな話でもないんだけど...苦笑)。
 
 
上映時間69分。なかなかユニークな物語で楽しめました。監督の佐藤福太郎さんは、“にらめっこ”からこの物語を発想したと仰っていましたが、そのユニークな設定が個人的には面白かったです。表情による対決をどう映像化するのかな?という点にもすごく興味がありましたが、自主制作作品としてはなかなか頑張ってたと思います。
 
...と社交辞令的な感想(もちろん「楽しめた!」というのは本音ですが)で済ませればそれはそれでいーんでしょうけど、なんだかそれじゃあつまらない。せっかくなので、ここからは一映画ファンとして作品を見ながら思った事などを綴ってみたいと思います。
 
【主人公とライバル...その関係性について】
まず作品を見ていてずーっとしっくり来なかったのが、主人公とライバルがそれぞれ所属している流派について。
 
主人公→「武顏流」(いわゆる好戦的な流派)
ライバル→「武笑流」(いわゆる穏健派)
 
なのだけど、これってむしろ逆なんじゃないのかな?って思った。作品を見ていてオイラの頭の中に真っ先に浮かんだのは「北斗の拳」に於けるラオウ(動)とトキ(静)の関係性。「力こそ正義!」を信条とするラオウと、「激流は静流を以て制す」を信条とするトキ。そう考えると主人公とライバルの関係性は絶対逆だと思う。ライバルが“笑顔と平和”を愛する流派に所属しているよりも、好戦的な「武顏流」に所属していた方が物語に説得力が生まれると思う。ライバルは主人公に対決を申し込む側の人間なのだから、キャラ的には好戦的なはず。「スターウォーズ」のダースベイダーを例に出すまでもなく、「力こそ正義!」と思うヤツが暗黒面に陥るのは悪役の定石。だからこそそれを倒した時、見ている側がカタルシスを得られるのだ。
一方で主人公の方を「武笑流」に設定しておくと、ラストでその設定が活きてくると思う。この作品に於ける一番のテーマは主人公の再生物語だと思う。人生に於いて“笑い(希望)”を失った男が笑み=希望や夢を取り戻すという「魂の再生」物語。
2人の関係性を入れ替える事で、ラストの戦いに於いてもまさに“柔よく剛を制す”の精神が描けて、画(え)になると思ったんですけどね。
 
【対決は、“人気(ひとけ)”のないところでお願いします!】
ラスト...主人公とライバルの対決シーン。いわゆるクラブで衆人環視の中展開される訳だけど、オイラ的にはこれがしっくりこなかった。対決と言えばやっぱり人気(ひとけ)のない場所で決まりでしょう。西部劇の撃ち合いシーン然り、時代劇に於ける果たし合いのシーン然り、不良学生に於ける体育館裏然り、男が命をかけて闘う場面にギャラリーは必要ないんです。そもそも命をかけた戦いの敗者は死あるのみ...その場に屍をさらす事になる訳ですから、本能的に人気(ひとけ)のない場所を選んでしまうんですよ。対決の場面には2人の漢(おとこ)だけが存在すればいい...オイラはそう思います。それだけで充分画(え)になると思いますし、むしろ2人だけの方がかえって画(え)に緊張感が出ていいと思うんですけどね。
例えば、河原や河川敷でもいいし、開けた荒れ地でもいい。なんだったらロケで使っていたあの家の庭先でもいいと思うんですよ。とにかく対決は“2人だけ”で!。例えギャラリーがいてもそっと陰から見守る...それが映画に於ける対決のセオリーってヤツですよ。
更に、これは上記した2人の流派に関する話につながる訳ですけど、ライバルを倒した主人公が“癒しの笑み”を以て相手を治癒する...そして2人の間には友情が芽生え...なーんて展開で終わったらものすごくカタルシスを得られたと思うんですけどね(←少年ジャンプ世代)。
 
対決で思い出しましたが、主人公がライバルと対決する決意の動機付けが非常に弱いです。相手が果たし状を持ってきたからと言って「ハイ、わかりました」と受けるようなヤツだとしたら、キャラクター設定がアンバランスすぎます。大体争い事が嫌で「面道」から離れた男が、すんなりと戦いを受け入れるでしょうか?。作品を見ていて一番違和感を感じたのは、まさにこの場面でした。
対決に関してもう一点。主人公が物語の途中で一度ライバルに敗れる場面を入れて欲しかった(主人公の性格を考えて無理矢理対決させられる感じがベストかな)。コテンパにのされた主人公がそこから這い上がって勝つから価値がある!(これぞロッキー精神!)、見ている方もカタルシスが得られる!...まさに一石二鳥じゃありませんか!。
 
【オカマよりも、恋人たちを描いて欲しい!】
別にオイラが今村有希ファンだから言ってる訳じゃありません!(苦笑)。ただ主人公に想いをよせる笑子と主人公との関係性をもう少し丁寧に描いても良かったかなと思いました。全体的に彼女よりもオカマのキャラクターの登場シーンが多いのが気になったので。もちろんオカマはコメディリリーフとして物語の中でアクセント的なキャラクターにはなっていましたが、この物語は別に主人公とオカマの友情物語じゃないので(苦笑)、その辺はもう少し抑えてその分“ロミオとジュリエット”な2人の関係性を描いた方が物語に厚みが出たかな?と思います。
ついでですがせっかくなので、一役者として思った事を少し。いわゆるオカマさんって常にあんな感じの喋り方なのでしょうか?..オイラは違うと思うんですよね。最近テレビで見かける事が多くなった“オネエサン”系の人達ですが、確かにテレビとかではいわゆる「どんだけ〜」な喋り方をしていますが、あれっていわゆるパフォーマンスでオカマさんだって普段はもっと普通の喋り方をしてると思うんですよ。オイラがもしオカマさんを演じる事になったら果たしてどんなアプローチで役作りするだろうか?...そんな事を映画を見ながら考えていました(^皿^)。
 
 
 
...と、最後はまたまた演技論になってしまいました(苦笑)が、まあ、他の方の芝居をどうこう言えるほど立派な役者じゃないので、ここらは反省。
何はともあれ、非常にユニークな設定の作品であったことは間違いありません。何より自主制作映画っていうのは画面全体から“手作り感”が伝わってきて、そこがある意味非常に魅力的な部分でもあります。そういった点では非常に満点な自主制作映画「面道」でありました。佐藤福太郎監督の次回作に期待大です。
 
 
 
【おまけ】
上映開始まもなく....
オイラの前の座席に、ものすごくデカい人が鎮座した。
おかげで上映中スクリーンの1/3は、その人の黒い背中姿だった...(^皿^;)キビシーッ!。

 
 

個人的には“悪役顔”の有友正隆さんが、大好きです(^皿^)。


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 4

うつぼ

自主映画って観たことないんですが、手作り感がある分、鑑賞する側との距離感も短いということなんでしょうかね。。。
こういう話ってなかなかありそうでないでしょうし、私なら素直にアッハッハと笑ってしまいそうですが(素人)、ヨッシーさんの見方は違いますね。何だか熱い思いを感じた次第でございます。。
by うつぼ (2008-01-27 22:15) 

堀越ヨッシー

うつぼさん、こんにちは。
実はオイラも自主映画って初めて見ました(^皿^)。もちろん一視聴者としては楽しみましたが、同時にやっぱりいろいろと考えてしまいましたね。ハリウッド映画だろーが、自主制作映画だろーが、見る時は常に熱い思いがある...そんなオイラでございます(苦笑)。
by 堀越ヨッシー (2008-01-31 13:07) 

一子相伝と聞いただけで「北斗の拳」を連想しちゃいますね。
by (2008-02-01 04:23) 

堀越ヨッシー

Soraさん、こんにちは。
がっつり「北斗の拳」世代のオイラです(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2008-02-02 07:16) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。