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寺田克也個展『TERRA'S BLACK MARKER 2』を鑑賞する〜中野ブロードウェイ [ひとりごと]

            KATSUYA TERADA
         TERRA'S BLACK MARKER 2
        寺田克也個展 2015. 8.29-9.15
 
 
中野ブロードウェイ(東京・中野区)3FにあるHidari Zingaroというギャラリーで開催されていた寺田克也先生の個展を鑑賞してきました。
タイトルにもあるように、今回の作品は線画中心の作品を集めた個展です。
以前、アメリカでの個展用に制作された作品の複製、仕事で手がけられた作品の鉛筆画、そして今回の個展用に製作された油性マーカーによるアナログ作品、約20点ほどの作品が展示されていました。
 
過去、知り合いの舞台などを観劇するために中野の街を訪れた事はありましたが、
かの有名な“中野ブロードウェイ”に立ち寄るのは、実は今回が初めてです。
中野駅を下車して北口に向かうと、映画『アキラ』にも出て来た有名なアーケード街が。
その中を進むと、その先に今回の目的地である中野ブロードウェイがありました。
 
小さいスペースのお店がたくさん立ち並ぶ雑居ビルといった趣きの中野ブロードウェイ。
その3階にギャラリー『Hidari Zingaro』は、ひっそりと存在していました。
 
寺田克也先生ほどのビッグネームであるイラストレーターの個展を、こんな小さな場所で開催してんの!?
 
正直ちょっと戸惑ってしまいましたが、ギャラリー自体はすごくいい雰囲気の場所でした。
ギャラリー内は、全面白壁で統一されており、そこに今回の作品群が展示されていました。
今回の作品は、描き下ろしの作品を含め、どれも大きい作品ばかりだったので、かなり見応えがありました。ギャラリー自体が小さなスペースだったこともあり、かなり間近でじっくりと鑑賞することが出来ました。描き下ろし作品以外は全て複製でしたが、作品自体がかなり大きかったため、線のタッチなど細かい部分などもじっくりと鑑賞することが出来、ファンとしてはすごく満足のいくものでした。
以前、寺田克也先生は“質感を大事にしたい”という主旨の発言をされていましたが、そうした思いを垣間見たような気がします。例えば、熊や虎の画(え)がありましたが、その毛並みの表現が本当に素晴らしく、その一本一本に説得力を感じました。オイラもたまに動物を描くことがありますが、毛並みなどはついつい惰性で描いてしまいがちになります(....っていうか、間違いなく惰性で描いてる!)。また鳥の画(え)は羽の質感もさることながら、オイラが刮目したのは足の皮膚の表現です。写実的でもなく、また記号的でもない、その質感の表現の素晴らしさにただただため息が出るばかりでした。
 
複製画でさえ、それほどの感動を味わえる訳ですから、
当然、描き下ろし作品となると、受ける感動はその比ではありませんでした。
今回、ユニークな事にキャンバス紙とは別に、木製の板にマジック描きされた作品がひとつだけ展示されていました。こういうユニークな試みが、寺田克也先生らしくて大好きです。
ギャラリー内にはモニターが1台設置されていて、今回の描き下ろし作品の制作過程が早送り映像として流れていました。真っ白なキャンバス紙にマジックによる線が次々と引かれていき形を成していく過程は、すごく見応えがありました。こうした過程は滅多に見ることは出来ないので、ファンとして嬉しかったです。
寺田克也先生曰く、マジックペンによる下書きなしの一発描き!という制作方法は、「緊張感を持続させるため」とのことですが、オイラのような素人ラクガキストにとっては、とても信じられない制作方法です。画の構成や何を描くのか?なども考えながらの制作な訳で、その思考回路や画を描くための引き出しの多様さに、ただただ圧倒されるばかりでした。
個展開催中にはライブドローイングのイベントも開催されましたが、残念ながらオイラは参加出来ずで、本当に残念無念でした。イベント当日、芸術作品が誕生する瞬間に立ち会えた方々が本当に羨ましいです。オイラも寺田克也先生のイラスト制作を生で鑑賞したかったです!。
 
 
『バーチャ・ファイター』のイメージイラストで寺田克也先生と出会って以来、早20年近くが経とうとしています。学生の頃などは大好きな漫画家やイラストレーターの作品を見ると、よく模写したりしたものですが、どういう訳だか寺田克也先生の作品に関しては、そうした感情が生まれませんでした。
『この人は、ちょっと別次元にいる人だ!』
そして、寺田克也先生の描く画(え)の大ファンになりました。その内、コラムなどで垣間見えるユニークな人柄やアーティストとして作品に向き合う真摯な姿勢に触れ、寺田克也先生ご自身の人間性にも尊敬の念を抱くようになりました。
初めて直接お会いしてサインをして頂いた時は、感動と緊張で膝がガクガクに震えたことを、今でも鮮明に覚えています(人生であんなに緊張した瞬間は、あの時が最初で最後)。
デジタルペイント画のパイオニアとしてのイメージが強い寺田克也先生ですが、オイラは元々寺田克也先生の描くアナログ線がとても好きです。だから、本当はもっとマンガを描いて欲しいな!と密かに思っている訳ですが、残念ながら忙しい先生がマンガを描かれる機会がめっきり少ないのがちょっと残念だったりもします。
かつて、大友克洋先生がひっそりと『バットマン』を描いたように、いつか寺田克也先生によるバットマンの物語を見てみたい!と願っているオイラです。
 
 
アナログ線画の魅力を存分に堪能しつつ、寺田克也という偉大なラクガキングと同年代を生きる幸せをひしひしと感じる事が出来た、今回の個展『TERRA'S BLACK MARKER 2』でありました。
 
 
      我らが王....ラクガキング!
      ラクガキング.jpg
 
 

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