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ゾンビをやっつけ....えっ!?、助けるの??〜「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を鑑賞する [映画鑑賞]

     『 パラノーマン ブライス・ホローの謎』 
    【 原題:ParaNorman 】 ライカ・エンターティメント社提供
     2012年 アメリカ映画 カラー 92分
 
  監督:サム・フェル、クリス・バトラー
  脚本:クリス・バトラー
  音楽:ジョン・ブライオン
  キャラクター・デザイン:ハイディ・スミス
 
  出演:コディ・スミット=マクフィー  ....ノーマン/ホラー映画好きの少年
     タッカー・アルブリッチ     ....ニール/ノーマンのクラスメイト
     アナ・ケンドリック       ....コートニー/ノーマンの姉
     ケイシー・アフレック      ....ミッチ/ニールの兄 マッチョ
     クリストファー・ミンツ=ブランセ....アルヴィン/いじめっ子
     レスリー・マン         ....サンドラ・バブコック/ノーマンの母親
     ジェフ・ガーリン        ....ペリー・バブコック/ノーマンの父親
     ジョン・グッドマン       ....プレンダーガストおじさん/母方の伯父
  
【あらすじ】
魔女伝説が今も根強く残る田舎町ブライス・ホロー。
ノーマン・バブコックは、ホラー映画が大好きな11歳の少年。ノーマンは持って生まれた能力〜死者の姿が見え、会話が出来る〜のおかげで、家庭内や学校でも奇人扱いされ孤独な日々を過ごしていた。唯一優しく接してくれるのは、級友のニールだけである。
ある日、疎遠だったプレンダーガストおじさんが突然訪ねてきた。プレンダーガストはノーマンに一族の秘密をうち明ける。「我々一族はこれまで魔女が復活しないように見守ってきた。その仕事を君に引き継いで欲しい」、そう告げるとプレンダーガストは急死してしまった。戸惑うノーマンだったが、勇気を出しておじの遺言を守ろうと決める。魔女が眠るという森の中の墓場で魔女封印の儀式を執り行っていたノーマンだったが、それをいじめっ子のアルヴィンに邪魔をされてしまった。その結果、魔女は復活、それに合わせて墓場からはゾンビたちが甦り、ノーマンたちに襲いかかる。だが、ノーマンの前に立ちはだかったゾンビたちは意外な言葉を口にする〜「我々を助けて欲しい」と....
 
 
あぁ、これぞ至福のひととき!(^口^)/
半年くらい前から見るのを非常に楽しみにしていた「PARANORMAN」。
これが想像以上に素晴らしい出来で、大好きな人形アニメをたっぷりと堪能出来ました。
人形アニメーションを見ていると、どうしてこんなにも幸せな気持ちになるのだろう?。
ピクサーのCGアニメがどんなに素晴らしくても、それは結局のところコンピューター内に存在する数字上のデジタルデータでしかありません。ですが人形アニメは画に映るモノが実際に存在するという圧倒的リアル感。そのことに素直に感動させられるのかもしれません。
人形はもちろんですが、衣装やセット、小物などその全てが手作りという徹底したこだわり。特筆すべき点はそのデザインがまるでフリーハンドで描かれたような優しい曲線で形作られているということです。例えば、ノーマンが学校で使用しているロッカー。作る側からすれば直線で構成されていた方が圧倒的に楽なのに、敢えていびつな形で製作されています。セットの建物なども同じです。あるいは道路に置いてあるコーン(三角のヤツね)は、ひとつとして同じものがありません。こうした数を必要とするアイテムは通常一個作ってあとは同じものを複製といった手法がとられたりするものですが、そうした手法をとらず敢えて一個一個作るという、実に気が遠くなるような作業がとられています。そうした手間ひまを惜しまない徹底したこだわりが、美術関係に素晴らしい奥行きを与えていました。
 
ライカ・エンターティメント社の前作「コララインとボタンの魔女」(2009)を鑑賞した時、「人形アニメーションも遂にここまで来たか!」との強い印象を受けましたが、今作「パラノーマン」はそれを更に上回るハイクオリティで、正直そのことにビックリ!でした。人形アニメの魅力と言えばカクカクした動きだったりする訳ですが、「パラノーマン」のモーションは本当に滑らかでそのカクカク感が全くありませんでした。だから見ている途中で人形アニメーションだということをすっかり忘れて思わずハッと我に返ることもしばしばでした。前作「コラライン」でもキャラクターはかなり表情豊かでしたが、その一方で人形色は強い作品でした(もちろん、そこがコララインの素敵な部分でもある訳ですが)。ところが「パラノーマン」のキャラクターは、実に活き活きとしていて生命感に溢れています。ものすごくディフォルメされたデザインなのに、その活き活きとした描写はまるでディズニーアニメクラスのハイレベル。「コラライン」とは人形に使用されている材質が違うため、主人公ノーマンの耳が夕日を浴びてピンク色に透けて見える部分や魔女マギーの手の透明感など、人形自体も本当に素晴らしい出来でした。
 
ライカ社の人形アニメが素晴らしいのは、人形アニメというアナログ技術に徹底的にこだわりながら、同時に最新デジタル技術を取り入れる柔軟さを持ち合わせている点です。
クライマックス、ノーマン少年の前に姿を現す魔女マギーのビジュアルは、そのハイブリッドな映像を堪能出来る素晴らしい場面となっています。美しさと激しさの両方を見事に表現したその映像は、圧倒的な迫力で魅了してくれました。
 
映像の素晴らしさはもちろんですが、ストーリーも本当に素晴らしかった。
ぶっちゃけ、前半の展開はかなり退屈なのですが、その分ノーマンの日常が丁寧に描かれており、好感が持てます。やがて魔女の封印が解かれ、ゾンビが甦ってきたあたりから物語は急激に面白くなっていきます。そして、ゾンビたちから明かされる過去の忌まわしい悲しい出来事。ノーマンはそのことに激しい憤りを覚えます。何故なら時代が違っていたら、自分もまた少女マギーと同じような境遇にあっていたかもしれなかったからです。かつて大人が犯してしまった過ちを正すため、孤軍奮闘するノーマン。感動的なのは暗黒面に堕ちてしまったマギーの魂を救うため、ひたすら対話をしようと試みるシーンです。疎外され孤独な日々をおくっているノーマンだからこそ、マギーの心の痛みを唯一理解出来る存在のノーマン。マギーの怒りを沈めようと命がけで彼女の話に耳をかたむけ、説得するノーマンの姿は本当に勇ましかった。
 
そして訪れる静寂。
人間だった頃の優しい心をとりもどした少女マギーは、優しい陽が差す森の中でノーマンの元にそっと寄り添って眠るように昇天していきます。
この場面のなんと神々しく美しいことか!
この場面を見るだけでも、この作品は見る価値が充分にあります。
ここ最近見た映画の中でも、特に印象に残った本当に美しい場面でした。
  
 
人は理解出来ないモノを怖れ、そして攻撃する
争いやいざこざが起きた時、大事なのは徹底的に話しあい相手を理解しようとする努力をすること。そんなことを11歳の少年に教えられる作品「パラノーマン ブライスホローの謎」。子供向けの単なる人形アニメと侮ることなかれ、集団になった時にとる大人の愚かな行為を風刺する社会性、コミュニケーションの大切さを訴える内容など、大人の鑑賞にも充分耐えうる良質のアニメーション作品です。
是非、ご鑑賞下さいッ!!(^皿^)/
 
 
      ありがとう、ノーマン
      マギー.jpg
かつてノーマンと似た能力のおかげで魔女と疑われ裁判にかけられた11歳の少女マギー。
彼女はそのまま魔女として処刑されてしまった。だが、その恨みは決して消えることがなく、現代に甦ったマギーは怒りを爆発させる。人々が彼女を怖れる中、ノーマンだけは彼女を救おうと奔走する。クライマックスのノーマンとマギーの対峙場面は、号泣必至の感動場面です!。

The Art and Making of ParaNorman

The Art and Making of ParaNorman

  • 作者: Jed Alger
  • 出版社/メーカー: Chronicle Books
  • 発売日: 2012/07/25
  • メディア: ハードカバー

これは絶対買いッ!(^皿^)
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