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激弾BKYU公演「世界一不幸な男」を観劇する [舞台・コンサート]

まだまだ残暑が厳しい今日この頃ですが、一応季節は秋。
そんな“芸術の秋”という訳で、9月は3本も舞台観劇をしてまいりました。
1本目は、22ヶ月ぶりの本公演という激弾BKYUの作品「世界一不幸な男」です。
 
【激弾BKYU お待ちいただいてアリガトー公演】
    『世界一不幸な男』
     〜A Fantasy of the Calamity〜
 
 作:演出....サカイハルト
   出演....酒井晴人、東野醒子、小林博、有友正隆、
      大高健二、影山晃子、蔵重美恵、今村有希

【あらすじ】 
タダシはこれまで懸命に人生を生きてきた。環境的に決して恵まれていた訳ではない。それでも彼は精一杯生きてきた。だが、それもあの日の大震災で全てを奪われてしまった。もはや、彼には生きる気力さえも残っていなかった。そんなタダシの前に現れた謎の3人組。彼が再び生きる活力を得るためにと奔走する3人。果たして彼らはいったい何者なのか?、そして、タダシは再び希望を取り戻せるのだろうか?。
 
 
これまで激弾BKYUの作品はいくつか見てきましたが、個人的には当たりハズレが多い劇団です。それ故に、今回も舞台の幕が開くまでは非常に不安な心持ちでいた訳ですが、結論からいうと今作はまずまずの内容でした。基本はファンタジーコメディなのですが、琴線に触れる部分も多く、劇場内は何度も涙に包まれていました。もちろん、オイラもいくつかの場面で涙しましたが、その一方で客観的に物語を見た時、感傷的な場面の割合がやや多すぎるようにも感じました。泣くという行為そのものは確かに生理的に気持ちがいいものだけど、あまりに次から次へとそうした場面が続くと、食傷気味になるのもまた事実。やっぱりコメディのセオリー通り、笑わせて、笑わせて、最後にドンと泣かすというのが理想的。少なくとも、泣きの部分が笑いやシリアスな部分よりも割合が多くなったらダメってことですね。そんなことを感じさせられた作品でした。
 
それと気になったのが、主軸が誰なのか?ってことです。
タダシなのか?、それとも彼を助けようとしている3人組なのか?。
それによって、この物語の結末に関し、ちょっと納得いかない点があったのです。
オイラはタダシのモノローグで作品がスタートしたので、あくまでも主軸はタダシなのだろうという視点で物語を見ていました。だから、彼が最初から最後まで自分の内なる世界に存在する者(物!?)との対話で終わってしまったことに消化不良を覚えました。タダシが自分の殻を破り、新しい人生に向かって一歩踏み出すその象徴として、自分とは縁もゆかりもない第三者とのコミュニケーションを最後に描いて欲しかった。
 
例えば、エンディングでタダシが公衆電話から電話をかけようとしてお金がなく、結果観客からお金を借りるというくだりがあります。いわゆる“客いじり”は激弾BKYU的でもあり、小劇場ならではの面白さがありましたが、一方あの場面で通りすがりの人(例えば今村さんとか。もちろん本編とは別役で)にお金を借りるというのを描いても面白かったかもしれません。とにかく、タダシにとって“新しい出会い”というものを描いて、物語をしめて欲しかったです。
余談ですが、オープニングのタダシのモノローグはまったく必要なかった。ああした主人公の背景とかは独白で説明するより、物語を進行させながら判明させていくべきこと。最初から「私にはコレコレこういうことがあったので不幸です」と、説明させてもまったく感情移入出来ません。モノローグはとても便利な演出方法ですが、一歩間違うと説明過多になってしまうので注意が必要です。
 

そんなことを出演者のひとりと話したりした今作でありました。
物語はともかく、相変わらずBKYUの役者陣は個性的かつ魅力的で、
その点に関してはすごく楽しめました。
弾長サカイハルトさんと小林博さんとのかけあいは、相変わらず面白くて見ていて楽しい部分です。会話のやりとりがあまりにナチュラルすぎて、それが芝居なのか素なのか判別出来ないほど、ふたりの息はぴったりでした。
有友正隆さんは、今回も威勢のいいキャラクターが実にハマり役で魅力的。
蔵重美恵さんが白塗りで出てきたときはビックリしたけど、あのギョロギョロ動く目が白塗り効果でより強調されていて爆笑させられました。お得意の歌も披露されてサービス満点。
BKYUと言えば、東野醒子さんによる長台詞が必ずあって、オイラはそれが個人的にとても苦手なのですが、今作ではそれが割と短めだったのでホッとひと安心。ただ、母親として優しい部分だけでなく、厳しい部分も見せて欲しかった。優しく接するだけが親じゃないと思う。子供のことを本当に思うんだったら、時には心を鬼にして厳しく接する....そういう部分もサカイさんには描いて欲しかった。
今作で一番グッときたのは、影山晃子さんも出ていたツナミ(有友)とサザナミ(蔵重)が出てくる場面。あそこでの一連のやりとりはオイラも個人的に感じていたこととリンクして、共感を覚えた部分でした。
今村有希さんはBKYUのアイドル(!?)らしく、今回も可愛いキャラを熱演。
 
ひとつだけ気になったのは大高健二さん。バカボンパパ似でお馴染みの大高さんですが、今作でのキャラは過去に大高さんが演じられたキャラクターとすごく似通っていて(ウジウジした仕草とか)、それがちょっと残念でした。弾長サカイハルトさんがアテ書きされてると思うし、ああいったキャラクターは大高さんも得意とされるところなのでしょうが、もっと普通な感じでも良かったような気がしました。
そこでふと感じたのが、大高健二さんと小林博さんのキャラクターは逆でも良かったのでは!?ということ。チラシにも書いてあったように、主人公がチビ・ハゲ・デブというビジュアルで苦労してきたというのは、ちょっと短絡的で薄っぺらな設定にも思えます。むしろ普通のビジュアルで普通に生きてきた地味な人が不幸な目にあって人生に絶望している....という設定の方が、かえって主人公に対して感情移入出来たように思います。
 
 
物語としてはやや消化不良な感は否めませんでしたが、役者陣による熱はすごく感じた舞台「世界一不幸な男」でありました。個人的には過去作「HELP ME!」を越える作品を早く観てみたい激弾BKYUです(^皿^)/。
 
 
    主人公タダシの彼女役で登場する今村有希さん。
    タダシにはあまりにも不釣り合いとも思える彼女の正体は....
    な、なんと「ラースと、その彼女」だった!?(^皿^;)
    ユッキー.jpg
  

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....イメージとしては、こっちかな!?(^皿^)
  

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