SSブログ

「タイタンの逆襲」を鑑賞する [映画鑑賞]

2010年に公開されたファンタジー映画「タイタンの戦い」(監督:ルイ・ルテリエ)。
その続編である「タイタンの逆襲」(監督:ジョナサン・リーベスマン)を見てきました。前作はリメイク作品だったけど、今作は完全オリジナル作品です。ファンタジークリーチャー好きとしては「ドラマは二の次!、とにかくかっこいい怪物が見たい!」との思いで劇場へと向かったのでありますが.....

 
「タイタンの逆襲」(原題:WRATH OF THE TITANS)99分
 監督:ジョナサン・リーベスマン
 音楽:ハビエル・ナバレテ
 出演:サム・ワーシントン  ....ペルセウス
    レイフ・ファインズ  ....冥界の王ハデス
    リーアム・ニーソン  ....全能の神ゼウス
    ロザムンド・パイク  ....アンドロメダ姫
    ビル・ナイ      ....火と鍛冶の神ヘパイストス
    エドガー・ラミレス  ....軍神アレス
    トビー・ケベル    ....ポセイドンの息子アゲノール
    ダニー・ヒューストン ....海神ポセイドン
    他
 
【あらすじ】
全能の神ゼウスと人間との間に生まれたペルセウスが海獣クラーケンを倒してから、早10年あまりが過ぎようとしていた。父ゼウスの誘いを断り、人間界で暮らすことを選択したペルセウスは、亡き妻イオの残したひとり息子ヘレイオスとともに、漁村でひっそりと暮らしていた。そんなある日の事、ペルセウスの前に父ゼウスが再び現れる。ゼウスの父でもある巨神クロノスが幽閉されているタルタロスの牢獄が崩壊しつつあるというのだ。もしクロノスが地上に復活すれば、人間どころか神でさえも無事ではいられない。ゼウスは牢獄修復のためペルセウスに助力を求めるが、未だ父ゼウスに対して複雑な感情を抱くペルセウスは、この申し出を断ってしまう。だがその結果、地上にも徐々にその影響が出始める。ペルセウスの住む漁村に突如双頭の怪物キメラが現れたのだ。一度は戦うことを封印したペルセウスだったが、愛する息子を守るため、かつて父ゼウスから贈られた剣を再び手にして戦うことを決意する....!
 
 
面白いッ!、面白いじゃないかッ!!(^皿^)/
前作「タイタンの戦い」より、確実に面白い作品へと仕上がっておりました。
正直「怪物さえ見られればそれで良し!」と、ドラマの部分にはほとんど期待していなかった訳ですが、いやはやジョナサン・リーベスマン監督、なかなかの演出を見せてくれました。
「インクレディブル・ハルク」のルイ・ルテリエ監督が手がけた前作「タイタンの戦い」は、リーアム・ニーソン演じるゼウスの金ピカ鎧や、ブラをつけたおしゃれなメデューサなど、神話の世界を描きながらも、全体的にどこか浮ついた感が否めなかった訳ですが、今作「タイタンの逆襲」はガラリと趣きを変えています。
それは、オープニングから顕著に表れています。
冒頭、ペルセウスはさびれた漁村でひっそりと暮らしています。愛するひとり息子とともに穏やかな生活をおくるペルセウスの様子が静かに描かれていきます。BGMとかが一切かからないこの静かな映像が、ドラマとして地に足の着いた空気を漂わせ、非常に雰囲気の良い始まりとなっています。
 
やがて、ゼウスの息子である軍神アレスの裏切りにより、ゼウスは囚われの身となってしまいます。ゼウスの息子であるアレスは、自分よりもペルセウスに対して愛情をそそぐゼウスのことが許せず、同じくゼウスのことを恨んでいるハデスと手を組み、クロノス側へと寝返ってしまいます。囚われの身となったゼウスの力は巨神クロノスへと注ぎ込まれ、封印されていたクロノスは徐々に力を取り戻し始めます。ゼウス弱体化の影響は、やがて人間界にも魔物の出現という形で現れます。ペルセウスの住む漁村に突如飛来した火の玉。そこから双頭の怪物キメラが現れ、村で暴れ始めるのです。
穏やかなオープニングから一転、ここから迫力ある映像を次々と見せてくれるジョナサン・リーベスマン監督。演出として実に巧いなと感じた点は、これみよがしにCG製の怪物を見せない演出でした。例えば、漁村を襲うキメラは通りを縦横無尽に駆け抜けながら破壊の限りを尽くしますが、その全体像がなかなか画面には映りません。鍛冶の神ヘパイストスが住むケール島に登場する巨人サイクロプスも、登場時は木々の間からの木漏れ日にシルエットが見えるのみで、その全貌がなかなか見えません。こうした演出が怪物に対する恐怖感をあおる良い演出となっていました(怪物に関しては、改めて別記事を立てる予定です!)。
 
それにしても、前作では青二才感たっぷりだったサム・ワーシントンでしたが、今作ではなかなかのタフガイぶりを見せてくれます。ボウズ頭からクリクリヘアーにチェンジした外見もなかなか様になっており、終始ドロだらけで砂埃にまみれた姿が、なかなかにワイルドでかっこ良かったです。「サム・ワーシントンって、こんなに魅力的だったっけ?」と、その意外な成長ぶりに嬉しさを禁じ得ませんでした。体を張ったアクションも素晴らしかったですが、一方ドラマの部分でもなかなか素晴らしい演技を見せてくれたサム・ワーシントン。父親ゼウスに対する複雑な愛情であったり、息子ヘレイオスに対する父親としての愛情であったりと、なかなかの熱演を見せてくれました。サム・ワーシントンの評価がオイラの中でちょっとあがった今作でした。
 
ドラマと言えば、リーアム・ニーソンとレイフ・ファインズの二人を忘れてはいけません。ご存知「シンドラーのリスト」コンビでありますが、前作は二人の名優としての良さが出ていたとはおせじにも言えない内容でした。でも、今作では二人の兄弟の確執や愛憎劇がなかなかドラマチックに描かれており、ドラマとして重厚感を与えていました。特にレイフ・ファインズの演技は素晴らしいのひと言。弟ゼウスに冥界へと追放されて恨みを募らせる一方で、兄として弟をおもう心も完全には失ってはおらず、そうした複雑な心情を見事に演じきっていました。ゼウスもハデスも神様なのに心は妙に人間臭くて、そこが見ていて面白かったです(^皿^)。
 
オイラは基本的に3D映画には反対のスタンスなんですが、この作品のクライマックス、巨神クロノスが登場してからの一大スペクタル映像は、そんなアンチなオイラでも3D映像で見てみたいと思わせる映像でした。巨大なクロノスが振り回す腕から放たれる無数の溶岩。ペガサスに騎乗したペルセウスがそれをかき分けながらクロノスへと近づいていく場面は、2D映像で見ていてもなかなかの迫力でした。3D映像もシーンを選んで視聴出来たらいいのになあ。
 
全体的になかなか面白かった「タイタンの逆襲」でしたが、もちろん不満に感じる部分もありました。例えば、ゼウスとハデスの確執が描かれる一方で、もうひとりの兄弟である海神ポセイドンがやや“蚊帳の外”的存在であったこと。ゼウスとハデスは最終的に協力して巨神クロノスを倒そうとするのですが、出来ればそこにポセイドンもいて欲しかった。ゼウスが雷を、ポセイドンが水を、ハデスが風を、というふうに各自が得意の分野を用いて、それを合体させた複合技で巨神クロノスに立ち向かうといったスペクタルな映像を見たかったです。それとミノタウルス....これに関しては別記事を立てる予定ですが、ちょっとオイラが期待していたものとは違っていて残念でした。海神ポセイドンの息子で、ペルセウスと同じく半神半人であるアゲノール。「プリンス・オブ・ペルシャ」での好演も記憶に新しいトビー・ケベルですが、今作でもなかなかチャーミングなキャラクターを演じています。それだけに同じ半神半人であるペルセウスとの間に芽生える友情をもうちょっと丁寧に描いてくれたなら....と思わずにはいられませんでした。
 
 
前作「タイタンの戦い」よりも数倍面白くなっている「タイタンの逆襲」。
無論つっこみたくなるような部分もたくさんあります(アンドロメダ王女のキャラクターが180度変わってるとか、ペルセウスとアレスの戦いはプロレスそのものだとか)が、それでもそれらは許容範囲。全体的には大いに満足いく作品となっていました。
ゼウスとペルセウスの父子関係、ペルセウスの息子に対する惜しみない愛情、ハデスのゼウスに対する複雑な思い、そして軍神アレスのペルセウスに対する嫉妬など、複雑な人間模様(神様だけど)を描きつつ、迫力のある映像がテンコ盛りの今作。特にクライマックスの巨神クロノス登場場面は見応えがあり、これは映画館じゃないと体験出来ない迫力ですね。
ゴールデン・ウィークは、是非劇場で「タイタンの逆襲」を鑑賞して下さい。
お薦めの作品です!(^皿^)/。
 
 
 
     成長したな、サム・ワーシントン
     ペルセウス.jpg 
 
     汗と泥と埃にまみれての熱演がかっこいいサム・ワーシントン。
     登場人物たちの衣装の素晴らしさも、要必見です!。
 

nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 2

テンプラ・ソバ・ニーロ

神様兄弟が『シンドラーのリスト』の二人という事をすっかり忘れていました。
リーアム・ニーソンはそんなに変わっていないですけど、レイフ・ファインズは随分と変わっちゃいましたね。
by テンプラ・ソバ・ニーロ (2012-05-02 19:51) 

堀越ヨッシー

テンプラ・ソバ・ニーロさん、こんにちは。
レイフ・ファインズは文芸作品とか出演しながら、ハリポタとかちょいちょいこっち系に出演したりするので油断ならないです(^皿^)。
個人的には、キメラが空を飛ぶ場面が見たかったですね。
by 堀越ヨッシー (2012-05-03 08:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。