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かっこいいとは、こういうことさ!〜「ドライヴ」を鑑賞する [映画鑑賞]

ライアン・ゴズリング主演の映画「ドライヴ」を見てきました。
雑誌「映画秘宝」で、町山智浩さんも推してた作品。
監督も主演俳優も初だけど、これは非常に楽しみです!(^皿^)。
 
「ドライヴ」(原題:Drive)100分
 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 原作:ジェイムズ・サリス
 出演:ライアン・ゴズリング
    キャリー・マリガン
    アルバート・ブルックス
    ブライアン・クランストン
    クリスティナ・ヘンドリックス
    ロン・パールマン
    オスカー・アイザック
    他
 
【あらすじ】
主人公の男(ライアン・ゴズリング)は、車の整備工場で働いている。昼間は映画の撮影でカースタントをこなし、夜は強盗の逃走を手助けするという2重生活を送っていた。
ある日のこと、男は同じアパートに住むアイリーン(キャリー・マリガン)と知り合いになる。アイリーンの夫は刑務所に服役中で、彼女はひとり息子とともにひっそりと暮らしていた。そんな彼女に好意を抱き、徐々に親しくなっていく男とアイリーン。だが、彼女の夫であるスタンダード(オスカー・アイザック)が出所してきたことで、二人の関係は微妙に変化していく。スタンダードは妻子のために更正しようとしていたが、借金のせいで昔の仲間から強盗を強要される。アイリーンのことを大切に思う男は、スタンダードの強盗を手助けしてやることにする。計画は完璧、とある質屋への強盗作戦は成功したかに思われた。
だが、この強盗計画には、ある陰謀が隠されていた....
  
 
 
面白い!(^皿^)/
前評判通り、非常に面白い作品でした。100分という短い作品ではありましたが、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の演出は小気味良く、最初から最後までぐいぐいと作品に引き込まれました。
主演のライアン・ゴズリングをはじめとする魅力的なキャスト陣、説明過多にならないレフン監督の演出、それらがうまく化学反応を起こし、見応えにある作品に仕上がっていました。
ライアン・ゴズリングを見るのは今回が初めてでしたが、最初から最後まで彼演じるドライバーに魅了されっ放しでした。あの流し目のかっこ良さと言ったら!。
アイリーンを演じたキャリー・マリガンも良かった。幼い子供を抱えて懸命に生活している健気な感じが、とてもよく出ていたように思います。原作ではラテン系のキャラクターだったらしいのですが、キャリー・マリガンをキャスティングして、結果成功したように思います。彼女の童顔が若くして結婚してしまった幼さの残るアイリーンを、より的確に表現出来ていたように感じました。
アイリーンの夫であるスタンダードを演じたオスカー・アイザックも、出番は僅かながら印象的な人物でした。登場してきた時はいわゆるダメ夫なのかな?とも思いましたが、妻子を愛し、更正しようとしている人物を好演していました。当初彼があの「エンジェル・ウォーズ」のブルーだとは気付かず、そのあまりの違いにビックリした次第です。「ロビン・フッド」を見た時も彼だとは気付かなかったし、出る作品ごとに顔が違うカメレオン役者ですね。
その他、脇を固める役者陣も曲者揃いで、アルバート・ブルックス(トワイライト・ゾーンのオープニング!)やロン・パールマン(ヘル・ボーイ!)、ブライアン・クランストンなど、渋いおじさん連中もそれぞれ良い持ち味を醸し出していました。
個人的には、スタンダードと共に強盗をするブランチ役のクリスティナ・ヘンドリックスにメロメロでした。キャリー・マリガンのような童顔も嫌いじゃないですが、オイラはやっぱりクリスティナ・ヘンドリックスのような大人の色香が漂う女性の方が個人的に好み♡。あの全身から漂うフェロモンは、ちょっと尋常じゃなかったです。あんな豊満なボディラインをしてる女優は、日本にはまずいないので、終始オイラはデヘヘと顔がニヤけていた次第です(^皿^)。
 
 
さて、映画秘宝でも町山智浩さんが仰っていたように、この作品は良い意味で説明的な演出が極力排除された演出になっています。主人公の名前が最初から最後までわからない点にそれは象徴されていますが、つまり、見ている方がいろいろと想像出来る作りになっているのです。
それは、オープニングから顕著です。
強盗の逃走を手助けする仕事を生業としている主人公の様子から、ドラマは幕を開けます。車を使って警察から逃走すると聞いて、てっきり「ワイルド・スピード」のような派手なカーチェイスが展開するのかと思いきや、警察無線を頼りに追跡の裏をかきつつ、地味〜に逃走する主人公の狡猾な様子がじっくりと描かれます。このオープニングで主人公であるドライバーがいったいどんな人物なのか?を想像出来る憎い演出になっています。監督曰く、冒頭のシーンはチェス対決をイメージして演出されたとのことですが、なるほど警察と主人公との間で繰り広げられる頭脳戦が、ハラハラドキドキの緊張感をもって描かれています。ただ、なぜ彼がそんな仕事をしているのか?については、作中では一切語られることはありません。それが良い意味で、主人公をとてもミステリアスな存在にし、かつ魅力的にしています。
 
アイリーンの前では紳士的で優しいドライバーですが、強盗の手助けをしていることに象徴されるように、ドライバーには闇の部分があります。そのドライバーの中に潜む暗黒面(ダークサイド)もまた、レフン監督は憎い演出できっちりと見せています。質屋への強盗計画が失敗し、スタンダードは殺され、主人公は窮地に陥ります。自分がハメられたと悟ったドライバーは、おもむろに皮手袋をはめると、作戦に加わったブランチを拷問して真相を突き止めようとします。その時の姿に、アイリーンの前で見せる紳士的な姿は微塵もありません。例え相手が女性であったとしても、暴力を振るうことを躊躇しない主人公の闇の部分が垣間見えるいい場面です。また、この直後襲ってきた刺客を返り討ちにした時も、相手の返り血を顔いっぱいに浴びながらも、表情一つ変えない主人公の姿に、彼が只物ではないことを感じることが出来ます。特に圧巻なのが、後半アイリーンに魔の手が迫った時のことです。エレベーター内で、主人公とアイリーン、そして刺客の3人きりになる場面があります。主人公はおもむろにアイリーンをキスをすると(この場面が、すごくロマンティク!)、次の瞬間刺客を襲い、やっつけてしまいます。実はこの作品、バイオレンス描写がけっこう凄まじくて、かなりグロい描写もあるのですが、ここの場面では一転それを見せない演出がとられています。刺客を叩きのめすと、ドライバーは執拗に刺客を踏み続けますが、その様子が主人公の足下からあおりで撮られており、刺客の姿は映ることがありません。にも関わらず、この場面は非常にバイオレンス色の強いものとなっています。それは音(サウンド)のおかげです。ひたすら踏み続けるドライバーの狂気の表情だけがスクリーン上に映し出され、刺客を踏み続ける鈍い音だけが響き渡る(途中で頭蓋骨が砕け、脳みそが潰れる音がする...うわわっ!)....バイオレンス描写の演出ひとつとっても、レフン監督は巧みな手法を見せてくれます。
 
 
ただ、作品を見ていて?な部分が2つだけありました。
ひとつ目は、主人公がロン・パールマン演じるニーノを襲撃する場面。主人公は映画のカースタントで使用した撮影用のマスクを被りニーノを襲うのですが、なぜこのマスクを使用したのか?が、よくわかりませんでした。当初、自分の正体がバレないように被ったのかな?とも思いましたが、実際にニーノを襲った場所は人気のない海岸であり、そうなるとマスクを被る必然性もなかったのでは?と感じました。何か他に意味があったのでしょうか?。
 
2つ目はラストです。
作品全体を通してみれば、主人公のドライバーがこれまで普通の人生を歩んできた訳ではないことは、容易に想像出来ます。にも関わらず、アルバート・ブルックス演じるバーニーと対峙したドライバーは、いとも簡単に彼に襲われ、ナイフで刺されてしまいます。バーニーがドライバーを殺そうとしていることは明白であり、当然ドライバーもそのことに気付いていたはずなのに、なぜこうも簡単に刺されてしまったのでしょうか?。
ただ、この点に関してはある程度想像は出来ます。
一連の陰謀に関わった全ての人間が死んでしまえば、アイリーンへの危険は消え去ってしまう....そう考えたドライバーは、バーニーを殺し、自らも死ぬことでアイリーンを守ろうとしたのではないでしょうか?。ところが、映画はドライバーが死んで終わり....という風にはなりません。腹部を刺されたドライバーは、ひと息つくとおもむろに車のエンジンをかけ、走り去って終わります。
死ぬつもりだったドライバーは、アイリーンへの想いが断ち切れず彼女の元へと向かったのでしょうか?。それとも、彼女のことを思い、別の地へと旅立ったのでしょうか?。ドライバーが刺された時、思わず心の中で「死なないで!」と思っていたオイラは、この余韻を残したエンディングに救われたような気がしました。
でも、現実は甘くありません。
きっと主人公はどこかで息絶えてしまうのだろうなあ....そんなことを感じつつも、僅かな望みを持たずにはいられない、そんな魅力的な主人公にどっぷり浸った100分間でした。
 
 
映画「ドライヴ」は、この春イチ押しの作品です。 
劇場で、是非鑑賞して下さい!(^皿^)/  
 
      
    
      「 ....5分間だけ待つ 」
      ライアン・ゴズリング.jpg 
      流し目がいちいちカッコいいぜ、ライアン・ゴズリング!(^皿^)
  

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テンプラ・ソバ・ニーロ

用水路でのドライヴシーンではどうしても『ターミネーター2』を思い出してしまいます。
この映画の主人公も実は未来から来た殺人ロボットと考えるのは強引でしょうか。
by テンプラ・ソバ・ニーロ (2012-04-20 19:27) 

non_0101

こんにちは。
カッコ良かったですね~
主人公のクールなキャラクターにノックアウトでした(^^ゞ
バイオレンスもありますけど、ラストの潔さにもドキドキでした☆
by non_0101 (2012-04-21 11:18) 

堀越ヨッシー

テンプラ・ソバ・ニーロさん、こんにちは。
....それはちょっと強引かも(^皿^;)。
 
あんな汚いドブ河を美しく撮れるニコラス・ウィンディング・レフン監督は、やっぱり只物じゃないですね。あの用水路って、「ミニミニ大作戦」でも出てきた所ですかね?。
by 堀越ヨッシー (2012-04-21 20:02) 

堀越ヨッシー

non_0101さん、こんにちは。
主人公のかっこ良さだけじゃなく、心の闇もきっちり描いていたところが良かったですね。男のオイラでも、あの微笑みにはノックアウトされちゃいました(^皿^)>。
by 堀越ヨッシー (2012-04-21 20:08) 

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