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大好きだった野沢那智さんを偲ぶ [吹き替えについて]

俳優・野沢那智さんとの初めての出会いは、果たしていつだったのだろうか?。
改めて遠い記憶をさかのぼってみたが、なぜか思い出せない。
洋画の吹き替えだったかもしれないし、アニメだったのかもしれない。
気がつけばそこに野沢さんがいて、そしてオイラはファンになっていた。
 
幼少の頃、オイラにとって映画とはテレビから流れるものだった。
映画館なんてハイカラなものは、オイラが育った九州のヘンピな田舎町にはなかったからだ。テレビで放送される映画は吹き替えであり、それをオイラは当然のように楽しんでいた。中学生の頃になるとビデオが普及し始め、それに伴いレンタルビデオが流行り始めた。そしてそれまであまり馴染みのなかった字幕スーパーというものに触れる。
それでもテレビで映画が放送されれば、やはりそちらを好んで見ていた。
 
高校卒業後、東京に出て来ると映画館というものがより身近な存在となった。
やがて映画館で洋画を観るようになると、吹き替えよりも字幕スーパー版の方を好むようなる。英語に対する憧れや、役者本人の声が聞きたくて....というのが理由だった。戸田奈津子さんや岡枝慎二さんなどによる字幕意訳の素晴らしさに触れたせいもあるかもしれない。とにかく20代前半は字幕スーパー版ばかりを好んで見ていた。
やがてDVDが普及し始めると、字幕・吹き替えの両方で映画を楽しむようになった。その結果、改めて日本語吹き替えの素晴らしさというものに気付く事になる。
「この英語のニュアンスを日本語ではこう演じるのか!」
「まるで本当に日本語を喋っているようだ!」
英語オリジナル版を見たあとで優秀な吹き替え版を鑑賞すると、改めてそんな新鮮な驚きに包まれた。今では可能であれば初見はまず吹き替えで!....それぐらい日本語吹き替えを愛してやまないようになった。
 
今日のようにオイラが吹き替えを愛して止まないようになった原因には、間違いなく幼少の頃から少年期に出会ったたくさんの素晴らしい吹き替えにその一因がある。そして、それは今に繋がっている。
    刑事コロンボ」の小池朝雄さん。
   「007」シリーズは若山弦蔵さんに広川太一郎さん。
    シャーロック・ホームズ」は露口茂さん。
    チャールトン・ヘストンは納屋悟朗さん。
    シルヴェスター・スタローンは羽佐間道夫さん
    「スーパーマン」「ナイトライダー」の佐々木功さん。
    クリント・イーストウッドの山田康雄さん。
    マイケル・ダグラスは小川真司さん、ドナルド・サザーランドは家弓家正さん。
    シュワちゃんは玄田哲章さん、ダース・ベイダーは大平透さん。
    メル・ギブソンは磯部勉さん、ジム・キャリーは山寺宏一さん。
    トム・ハンクスは江原正士さん、エディ・マーフィーは富山敬さん。
    M・J・フォックスは三ツ矢雄二さん、クリストファー・ロイドは穂積隆信さん。
    J・ゴールドブラムは大塚芳忠さん、ウェズリー・スナイプスは大塚明夫さん。
    ケビン・コスナーは津嘉山正種さん、ミッキー・ロークは安原義人さん。
    トム・クルーズは鈴置洋孝さん、チャーリー・シーンは堀内賢雄さん。
    ジョニー・デップは平田広明さん、ジョージ・クルーニーは小山力也さん。
    クリスチャン・ベールは檀臣幸さん、
    ....etc。好きな人を挙げればキリがない。
 
 
そして、アラン・ドロン、アル・パチーノ、ブルース・ウィリスの吹き替えと言えば、野沢那智さんでした。
一番有名なのはやはりアラン・ドロンなのだろうけど、世代的にオイラはアラン・ドロンの映画はほとんど見たことがないので、やはりアル・パチーノやブルース・ウィリスでの吹き替えが印象深い。あとはロバート・レッドフォード。そしてなんといっても「スター・ウォーズ」ファンにはC-3POの声で馴染みが深い。
アニメだと「クレヨンしんちゃん」の映画版で最初に悪役を演じたのが野沢那智さんだった。「Dr.スランプ」ではDr.マシリトをユーモラスに演じ、「スペースアドベンチャー・コブラ」では主役のコブラをセクシー&タフに演じられ、その芸域の広さを見せつけられた。近年ではドラマ「刑事ナッシュ・ブリッジス」に於けるドン・ジョンソンの吹き替えがとにかく秀逸でした。
あるいは、ラジオに於けるディスクジョッキーとしてのお姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。残念ながらオイラはそちらの方は未体験であり、今となってはその事を只々後悔するばかりです。

野沢那智さんの魅力について語れば、まずはその声自体の響きの心地良さにある。
だけど、それ自体は持って生まれた天性ものだし、声優界にはそういう人は多い。
本当に特筆すべき点は、やはり卓越されたその演技力にあると思う。
書籍「とり・みきの映画吹替王」の中で野沢那智さんは自身の吹き替えについてこう仰っています〜
もとの役者さんが日本語だったらこう演じて欲しいだろうという演技をする
また、当たり役となったアル・パチーノの吹き替えについては〜
彼の吹き替えは本当に難しい。彼に“お前にこの芝居が出来るのか?”と言われているような気がする
と仰っています。また以前にも記事に書きましたが、とあるトーク番組で収録現場に遅刻してくる理由について〜
収録前に皆で談笑するのが苦手だから。せっかく役作りして現場に来てるのに、お喋りなんかしていたらそれが崩れてしまう。それが嫌なんだ
と仰っていました。お芝居についてある意味不器用であり、ある意味ストイックでもあった野沢那智さん。そんな過程を経て、あのクールで、タフで、セクシーで、茶目っ気のある素晴らしいお芝居は作り出されていったのですね。
そんな野沢那智さんのお芝居に、今日まで魅了され続けてきたオイラ。
 
 
そんな大好きだった野沢那智さんが、30日肺ガンにより永眠されました。享年72歳。
長年数多くの吹き替えで映画ファンを楽しませてきた野沢那智さん。
いち映画ファンとして、いち吹き替えファンとして、
そのことに心から感謝の意をのべずにはいられません。
野沢那智さん、今まで本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り致します。
 
     
      オイラはこれからも永遠にあなたのファンです!
      野沢那智さん.jpg 
 

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野沢那智さんの吹き替えを挙げたらキリがない。
が、この「刑事ナッシュ・ブリッジス」の吹き替えは、特にお薦め!。
野沢那智さんのあらゆる魅力が詰まっているファン必見の作品。
 
 
   テレビ朝日は追悼番組として、「ダイ・ハード」を放送すべし!
   ダイハード2.jpg
 
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A・パチーノ本人の芝居を観たあとで、野沢那智さんによる声のお芝居を見比べてみよう。
そうすれば野沢那智さんの凄さがわかるはず。
 
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例え同じ声の人が吹き替えても、アル・パチーノとロバート・レッドフォードではこんなにも違うんだということをきっと感じる事が出来るはず。

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