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スライム〜不定形粘液状生物 [ファンタジー画]

【スライム(Slime)】
ゲーム業界ではすっかりお馴染みとなったモンスター。
やはり「ドラクエ」によるその影響は計り知れない。鳥山明先生のデザインしたスライムは、まさにドラクエを代表するキャラクターとなりましたが、その一方でいわゆる“ザコキャラ”のイメージがすっかり定着してしまいました。ですが、スライム自体は決して侮れない恐いモンスターです。
 
スライムには基本的に物理的攻撃が効きません。剣や斧で斬りつけたり、或いはハンマーなどで殴りつけたとしても体が分裂するだけで、生命そのものにダメージを与えることは出来ません。小さいものならまだしも、万が一自分と同じ大きさのスライムに捕まろうものなら、ジェル状の身体に包まれてゆっくりとその身を消化されることになるでしょう。
基本的に屋外では滅多に出会うことのないスライムですが、例えば洞窟など暗く湿った場所を行動する時にはご用心を。冒険者自身が魔法を使えるか、もしくはパーティの中に魔法使いがいなければ苦戦を強いられること必至です。
決してザコキャラと侮るなかれ!....です(^皿^)。
 
 
   「ギャァァァァァァス!!」
  ブロブ.jpg 
「こ...これは一体ッ!?」
 
驚きの声をあげた冒険者の声が、洞窟内に響き渡った。水たまりだと思われていたそれは、突如山のように盛り上がり、冒険者たちの前に立ちふさがる!。
「下がって!。これは....スライムです!」
冒険者をかばうようにビショップがその前へと躍り出た。洞窟内はひんやりとした冷気に包まれていたが、ビショップのその額には汗がにじんでいた。
「これほどでかいスライムに出くわしたのは、オレも初めてだぜ!」
斧を握りしめたドワーフの腕が、ブルブルと震えていた。普段強気の彼も、自身の攻撃がスライムにはまったく効かないことをその肌で強く感じているのだろう。
「ここは私の出番ですね」
そう言ってしんがりを務めていた魔法使いのエルフが、静かにその歩を集団の先頭へと進めた。ゆっくりとだが、確実に迫ってくる巨大なスライム。いったん退却することも可能だが、ドラゴンが住むという北の大地へと行くには、どうしてもこの洞窟を通り抜けなければならない。そうした冒険者たちを何人もこのスライムは餌食にしてきたのだろう。周辺にはスライムの餌食になったであろう冒険者たちの鎧や装飾品が無造作に散らばっていた。
「 . . . . . . . . . . . . 」
魔法使いはエルフ語でなにやら呟くと、冒険者に笑みを浮かべてこういった「少し熱くなりますよ」。そしてすっと差し出した手のひらから猛烈な炎がスライムへと放たれた!。
「ギャアァァァァァァスッ!」
瞬く間に炎へと包まれた巨大なスライム。オレンジ色の炎に包まれたスライムは、もがき苦しむようにその姿をくねらせていたが、そのうちその身体は徐々に小さくなっていき、やがて水たまりの中へと姿を消していった。
 
「...死んだ...の?」
冒険者が魔法使いに尋ねると、そのエルフは静かに笑みを浮かべて首を横に振った。「いいえ、小さくなっただけで死んではいません。私は無益な殺しはしない主義なので。それにスライム自体は決して邪悪なものではないのですよ。あのスライムも長年生きてきたせいであそこまで巨大になり、その結果冒険者たちを襲うようになったのでしょう。ですが、これでまたしばらくはおとなしい無害な生き物としてこの洞窟で暮らすことになるでしょう」そう言って微笑んだ。その様子を傍らで見ていたドワーフが思わず悪態をついた。
「オレなら、ぶっ殺してやったけどな!」
ドワーフはエルフが活躍したことが面白くないようだ。エルフの魔法使いもそれを知ってか知らずか、それを聞いてもただ笑みを浮かべるだけである。「やれやれ、またいつものやつが始まった」と困惑しつつも、一方でそれを楽しんでいるかのようなビショップの女性。それから彼女がここで亡くなった冒険者たちへの供養の最中も、ドワーフとエルフのいつものやりとりは続くのだった。
 
巨大スライムがいた場所を通り抜け、しばらく洞窟内を歩いていると、ようやく出口へと辿り着いた。洞窟の暗闇に慣れていた目に、太陽の光が優しく降り注ぐ。
冒険の旅は、まだ始まったばかりである . . . . 。

タグ:スライム
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