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スポック....全力疾走する!!〜「スター・トレック イントゥ・ダークネス」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
     『スター・トレック イントゥ・ダークネス』
         (原題:STAR TREK INTO DARKNESS)
         2013年 アメリカ映画 カラー 2時間12分
 
監督/製作:J.J.エイブラムス
脚本/製作:アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、デイモン・リンデロフ
   衣装:マイケル・カフラン
   音楽:マイケル・ジアッキノ
 
   出演:ジェームズ・T・カーク  ....クリス・パイン
      スポック        ....ザッカリー・クイント
      ジョン・ハリソン    ....ベネディクト・カンバーバッチ
      ニョタ・ウフーラ    ....ゾーイ・サルダナ
      ヒカル・スールー    ....ジョン・チョウ
      モンゴメリー・スコット ....サイモン・ペッグ
      キャロル・マーカス   ....アリス・イヴ
      レナード・マッコイ   ....カール・アーバン
      パヴェル・チェコフ   ....アントン・イェルチン
      パイク提督       ....ブルース・グリーンウッド
      マーカス提督      ....ピーター・ウェラー
        他
 
【あらすじ】
西暦2259年、惑星ニビルの調査にやってきたエンタープライズ号。火山が爆発すれば惑星ごと消滅してしまう怖れがある事を悟ったカーク船長(クリス・パイン)は、火山を鎮めるための作戦を独自で行うことを決断。だが、作戦の途中で危機に陥ったスポック(ザッカリー・クイント)を救うため、カークは未開の原住民たちに宇宙船を目撃されるという失態を犯してしまう。それは、宇宙艦隊規約の重大な違反であり、その結果カークはエンタープライズ号の船長から降格させられ、スポックは他船への移動を命じられる。
一方、時を同じくして場所は地球のロンドン....
爆破テロにより、宇宙艦隊資料保管室が破壊される。犯人は元艦隊士官のジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)。宇宙艦隊上層部はただちに緊急会議を招集、マーカス提督(ピーター・ウェラー)はジョン・ハリソンの追跡を命じる。だが、そんな中突如現われたハリソンによって会議場は銃撃され、カークの恩人でもあるパイク提督(ブルース・グリーンウッド)が犠牲となってしまった。怒りに燃えるカークに対し、マーカス提督はハリソン抹殺の指示を出す。だが、スポックはその作戦に意義を唱える。意見を衝突させつつも、カークとスポックはハリソンを追って、一路惑星クロノスを目指す。そこは連邦と緊張関係にあるクリンゴン帝国の母星でもあった。
ジョン・ハリソンはなぜテロ行為に及んでしまったのか....?
そこにはカークやスポックも知らない、恐るべき秘密が隠されていた....!
 
 
ドラマチックすぎて、お腹がいっぱいですッ!(^皿^)/
前作「スター・トレック」でもその類い稀なる演出力を見せつけてくれたJ.J.エイブラムス監督でしたが、今作ではそれを更に上回るドラマチックな展開が繰り広げられます。
最初から最後まで、息をつく暇がないほど、正に全編見せ場といってもいい見応えのあるドラマに、見終わった後は心地良い疲労感に包まれました。
 
まずはつかみとも言えるオープニング。
元々は調査のために訪れた未開の惑星ニビルで、独断により救出活動を行ってしまうカーク。救出活動には賛同するものの、あくまで規則(ルール)を重んじようとするスポック。直感で行動するカークと、論理的に行動しようとするスポックの対比を描きながら、冒頭から迫力のある映像と演出力で見せるエイブラムス監督。前作を見ていれば相変わらずの二人の姿に、思わずニヤリとすること間違いなしだし、前作を見ていない人にもカークとスポックの関係性がそれとなくわかるようになっている見事な演出でした。この冒頭の出来事をきっかけに、カークは船長として初の挫折を味わうことになる訳ですが、その後もカークには大変な出来事が待ち受けています。
 
一方、今作の悪役で注目を集めているベネディクト・カンバーバッチは、オープニングタイトル後に静かに登場。人気を博したという英BBCドラマ「シャーロック」は残念ながら未見ではありますが、すらりとしたスタイルに、鋭い目つきと低い声がとても印象的な役者さんで、悪役としての存在感は抜群でした。非常に複雑なキャラクターであるジョン・ハリソンを魅力的に演じたベネディクト・カンバーバッチは、これからも要注目の俳優となること間違いなし!ですね。
因みにジョン・ハリソンの正体は旧シリーズではお馴染みの“あの人”な訳ですが、同じく旧シリーズではお馴染みのクリンゴン星人をここ一番で登場させたりと、旧作ファンに対するサービスも忘れない脚本がお見事です。
 
主要キャラ以外の登場人物たちもまた、前作に劣らず魅力的でした。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるジョン・ハリソン登場の影響で、どうしてもそれぞれの登場時間が削減されてしまった感は否めませんが、それでも各自に見せ場があり、このあたりはJ.J.エイブラムス監督の演出によるバランス感覚が絶妙でした。カール・アーバン演じるボーンズは要所要所でぼやくコメントが笑いを誘いますし、ゾーイ・サルダナ演じるウフーラは、スポックに対して揺れる乙女心を見せて、女性ファンの共感を誘います。本来コメディリリーフであるサイモン・ペッグ演じるスコッティは、笑いをとりつつも今回はシリアスな演技を披露して物語を引き締めます。しかもここ一番でカークたちエンタープライズ号の危機を救う大活躍ぶり!。ジョン・チョウ演じるヒカルや、アントン・イェルチェン演じるチェコフも、出番は少ないものの存在感はきっちりと発揮していました。
一方、今回初登場となるキャロル・マーカス。演じるアリス・イヴはクラシックな美しさがひと際目立つ美女で、ミステリアスで芯の強いキャラクターを魅力的に演じていました。ピーター・ウェラーもすっかり貫禄充分のおじさんになっており、ブルース・グリーンウッドとともに、作品の重厚感を醸し出すのにひと役買って出ていました。
 
そして、圧巻のクライマックス!。
エンタープライズ号を救うため、自らの命を捧げたカークの死に触れて、遂に感情を爆発させたスポックは、逃亡するジョン・ハリソンを追って、地球の地へと降り立ちます。ここから怒濤の追跡劇が始まります。市街地での追いかけっこを経て、二人は空中移動するカーゴ船の上で遂に一騎打ち。ここでの映像が本当に迫力満点で、もう大興奮!。このテの映像はともすればマンガ的になり興醒めすることも珍しくありませんが、そこはJ.J.エイブラムス監督!演出がよくわかっています。要所要所でいかにもヘリの空撮で撮りました的なフェイク映像を挿入することで、絵空事でありながらリアリティのある迫力ある映像を実現。オイラは2Dで鑑賞しましたが、これは3D映像で見たらきっと迫力満点の映像だったに違いありません。
 
 
オイラは元々スター・トレック自体にそれほど興味がなかったので、旧シリーズもドラマ・映画版ともにほとんど見たことがありませんでした。なので、前作「スター・トレック」(2009)もなんとなく劇場スルーしました。でも、後にDVDで作品を鑑賞してそのことをすごく後悔した思い出があります。今作「〜イントゥ・ダークネス」も劇場で見てこそ楽しめる壮大な作品となっています。迫力ある映像とドラマチックな物語を是非多く方に見て頂きたいと思います。前作を見ていれば楽しさはもちろん増しますが、前作を見ていなくても楽しめるようになっていますのでどうかご安心を。その点はスター・トレックのことをよく知らなかったオイラが保証します!(^皿^)/。
残暑がまだまだ厳しい今夏ですが、是非「スター・トレック イントゥ・ダークネス」で宇宙旅行気分を満喫しつつ、映画館納涼して下さいませ(^皿^)/。
 
 
     あのスポックが....全力疾走するッ!!(^皿^)/
     スポック.jpg 
常に冷静沈着なスポックが、親友カークの死に触れて遂に怒り爆発!
悪漢ジョン・ハリソンを追って、全力疾走する姿が超かっこいいのであります。
ワープ(空間移動)が発明されている世の中で、なんで配送カーゴなんてあるの?....などというツッコミをしてはいけない。このレトロSF感こそが、スター・トレックの魅力なのだ!
 
スター・トレック イントゥ・ダークネス(OST)

スター・トレック イントゥ・ダークネス(OST)

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: Rambling Records
  • 発売日: 2013/05/15
  • メディア: CD

オープニングでお馴染みのテーマ曲が流れただけで、もう感涙!
エンタープライズ号が浮上する際に流れるヒーロー・ファンファーレが超イカス♪
マイケル・ジアッキーノ師匠は、前作にも増して今作でもいい仕事をしてました
これはオイラのサントラ・コレクション入り決定!(^口^)/
 
スター・トレック [Blu-ray]

スター・トレック [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: Blu-ray

...うーん、何度見てもこのパッケージのクリス・パインの顔って....(^皿^;)
実のところ、「〜イントゥ・ダークネス」は日本語吹き替え版で見たかった!
というのも、前作「スター・トレック」の吹き替え版がとても素晴らしい出来だったから
坂口周平さん(カーク)、喜山茂雄さん(スポック)らの素晴らしい吹き替えは、
ソフト化された時、改めて堪能してみたいと思います!(^皿^)/。
  

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夢が破れたその先にあるもの....〜「モンスターズ・ユニバーシティ」を鑑賞する [映画鑑賞]

  
      『誰が何と言おうと、自分を信じて!』
                  〜マイク・ワゾウスキ      
       
        『モンスターズ・ユニバーシティ』
        【原題:Monsters University(怪物大学)】
        2013年/アメリカ映画/カラー/1時間51分
 
  監督:ダン・スキャンロン
  脚本:ダニエル・ガーソン&ロバート・L・ベアード
     ダン・スキャンロン
  音楽:ランディ・ニューマン
 
声の出演:ビリー・クリスタル   ....マイク・ワゾウスキ
     ジョン・グッドマン   ....ジェームズ・P・サリバン
     スティーヴ・ブシェミ  ....ランドール・ボグス
     ヘレン・ミレン     ....ハードスクラブル学長
     アルフレッド・モリーナ ....ナイト教授
     他 
 
【あらすじ】
緑色の一つ目小鬼マイク・ワゾウスキ(声:ビリー・クリスタル)は、幼い頃からの夢であった“怖がらせ屋”になるべく、名門モンスターズ・ユニバーシティの門を叩いた。そこでマイクは毛むくじゃらの怪物ジェームズ・P・サリバン(声:ジョン・グッドマン)と出会う。通称“サリー”と呼ばれる彼は名門サリバン一家の出身で、怖がらせ屋としての才能に溢れる若者だったが、自惚れが強く怠け者でもあった。そんなサリーに対して並々ならぬ対抗心を燃やすマイクは、日々怖がらせの勉学に励むのだった。
だが、怖がらせ学部の学期末試験の場でマイクとサリーはハードスクラブル学長(声:ヘレン・ミレン)から、学部の追放を告げられる。理由は〜マイク→見た目が怖くない サリー→怖がらせ学を学ぶ姿勢がない〜というものだった。落ち込むマイクだったが、名案を思いつく。それは学園内で開催される怖がらせ大会に出場して優勝するというものだった。「怖がらせ大会で優勝して、自身の怖がらせ屋としての実力を証明してやる!」と意気込むマイクだったが、大会に出場するためには6人チームを組まなければならない。そこでマイクが選んだのは大学内でも落ちこぼれの集まり“ウーズマ・カッパ(通称:OK)の面々4人、そして犬猿の仲であるサリーだった。
こうして、怖がらせ大会の優勝を目指して、マイクたち6人の奮闘が始まった....!
 
 
 
映画「モンスターズ・インク」が嫌いなのです。
....って言うと、ピクサー映画ファンから反感を買うかもですね(^皿^;)。
正確に言うと、“嫌い”ではなく、とても“不満が残った”作品だったのです。
その大きな理由は、物語の終わらせ方でした。
「モンスターズ・インク」では最後、少女ブーとサリーが再び会えるようになって結末を迎えます。そこに感動を覚えた方もきっと多かったと思いますが、それこそがオイラ的にはダメな部分でした。あそこは情に流されず、きちんとサリーとブーの別れを描くべきだったと思っています。人は別れを経験することで成長出来るはずのに、それをうやむやにしたことで物語として非常に締まらない生温い作品となってしまったように感じました。
 
そうした経緯もあってか、続編である今作にもそれほど期待をしないで鑑賞しました。
ですが、本作は前作を越える素晴らしい作品となっていました。
それはこの作品がこれまでのアニメでは決して描くことのなかった事柄を堂々と描いていたからです。
 
【“夢や希望”は努力すれば、必ず叶うモノ....?】
「モンスターズ・ユニバーシティ」には、日本語でこんなコピーが付けられています。
 
   誰だって子供の頃の夢がある
   難しいのは、その夢を持ち続けること....。
  
なかなか素敵な謳い文句ですが、実はこの作品の真のメッセージではありません。
またプログラム内で脚本家の斎藤ひろしさんは、“この作品は「夢に向かって進むことの大切さ」を訴えている”と説明していますが、これもまた微妙に違います。
確かにこの作品では、マイクが夢に向かって奮闘する健気な様子が丹念に描かれています。その点は間違いなく感動的です。ですが、前作「〜インク」をご覧になられた方は既にご存知のように、マイクは念願だった“怖がらせ屋”になることは出来ません。そう、マイクの夢は決して叶うことがないのです。すなわち“どんなに努力しても、叶わない夢がある”ということを、堂々と宣言して見せるのです。これにはかなり驚かされました。何故ならこれまでのアニメでは決して描かれることのなかったメッセージだったからです。これまでのアニメでは主人公は頑張った分、その努力が結実して夢が叶う....というスタイルが数多く描かれてきました。
しかしながら、今作ではそうならない姿をとても客観的に描いています。
 
では、そんな夢のないネガティヴなメッセージがこの作品のテーマなのでしょうか?。
もちろん違います!。
この作品の真のメッセージとは監督のダン・スキャンロンも語っているように....
 
例え夢が破れたとしても、それで世界が終わりという訳ではない
 
....ということです。本作が前作「モンスターズ・インク」よりも数倍素晴らしいのは、正にこの部分に集約されています。先述したように、前作「モンスターズ・インク」では少女ブーとの別れを描かないという、実に生温い結末で物語を終えました。しかし本作では一転、見た目には楽しいアニメにも関わらず、厳しい現実をきっちりと描いています。ファンタジーでありながら、安易なハッピーエンドにしなかった点が、この作品をとても価値あるものとしています。

マイクは騒動を起こした責任をとらされ、サリーと共に大学から追放されてしまいます。
すなわち、それは怖がらせ屋になる道が断たれてしまったことを意味します。
人よりも数倍努力してきたにも関わらず、その努力は遂に実を結ばなかったマイク。
これまで怖がらせ屋になるべく、一心不乱に道を歩んできたマイクは、
サリーとの別れの際、弱々しくこう呟きます〜
「人生で初めてなんだ、予定のない行動をとるのは....」
しかし、そんなマイクに対してサリーはこう語りかけるのです。
 
『学長が言ってたように、お前は確かに怖くない。でも、お前は誰よりも最強の“怖いものなし”じゃないか!』
 
サリーの言葉に思わずハッとさせられるマイク。
そこにハードスクラブル学長が現われて、マイクに語りかけます。
「ワゾウスキさん、あなたには本当に驚かされたわ。その意気でこれからも人間たちを驚かしなさい」
親友サリーやハードスクラブル学長の言葉を受けて、マイクは気付くのです。
例え怖がらせ屋になれなくとも、人をビックリさせることは出来るということを。
マイクは自身の夢をほんの少しだけ軌道修正して、そしてその夢を手にします。
それは最高の“怖がらせ屋”サリーのサポートをするという仕事に就くこと。
ここに監督ダン・スキャロンが訴えたかったメッセージ〜「夢が破れたとしても、それで世界が終わりという訳でなはい」というメッセージが強く込められています。
今作は前作よりもはるかにエンディングが素晴らしいです。
憧れだったモンスターズ・インク社に、半ばアルバイト同然で入社したマイクとサリー。
そこで二人は、郵便物仕分け係→清掃係→食堂のキッチン&ホール係→ボンベ倉庫の整理係....と、様々な部署で実績を積み重ねていきながら、やがて怖がらせ部門へと昇格していきます。この着実にステップアップしながら夢へと近づいていく二人の姿が、とても清々しいです。我々観客はここまでマイク・ワゾウスキの頑張りを見てきているので、このステップアップの過程が嘘臭くなく、「この二人ならきっとやってのけるだろう」という説得力に満ちあふれています。それにしても、モンスターズ・インク社で業績トップを挙げる二人が、まさか名門大学中退だっただなんて、驚きですね!(^皿^)。
 
 
夢を持つことは確かに素晴らしいことです。
それに向かって努力することもまた、とても大切なことです。
しかし、現実世界では夢を実現出来る人はほんの一握りです。
ほとんどの方が夢を諦めたり、挫折したりという経験があると思います。
では、そうした方々は夢を手にした人たちよりも不幸なのでしょうか?。
....そんなことは絶対にありません!。
それをマイクが証明してくれます。例え、夢に破れたとしても、それで全てが崩壊する訳じゃない。ほんのちょっと目先や視点を変えただけで、新たな夢や進むべき道は必ず開ける.....そんなメッセージを力強く発信しているのが、本作「モンスターズ・ユニバーシティ」なのです。そんな価値あるメッセージを込めながら、もちろんアニメーションとしてもとても楽しい作品となっている「モンスターズ・ユニバーシティ」。
是非多くの方々に鑑賞して頂きたい、素晴らしい作品です。
超お薦めします!(^皿^)/
 
 
   オイラも勝手に“ウーズマ・カッパ(O.K.)入り!(^皿^)
   マイクとオイラ.jpg

Monsters University

Monsters University

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Walt Disney Records
  • 発売日: 2013/06/18
  • メディア: CD

久しぶりにランディ・ニューマン師匠の音楽を聴きました
大学を舞台にしている事もあって、オープニングから賑やかなマーチングバンド風音楽が作品を盛り上げます。さすがベテラン、その仕事ぶりは安定感抜群でした(^皿^)
コレはオイラのサントラ・コレクション入り決定♪
 
 
さて、日本語吹き替え版ですが、こちらも素晴らしい出来でした♪
爆笑問題の田中裕二さん、ホンジャマカの石塚英彦さんは、前作に引き続きマイク&サリーを好演されていました。おどおどしたランドールを演じる青山穣さん、ハードスクラブル学長を格調高く演じる一柳みるさんなど、脇を固めるベテラン陣声優さんもまた素晴らしい演技を披露されていて素晴らしかった。
こちらに関してはまた日を改めて記事にしたいと思います(^皿^)
  
モンスターズ・インク ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

モンスターズ・インク ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray

はっきり言ってオイラの中では凡作扱いの「〜インク」
でも、それも「〜ユニバーシティ」に向けての長い長い予告編だったと思えば、それもまた一興。恐らく「〜インク」を感動作だと位置づけてる人には、今作「〜ユニバーシティ」は物足りなく感じる事だろう。しかし、オイラは生温い「〜インク」よりも、ピリ辛の「〜ユニバーシティ」の方が断然好みだ!(^皿^)/
 

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ラルフ、悪役やめるってよ!?〜「シュガー・ラッシュ」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
        『シュガー・ラッシュ』
     【原題:Wreck-it Ralph(ラルフが破壊するぜ!)】
      2013年 アメリカ映画 カラー作品 1時間48分
 
  監督:リッチ・ムーア
  脚本:フィル・ジョンストン ジェニファー・リー
  音楽:ヘンリー・ジャックマン
 
声の出演:ラルフ     ....ジョン・C・ライリー
     ヴァネロペ   ....サラ・シルヴァーマン
     フェリックス  ....ジャック・マクブレイヤー
     カルホーン軍曹 ....ジェーン・リンチ
     キャンディ大王 ....アラン・テュディック
 
【あらすじ】
ここはとある街のゲームセンター。
80年代に人気を博したゲーム「Fix it Felix Jr.(フェリックスが直すよ)」は、今もゲームセンターの片隅で稼働している。ゲーム内の悪役キャラクターであるラルフ(ジョン・C・ライリー)はこの30年間、物を破壊する仕事に徹してきた。だが、ゲーム内の主人公フェリックス(ジャック・マクブレイヤー)に憧れていた彼は、長年の思いを実現させるべく、ヒーローの証しであるメダルを目指して他のゲームへと進入を試みる。やってきたのは最新SFシューティングゲーム「HERO'S DUTY(ヒーローの職務)」。ここで念願だったヒーローの証し“メダル”を手に入れたラルフだったが、トラブルが発生しメダルもろとも別のゲームへと飛ばされてしまった。やってきたのは、お菓子の世界でレースが展開される「シュガー・ラッシュ」。ここでラルフはヴァネロペ(サラ・シルヴァーマン)という一人の少女と出会う。ヴァネロペは不良プログラムのためレースに参加出来ず、疎外された日々を過ごしていた。だが、ラルフの持って来たメダルがあれば念願だったレースへと出場出来るヴァネロペは、勝手にメダルを使用してしまう。メダルを取り戻すためには、レースで優勝するしかない。
こうしてラルフは不本意ながらヴァネロペに協力することになるのだが....
 
 
【新鮮な面白さ!】 
前作「塔の上のラプンツェル」で、見事に原点回帰し成功を収めたディズニーアニメ。
ところが続く今作では、お得意のミュージカル要素を一切排除した、新たな作品への挑戦を試みています。その姿勢に一抹の不安を感じていましたが、それはまったくの杞憂に終わりました。監督に抜擢された「ザ・シンプソンズ」のリッチ・ムーア監督は、およそディズニーらしくない演出で物語を盛り上げてくれます。
例えばそれはオープニングから早速披露されます。ラルフの独白でスタートする「シュガー・ラッシュ」。様々なゲームに登場する悪役キャラクターたちが集まってグループセラピーを開いています。日本ではあまり馴染みのないグループセラピーですが、アメリカ映画では頻繁に出てくる一般的な光景です。ここで悪役たちが、決してゲーム内では見せることがない姿を披露して笑いを誘います(でも日本人として是非ひとこと言っておきたいことがある....ストⅡのザンギエフは悪役じゃないよッ!)。また劇中でフェリックスがカルホーン軍曹に殴られる場面があります。とある理由でフェリックスはカルホーン軍曹に自分を殴って欲しいと懇願する訳ですが、これが結構なバイオレンス場面で爆笑してしまいました。ここまで激しいバイオレンス描写はディズニーアニメではとても珍しいのではないでしょうか?。ある意味ギャグマンガ的描写ではありましたが、かなりブラックなギャグで大笑いしました。
 
こうしたおよそディズニーらしくない演出で作品を盛り上げるその一方で、
ディズニーらしい感動もしっかりと見せてくれるリッチ・ムーア監督。
ラルフとヴァネロペが二人で協力して作ったレースカーを、とある理由で壊すことになるラルフの姿には思わず涙がこぼれました。また、クライマックスでヴァネロペを救うため、自らを犠牲にしようとするラルフの姿は本当に感動的で、こちらも号泣必至の場面でした。
とにかく脚本が素晴らしくて、そのことに感動しました。
何気ない前フリが、後半になってちゃんと活きてくる展開が、実にお見事。
リッチ・ムーア監督の演出が随所でキラリと光った「シュガー・ラッシュ」。
こうして涙、涙の感動で幕を閉じた訳ですが、その一方で作品を見ていて「こうだったら良かったのに」と感じる部分もいくつかありました。無粋ではありますが、敢えてその部分を列挙してみたいと思います。
 
【ラルフはドット絵で描いて欲しかった!】
ゲーム画面ではドット絵のラルフやフェリックスも、ゲームの中に入るとその姿はハイクオリティCGになってしまいます。まあ、CGアニメなんだからそれは当たり前なんですが、せめて自分のゲーム世界にいる時ぐらいはドット絵の姿のままでいて欲しかったです。フェリックスが初めてカルホーン軍曹に出会った時、「何て解像度の高い美しい顔なんだ」とつぶやく場面があります。台詞としてはすごく笑える場面なのですが、画的には面白くありません。何故なら、そう言ってるフェリックス自身の顔も実際には高解像度のCG映像だったからです。これはフェリックスがドット絵の姿でいて初めて成立する台詞であり、そういった意味では非常に惜しい場面となっていました。
また、ラルフやフェリックスは普通なのに、マンションの住人だけカクカク動くのもいただけません。マンションの住人もラルフやフェリックス並に普通の動きにするか、もしくはラルフやフェリックスをマンションの住人のようにカクカク動かすか、どちらかに統一しなければ世界観があやふやになってしまいます。その統一感の無さが非常に残念な部分でした。
 
【悪役は、悪い人....なの!?】
今回の物語で一番無理がある設定は、ラルフが悪役として嫌われているという点です。
これは物語の核となる設定ですが、それこそが一番無理がある部分でした。例えば、ドラマや映画で悪役を演じる人が、実際には悪い人ではないというのは、誰もが知っている周知の事実です。それは「シュガー・ラッシュ」に於けるゲーム世界でも同じです。ラルフに限らず、ゲームのキャラクターは皆それぞれの役割を演じています。ゲームが終われば、皆その役割から解放されます。にも関わらず、何故悪役だけがゲーム終了後も演じている役を引きずって嫌われているのでしょうか?。これは相当に無理があると感じました。
むしろ、ゲーム中は善人=フェリックス、悪人=ラルフという構図が、OFFの時は立場が逆転するという設定の方が面白かったのではないでしょうか?。ラルフは悪役を演じてはいるけど、ゲームが終わるとマンションの住人に慕われていて、フェリックスはゲーム中はヒーローだけど、実際はうぬぼれ屋の自信家でマンションの住人には嫌われているという設定の方が、現実世界をより反映していて面白かったように思います。
 
【ラルフとフェリックスの友情を描いて欲しかった!】
今回の物語の核はラルフとヴァネロペの美女と野獣スタイルを借りた友情物語となっています。これはこれで実に感動的な物語となっていましたが、オイラはむしろラルフとフェリックスの友情を描くロードムービーにして欲しかったと思いました。ラルフとヴァネロペの交流が描かれるのに並行して描かれるのが、フェリックスとカルホーン軍曹の恋愛模様です。もちろん、それはそれで面白くはありましたが、物語の本質にはそれほど関係のないエピソードです。むしろ、ラルフとフェリックスが他ゲームを旅しながら、お互いの価値観を共有しつつ、協力してヴァネロペを助ける....といった三角形の構図の方が面白かったように思いました。劇中でフェリックスがカルホーン軍曹にフラれた後で、ラルフに八つ当たりする際「のけ者にされ、犯罪者扱いされる気持ちがお前にわかるか?」とフェリックスに問われたラルフが、「その気持ちわかるよ、30年間味わってきたから...」とポツリと漏らす場面があります。二人の心が近づく感動的場面です。こうした二人の交流をもっと掘り下げて描いて欲しかったと感じました。
 
 
まあ、オイラの個人的な意見はともかく、新作「シュガー・ラッシュ」はディズニーらしくない演出と、ディズニーらしい演出が見事にミックスされた、非常に面白い作品でした!。
山寺宏一さんによる日本語吹き替えも、本当に素晴らしかったです。
こちらに関しては、また改めて記事にしたいと思います。
劇場公開終了間近ですが、間に合う方は是非劇場へ!
お薦めの作品です!
 
 
    ハンマー使いの二人、夢の共演!
    フェリックスとソー.jpg
 
『ソー&フェリックス 金と銀のハンマー』〜近日公開決定!?
ディズニーがマーベルを買収した今だからこそ、実現出来る夢の企画!
是非、実写映画化をご検討下さい♪(^皿^)/
  


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今日もせっせとスーツ作り!〜「アイアンマン3」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
        『アイアンマン3』(原題:IRON MAN 3)
      2013年 アメリカ映画 2時間10分 日本語字幕翻訳:林完治
 
 監督:シェーン・ブラック
 脚本:ドリュー・ピアース&シェーン・ブラック
 音楽:ブライアン・タイラー
 
 出演:ロバート・ダウニーJr    .....トニー・スターク/アイアンマン
    グウィネス・パルトロウ   ....ヴァージニア・“ペッパー”・ポッツ
    ドン・チードル       ....ジェームズ・ローズ空軍大佐
    ガイ・ピアース       ....アルドリッチ・キリアン/組織A.I.Mのリーダー
    レベッカ・ホール      ....マヤ・ハンセン/植物学者でスタークの元恋人
    ジェームズ・バッジ・デール ....エリック・サヴィン/キリアンの部下
    ジョン・ファブロー     ....ハッピー・ホーガン/スターク社の保安責任者
    タイ・シンプキンス     ....ハーレイ/スタークを助ける少年
    ベン・キングスレー     ....マンダリン/正体不明のテロリスト
    ウィリアム・サドラー    ....エリス/アメリカ大統領
    ミゲル・フェラー      ....ロドリゲス/アメリカ副大統領
    他
 
【あらすじ】
“アベンジャーズ”の戦いから1年....
アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)は、戦いの後遺症から眠れない日々が続いていた。不眠症や強迫観念から、彼はアイアンマンスーツの製作に余念がない。現在はスターク社の社長へと就任した恋人のペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)は、そんな彼の身を心配するが、二人の間には微妙な距離が出来てしまっていた。
折しも、アメリカは謎のテロリスト・マンダリン(ベン・キングスレー)の脅威にさらされていた。そして悲劇が起きてしまう。トニーの元護衛で現在はスターク社の保安責任者であるハッピー・ホーガン(ジョン・ファブロー)がチャイニーズ・シアターでの爆破テロに巻き込まれ瀕死の重傷を負ってしまったのだ。怒りに我を忘れてしまったトニー・スタークは、マンダリンに対して宣戦布告をするが、逆にトニー・スターク自身が襲撃され自宅は完全崩壊、自身やポッツの身はかろうじて守ったものの、全てを失ってしまう。
だが、トニー・スタークは愛するものを守るため、自身の信念を全うするため再び立ち上がることを決意する....!
  
  

なかなか面白かったよー!(^皿^)/ 
シリーズの最終章を飾るにふさわしい、実にドラマチックな2時間10分間でした。
ぶっちゃけ、ツッコミどころは満載ですが、それらが気にならない演出はなかなかのもの。
代表的なのは、中盤、大統領専用機エアフォースワンから投げ出された人々を救出する場面。救出の仕方は文字通り“マンガ的”なのですが、映像的にはなかなか迫力があり、ハラハラドキドキ感爆発!。救出成功時には、素直に感動してしまいました。
 
ただ、悪役マンダリンにはちょっと拍子抜けしてしまいました(^皿^;)。
あの展開はアリだとは思いますが、良い意味でも悪い意味でも裏切られて複雑な心境です。何より、この役をよくベン・キングスレーが引き受けたなあ、と違う意味で感心してしまいました。もっとも名優ベン・キングスレーだからこそ、成立したキャラクターだったのかもしれませんね。ベン・キングスレーという俳優は、オスカーを獲るほどの演技派にも関わらず、ちょいちょいこちら側のジャンル映画に顔を出してくれるとってもいいおじさんです。今回のマンダリンを見て、ますますベン・キングスレーのことが好きになりましたヨ。
  
予告編でも流れていたように、今回はクライマックスでこれまでトニー・スタークの作った数々のアイアンマンが大挙して登場します。これはなかなかに壮観で迫力がありました。
そして、シリーズ最終章にふさわしい結末を迎える「アイアンマン3」。
ある意味「ダークナイト・ライジング」のブルース・ウェインのような道を選ぶトニー・スターク。しかし、そこに暗い寂しさはありませんでした。何よりマンダリンの攻撃を受け、海中へと埋没してしまったコンピューターアーム“ダミー”を回収するその優しい姿に、生まれ変わった新生トニー・スタークを垣間見れて清々しい思いでした。
このGW、是非皆さんも「アイアンマン3」を劇場で楽しんで下さいッ!。
 
トニー・スタークよ、「アベンジャーズ2」でまた会おう!
 
 
     最新ヴァージョン、アイアンマン・マーク42
     アイアンマン、マーク42.jpg   
ところで今回の物語、「アベンジャーズ」の戦いより1年後の設定。
「アベンジャーズ」の時のアイアンマンスーツがバージョン7だったのに対し、今回の「アイアンマン3」の最新バージョンはなんと42!。つまり、トニー・スターク社長はこの1年間で35体ものアイアンマンスーツをせっせと作っていたことになります。
35体を1年12ヶ月で割ると、ひと月で約2体作ってた計算に....
 
社長ってば、働きすぎだよッ!!(笑)
 
オイラだって、未だ「アイアンマン」のプラモデル完成させてないのに....(^皿^;)
 
そして、マーベル・ユニバースの映画ではもはやお馴染みとなりましたオマケ映像。
もちろん今作「アイアンマン3」でもエンドクレジット後にそれが見られます(だから最後まで席を立たないように注意しよう!)。今回はアノ人がサプライズ出演します。
「アベンジャーズ」を見てれば、アノ人が出演するのも納得です。
ちゃんとオープニングの展開から繋がっているのが芸細です!。
更に更に!、すべてが終わった後に唐突に流れ始める「マイティ・ソー2」の予告編。
1作目は特に見ようと思わなかった「ソー」ですが、続編はなかなか面白そうでした。
もちろん“へなちょこ”ロキも出てたよ!(^皿^)/。

Iron Man 3

Iron Man 3

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hollywood Records
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: CD

ブライアン・タイラーの音楽、ちょっとジャンジャカうるさいきらいはあるものの、メロディ的にはまずまずといった感じ。むしろこのジャンジャカ音がアイアンマンには合っていたのかもしれない。エンドクレジットの音楽&映像は、なかなかかっこ良かった!。
  
 

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ゾンビをやっつけ....えっ!?、助けるの??〜「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を鑑賞する [映画鑑賞]

     『 パラノーマン ブライス・ホローの謎』 
    【 原題:ParaNorman 】 ライカ・エンターティメント社提供
     2012年 アメリカ映画 カラー 92分
 
  監督:サム・フェル、クリス・バトラー
  脚本:クリス・バトラー
  音楽:ジョン・ブライオン
  キャラクター・デザイン:ハイディ・スミス
 
  出演:コディ・スミット=マクフィー  ....ノーマン/ホラー映画好きの少年
     タッカー・アルブリッチ     ....ニール/ノーマンのクラスメイト
     アナ・ケンドリック       ....コートニー/ノーマンの姉
     ケイシー・アフレック      ....ミッチ/ニールの兄 マッチョ
     クリストファー・ミンツ=ブランセ....アルヴィン/いじめっ子
     レスリー・マン         ....サンドラ・バブコック/ノーマンの母親
     ジェフ・ガーリン        ....ペリー・バブコック/ノーマンの父親
     ジョン・グッドマン       ....プレンダーガストおじさん/母方の伯父
  
【あらすじ】
魔女伝説が今も根強く残る田舎町ブライス・ホロー。
ノーマン・バブコックは、ホラー映画が大好きな11歳の少年。ノーマンは持って生まれた能力〜死者の姿が見え、会話が出来る〜のおかげで、家庭内や学校でも奇人扱いされ孤独な日々を過ごしていた。唯一優しく接してくれるのは、級友のニールだけである。
ある日、疎遠だったプレンダーガストおじさんが突然訪ねてきた。プレンダーガストはノーマンに一族の秘密をうち明ける。「我々一族はこれまで魔女が復活しないように見守ってきた。その仕事を君に引き継いで欲しい」、そう告げるとプレンダーガストは急死してしまった。戸惑うノーマンだったが、勇気を出しておじの遺言を守ろうと決める。魔女が眠るという森の中の墓場で魔女封印の儀式を執り行っていたノーマンだったが、それをいじめっ子のアルヴィンに邪魔をされてしまった。その結果、魔女は復活、それに合わせて墓場からはゾンビたちが甦り、ノーマンたちに襲いかかる。だが、ノーマンの前に立ちはだかったゾンビたちは意外な言葉を口にする〜「我々を助けて欲しい」と....
 
 
あぁ、これぞ至福のひととき!(^口^)/
半年くらい前から見るのを非常に楽しみにしていた「PARANORMAN」。
これが想像以上に素晴らしい出来で、大好きな人形アニメをたっぷりと堪能出来ました。
人形アニメーションを見ていると、どうしてこんなにも幸せな気持ちになるのだろう?。
ピクサーのCGアニメがどんなに素晴らしくても、それは結局のところコンピューター内に存在する数字上のデジタルデータでしかありません。ですが人形アニメは画に映るモノが実際に存在するという圧倒的リアル感。そのことに素直に感動させられるのかもしれません。
人形はもちろんですが、衣装やセット、小物などその全てが手作りという徹底したこだわり。特筆すべき点はそのデザインがまるでフリーハンドで描かれたような優しい曲線で形作られているということです。例えば、ノーマンが学校で使用しているロッカー。作る側からすれば直線で構成されていた方が圧倒的に楽なのに、敢えていびつな形で製作されています。セットの建物なども同じです。あるいは道路に置いてあるコーン(三角のヤツね)は、ひとつとして同じものがありません。こうした数を必要とするアイテムは通常一個作ってあとは同じものを複製といった手法がとられたりするものですが、そうした手法をとらず敢えて一個一個作るという、実に気が遠くなるような作業がとられています。そうした手間ひまを惜しまない徹底したこだわりが、美術関係に素晴らしい奥行きを与えていました。
 
ライカ・エンターティメント社の前作「コララインとボタンの魔女」(2009)を鑑賞した時、「人形アニメーションも遂にここまで来たか!」との強い印象を受けましたが、今作「パラノーマン」はそれを更に上回るハイクオリティで、正直そのことにビックリ!でした。人形アニメの魅力と言えばカクカクした動きだったりする訳ですが、「パラノーマン」のモーションは本当に滑らかでそのカクカク感が全くありませんでした。だから見ている途中で人形アニメーションだということをすっかり忘れて思わずハッと我に返ることもしばしばでした。前作「コラライン」でもキャラクターはかなり表情豊かでしたが、その一方で人形色は強い作品でした(もちろん、そこがコララインの素敵な部分でもある訳ですが)。ところが「パラノーマン」のキャラクターは、実に活き活きとしていて生命感に溢れています。ものすごくディフォルメされたデザインなのに、その活き活きとした描写はまるでディズニーアニメクラスのハイレベル。「コラライン」とは人形に使用されている材質が違うため、主人公ノーマンの耳が夕日を浴びてピンク色に透けて見える部分や魔女マギーの手の透明感など、人形自体も本当に素晴らしい出来でした。
 
ライカ社の人形アニメが素晴らしいのは、人形アニメというアナログ技術に徹底的にこだわりながら、同時に最新デジタル技術を取り入れる柔軟さを持ち合わせている点です。
クライマックス、ノーマン少年の前に姿を現す魔女マギーのビジュアルは、そのハイブリッドな映像を堪能出来る素晴らしい場面となっています。美しさと激しさの両方を見事に表現したその映像は、圧倒的な迫力で魅了してくれました。
 
映像の素晴らしさはもちろんですが、ストーリーも本当に素晴らしかった。
ぶっちゃけ、前半の展開はかなり退屈なのですが、その分ノーマンの日常が丁寧に描かれており、好感が持てます。やがて魔女の封印が解かれ、ゾンビが甦ってきたあたりから物語は急激に面白くなっていきます。そして、ゾンビたちから明かされる過去の忌まわしい悲しい出来事。ノーマンはそのことに激しい憤りを覚えます。何故なら時代が違っていたら、自分もまた少女マギーと同じような境遇にあっていたかもしれなかったからです。かつて大人が犯してしまった過ちを正すため、孤軍奮闘するノーマン。感動的なのは暗黒面に堕ちてしまったマギーの魂を救うため、ひたすら対話をしようと試みるシーンです。疎外され孤独な日々をおくっているノーマンだからこそ、マギーの心の痛みを唯一理解出来る存在のノーマン。マギーの怒りを沈めようと命がけで彼女の話に耳をかたむけ、説得するノーマンの姿は本当に勇ましかった。
 
そして訪れる静寂。
人間だった頃の優しい心をとりもどした少女マギーは、優しい陽が差す森の中でノーマンの元にそっと寄り添って眠るように昇天していきます。
この場面のなんと神々しく美しいことか!
この場面を見るだけでも、この作品は見る価値が充分にあります。
ここ最近見た映画の中でも、特に印象に残った本当に美しい場面でした。
  
 
人は理解出来ないモノを怖れ、そして攻撃する
争いやいざこざが起きた時、大事なのは徹底的に話しあい相手を理解しようとする努力をすること。そんなことを11歳の少年に教えられる作品「パラノーマン ブライスホローの謎」。子供向けの単なる人形アニメと侮ることなかれ、集団になった時にとる大人の愚かな行為を風刺する社会性、コミュニケーションの大切さを訴える内容など、大人の鑑賞にも充分耐えうる良質のアニメーション作品です。
是非、ご鑑賞下さいッ!!(^皿^)/
 
 
      ありがとう、ノーマン
      マギー.jpg
かつてノーマンと似た能力のおかげで魔女と疑われ裁判にかけられた11歳の少女マギー。
彼女はそのまま魔女として処刑されてしまった。だが、その恨みは決して消えることがなく、現代に甦ったマギーは怒りを爆発させる。人々が彼女を怖れる中、ノーマンだけは彼女を救おうと奔走する。クライマックスのノーマンとマギーの対峙場面は、号泣必至の感動場面です!。

The Art and Making of ParaNorman

The Art and Making of ParaNorman

  • 作者: Jed Alger
  • 出版社/メーカー: Chronicle Books
  • 発売日: 2012/07/25
  • メディア: ハードカバー

これは絶対買いッ!(^皿^)
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定番のホラー映画と思わせて実は....!?〜「キャビン」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
『 父が泣き叫ぶ母の腹を裂き石炭を詰めた
  兄は肉を切り刻むと興奮するらしい
  私の腕は食いちぎられた
  私も痛みを与える喜びを感じられたらいいのだけれど.... 』
           
              〜アナ・ペイシャス・バックナーの日記より〜
 
 
 『キャビン』【原題:THE CABIN IN THE WOODS(森の山小屋)】
    2012年 アメリカ映画 95分 字幕監修:町山智浩
 
  監督:ドリュー・ゴダート
  脚本:ジョス・ウェドン&ドリュー・ゴダート
  音楽:デヴィッド・ジュリアン
 
  出演:【若者たち】
     デイナ   ....クリスティン・コノリー
     カート   ....クリス・ヘムズワース
     ジュールス ....アンナ・ハッチソン
     マーティ  ....フラン・クランツ
     ホールデン ....ジェシー・ウィリアムズ
 
     【研究所の人たち】
     シッターソン....リチャード・ジェンキンス
     ハドリー  ....ブラッドリー・ウィットフォード
     リン    ....エイミー・アッカー
     トルーマン ....ブライアン・ホワイト
     他
 
【あらすじ】
週末の休暇を楽しむために、人里離れた山小屋へとやってきた若者男女5人。だが楽しい時間も小屋の地下室で古びた日記を発見したことで一変する。日記の持ち主は、かつてこの小屋の持ち主だったバックナー家の末っ子アナが残したもので、そこにはバックナー家の闇の部分が記されるとともに、復活の呪文が添えられていた。その復活の呪文を何気なく唱えてしまった若者たち。すると地下より邪悪なバックナー家が甦り、若者たちを襲い始めた!。
 
一方、ところ変わってここはとある研究所。研究室の所員たちはモニターを見つめている。モニターに映し出されていたのは、山小屋を訪れていた5人の若者たちである。バックナー家の亡霊によって、ひとり、またひとりと犠牲になっていく若者たちの様子を淡々と見つめる所員たちがつぶやく。「よし、計画通りだ。これでクライアントも喜ぶぞ。」
彼らの正体は!?、そして若者たちを監視する理由はいったい何なのか!?。
やがて若者たちを取り巻く驚愕の事実が判明する....!!
 
 
いやー、久しぶりに面白いホラー映画でした!(^皿^)/
....っていうかコレ、“ホラー映画”というジャンルに果たして入れて良いものかどうか?。
それくらい非常に個性的でユニークな作品でした。
 
物語はお決まりのホラー映画風にスタートします。
舞台は人里離れた山小屋。ホラー映画ではお馴染みのキャラが、お約束のように過去の亡霊を甦らせ、お約束のようにひとりまたひとりと殺されていきます。正にホラー映画定番の展開そのものです....っていうか、まんま「死霊のはらわた」デス(^皿^)。
ところがそれと並行して描かれる研究所の人たちの様子が気になります。
惨劇に見舞われる若者たちをモニター越しで横目に観察しながら、それを深刻に受け止める風でもなく和気あいあいと業務をこなす研究所の人たちは、とても奇異です。若者たちの様子と研究所の人たちの様子との間に生まれるギャップに終始モヤモヤしたものを感じながら鑑賞することになる「キャビン」。
彼らの正体はいったい何なのか?、その目的はいったい何なのでしょう?。
これはいわゆる「トゥルーマンショー」や「ハンガーゲーム」の残酷版なのでしょうか?。それとも若者たちは実はロボットで人工知能のテストでも行っているのでしょうか?。そんな様々な想像を膨らませながら鑑賞することになる「キャビン」。こんなに頭をフル回転させながら見るホラー映画は初めてでした(苦笑)。
でも、結果的に自身が想像していたものはどれもハズレでした。若者たちの身に起こることはどれも事実ですが、残酷ショーのネット中継などではなく、ましてやバーチャルゲームの類いでもありませんでした。
では....果たして彼らの正体はいったい何なのでしょうか?。
 
【ここから、がっつりネタばれします!】
実は、若者たち男女5人は生け贄として捧げるために選ばれた者たち。
では、誰に捧げるための生け贄なのか?....それはこの地球に太古の昔から存在する邪神に対しての生け贄なのでした。地球上のありとあらゆるものを破壊し滅ぼすだけの力を持った邪神。しかし、その邪神も今は地下で静かな眠りについています。それは定期的に生け贄を捧げていたおかげであり、研究所の職員たちは生け贄が無事滞りなく神に捧げられるように監視・操作していた組織だったのです!。
 
そして、ここからが今作のユニークなところです。邪神に捧げる生け贄の血は、特別なものでなくてはなりません。それにはただ殺すだけではダメで、苦痛と恐怖を与える必要があります。そこで利用されるのが、この世に存在する悪しきものたち....すなわち怪物たちです。
映画の後半、バックナー家の亡霊たちから逃れたデイナ(クリスティン・コノリー)とマーティ(フラン・クランツ)は、研究所へと続く秘密の地下通路を発見、そこから研究所へと進入します。そこで2人が見たもの....それは古今東西様々な怪物たちが幽閉・隔離・管理された姿でした。透明な四角い箱に入れられた怪物たちが大挙して登場する場面は実に圧巻で、怪物好きのオイラは別の意味で悲鳴を挙げていました(^皿^)/。ざっと挙げると....
ウルフマン、巨大な動物たち(蛇・蜘蛛・ムカデ・こうもり、etc)、半魚人、ゴースト、悪霊、ゾンビ、ピエロ殺人鬼や殺人ドクターらのシリアルキラー、動く大木、ユニコーン(この作品ではユニコーンさえも人を襲う!)、機械仕掛けのロボット(似たヤツが「シュガー・ラッシュ」にも出てます!)、仮面を被った謎の集団、双子の姉妹(「シャイニング」のあの子たち!)、ヘルレイザー風の魔導士、などなど....。
その数はあまりにも膨大で、全部確認するのはほぼ不可能でした。
このあたりは是非ソフト化された時に全怪物のデーターを掲載して欲しい!。
この膨大な怪物の中から、生け贄となる対象者は自らが襲われる怪物を選択することになります。今回バックナー家の亡霊が選ばれたのは、若者たちが地下室で古日記を手に取ってしまったから。実は地下室にあったものは、それぞれがそれぞれの怪物に関連したアイテムであり、それによって生け贄を襲う怪物もまた変わってくるのです(貝殻→半魚人、キューブ型のパズル→魔導士、オルゴール→バレリーナの怪物、etc....)。研究所の人たちがこれを賭けの対象にして楽しんでいる姿は、かなりのブッラクユーモアでした。
 
そして、ここから怒濤の展開を見せることになる「キャビン」。
研究所の人間たちによって殺されそうになるデイナとマーティは反撃にうってでます。幽閉されていた怪物たちを解放するのです!。独房から解放された怪物たちは、研究所の人間を次々と襲っていきます。それは正に阿鼻叫喚の地獄絵図。研究所内部は瞬く間に血まみれとなっていきます。ユニークなのは、怪物同士で決して争うようなことはないということ。
皆それぞれ人間だけを襲う律儀さ、正に怪物の鏡です!(^皿^)/。
 
さて、遂に研究所の責任者(サプライズゲストは長年宇宙生物と戦ってきたあの人!)と対峙することになるデイナとマーティ。そこで究極の選択を迫られることになる二人。このまま生き延びて人類全員とともに邪神に滅ぼされるか?、それとも人類を救うために生け贄として死ぬべきか?、その結果は果たしていかに!?。それは是非ご自身の目で確かめて下さい。因みにこのユニークな脚本を手がけたのは、あの「アベンジャーズ」を世に送り出して我々アメコミファンを熱狂させたジョス・ウェドン監督。今ハリウッドで最も信頼出来る男が手がけた脚本だけあって、その面白さは保証付きです。
 
ホラー映画として久しぶりに面白さを味わった「キャビン」。
無論全編にわたり血まみれシーン続出で、そういったものが苦手な方もいらっしゃるでしょうが、それを理由に避けるにはあまりにも惜しい、それくらい面白い作品です。
是非是非、劇場で鑑賞して下さい、お薦めです!(^皿^)/。
 
 
      劇中、特に強い印象を残すバレリーナ・モンスター
      バレエ・モンスター.jpg 
見た目は少女のバレリーナそのものなのに、振り返るとその姿は....ガーン!、なんと口だけの顔だった!(T皿T)。日本でいうところの“口裂け女”なバレリーナ・モンスター。
解放された怪物たちが一様に人間を襲う中、ただ一人くるくると優雅に舞うだけのバレリーナ・モンスター。その姿が逆に不気味で恐かった....(^皿^;)。
 
ところで、この研究所は世界各地に支部があり、その中で日本の場面が出てきます。
舞台は小学校。女の子たちの前に現われたのは、貞子とトイレの花子さんを足して2で割ったような悪霊。その姿に女の子たちは恐怖に震えます。女の子たちは生け贄となってしまうのでしょうか?。ですが、女の子たちは力を合わせて悪霊を退治します。悪霊を取り囲むと聖なる歌(童謡!)でその魂を浄化していきます。やがて、力を失った悪霊はカエルの中に閉じ込められて一件落着!(どんな話だ!?)。
つまり、日本支部は生け贄を捧げるのに失敗した....というオチです。その様子をモニター越しに見ていたリチャード・ジェンキンス扮するシッターソンが「このクソガキども!」とマジ切れする姿が爆笑ものでした(^口^)。
 

モンスター大図鑑 (ネコ・パブリッシングのビジュアルガイドブック)

モンスター大図鑑 (ネコ・パブリッシングのビジュアルガイドブック)

  • 作者: ジョン・ランディス
  • 出版社/メーカー: ネコ・パブリッシング
  • 発売日: 2013/01/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

モンスター大好き!(^皿^)/

The Cabin in the Woods: The Official Visual Companion

The Cabin in the Woods: The Official Visual Companion

  • 作者: Joss Whedon
  • 出版社/メーカー: Titan Books
  • 発売日: 2012/04/17
  • メディア: ペーパーバック

シナリオ本が出てたので、思わず衝動買い!(^U^)♪
無論、洋書なので英語表記につき、内容はチンプンカンプン(泣)。
冒頭のドリュー・ゴダード監督と脚本ジョス・ウェドンのインタビュー記事が読めたら最高なんだけどなあ....トホホ(T皿T)。メインは当然シナリオな訳だけど、メイキング写真や劇中写真も満載の写真集的内容となっています。巻末にはちょっとだけモンスターたちが掲載されており、バックナー家のゾンビやバレリーナ・モンスターも載ってますよ♪
   


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雷兄弟は、永遠に不滅です!〜「テッド」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
          『テッド』( 原題:Ted )
       2012年 アメリカ映画 カラー作品 1時間46分 
       字幕・吹き替え版監修:町山智浩
 
 監督:セス・マクファーレン
 音楽:ウォルター・マーフィー
 出演:マーク・ウォールバーグ ....ジョン・ベネット
    ミラ・クニス      ....ロリー・コリンズ/ジョンの恋人
    セス・マクファーレン  ....テッド/魂の宿ったぬいぐるみ
    ジョエル・マクヘイル  ....レックス/ロリーの上司
    ジョヴァンニ・リビシ  ....ドニー/テッドをつけ狙う謎の男
    ジェシカ・バース    ....タミ・リン/テッドの同僚
   andノラ・ジョーンズ、サム・ジョーンズ、トム・スケリット、ライアン・レイノルズ
 
【あらすじ】
孤独な少年ジョンは、クリスマスに両親からクマのぬいぐるみをプレゼントされた。ジョンはそのぬいぐるみをテッドと名付け可愛がる。そして「君と本当にお喋りが出来たらいいのに」と願うのだった。やがて奇跡は起こる。ジョンの願いが通じ、ぬいぐるみのテッドに魂が宿ったのだ。こうして、ジョンとテッドは唯一無二の友達となった....。
あれから27年....35歳になったジョン(マーク・ウォールバーグ)はレンタルカー会社で働きながら気ままな生活。一方、テッドは“言葉を喋るぬいぐるみ”として一世を風靡したものの、やがてそのブームも去り、今ではアルコール漬けの不良中年と化していた。だが、大人になった二人の友情は今でも変わることがなかった。
数年前、恋人ロリー(ミラ・クニス)と運命的な出会いを果たしたジョンは幸せな日々を送っている。しかし、ことあるごとに二人の間に割って入ってくるテッドのことが、ロリーは気に入らない。ロリーに「テッドと別れて暮らして!」と迫られたジョンは、テッドとの共同生活を解消することを決意する。
こうしてジョンとテッドはそれぞれ別々に暮らすことになるのだが....。
 
 
ぬいぐるみやおもちゃに魂が宿る、とここまではよくある設定だけど、それがやがて年をとりアル中のスケベな不良中年と化しているという設定が実にユニークな物語の「テッド」。だけど、その奇抜な設定とは裏腹に、作品としては、しごくまっとうなコメディ作品として作られていたことに正直驚いた。確かに直接的な下ネタや、きわどいブラックジョーク、くだらないギャグなどが満載だけれど、全体的にはコメディ映画の王道をいく正当派。笑って笑って最後に泣かすというセオリーをきちんと踏襲しつつ、そこにサスペンス風味をちょっと盛り込んだ展開も面白い。結末は驚くほど何のヒネリもない普通のハッピーエンドで幕を閉じるものの、それがなぜだかちっとも嫌みじゃない。それは、監督のセス・マクファーレンの、コメディに対する誠実さが垣間見れたからに他ならない。
 
そのセス・マクファーレン監督のコメディ作品に対する誠実な姿勢を如実に現しているのが、劇中で音楽を担当しているウォルター・マーフィーの奏でる音楽だろう。これが実に品があり素晴らしい音楽なのだ。また挿入歌であるノラ・ジョーンズの歌う♪Everybody Needs A Best Friendは、友達ソングとして「トイ・ストーリー」の♪君はともだち、に続く名曲だと断言したい。小ネタとして使われる「スター・ウォーズ」の♪帝国のマーチや「ナイトライダー」のテーマ曲など、そのセンスにも思わず笑ってしまった。もちろん、劇中内に於ける重要な映画「フラッシュ・ゴードン」のテーマ曲も最高だった(クイーン万歳!)。
   
ぬいぐるみが喋るというファンタジー要素で溢れたコメディ作品「テッド」。
でも、この作品で一番ファンタジーなのは、決してテッドなどではない。
一番ファンタジー色が強いのは、誰あろうジョンの恋人ロリーなのである。
ミラ・クニス演じるロリーは、世のボンクラ男子にとって正に“天使”のような存在だ。
 
美しさと可愛さを兼ね備えたその容姿。甘えさえたい幼さと甘えたくなる母性の両方を併せ持つその人柄。優しく知的で、ユーモアのセンスがあり、下ネタを受ける度量もあれば、自ら下ネタをふりまくこともいとわない大人の女性。確固とした意志の持ち主であり、自身は一流企業で働きながら、恋人の職業にはこだわらないという太っ腹。
 
....こんな素晴らしい女性が世の中にいるだろうか?(苦笑)。
そう、ロリーは正に世の(ボンクラ)男性が理想とする女性像そのものなのだ。
ミラ・クニスが「出勤時間までまだあと20分もあるわ♡」と甘えながらソファで足をからませてくるシチュエーションを見て、「あー、羨ましいッ!」と思った男性諸氏は、決してオイラだけではないと思う。出勤前のセッ◯ス....正に男のロマンである!(....って、そうなの?)。
 
劇中内でとても破天荒なキャラクターとして描かれるテッド。
だけど、そんな彼が仲違いをしてしまったジョンとロリーのために奔走する姿は、ちょっと感動的だ。親友であるが故に、ケンカの時はボコボコに殴り合うジョンとテッド。人間とぬいぐるみが本気で殴り合うという映像はとてもシュールで爆笑ものだったけど、ケンカのあとで仲直りというベタな展開は、やっぱり感動的なのであった。伊丹十三監督の「タンポポ」で山崎努と安岡力也が殴り合いの末、友情を育む場面をちょっと思い出して泣けた。
 
 
“羊の皮を被った狼”という言葉がある。
映画「テッド」は、“狼の皮を被った羊”的コメディだ。
テッドの奇抜なキャラクターとは裏腹に、正当派コメディとしてさわやかな感動を味わえることに、驚きを感じることだろう。久しぶりに良質のコメディ作品に出会えた嬉しさを感じられた。
お薦めの作品です!(^皿^)/。
 
 
  「親友(オレ)と恋人、どっちを選ぶんだよ!?」
  オイラとテッド.jpg
  あー、オイラもミラ・クニスとイチャイチャしたい♪(^皿^) 

Ted

Ted

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Republic
  • 発売日: 2012/06/26
  • メディア: CD

ウォルター・マーフィーの音楽が実に素晴らしいサントラ。
これで♪ナイトライダーのテーマ曲が収録されていたら完璧な1枚だったのに....残念ッ!
 
それにしても、ノラ・ジョーンズは実に太っ腹だ。
本人役で出演しつつ、その中で彼女はテッドのセックスフレンドだったという設定。
「あなたとのセックス、最高だったわ♪、ペニスはなかったけどね」
なんて台詞を言わせるセス・マクファーレン監督も凄いけど、それを言っちゃうノラ・ジョーンズもまた凄い。ノラ・ジョーンズの懐の深さに、ますます彼女のことが好きになりました♪(^皿^)。
  

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祝!「パラノーマン」劇場公開決定!! [映画鑑賞]

 
     やったー!、祝「パラノーマン」日本公開決定!! 
 
そのあまりにもマニアックで地味な世界設定から、日本では絶対劇場スルーされると思っていた人形アニメーション「Paranorman」が、まさかの劇場公開決定!。
アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートの力は、やはり大きかったみたいです。「フランケンウィニー」よりも、断然「パラノーマン」派のオイラは、
この朗報に嬉しさ爆発です!、イーハー!!(^皿^)/。
 
 
      劇場公開は、3月29日(金)
      あー、楽しみで待ちきれませんッ!!(^口^)♪
 
      死者と会話することが出来る能力を持つ主人公ノーマン
      パラノーマン.jpg
      ゾンビのデザインとか、もー個人的にキュンキュンします(^皿^)♪
       
      気になった方は公式サイトへどうぞ♪→http://paranorman.jp/
 

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最初から最後まで歌いっぱなし!〜「レ・ミゼラブル」を鑑賞する [映画鑑賞]

話題のミュージカル映画「レ・ミゼラブル」を鑑賞してきました。
オープニングから迫力ある音楽と歌で幕を開けた本作品。
壮大で重厚な物語の幕開けに「こりゃあ、かなり期待出来るかも!?」と感じたのも束の間、この後ジャン・バルジャンの如き苦行が、まさか自身にもふりかかることになろうとは、この時はまだ想像もしていなかったのであります...(^皿^;)。
 
 
       『レ・ミゼラブル』(原題:Les Miserables )
         2012年 イギリス映画 カラー 2時間38分
 監督:トム・フーパー
 原作:ヴィクトル・ユーゴー
 出演:ヒュー・ジャックマン .  ...ジャン・バルジャン
    ラッセル・クロウ     ....ジャベール警部
    アン・ハサウェイ     ....ファンティーヌ
    アマンダ・セイフライド  ....コゼット/フォンティーヌの娘
    ヘレナ・ボナム=カーター ....マダム・テナルディエ/コゼットの里親
    サシャ・バロン・コーエン ....テナルディエ
    エディ・レッドメイン   ....マリウス/コゼットに想いをよせる青年
    サマンサ・バークス    ....エポニーヌ/テナルディエの娘
    他
  
【あらすじ】
ひと切れのパンを盗んだ罪で投獄されたジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、長い刑期を終え、遂に仮釈放を得た。罪人に対して冷たい視線をおくる刑務官のジャベール(ラッセル・クロウ)に見送られ、遂に自由を手に入れたジャンだったが、元囚人である彼に世間の風は冷たかった。やがて流浪の旅の末、行きついたとある町の教会で、ジャン・バルジャンは出来心から銀食器を盗んでしまう。だが、教会の司祭はそんなジャンを警察に突き出すどころか、優しく接するのだった。初めて人間らしい扱いを受けたことに深く感銘したジャンは、人生をやり直すことを強く決意する。こうして、ジャン・バルジャンはジャベールに手渡された身分保証状を破り捨て、別の人間として生まれ変わる。
 
それから数年後....そこには市長にまで上り詰めたジャン・バルジャンの姿があった。
マドレーヌと改名したジャンは市民に慕われる市長として忙しい日々を過ごしていた。そこへ新しい警部としてひとりの男が赴任してきた。それはかつて刑務官だったジャベール。当初はマドレーヌ市長がかつて仮釈放中に逃亡したジャン・バルジャンだと気がついていなかったジャベール警部だったが、やがてその正体に気付くのだった。
こうしてジャン・バルジャンは再び警察に追われる身となってしまう....
 
 
いやー、疲れた、本当に疲れた!(^皿^;) 
前評判通り、歌や音楽は本当に素晴らしいものでした。オープニングから泣いちゃったもんね、感動して(^皿^;)。物語のオープニング、ヒュー・ジャックマン演じるジャン・バルジャンが囚人として強制労働に従事する場面で幕を開けます。物語早々にジャベールとの緊迫感溢れるやりとりが展開され、壮大でダイナミックな映像と音楽が披露されます。それに圧倒され、早くも感動の渦に巻き込まれるオイラ。その場面が終わり、ようやくひと息つけるかな?と思ったのも束の間、この後次から次へと、素晴らしい歌や音楽が延々とつづくことになります。そう、この映画、全編ほぼ歌だけで構成されたミュージカルだったのです。そのことをまったく知らなかったオイラは、ちょっと驚いてしまいました。オイラは舞台版は未見なので詳細はわからないのですが、舞台を見たことがある知人に話を聞いてみたら、舞台版もほぼ歌で構成された作りになっているとのことでした。ということは、舞台版にかなり忠実に作られている映画ということなんですね。
 
ひと口に“ミュージカル映画”と言っても様々なタイプのものが存在します。
オイラが好きなミュージカル映画は、例えばオイラの中でマスターピースである「コーラスライン」のように歌や踊りはもちろんですが、同時に台詞劇のドラマがきちんと描かれた作品が好みです。そういった意味でいうと、今作はそうした台詞劇の部分がほぼ皆無で、そのことにちょっと残念さを感じてしまったのです。
ミュージカル映画における歌やダンスというのは、いったい何なのでしょう?。
登場人物の喜怒哀楽の感情が、ある沸点に到達したときに溢れ出す気持ちを、歌やダンスで表現させるのがいわゆるミュージカル的演出です。だから、まず大前提として台詞劇があって、その中にスパイスとして歌やダンスがある....そんな作りのミュージカルが好きです。「ハイスクール・ミュージカル」もそう、「glee」もそう、ここ一番!という場面で歌やダンスが披露されるから、見ているこちらも登場人物と同じような気持ちで感動出来るのです。そして、そんな歌やダンスの場面に感情移入出来るのは、それ以外の部分....すなわち台詞劇のドラマ部分があってこそなのです。
ですが、本作品はその部分、すなわち普通の台詞のやりとりまでもが歌で構成されています。「コーラスライン」的ミュージカルがベースのオイラとしては、その点がどうにもしっくりとこなくて釈然としませんでした。これってミュージカルではなく、むしろオペラなのでは?....そんな感情を強く持ってしまいました。
 
例えば、アン・ハサウェイ演じるファンティーヌが「夢やぶれて」を歌う場面。
人生が転落してしまったファンティーヌが「こんなはずではなかったのに」と、その思いをせきをきったかのように歌いだすこの場面は、本作の見所のひとつで大きな感動を呼ぶ場面でもあります。演じるアン・ハサウェイの歌声は本当に素晴らしいもので、本来であるならばものすごく感動して然るべき場面です。ですが、正直言ってオイラはそれほどの感動は押し寄せてきませんでした(もちろん、泣きはしましたけど)。何故なら、この場面に向かうまでの部分、すなわちファンティーヌが転落していく過程までもが歌で構成されていたからです。
確かに工場での出来事や娼婦たちが歌う場面もそれなりに素晴らしいものでした。だけど、どうしても歌で描く必要があった場面だったか?と言えば、それほどの必然性は感じられませんでした。むしろファンティーヌが人生を転落していく様を普通のドラマとして淡々と描いた方が、ここぞ!という場面で披露される「♪夢やぶれて」での歌唱場面がより引き立って感動が盛り上がったのにと強く感じました。ひとつの箇所を盛り上げるためには、いわゆる“タメ”の部分が必要不可欠なのです。
 
「全編歌で構成されているだなんて、なんて贅沢な作品だ!」
そんな見方も出来るかもしれません。ですが、オイラは別に“レ・ミゼラブル歌謡ショー”が見たい訳ではありません。ドラマ!....ドラマが見たいのです。本作品を見ながら「もったいないなあ」と強く感じたことがあります。せっかくオーストラリアを代表する2大俳優が画面上で相対しているのに、台詞劇のやりとりが見られないなんて、これは本当にもったいない。
例えば、ヒュー・ジャックマン演じるジャン・バルジャンのもとに、ラッセル・クロウ演じるジャベール警部が赴任の挨拶に来る場面。ジャンはジャベールの事に気がついているにも関わらず、ジャベールは目の前にいる男がかつて囚人だったことに気がついていない....観客側からすれば、非常に緊張感の高まる場面です。ですが、こんな場面ですら「♪今度赴任してきたジャベールです〜」みたいに歌で演じられると、ドラマとしての緊張感が薄くなってしまいます。歌で構成する必要のない場面ですら歌で構成されている今回の「レ・ミゼラブル」。そのことを贅沢だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、オイラにはどうにも過剰だと感じざるを得ませんでした。
 
今回の作品、おそらく舞台版にかなり忠実に作られているんだと思います。
しかし、映画と舞台はまったく別物です。舞台には舞台の、実写映画には実写映画の、それぞれに適した演出方法があるはずです。もし、舞台と同じ演出方法をとるならば、わざわざ実写で撮る意味がありません。それならゲキシネのようなスタイルで充分事足ります。
 
繰り返しになりますが、今作の歌や音楽は本当に素晴らしいです。
ですが、本来演出方法のひとつとしての歌が、延々と続くスタイルはやはり違和感を感じずにはいられませんでした。アクション映画で例えるとわかりやすいと思います。アクション映画を盛り上げる要素....派手なアクションや激しい銃撃戦、手に汗握るカーアクションや度肝を抜く爆発シーンなど、それらが要所要所でちりばめられているからこそ、アクション映画は盛り上がるのです。これが休むことなく延々と続くアクション映画だったとしたら、見ている側も疲れてしまいます。今作「レ・ミゼラブル」に於いても、同様なことが言えると思います。どんなに素晴らしい歌や音楽であっても、それが延々と続くとなると感動よりも苦痛を感じてしまいます。どんなに美味しいご馳走も、立て続けて食べたら美味しさは半減してしまうものです。
オイラは映画に何を求めて鑑賞するのか?....それはドラマを見るために鑑賞するのです。
アクション映画然り、コメディ映画然り、サスペンス映画然り、ホラー映画然り....どんなジャンルの映画であれ、オイラがその作品に求めるものはドラマです。そして、ミュージカル映画に関してもそれは同じです。ミュージカル映画にとって歌や音楽はとても大事な要素ですけど、それ以前に大前提としてドラマを見たいのです。ミュージカル映画に於ける歌や音楽は、そのドラマを盛り上げるためのひとつの要素でしかありません。それがドラマを押しのけて前面に出て来たのだとしたら、それは本末転倒だとはいえないでしょうか?。
 
重ね重ねになりますが、本作「レ・ミゼラブル」の歌や音楽は本当に素晴らしいものでした。歌や音楽それ自体にはとても感動しました。しかし、ひとつの映画作品として俯瞰から見た時、全編が歌で構成され、それが前面に押し出してくるように作られた今回のミュージカルは、ドラマとしてやはりちょっと消化不良を感じてしまいました。
オイラが映画を見終わって真っ先に感じたこと....それは、この同じキャストで歌のないドラマとしての「レ・ミゼラブル」を見てみたかったということでした。映画「ヒート」のロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの二人のように、ヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウの2大オーストラリア俳優がガチでぶつかる演技対決を見たかった!。
そんなことを強く感じた今回の「レ・ミゼラブル」でした。
 
 
     『私は....生まれ変わるッ!』
     ジャン・バルジャン.jpg
 
オープニングの囚人姿のヒュー・ジャックマンが本当に素晴らしい!。こうした汚い姿をきちんと描いているところが偉い。対して、ラッセル・クロウ演じるジャベールの青い制服がこれまた素晴らしい!。歌や音楽のみならず、衣装やセットなど美術関係の仕事が本当に素晴らしかった「レ・ミゼラブル」でした。
 
【おまけ】
  『あっしは、パンをほんの一切れ盗んだだけなんスよ〜』
   パンをひと切れ.jpg
  

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愛の力で空を飛ぶ!〜「ブルー 初めての空へ」を鑑賞する [映画鑑賞]

日本公開が決定していながら、公開直前にそれが急遽中止となってしまった不遇のCGアニメーション「ブルー 初めての空へ」を鑑賞しました。主人公は飛べないインコのブルー。生まれ故郷である南米ブラジルはリオの街で繰り広げられる珍道中を描いた物語。
鳥好きのオイラが、楽しみにしていた作品です♪(^皿^)。
 
  『ブルー 初めての空へ』(原題:Rio )
    20世紀FOXアニメーション作品 カラー 96min
    監督:カルロス・サルダーニャ
 制作総指揮:クリス・ウェッジ
    音楽:ジョン・パウエル セルジオ・メンデス
    
  声の出演:ジェシー・アイゼンバーグ (ブルー アメリカ育ちの青コンゴウインコ)
       アン・ハサウェイ      (ジュエル 貴重な青コンゴウインコの雌)
       ジェイマン・クレメント (ナイジェル マルセルに仕える凶悪なオウム)
       ジェイミー・フォックス      (ニコ 黄色い小鳥でペドロの相棒)
       ウィル・アイ・アム      (ペドロ ニコの相棒のコウカンチョウ)
       ジョージ・ロペス        (ラファエル 子だくさんのオオハシ)
       レスリー・マン              (リンダ ブルーの飼い主)
       ロドリコ・サントロ         (チュリオ ブラジルの鳥類学者)
       トレーシー・モーガン    (ブルドッグのルイズ ラファエルの友人)
       カルロス・ポンス      (マルセル 鳥の密売業者でブルーを盗む)
       他
       
【あらすじ】
青コンゴウインコのブルー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、幼い頃南米で密猟されアメリカに連れてこられた鳥。幸運にも優しい飼い主リンダ(レスリー・マン)と出会ったブルーは、彼女のもとですくすくと育ったが、密猟された時のトラウマで空は飛べずにいた。
そんなある日のこと、二人のもとへチュリオ(ロドリコ・サントロ)という男性が、はるばるブラジルから訪ねてくる。鳥類学者である彼は、絶滅危惧種である青コンゴウインコを繁殖させる手伝いをしてほしいとリンダに依頼する。最初は気乗りのしなかったリンダだったが、ブルーのことを考え協力することにする。こうしてブルーは、リンダとともに生まれ故郷であるリオ・デ・ジャネイロを再び訪れることになった。チュリオの研究所にはブルーと同じ青コンゴウインコの雌ジュエル(アン・ハサウェイ)がいたが、インドア生活の長かったブルーは、野生のジュエルと性格がまったく噛みあわない。
その夜、ブルーとジュエルは何者かによって、研究所内から盗み出されてしまった。
鎖につながれたブルーとジュエルの、脱走劇が始まった....!
 
 
いやー、面白かった!(^皿^)/
こんなに面白い作品が劇場未公開だったなんて、返す返すも本当に残念です。
噂では東日本大震災の影響を考えた20世紀FOXの経営判断により、劇場での公開中止が決定したとのことですが、そういうときだからこそ、こうした良質の作品を劇場で公開して欲しかったと強く感じました。それこそが、エンターティメントの役割だと思うんだけど。
 
まず、なにより鳥のアニメーションが素晴らしい!。
リアルな鳥のモーションと、アニメならではの楽しい動きとの、絶妙なバランス感覚が心地いい。鳥のアニメと言えば、その羽先が手になったりするのはお約束だけど、この作品ではその足も手のかわりをしていて、それが面白かった。ブルーがジュエルと初めて出会った時、握手しようと足を差し出したり、考え事をする際、足をアゴのところに持ってくる仕草とか、足を手の代わりに使うマンガ的表現がすごく楽しい映像になっていました。またそのビジュアルもブルーやジュエルのようにリアルなタイプ鳥から、ニコやペドロのようなディフォルメした鳥まで、リアルとマンガ的ビジュアルとが見事に融合していて、それもまた見ていてとても楽しい作品でした。
 
南米が舞台ということもあって、作品を盛り上げるラテン音楽もすごくノリノリ♪。
オープニング、色鮮やかな鳥たちが歌い踊る♪REAL IN RIOはとても華やか。エンディングでも流れるこの曲でほんの少しだけど、アン・ハサウェイが見事な歌声を披露しています。新作「レ・ミゼラブル」も楽しみになりました。ブルーとジュエルがハンググライダーに乗ってリオの街の上空を滑空する際に流れる有名ソング♪MAS QUE NADAは、本当に気持ちがいい。悪役ナイジェルが自身のことを高らかに歌いあげる♪PRETTY BIRDは、作中一番ミュージカルっぽい場面。「俺は悪だぜ」と歌うナイジェルとコーラス隊の鳥たちとのかけあいが面白い。この歌、英語歌詞はかなり韻を踏んでいて、聴いていてもとても楽しい曲です。悪鳥ナイジェルに仕えるチンピラ猿軍団が登場する場面に流れる♪FUNKY MONKEYは、縦ノリしたくなるアップテンポの歌。この曲にノッてダンスするモンキーたちがとっても可愛い。しかし、何と言ってもこの作品最大の注目は、ニコ役のジェイミー・フォックスが歌う場面。鳥たちが集うクラブ風会場で彼が相棒のペドロと歌う♪HOT WING(I WANNA PARTY)は、ブルーじゃなくても思わず身体が動き出したくなるノリノリの曲。そして、秀逸なのがブルーとジュエルのデート場面を盛り上げるためにニコが歌うボサノバ♪FLY LOVE。口笛のイントロで始まるこの曲は、本当にロマンチックでうっとりすること間違いなし!。この曲だけでも是非YOU TUBE等で聴いてみて欲しいッ!。
 
 
ビジュアルや音楽はとても素晴らしい「ブルー 初めての空へ」でしたが、
ストーリーに関してはあと一歩!の印象を受けました。もちろんそれなりに楽しい作品ではありましたが、脚本をあと一歩工夫する事で更に面白くなったのに!と強く感じた部分がいくつかありました。
その点をちょっと列挙してみたいと思います。
 
【ブルーとジュエルのロマンスについて】
この作品はブルーとジュエル2羽のロードムービーでもあります。性格のまったく違う二人が、旅や冒険を通して絆や親交を深めあう、映画としては定番の物語です。男性や女性同士ならそこに友情が芽生えるし、異性同士なら、そこに愛が芽生えます。古くは「スターウォーズ」のハン・ソロとレイア姫がそうだったし、近作「プリンス・オブ・ペルシャ」のダスタン王子とタミーナ王女がそうでした。この設定はロマンスがとても盛り上がる定番中の定番なのです。
しかしながらこの作品ではブルーとジュエルが互いに引かれあう決定的な場面が描かれていません。そのあたりは割りとざっくりしていて、そこがとても残念な部分でした。
恋愛感情が芽生えるためには、二つの要素を盛り込まなければなりません。
  
  ・1、相手の意外な一面を垣間見て、思わずドキッとする
  ・2、お互いの共通項を見いだして、共感を覚える
 
インドア生活の長かったブルーと、野生育ちのジュエル。今風に言えば、草食系なブルーと肉食系のジュエル。そうしたキャラの対比描写は一応あって見ていて楽しい(ブルーが夜のジャングルを怖がって脅えたり、歩くのが得意のブルーがジュエルに駆けっこを教えたりする)のですが、例えば相手の意外な一面を見てドキッとするような、内面に触れる場面がなかったのが残念でした。せっかく鎖に繋がれた状態でジャングルをさまよう場面があるんだから、そういうのをストーリーに盛り込んで欲しかった。共通項に関しては、ブルーもジュエルも密猟者によって家族から引き離されたという経験があるので、そのあたりを語り合う場面なんかを描いて欲しかった。人間に不信を抱いているジュエルに対して、人間の素晴らしさを説くブルーの姿なんかも描いて欲しかったですね。
 
【鳥たちの世界&人間たちの世界】
ブルーたちの冒険と並行して描かれるのが、リンダたち人間の物語。
一番気になったのがその描写です。ブルーたち鳥の世界と同じように人間サイドでも変なギャグやオーバーアクトの、いわゆるお笑い場面が随所にちりばめられていたのですが、そのことにやや疑問を覚えました。
例えば、鳥類研究所の警備員。強面の男ですが、ラジカセからサンバが流れてくると身体がムズムズと動きだし、派手な衣装に着替えてで踊りだすというギャグ場面があります。サンバが如何に人々を熱狂させるものなのか?を表現していて、思わず笑ってしまう場面ですが、後に出てくるブルドッグのルイズが同じようなギャグを披露します。でも、すでに警備員の件があるので、ルイズの場面では特に笑えません。ルイズのことを考えれば、警備員の場面はむしろカットすべきで、こうした特に必要のないギャグシーンを無理矢理詰め込んだ感がいくつかの場面で見られました。
例えば、鳥類学者のチュリオ。登場時から非常にオーバーアクトで、鳥の物真似をしたりするのですが、その姿が鳥類学者というより、ちょっとエキセントリックで滑稽なキャラクターになっていました。序盤のブルーとリンダをブラジルへ連れていくきっかけとなる重要な場面でもあり、ここは変なギャグを挿入するより、チュリオが如何に自然や鳥のことを愛しているのか?という描写に力を注ぐべきだと感じました。パレードに潜入する時も意味なく鳥の物真似をするチュリオは、やはりちょっとどこか変なキャラクターになってしまっており、そのことがとても残念に思えました。
アニメなので楽しい動きやキャラクターである事は結構なのですが、この作品の主人公はあくまでもブルーたち鳥です。人間側を普通に描くことで、ブルーたち鳥の世界とのメリハリがついて、ブルーをはじめとする動物たちがより活き活きとしたものになったのではないでしょうか?。別にリンダとチュリオのロマンスは必要なかったし、むしろその時間を割いて上記に挙げたようなブルーとジュエルのロマンスを丹念に描いて欲しかったです。
※ただ、ライオネル・リッチーの音楽ネタには笑わせて頂きました♪(^皿^)。
 
それとリンダ、チュリオ、フェルナンドの関係性でちょっと気になった点。
ストリート・チルドレンのフェルナンドはお金欲しさにブルーの誘拐に加担してしまうのですが、もともとは心優しい少年なので、そのことを反省し、リンダにブルーの居所を教えようとします。するとチュリオが「初めて会ったばかりで信用出来ない」とフェルナンドを突き放そうとします。でも、これってチュリオよりもリンダの役割だと感じました。基本的には心が優しいリンダですが、アメリカ人である彼女が見た目のみすぼらしい異国のストリート・チルドレンに偏見を持っていたとしても仕方のないことですし、流れとしては自然です。例えば、チュリオがフェルナンドに対して「君は鳥の事が好きなんだね?。鳥好きの人間に悪いヤツはいない。リンダ、僕はこの少年を信じるよ」と、逆にリンダを諭すような姿を描いた方が、チュリオという人間がより魅力的になったのでは?と感じました。
 
 
【総括】 
ストーリー的にはあと一歩!の感はありましたが、総じて大いに楽しめた「ブルー 初めての空へ」。作品を見終わって強く感じたのは、「コレってディズニーが作るべき作品じゃないの?」ということでした。魅力的なキャラクター、素晴らしい音楽、そして冒険とロマンス(愛のKissで魔法が解けるなんて王道すぎる!)など、皮肉にも今作品はディズニーらしさで満ち溢れた作品となっています。エンターティメントの中にさりげなく描かれる環境保護問題やブラジルの貧富の差などの社会問題。楽しいだけじゃなく、色々考えさせられる良質なアニメーション作品です。
クリスマスに是非ご家族や友人、恋人同士で是非ご覧になられることを強くお薦めします!。この作品でハッピーな気分を味わって下さい!(^皿^)/。
 

     「ボクだって飛べるはずッ!」
     ブルー.jpg 
ブルーと飼い主のリンダが挨拶をする場面(ブルーの足とリンダがコブシをコンとぶつける)が、仲睦まじくてとっても好きです♪ 
 
ブルー 初めての空へ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD
アマゾンのレビューでも、高評価♪(^皿^)

Rio: Music From the Motion Picture

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Interscope Records
  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: CD
劇中歌を集めたオリジナル・サウンドトラック盤
とにかくジェイミー・フォックスの歌が絶品!

Rio

Rio

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Varese Sarabande
  • 発売日: 2011/04/19
  • メディア: CD
こちらはスコア盤サウンドトラック
「シュレック」「ヒックとドラゴン」「ハッピー・フィート」、そして今作と、
近年ジョン・パウエル師匠の仕事はますます冴え渡るばかりッ!。
オイラのジョン・パウエルコレクションも増える一方です♪(^皿^)
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