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♪ウガチャカ〜『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
      負け犬のままじゃ、笑うことも出来ない
      お前たちに、生きる意味を与えたいんだ
     さあ、一緒につかもう、心の痛みに届くまで
      〜ランナウェイズ「♪チェリーボム」(1977年)より〜
 
      
     『ガーディアンズ・オブ・・ギャラクシー』
         ( 原題:GUARDIANS OF THE GALAXY )
          2014年 アメリカ映画 上映時間:120分
 
 監督:ジェームズ・ガン
 脚本:ジェームズ・ガン&ニコール・パールマン
 音楽:タイラー・ベイツ
 出演:クリス・プラット   ....ピーター・J・クイル
                (スターロードを自称するトレジャー・ハンター)
    ゾーイ・サルダナ   ....ガモーラ(凄腕の暗殺者)
    ブラッドリー・クーパー....ロケット(アライグマの姿をした賞金稼ぎ)
    ヴィン・ディーゼル  ....グルート(ロケットの相棒である植物人間)
    デイヴ・バウティスタ ....ドラックス(ロナンに妻子を殺された男)
    マイケル・ルーカー  ....ヨンドゥ(無法者集団ラベンジャーズのリーダー)
    カレン・ギラン    ....ネビュラ(ガモーラの義妹でサイボーグ)
    リー・ペイス     ....ロナン(ザンダー星滅亡を目論むクリー人)
    ジャイモン・フンスー ....コラス(ロナンに仕える狂戦士)
    ベニチオ・デル・トロ ....タニリーヤ・ティヴァン(通称:コレクター)
    ジョン・C・ライリー .....ローマン・デイ(ザンダー星:ノバ軍警察幹部)
    グレン・クローズ   ....イラニ・ラエル(ザンダー星を統治する指揮官)
 
【あらすじ】
かつて栄華を誇っていた廃墟の惑星モラグ....
トレジャー・ハンターであるピーター・ジェイソン・クイル(クリス・プラット)は、所属する無法者集団ラベンジャーズのリーダー、ヨンドゥ(マイケル・ルーカー)の命を受けて、謎の球体“オーブ”を入手するべくこの星へとやってきた。多少トラブルはあったものの、見事オーブを入手したピーター。だがピーターはヨンドゥを裏切り、単身でオーヴを売り払い大金をせしめようと画策する。
一方、ピーターにオーブを奪われ憤慨する人物がいた。クリー人であるロナン(リー・ペイス)である。自らをジ・アキューザー(=告発人)と名乗るロナンは、和平協定を結ぶザンダー帝国に対して強い恨みを抱いており、復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。ロナンは巨大な悪の存在であるサノスと手を組み、ザンダー帝国を滅ぼそうと画策する。サノスとの交渉にはオーブが必要不可欠であり、ロナンはピーターに奪われてしまったオーブを奪還すべく、サノスの義娘で今は自身に仕える凄腕の暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)を刺客としてピーターの元へと送り込む。
その頃、ピーターに裏切られたことを知ったヨンドゥは憤慨、彼の首に賞金をかける。
そこに飛びついたのが賞金稼ぎのロケット(声:ブラッドリー・クーパー)とその相棒グルート(声:ヴィン・ディーゼル)だった。オーブを売り払おうとザンダー星に立ち寄ったピーターを、待ち伏せしていたガモーラとロケット&グルートが襲う。だが、街中で騒動を起こした4人はノバ軍警察に捕まり、ローマン・ディ(ジョン・C・ライリー)の手によって、宇宙刑務所キルンへと送られてしまった。そこには、かつてロナンによって愛する妻子を殺されたドラックス(デイヴ・バウティスタ)がいた。ドラックスはロナンの手下であるガモーラを殺害しようとするが、それをピーターは制止する。やがて、ピーター、ガモーラ、ロケット&グルート、ドラックスの5人は、お互いの利害関係を考え、刑務所を脱獄するため一時的に協力することになる....
脱獄に成功した5人は、オーブを高値で買い取るという謎の人物、通称コレクターと呼ばれるタニリーヤ・ティヴァン(ベニチオ・デル・トロ)が住む鉱山惑星ノーウェアへと向かう。
そこで5人はオーブに秘められた“恐るべき秘密”を知ることとなる....
 
 
 
久しぶりに、スペースオペラの世界を満喫しました♪(^皿^)/
オープニング〜幼い少年ピーターが病床の母親の臨終に立ち会おうとしています。
母親は死を目前にしても尚、優しい眼差しで息子を見つめます。しかし、少年は“母親との別れ”という辛い現実を受け入れられず、差し出された母親の手を握り返すことが出来ません。冒頭から胸が熱くなる感傷的で切ない幕開けです。
それから一転....場面は突如宇宙へと切り替わります。
荒れ果てた惑星に着陸する一隻の宇宙船。機内からロングコートを身にまとったマスクの男が降り立ちます。男は暴風雨の中、荒れ地を進み、廃墟となった建物へ辿り着きます。
室内へと侵入し、マスクを外したその精悍な男は成長したピーターの姿。
やがてコートの内側に装着したウォークマン(!)で、おもむろに音楽を聴きはじめるピーター。軽快なステップを踏み、踊りながら歩みを進めるその姿は、馬鹿馬鹿しさに満ちあふれています。ここで、スクリーンいっぱいにデカデカと「GUARDIANS OF THE GALAXY」の文字が映し出されます。
(その間も画面上では小さく踊り続けるピーター....笑)
 
ここまでのオープニングで、この映画が作品を通じて何をやろうとしているのか?、その意図がハッキリと伝わりました。それは“もの凄く真面目な事とものすごく下らない事との両立”です。そして、それがスペースオペラという世界でものの見事に融合していました。
この作品のテイスト....めっちゃ大好きですッ!!(^皿^)
マーヴェル・ユニバース・シリーズの最高傑作『アベンジャーズ』では、監督のジョス・ウェドンがシリアスな展開の中にもユーモアをちりばめた作品作りが秀逸でしたが、本作『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』もまた然り。監督のジェームズ・ガンがシリアスとユーモアを独特のセンスでブレンドさせ、非凡な演出力を披露してくれています。
ド派手なスペースオペラの世界や奇抜なキャラクターに目を奪われがちですが、演出自体はものすごくオーソドックスです。かつて抱いていた正義感を再び取り戻す主人公、殺伐とした闇世界から抜け出したいと考える女暗殺者、喪失感を復讐心に変えて生きる哀しき刺青の男、容姿にコンプレックスを持つあまり、周囲に対して毒舌になるアライグマの男、無口でありながら、実は一番仲間思いで熱き血が流れる植物人間....など、主要人物の誰もが魅力的な性格であり、その個性的な5人が正義のため遂にチームとして(文字通り!)立ち上がる場面は、ヒーロー映画としてとても感動的な場面でした。
これぞ、正にアッセンブル!です♪(^皿^)/
 
それにしても、今回ほど英語力のない自分を悔いた作品もありませんでした。
劇中で挿入される70年代の歌の数々は、その歌詞の内容がちゃんと物語とリンクしているため、歌詞を理解出来ていると、作品の楽しみ方もまたぐっとアップしたはずなのですが、それが出来なくて非常にもどかしい思いをしました。
 
もちろん、作品として不満点がない訳ではありません。
例えば、満を持して登場した悪の帝王、サノス。
『アベンジャーズ』では顔見せ程度だったサノスが遂に登場!....と喜んだのも束の間、椅子に鎮座して喋るだけとは....残念無念。せめてロナンのことをBOY(若造)呼ばわりする恐さの片鱗をちらっとでもいいから見せて欲しかったです!。
 
そして、今回のメイン悪役(ヴィラン)であるロナン・ジ・アキューザー。
彼のクリー帝国に於ける立ち位置というものをもっと明確に描いて欲しかった。
冒頭の登場場面でノヴァ人(ノヴァ軍人)を処刑する場面が描かれますが、例えばロナンがクリー帝国上層部の制止を振り切り、単独で行動している様子を同時に描けば、ロナンの立ち位置がもっと明確になったのでは?と感じました。
 
更に、期待していたガモーラとネビュラの姉妹対決。
演じるゾーイ・サルダナもカレン・ギランもビジュアル的には最高だったけれど、格闘アクションという点ではやや消化不良気味。二人とも肉体改造された超人なので、その二人の闘いはもう少し派手で迫力あるものにして欲しかった。全体的な印象として、ジェームズ・ガン監督は格闘アクションの演出があまり得意ではない事が垣間見えたので、このあたりは続編で改善して欲しいところです。とりあえず、ゾーイ・サルダナは走りのフォームから改善してほしい。『マトリックス』のキャリー・アン=モスのように、力強くかっこいい走り方を勉強するように!。
 
キルン刑務所での描写に関していくつか....
囚人たちの手によって殺されそうになるガモーラ。でも、幾多の修羅場をくぐり抜けてきたはずのガモーラが、あそこで女性的な悲鳴をあげるのはちょっと違うと思う。むしろ、憮然としたふてぶてしい態度を見せた方が、暗殺者としてのキャラ(ザコに殺される気など、ガモーラにはさらさらない)が立ったように思う。
囚人たちの前で啖呵を切るロケット。でも、アレだと“虎の威を借るキツネ”ならぬ、“グルートの威を借るアライグマ”にしか見えない。ロケット自身も肉体改造された人間なので、そうした強さを見せた上での啖呵にして欲しかった。
普段、素っ裸でいるグルートだからこそ、刑務所では囚人服を着せて欲しかった。
 
そして、最後のアヒル野郎(!)、アレは....別にどうでも良かったかな?。
一発楽屋オチのネタとしては面白い試みだったけど、本編とは直接関係ない出来事だし、作品のエンディングとしてふさわしいとは思えなかった。ハワード・ザ・ダックを出すくらいなら、やはり続編への布石としてサノスを出すべきだったと思う。サノスとコレクターのやりとりなんかがあったら、続編への期待感がぐんと増したように思う。
ダンシング・グルートに関して。エンディングのミラノ号コクピット内で復活を見せるグルートですが、アレをあそこで見せるのはもったいない。エンドロールが終わった最後の最後で、死んだと思われていたグルートが見事復活、苗木として踊るグルートの後ろで、喜びのあまり一緒に踊りだすロケット....なんていう映像で終幕だったら感動的で最高だったのに!と悔やまれました。

 
【総括】 
不満点を色々述べましたが、総じて大いに楽しめた作品でした。
そもそも、この作品はツッコミを入れたりする類いの映画ではありません。
作品を楽しむためには、無条件にこの世界観を受け入れることが絶対必須条件です。
逆にこの“何でもアリ!”の世界観を受け入れられるかどうか?で、
その人の器の大きさとか人間的度量、空想力が計れるかもしれません。
例えば、刑務所に於ける“義足奪還”の場面。頭の固い真面目な人がこの場面を見たら「障害者をバカにしてる!」とか言いだすかもしれません。でも、そうじゃない、そう言う事じゃないんです!。この種のブラックジョークを楽しめるだけの余裕がないと、この作品は楽しめないんです。ぶっちゃけ、全編にわたりツッコミどころは至るところに満載です。
でも、そうしたツッコミを入れるのもまた野暮です。ツッコミを入れて作品をつまらなくするよりも、この馬鹿馬鹿しい世界を一緒に共有した方が遥かに楽しい!、本作はそんなことを感じさせてくれる一本です。
もし、この作品を楽しめなかったという人がいたら、その人はもの凄く真面目な人か、
もしくは日々の生活で心に余裕のない生活をおくっている人かもしれません。
是非、頭を空っぽにして、この壮大なスペースオペラの世界を楽しんで下さい。
グレン・クローズの無駄に派手な髪型、ベニチオ・デル・トロの二日酔いのような座った目つき、青塗りしても本人だとすぐわかるマイケル・ルーカーの顔面力、普通のおっさんにしか見えないジョン・C・ライリー....etc そうした事を無条件に楽しめる人なら、きっと楽しめることでしょう♪(^皿^)。
 
 
ロケット:なぜ、そこまでしてこの銀河を救いたがるんだッ!?
ピーター:俺が住んでいる世界だからだよッ!!
(ほとんど漫才のようなやりとり....笑)
 
 
オイラの予想通り、日本での興行成績があまり芳しくない模様の本作。
でも、こんなにワクワクする楽しいSFファンタジーは本当に久しぶりでした。
大袈裟な言い方ではなく、この体験は『スター・ウォーズ』に匹敵するかもです。
単に空想映像を見ているだけでも楽しい作品ですし、
劇場の大スクリーンで鑑賞すべき作品です。
壮大かつ非常にバカバカしくも、ストレートな感動が待ち受けるこのスペースオペラの世界を、是非映画館で体験して下さいッ....ウガチャカ♪(^皿^)/
 
 
   『何をしている??、それは一体何の真似だ....!?』
   ロナン・ジ・アキューザー.jpg 
オーブに秘められた神秘の力を使い、ザンダー帝国を滅ぼそうとするロナン
映画のクライマックス、ロナンがその力を行使しようとした正にその瞬間(とき)!
スターロードことピーター・クイルは、突如歌を歌い、そして踊りだす
 
   ロナン:「それは、いったい何のつもりだ....!?」
  ピーター:「俺とお前で、ダンスバトル対決しようぜ♪」
   ロナン:「(えっ!?)???.....(汗)」
 
この時のロナンを演じるリー・ペイスのキョトン顔がたまりませんッ!(^皿^)
※でも、この場面で声をあげて笑ったの、劇場内でオイラだけだったなあ...
 オイラの笑いのツボは、おかしいのかな??
 

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ピーターの愛機ミラノ号が、かっこいい!(^皿^)
 

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ロケット気分を味わえるトイガン♪
OHHHHHH YEAHHHHHH!!
  


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原始の昔も家族愛は今と変わらず♪〜『クルードさんちのはじめての冒険』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
        『 クルードさんちのはじめての冒険 』
            ( 原題:THE CROODS )
         2013年 アメリカ映画 上映時間:99分
     字幕翻訳:宮坂真央 吹き替え翻訳:佐藤恵子 吹き替え演出:清水洋史
 
   監督・脚本:クリス・サンダース/カーク・デミッコ
      音楽:アラン・シルヴェストリ
 
    声の出演:ニコラス・ケイジ   ....グラグ/お父さん
         エマ・ストーン    ....イープ/長女
         キャサリン・キーナー ....ウーガ/お母さん
         クロリス・リーチマン ....グラン/お婆ちゃん
         クラーク・デューク  ....タンク/長男(9歳!?)
         ライアン・レイノルズ ....ガイ /賢い青年
 
【あらすじ】
時は原始時代....
原始人一家〜クルード家の面々は、本日も元気いっぱいである。
力持ちで頼りになるお父さんグラグ(ニコラス・ケイジ)、優しいお母さんウーガ(キャサリン・キーナー)、長寿なお婆ちゃんグラン(クロリス・リーチマン)、思春期を迎えた長女イープ(エマ・ストーン)、おっとりした性格の長男タンク(クラーク・デューク)、そして、言葉はまだ喋れないが元気いっぱいの末っ娘のサンディ。昔はご近所さんもいたが、今ではクルード家のみが洞窟を根城に生活をしている。
父グラグのモットーは「外の世界は危険がいっぱい!」である。そのため安全な住処である洞窟から離れようとしない暮らしに辟易とするイープは、最近父親との関係がギクシャクしていた。
ある日の夜のこと、物音で目覚めたイープは、洞窟の外で今まで見た事のない明かりを目にして、好奇心のあまりそれを追いかける。明かりの正体は“火”というもので、手にしていたのは遠方からやってきたというガイ(ライアン・レイノルズ)という青年だった。ガイはこの地上に危機が迫っていることをイープに告げると、そのまま去っていった。その出来事を父グラグに告げるイープだったが、グラグはとりつくしまがない。が、ガイの言った通り地震が起こり、クルード一家が根城にしていた洞窟は崩壊してしまった。
こうして、クルード一家は新しい洞窟を求めて、危険な外の世界へと踏み出すことになる。それは、クルード一家にとって、はじめての冒険だった....!
 
 
面白い作品なのにッ!....これまた劇場未公開(T口T) 
『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』(2013)と同じく、日本では惜しくも劇場未公開となってしまったドリームワークスのアニメーション作品『クルードさんちのはじめての冒険』。こうしたクオリティの高いアニメーションが劇場未公開となってしまうのは、本当に残念です。しかし、映画自体は『ガーディアンズ』と同じく、素晴らしい作品となっていました。
 
まずはオープニング。
2Dアニメーションにより、原始人一家クルード家の日常が語られます。
そして、いよいよ本編スタート。まず目を惹かれるのが、その映像美です。
原始時代が舞台ということで、壮大な自然風景に目を奪われます。
物語序盤の舞台は、クルード一家の住処である洞窟と、岩肌がむき出しの荒涼とした大地。
ここを舞台に、クルード一家による狩りの様子が描かれます。
狩りと言っても、クルード家は道具を扱えるほどの知能を持った原始人ではないので、やることは“たまご泥棒”です。羊のような角を持つダチョウのような鳥の巣から見事たまごを盗み取ったクルード家。しかし、他の野生動物たちも同じようにそのたまごを狙っています。ここでひとつのたまごをめぐり、クルード家と野生動物たちによるたまご争奪戦が繰り広げられます。アラン・シルヴェストリによる軽快なマーチングバンド風音楽が、まるでラグビーのようなたまご争奪戦を楽しく盛り上げます。こうして、原始時代を生きるクルード家の弱肉強食の日常が楽しく語られます。
 
そのオープニングでも登場する多種多様な野生動物たち。
この世界に住む動物たちは、とてもユニークな姿をしています。
フクロウのような顔をしたジャガー、しっぽが繋がった状態で生きる対のネズミ、ネズミのような小型ゾウ、トカゲのような走りを見せるハイエナ、キリン柄のマンモス、ウミガメのような鳥、陸を歩くクジラ、大群で現れるピラニアのような赤い鳥たち....etc。
こうしたユニークな姿をした動物たちが、見た目を楽しませてくれます。
中でも、クルード一家を執拗に付けねらう2頭身姿のサーベルタイガー(顔がデカい!)は、恐さと可愛さを併せ持つ魅力的なキャラクターです(ネコ好きにはたまらない描写満載です♪)。
 
さて、物語で描かれるのは、家族愛という普遍的なテーマです。
その主軸となるのは、父親グラグと娘イープの関係。クルード一家の大黒柱である父グラグは一家揃って無事生き延びるために、様々なことに脅えながら生活しています。。一方、思春期を迎えた長女のイープは、退屈な毎日に飽き飽きしていて、刺激や変化を求めています。この父と娘の間に存在する微妙な親子関係が物語の主軸であり、このあたりは同じく父と娘の関係を描いていた『モンスター・ホテル』と同じ構図です。反抗期を迎えた娘に対してどう接していいか悩む父親グラグ。一方父親の愛情を理解しながら、新しい刺激を求めて止まない娘イープ。同じような境遇にいらっしゃるご家族の方なら、思わず共感せずにはいられない場面の連続です。
 
そんなクルード一家の日常に、やがて変化が訪れることになります。
クルード一家よりも少しだけ賢い原始人の青年ガイの登場です。ガイによって新たな知識や経験を得ることになるイープは、大きな刺激を受けることになります。それは冒険を通じてクルード一家にも少しずつ浸透していきます。それと反比例するように、家族の中で父親としての威厳がどんどん小さくなっていくグラグ。家族の尊敬の念が父からガイへと移行していく過程は、同じように子供を持つ全国のお父さんが見たら、他人事とは思えない展開で笑うに笑えないかもしれません。
 
当然のごとく、父グラグは青年ガイと仲違いしてばかり。
父グラグは何かにつけて青年ガイに対抗心を燃やしますが、その行動は空回りしてばかり。
父親としての威厳を保とうとする、その必死な姿が切なさを誘います。
そして、遂に決定的な対立を迎えることになるグラグとガイ。
しかし、その対立を契機に、理解しあえる時がやってきます。
ケンカの結果、タール油に捕まってしまって脱出不可能となってしまったグラグとガイ。
ここで半ば強制的に二人きりとなったグラグとガイは、互いの心情をそれぞれ語り合うことになります。その結果、相手のことをよりよく理解しあうのです。
そして協力してこの危機を乗り越えた二人は、ようやくその絆を深めるのでした。
 
やがて、山の頂上に辿り着いた時、地上の崩壊が遂に目の前まで迫ってきます。
更に新天地を目前にして、グラグたちを遮るように巨大な亀裂が行く手を阻みます。
ここで、グラグは自らを犠牲にして一家を救うべく、父親として最後の責任を果たそうとします。この場面でのグラグの行動は、ある意味とてもマンガ的なのですが、真摯に父親の勤めを果たそうとするその姿は実に感動的で、こちらも全国のお父さん号泣必至の感動場面となっています。
しかし、それだけで終わらせないのがドリームワークスの素晴らしいところ。
クルード一家がガイの影響を受けてそれぞれが成長したように、石頭で頑固者だった父グラグもまた、最後の最後で成長する姿を見せます。家族を無事新天地へと送り出し、ひとり取り残されたグラグの身に迫る大地崩壊の危機。グラグは考えます....
 
ガイならどうする?....頭のいいガイならこの危機をどうやって乗り越える!?
ガイなら....  ....待てよ!?、俺なら....どうする?
俺ならどうやって乗り越える!?
 
自信を失いかけていたグラグが、自らのアイデンティティーを取り戻すこの場面は、非常に感動的でドラマチックです。ここまでにちりばめられた様々な伏線を回収しつつ、物語として見事な着地を見せる感動のエンディングは、とても見事でした。
 
 
原始人一家の姿を借りて、家族愛という普遍的なテーマをを描いた秀作アニメーション「クルードさんちのはじめての冒険」。特に子供さんを持つ全国のお父さんに見て欲しい作品です。原始時代の壮大な自然風景(本当に美しい映像の数々!)は本当に見応え充分、原始時代に生息するユニークな動物たちの姿は、動物好きの方々にはとても愛おしく感じられることでしょう。また、日本のアニメではなかなかお目にかかれない海外ならではの強烈なブラックジョークなども楽しさのひとつです。キャラクターデザインは正直日本人受けしづらいかもしれませんが、それだけで敬遠するのは非常にもったいない作品です。
 
ゴールデン・ウィークは終わってしまいましたが、
是非、休日にご家族揃って鑑賞して下さい(^皿^)/
笑いあり、涙ありのお薦めのアニメーション作品です♪
 
 
    イープ.jpg 
長女イープの声を演じるは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのエマ・ストーン
コメディエンヌである、彼女の持ち味が存分に活かされています♪
イープは、まるで水泳選手のようなガッチリ体型で、おせじにも可愛いとは言えない顔立ちですが、そのしぐさは原始人らしいチャーミングさであふれています。
ものを食べたあとで、歯に残ったカスを手でとった後パクリと食べるしぐさとか、狩りに出掛ける際は喜びのあまり、犬のように四つん這いでお尻をフリフリするしぐさとかが、とても可愛らしいです♪(^皿^) 

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前作以上の不出来っぷりにガッカリする〜『アメイジング・スパイダーマン2』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
       『 アメイジング・スパイダーマン2 』
        (原題:THE AMAZING SPIDER-MAN 2)
        2014年 アメリカ映画 上映時間:2時間23分
 
 監督:マーク・ウェブ
 脚本:アレックス・カーツマン
    ロベルト・オーチー
    ジェフ・ピンクナー
 原作:スタン・リー&スティーブ・ディッコ
 音楽:ハンス・ジマー&マグニフィセント・シックス
    Featuring ファレル・ウィリアムス&ジョニー・マー
 
 出演:アンドリュー・ガーフィールド ....ピーター・パーカー/スパイダーマン
    エマ・ストーン        ....グウェン・ステイシー
    ジェイミー・フォックス    ....マックス・ディロン/エレクトロ
    デイン・デハーン       ....ハリー・オズボーン/グリーン・ゴブリン
    キャンベル・スコット     ....リチャード・パーカー(ピーターの父親)
    エンベス・デイヴィッツ    ....メアリー・パーカー(ピーターの母親)
    サリー・フィールド      ....メイおばさん
    クリス・クーパー       ....ノーマン・オズボーン(ハリーの父親)
    コルム・フィオール      ....ドナルド・メンケン
    ポール・ジアマッティ     ....アレクセイ・シツェビッチ/ライノ
 
【あらすじ】
スパイダーマンであるピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、今日もニューヨークの街で犯罪者を相手に戦う日々。そんなスパイダーマンの活躍は、N.Y.の市民にもすっかり受け入れられていた。一方で恋人だったグウェン・ステイシー(エマ・ストーン)との関係は、微妙な間柄が続いていた。
ある日、オズコープ社の電気技師マックス・ディロン(ジェイミー・フォックス)は、事故に巻き込まれそうになったところを、偶然スパイダーマンに助けられた。その事をきっかけにスパイダーマンへと心酔していくマックス。それまで孤独に生きてきたマックスにとって、ヒーローであるスパイダーマンは心の支えとなる。
一方、ピーターの旧友だったハリー・オズボーン(デイン・デハーン)が寄宿学校を卒業してNYの街へと戻ってきた。再会を喜ぶピーターとハリーだったが、ハリーにはある重大な問題が持ち上がっていた。
そんな矢先、マックスはオズコープ社内の研究室で事故に巻き込まれ、電気を自在に操作出来る特殊体質の持ち主となってしまった。外見もすっかり変わってしまったマックスは、意志に反してNYの街を混乱させてしまう。そこに現われたスパイダーマンに対して助けを求めるマックスだったが、スパイダーマンに悪党扱いされてしまう。失望と怒りに襲われたマックスは怪人エレクトロとなり、NYの街を破壊し始める....!
 
 
....う〜ん、やっぱり期待外れでした(^〜^;)
実は直前まで劇場鑑賞するかどうかすごく悩んだ本作。というのも、前作が個人的に期待外れの作品だったからです。でも、続編である本作には満を持してグリーン・ゴブリン登場!ということで、ヴィラン好きとしてはやはりその姿を確認せずにはいられず、かすかな期待を込めて鑑賞に挑んだ訳ですが....やっぱりマーク・ウェブ監督は期待に応えてはくれませんでした。どうやらオイラはマーク・ウェブ監督と相性が悪いみたいです。
というか、マーク・ウェブ監督自身がアメコミ映画と相性が悪いんじゃないだろうか?。
 
基本的にマーク・ウェブ監督の演出は嫌いじゃありません。
例えば、本作のオープニングであるリチャード・パーカーの下りは、すごく緊張感があって物語へとぐいぐい引き込まれました。一方ピーターとグウェンの友達以上恋人未満な関係の描き方もすごく好感が持てる演出で、このあたりはさすがマーク・ウェブ監督!といった趣きです。
ところが一転、ヴィラン(悪党)を描き出すと、その演出力が急激に失速し始めます。
わかりやすく言うと、ヴィランの人物描写がとても表面的で薄っぺらなのです。
一作目のリザードもそうでしたが、本作のヴィランたちも今ひとつ魅力に欠ける存在でした。ひょっとして、マーク・ウェブ監督自身がヴィランの存在をあまり魅力的に感じていないのではないか?、そんな事さえ勘ぐりたくなりました。しかしながら、アメコミ映画にとって、ヴィラン(悪党)は主人公と匹敵するくらい重要な存在です。悪役が魅力的であればあるほど、スーパーヒーローの輝きも比例して増していくのです。
と言う訳で、今回は“ヴィランの描き方”という視点で、マーク・ウェブ監督の演出の何がダメだったのか?を検証していきたいと思います。
 
 
【電気技師マックス・ディロン/エレクトロ
外見的ビジュアルは百点満点!、素晴らしいデザインでした。
青白く発光する肌から透けて見える無数の血管....とてもインパクトのある不気味なビジュアルは、悪役として申し分のないデザインです。ですが、その前段であるところのマックス・ディロンの描き方は、お粗末そのものでした。マーク・ウェブ監督(そして、脚本家たち)は基本的な部分を誤解しています。それは、マックス・ディロンが事故に遭遇してエレクトロになったと描いている点です。
でも、そうじゃありませんッ!
マックスがエレクトロになるのは、信頼していたスパイダーマンに裏切られたと感じたからです。マックスは唯一の心の支えを失った事で、絶望感から生みだされた怒りのせいでエレクトロになってしまうのです。だから、前段ではマックス・ディロンの疎外された日常、孤独な人生を丁寧に描く必要があります。ところが、マーク・ウェブ監督は、マックスのエキセントリックな性格ばかりを強調して描いています。だから、まるで頭のおかしい人物がそのせいで悪役になったようで、マックスに対して感情移入がしづらい作りとなっています。これはそのままマーク・ウェブ監督のヴィランに対する思い入れを表しているようで、ちょっと不快感を感じました。
マックスが研究所内での事故に見舞われる場面も、非常にこっけいで失笑ものでした。プロの電気技師である彼が、なぜあのような間抜けな行動をとるのでしょうか?。いくら急いでいたとは言え、設定に無理がありすぎます(マーク・ウェブ監督は、電気技師という職業をバカにしているのか?)。事故に遭遇するためのもっと説得力のある演出があったと思います。例えば、リストラを宣告されたマックスがオズコープ社の役員と口論となり、そのいざこざの過程で過って水槽に落下する....そういった描写の方がよっぽど自然です。電気ウナギのマンガ的描き方といい、この場面に於けるマーク・ウェブ監督の演出は、本当に稚拙でした。
 
スパイダーマンがタイムズスクエアでマックスに再会する場面で、スパイダーマンがマックスのことを覚えている点も不自然です。明らかに容姿も違いますし、何より適当な事を喋っているピーターがマックスのことを覚えている訳がありません。マックスに絶望感を感じさせるためにはピーター(即ちスパイダーマン)がマックスのことを覚えていないことが重要であり、またピーターが未だ“大いなる責任”を自覚出来てない未熟な人間だということを表現するためにも、あの場面でマックスのことを覚えていては駄目なのです。
 
更に付け加えるならば、マックスがエレクトロの容姿になるのが早すぎます。タイムズスクエアに迷い出てきた時点では、まだマックスの人間的容姿を残しておく必要があります。そこでスパイダーマンと再会し、助けを求めたのにも関わらず、街を混乱させた悪人扱いされて、そこで初めて怒りが沸き上がり、あの容姿....すなわちエレクトロと化さなきゃダメなんです。怒りの解放=(すなわち)それが電気の放出なのです。でも、マーク・ウェブ監督はまるで事故にあったからエレクトロになってしまった....みたいな薄っぺらな人物描写をしています。これではとても魅力的な悪役になる訳がありません。
 
更に、エレクトロになった後も、その描き方に問題が残ります。
エレクトロは電気を自在に操れる能力から、最終的には電気そのものに姿を変えられる進化を遂げますが、これが大失敗の元凶です。それってつまり“不死身”になったことと同じだからです。ピーターはエレクトロをやっつける方法として電気エネルギーを大量に蓄積させることによって爆発させるという手法をとりますが、この方法にはすごく矛盾があります。そもそも、電気を自在に放出出来るエレクトロの身体に、電気が溜まる訳がありません。エレクトロが体内に大量の電力を流されたとしても、放出させれば済むだけの話で、そうでなければサンドマンのように巨大化すればいいのです。
でも、この設定で何より一番無理があったのは、この能力を得たあとでエレクトロが衣装を着ていたことです。自身を電気化することで電線内を自由自在に移動出来る能力はともかく、それをなぜ衣装を着たままで可能なのか?、それはいくらなんでも無理がありすぎます。初めてその能力を使った際、パンツを着ていると言うあまりにも間抜けな映像には、座席からズッコケそうになりました。真面目な演出を心がけているマーク・ウェブ監督だからこそ、こうした間抜けな演出がかえって際立つという皮肉。ビジュアルが非常にかっこいいエレクトロだっただけに、その描き方のお粗末ぶりには閉口してしまいました。
 
 
【ハリー・オズボーン/グリーン・ゴブリン
サム・ライミ版とはまたひと味違ったハリーを演じるデイン・デハーンは、すごくいい演技をしていました。しかしながら、ハリー・オズボーンの描き方という点で見ると、やはり気になる問題点がいくつもありました。
帰郷したハリーは病床にある父ノーマンからオズボーン家に伝わる遺伝的な病気のことを告げられます。ところが、この病気のことを告げられたハリーは、急激に死について脅え始めます。しかし、この描写がとても不自然です。父親の姿を見れば、別にすぐ死んでしまうような病気でないことは明らかですし、父親の話をすぐ鵜呑みにしてしまうハリー自身も何だか間抜けです。普通なら精密検査を受けるといったハリーの描写があって然るべきなのに、そうした丁寧な演出は残念ながら見ることが出来ません。この下りに象徴されるように、本作でのハリー・オズボーンの描き方は、とても拙速なのです。まるで、無理矢理グリーン・ゴブリンを出すために展開を急いでいるようにしか見えません。
ハリーが自身の専属秘書にフェリシア・ハーディ(原作のヴィランである女怪盗ブラック・キャットの本名!)を選ぶ場面も同じです。通常であれば彼女が普通の取り巻きとは違うといった姿を見せた上で、彼女の事を秘書に選ぶといった描写が自然ですが、そうした描写もないためフェリシアを秘書に選ぶ場面が非常に唐突に感じられ不自然でした。
 
マーク・ウェブ監督(そして、脚本家たち)は、ここでも基本的な事を勘違いしています。
ハリー・オズボーンは薬品を注入したからグリーン・ゴブリンになる訳ではありません。投与された薬品により、自身の中の精神的暗黒面が増幅されたことで、悪鬼グリーン・ゴブリンとなるのです。ところが、その大事な部分であるハリーの心の闇の描き方が不十分なので、まるで薬品のせいでグリーン・ゴブリンになったように見えてしまいます。
ハリーが高速グライダーやフライトスーツを手にする理由もすごく曖昧です。薬品を投与した時にたまたま目の前にあったから着てみた?....それではあまりにも短絡的でしょう。せめて、何らかの前フリをしておくべきです。例えばハリーのセレブ生活についてピーターが言及する場面がありますが、あの下りで例えばハリーがスカイダイビングとかハンググライダーなどのスカイスポーツに関心がある人物といった描写があれば、ハリーが高速グライダーを身につける理由にもちゃんとした意味あいが出てきます。そうした丁寧な人物描写が見られないのは、本当に残念でした。
でも、この場面で一番ダメだった部分は、ドナルド・メンケンを逃がしてしまう点です。
そこは、ちゃんと殺害しなきゃダメでしょ!
ハリーがグリーン・ゴブリンと化し、凶悪かつ凶暴になった姿を見せるためにも、ドナルド・メンケンを八つ裂きにしなくちゃならない重要な場面ですよ。それなのに、それを描かないマーク・ウェブ監督....あんた腰抜けか?。
 
対エレクトロ戦のあと、突如響き渡るグリーン・ゴブリンの笑い声
「キャハハハハハーーーーッ!」
まるで女の子が笑ってるようなコントみたいな笑い声で登場したグリーン・ゴブリンの姿に、思わずズッコケそうになったのはオイラだけでしょうか?。この笑い声に関しても、深い意味もなく記号的に笑っているだけで、かっこ良さとはほど遠いものとなっていました。せっかくデイン・デハーンが繊細な演技でハリー・オズボーンを好演していたというのに、それらを全て台無しにするキャハハハ演出....マーク・ウェブ監督の罪は思いです。
 
 
【アレクセイ・シツェビッチ/ライノ
ライノの描き方に関しては、アレでいいと思います。
オープニングの掴みとして、また3への布石として、ああした扱いになった点については特に異論ありません。だけど、やはりマーク・ウェブ監督はアメコミ映画というこのテのジャンル作品のことがよくわかっていないなと痛感しました。何故なら、パワード・スーツの装着場面を描かないからです。
こうした類いは、装着する場面が一番燃える瞬間なのに!
アイアンマンがなぜかっこいいのか?、空を飛ぶから?....違います。アイアンマンで一番燃えるのは、トニー・スタークがアイアンマンスーツを装着する場面です。どうしてそのことがわからないかな?、マーク・ウェブ!(T皿T)
オイラがもし監督だったら、まずポール・ジアマッティをそのまま再登場させます。アレクセイのことを相変わらず軽口をたたいて小バカにするピーター。その目前でトレーラーに積んでいたサイ型パワード・スーツを装備するアレクセイ。驚くスパイダーマンを見てニヤリとするジアマッティ....そして二人が激突!....3に続く〜みたいな描き方をします。
子供を登場させる下りは感動的ではありますが、一方であざとい感もアリアリ。
ライノをかっこよく見せることよりも、あざとい演出を選んで薄っぺらな感動を描こうとするマーク・ウェブ監督のセンスは、やっぱり好きにはなりませんでした。
 
 
【総括】
結論から言うと、エレクトロとグリーン・ゴブリンを一緒に出すべきではなかったと感じました。どちらか単体でも充分スパイダーマンの脅威になれたと思うし、その方がキャラクター描写に時間がさける分、深みが出たと思います。
スパイダーマンの世界って、良くも悪くも馬鹿馬鹿しさがつきまとう世界だと思うのです。ただ、マーク・ウェブ監督の演出するそのバカバカしさは、方向性が間違っていたように思います。7:3分けのマックスの髪型や誕生日ケーキを手にしてのひとり芝居。或いは電気ウナギのアニメ的描写やマックスが事故に合う稚拙な設定。きゃはは笑いのグリーン・ゴブリン、グウェンを助けようとして伸ばした蜘蛛の糸の先が手のようになる描写など、的外れを感じさせる演出が非常に目につきました。
 
予告編でも流れていましたが、本作のスパイダーマンは、前作にも増してその映像がかっこよくなっています。デザインも一作目からマイナーチェンジされ、よりコミックに近い容姿(目が大きくなっている)となりました。エレクトロの不気味な容姿、グリーン・ゴブリンの乗るグライダーの洗練されたデザイン、ライノのパワード・スーツの力強さなど、ビジュアル面では非常に素晴らしい映像を見せてくれました。
またマーク・ウェブ監督は前作から一転、今回は35mmフィルムで作品を撮っています。
そうした姿勢は、映画監督としてとても大好きです。
しかしながら、前作そして本作を見る限り、マーク・ウェブ監督はアメコミ映画を撮るには向いてない監督だと痛感しました。恐らく「3」にはヴィランとしてドクター・オクトパスが登場することになりそうですが、個人的には劇場鑑賞しない確率が自身の中で大きくなってしまいました。
おそらくマーク・ウェブ監督自身は、ものすごく真面目な監督なんだと思いますが、その実直そのものの演出がスパイダーマンの世界観との間でズレが生じ、結果的に可もなく不可もない作品になってしまったようです。それがとても残念だった『アメイジング・スパイダーマン2』でありました。
 
最後に一番気になったことをひとつだけ....
 
おい、ピーター!
ベン伯父さん殺害犯捜しは、一体どうなったんだ!?
 
 
 
     『スパイダーマン、君の血をボクにくれないか?』
      ハリー.jpg 
吸血鬼のような台詞が、実にしっくりとくるデイン・デハーン 
レオナルド・ディカプリオの再来!と言われるだけあって、その存在感は抜群。
カゲのあるハリー・オズボーンを繊細な演技で魅力的に熱演していました
ぶっちゃけ、アンドリュー・ガーフィールドよりも数倍良かった
それだけにグリーン・ゴブリンと化した時のかっこ悪さには閉口
デイン・デハーンが可哀想すぎる....
マーク・ウェブ監督は罪滅ぼしに、彼を主役にした作品を撮るべし!

The Amazing Spider-Man 2 (Original Motion Picture Soundtrack)

The Amazing Spider-Man 2 (Original Motion Picture Soundtrack)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 2014/04/15
  • メディア: CD
前作のジェームズ・ホーナー師匠からハンス・ジマー師匠にバトンタッチ
なんで変わったんだろ?
マーク・ウェブ監督の作風からして、前作のジェームズ・ホーナー師匠のメロディの方が合ってると思うんだけどなあ....
ハンス・ジマー師匠は、相変わらず実験的なことをやってます
ささやき声やノイズみたいなものがメロディにのって流れる....みたいな
   

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キャップの超人的勇姿に興奮する!〜『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
   『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』
      (原題:CAPTAIN AMERICA THE WINTER SOLDIER)
        2014年アメリカ映画 上映時間:2時間16分
        字幕翻訳:林完治 吹き替え翻訳:岸田恵子
 
 監督:アンソニー&ジョー・ルッソ
 製作:ケヴィン・ファイギ, p.g.a.
 脚本:クリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリー
 音楽:ヘンリー・ジャックマン
 
 出演:クリス・エヴァンス    ....スティーヴ・ロジャース/キャプテン・アメリカ
    スカーレット・ヨハンソン  ....ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
    サミュエル・L・ジャクソン  ....ニック・フューリー/シールド長官
    セバスチャン・スタン    ....バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー
    アンソニー・マッキー    ....サム・ウィルソン/退役軍人
    コビー・スマルダーズ    ....マリア・ヒル/シールド副長官
    フランク・グリロ      ....ブロック・ラムロウ/テロ対策チームの隊長
    エミリー・ヴァンキャンプ  ....エージェント13
    ロバート・レッドフォード  ....アレクサンダー・ピアース/シールド理事
 
【あらすじ】
ニューヨークが異星人による襲撃を受けた事件から2年あまりが過ぎようとしていた。
キャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は、国際平和維持組織S.H.E.I.L.D.の一員として、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)らと共に活動していた。一方、シールド長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は国防強化を目指して、上司であるアレクサンダー・ピアース(ロバート・レッドフォード)と共に巨大空中空母ヘリキャリアによる新たな防衛監視システムを構築、完成間近であることをスティーヴ・ロジャースに告げる。
だが、スティーヴ・ロジャースはそんなシールドの方針に異論を唱えるのだった。
その矢先、ニック・フューリーが白昼堂々何者かに襲撃され、瀕死の重傷を負ってしまう。
フューリーはスティーヴに「誰も信用するな」と告げると、息を引き取ってしまった。
なぜ、フューリーは襲われたのか?....捜査を進めるスティーヴ・ロジャースの前に、フューリーを襲撃した謎の暗殺者ウィンター・ソルジャーが現れる。その正体はかつての親友であり、戦死したと思われていたバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)だった!。
やがてスティーヴは、シールド全体を巻き込む巨大な陰謀へと巻き込まれていく....
 
 
【こんなキャプテン・アメリカを待っていた!】
2011年に公開された記念すべき一作目『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』は、大好きなジョー・ジョンストン監督作品ということで、大いに期待をして鑑賞しましたが、その期待はものの見事に裏切られ、失望の後に終わりました。
が、ジョス・ウェドン監督が『アベンジャーズ』(2012)で、魅力的なキャップの姿を描いてくれて、オイラの中でキャップに対するかっこ良さ度が再び復活しました。
その一方で個性的なヒーローに囲まれる中にあって、比較的地味な存在だったキャップのいわゆる“超人”としての描き方には、やや消化不良の感を覚えました。
「キャップの超人っぷりをもっと見たいッ!」 
そんなオイラのフラストレーションを払拭するかのように、アンソニー&ジョー・ルッソ監督は、本作で「これでもか!」とかっこいいキャップの姿を描いてくれました。
そう、正にこういうキャップを見たかったのです!(^口^)/
 
【つかみは、OK!】 
オープニング、早朝のワシントンD.C.でジョギングするスティーヴ・ロジャースの姿から物語の幕は開けます。ジョギングと言っても、普通の人から見れば猛ダッシュにしか見えず、ユーモアたっぷりにキャップの身体能力の高さが描かれます。ここで、後にファルコンとして共に戦うことになるサム・ウィルソンとの出会いが描かれます。共に好人物である二人の爽やかな出会いが描かれる気持ちのいいオープニングです。
そこから最初のつかみであるテロリストに占拠されたタンカー船奪還の場面に突入します。
ヘリからパラシュート無しで海面へとダイブする場面は、もちろん「アベンジャーズ」のセルフパロディです。大海原で停泊中のタンカー船に近づき、碇の鎖を伝って甲板への潜入に成功するキャップ。そこから船上を駆け抜けながら見張りのテロリストたちをひとり、またひとりとなぎ倒していきます。オープニングのジョギング場面がちゃんと前フリとなっている巧みな演出です。そして、テロリストのリーダーと対戦格闘となるキャップ。ここで我々はキャップが“兵士”であることを再認識させられることになります。
本作の格闘アクション場面は、迫力があって本当に見応え充分です。
因みに、この場面でテロリストのリーダーを演じるのは、本物の格闘家であるジョルジュ・サン=ピエール。リアル格闘家を相手に迫力ある殺陣を見せるクリス・エヴァンスもなかなかのものです。
オープニングからここまでの展開で、キャプテン・アメリカの人柄や超人としての能力を存分に見せたアンソニー&ジョー・ルッソ監督の無駄のない演出手腕は、見事という他ありません。
ここまで見て、オイラは「この作品は絶対面白くなるッ!」と確信しました。
 
この後、今回の強敵であるウインター・ソルジャーとの戦いが展開される訳ですが、そちらももちろん迫力満点!です。パンチやキック、関節技などリアルな対戦格闘の中に、楯を使ったお馴染みのアクションも挿入され、非常にバリエーションに富んだキャプテン・アメリカの近戦格闘術を満喫出来ます。元来、楯を使ったアクションは非常にマンガちっくになりがちなのですが、その間で展開される格闘がリアルなため、楯アクションもウソ臭くなっておらず、そのバランスが絶妙でした。
バッキーことジェームズ・ブキャナン・バーンズを前作に引き続き演じるセバスチャン・スタンは、同一人物でありながら前作とはまったく違うキャラクターを魅力的に演じていました。長髪で目のまわりを黒くペイントした姿がかっこ良く、銀色に輝く左腕のメタルアームも超クール。キャップに負けず劣らずの身体能力で戦う場面は迫力満点でした。大小様々な銃火器を巧みに使いこなすだけでなく、ナイフを使った近戦格闘術にも長けたウィンター・ソルジャー。伝説の暗殺者という触れ込みを、見事に演じたセバスチャン・スタンの功績は素晴らしいです。
また、格闘アクションだけでなく、カーアクションでも迫力ある演出を見せてくれるアンソニー&ジョー・ルッソ監督。ニック・フューリー襲撃場面や、キャップたちがウィンター・ソルジャーに襲われる場面など、派手な銃撃戦も含め、非常に緊張感のある演出が冴え渡っていました。
 
今回のアクション演出でアンソニー&ジョー・ルッソ監督を高く評価したい点は、ライブアクションにこだわっている点です。例えば、もうすぐ公開となる『アメイジング・スパイダーマン2』や『アイアンマン』シリーズもそうですが、このテのジャンル映画は作品の性質上どうしてもCGモデルにアクションをやらせがちになってしまいます。CGモデルだと生身の人間には出来ないアクションが可能なので、いわゆる“超人”っぷりを描くにはとても便利なツールなのですが、一方で多用しすぎると映像が文字通り“マンガ”的になり、リアリティに欠けます。無論、本作でも場面によってはCGモデルが使用されてはいますが、基本的には生身の人間によるライブアクションが主なので、映像自体に説得力があり、尚かつ緊張感に溢れていました。
 
一方、今回はポリティカル・サスペンスということで、ドラマ部分も見応えがありました。
絵空事であるフィクションに重厚感を与えるのに、ロバート・レッドフォードの存在が大きいことは確かです。出て来た瞬間から怪しさ爆発で、悪役なのはバレバレな訳ですが、そこはご愛嬌(^皿^)。抑えた静かな演技で悪役としての大物ぶりを発揮していました。
また、スティーヴ・ロジャースの内面もきちんと描いている点も見逃せません。シールドに所属して国防に仕えながらも、自身の活動が本当に国のためになっているのか?と、正義の在り方に悩むキャップの生真面目さもきちんと描かれており、とても魅力的でした。
 
面白い映画というのは、脇役が魅力的なものです。
シールドのテロ対策チームS.T.R.I.K.E.のリーダーであり、後にキャップの敵となるブロック・ラムロウ(フランク・グリロ)は、悪役としての魅力に溢れていました。大やけどを負いながら生き延びた彼の今後の動向が非常に気になります。
チョイ役ながら今回も美味しいところで活躍を見せるニック・フューリーの忠実な部下マリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)も、相変わらずのクールビューティーっぷりで魅力的でした。『アベンジャーズ2〜エイジ・オブ・ウルトロン』にも出演が決定しているマリア・ヒル副長官の活躍から目が離せません。
クールビューティーと言えば、今作の新キャラであるエージェント13(エミリー・ヴァンキャンプ)の凛とした美しさも見逃せません。彼女も『キャプテン・アメリカ3』に続投決定ほぼ間違いなしと思われます。こんな美女が向かいに住んでるそんなアパートに、オイラも住みたいです♪(^皿^)>。
そして、やはりなんと言ってもブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ。
ナターシャ・ロマノフもまた、本作ではキャップに負けず劣らずのアクションを見せてくれます。女スパイでありながら、同時に暗殺者でもあった彼女。その格闘スキルを対ウインター・ソルジャー戦でいかんなく発揮してくれます。妖艶という言葉が実にぴったりなスカーレット・ヨハンソンのハスキーボイスがたまらなくセクシーです。
是非、ブラック・ウィドウを主役にしたスピンオフ作品を映画化して欲しいですね。
 
 
続編でありながら、一作目とはそのテイストをまったく変えてきた『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』。これまであまり見ることの出来なかったキャプテン・アメリカの“超人”としてのポテンシャルの高さを堪能しつつ、政治サスペンスという骨太なドラマが見事に融合したアクション・サスペンスの傑作です。一作目『〜ファースト・アベンジャー』や『アベンジャーズ』を見てると俄然面白さもアップしますが、未見の方でももちろんOK!、全然問題なく楽しめる作品です。
正にゴールデン・ウィークに鑑賞するにはもってこいの一級エンターティメント作品。
超お薦めします!(^皿^)/
 
 
  キャプテン・アメリカVSウィンター・ソルジャー
  キャップVSウィンター.jpg
運命のいたずらによって戦うことになってしまう親友同士の二人
果たして、その結末や如何に....!?
 

Marvel's Captain America: The Winter Soldier: The Art of the Movie Slipcase

Marvel's Captain America: The Winter Soldier: The Art of the Movie Slipcase

  • 作者: Marie Javins
  • 出版社/メーカー: Marvel
  • 発売日: 2014/04/22
  • メディア: ハードカバー
アートブック、超欲しいなあ...!(^皿^)/
   


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ボクって、救世主(ヒーロー)....なの!?〜『レゴ・ムービー』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
           『レゴ・ムービー』
          (原題:THE LEGO MOVIE )
        2014年 アメリカ映画 上映時間:100分
    翻訳:佐藤恵子/翻訳監修:鈴木おさむ/吹き替え版演出:久保宗一郎
 
   監督/脚本/原案:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
   製作:ダン・リン ロイ・リー
   原案:ダン・ヘイグマン&ケビン・ヘイグマン
   撮影:パブロ・プレイステッド
   美術:グラント・フレックルトン
   アニメーション共同監督/編集:クリス・マッケイ
   音楽:マーク・マザーズボウ
 
声の出演:クリス・プラット   ....エメット/ごくフツーの建設作業員
     ウィル・フェレル   ....おしごと社長/裏の顔は悪の“おしごと大王”
     エリザベス・バンクス ....ワイルドガール/エメットを救う謎の美女
     ウィル・アーネット  ....バットマン/ワイルドガールの彼氏
     ニック・オファーマン ....ロボヒゲ/おしごと大王に復讐を誓う海賊
     アリソン・ブリー   ....ユニキャット/ネコとユニコーンをミックスした動物
     チャーリー・デイ   ....ベニー/宇宙飛行士の旧型ミニフィグ
     リーアム・ニーソン  ....バッド・コップ/おしごと大王の忠実な手下
     モーガン・フリーマン ....ウィトルウィウス/救世主の出現を予言する長老
 
【あらすじ】
ここはレゴワールドのブロックシティ。
工事現場で建設作業員として働くエメット(クリス・プラット)は、ごくフツーの青年。
毎日マニュアルに従い、変化のない日常をそれなりに楽しく過ごしていた。
仕事が終わったある日の事、エメットは人気のない工事現場で不審な人物を見かける。
美しい女性だったその人物にひと目惚れしたエメットは、彼女のあとを追い、誤って深い穴へと落ちてしまう。落ちた穴の底で謎のアイテムを目にするエメット。不思議な魅力に満ちたその“アイテム”に触れたエメットは、幻覚におそわれ、そのまま気を失ってしまうのだった....
しばらくして....エメットが目を覚ますと、なぜかそこは警察の取調室だった。
バッド・コップ(リーアム・ニーソン)に「お前が“選ばれし者”なのか?」と執拗な取り調べを受けるエメット。気がつけば、穴の底で見た謎のアイテム“奇跡のパーツ”が、エメットの背中に張り付いていた。訳もわからず困惑していると、そこに工事現場で見かけたあの女性が現われた。ワイルドガール(エリザベス・バンクス)と名乗るその女性はエメットを救出すると、エメットに語りかけた。
「さあ、選ばれし者、私たちの世界を救って下さい!」
こうして、ごくフツーの青年エメットの壮大な冒険が始まった....!!
 
     『エメット、一緒に世界を救うわよ!』
     RIMG2132.JPG
 
 
みなさんは、レゴが好きですか?。
オイラは40を過ぎた、いい歳のおじさんですが、声を大にして言いたい....
『LEGO(レゴ)が、大好きだーーッ!(^口^)/』
そんなレゴ好き人間にとって、『レゴ・ムービー』は、至福の時を味わえる作品でした。
 
まずは、なんと言っても、その映像に驚かされます。
登場人物であるミニフィグ、建造物や乗り物はもちろんのこと、自然風景やエフェクト(水、火、煙、爆発、etc....)など、その全てがレゴブロックで再現されるという徹底ぶりには、本当に感動させられました。例えば、冒頭目覚めたエメットがシャワーを浴びる場面では、シャワーから出る水や水滴、石鹸の泡までもがレゴブロックで再現されています。それが違和感なく自然に見えちゃうから、不思議です。更に圧巻なのが、大海原の場面です。物語中盤でエメットらが海に投げ出される場面がありますが、そこで波打つ海面や波しぶきまでもが、レゴブロックで表現してありました。それは正に芸術的で、全世界のレゴファンが夢見た世界が、映画の中そこここに広がっていました。
(因みに、オイラが唯一レゴブロックで表現されていない箇所を確認出来た場面は、エメットが拷問を受ける場面での、レーザー光線のみでした)
 
また、特筆すべきはミニフィグの描き方です。
これまでも、ミニフィグを扱ったCGアニメはありました。
レゴのホームページを覗けば。魅力的に動き回るCG製ミニフィグたちの姿を垣間見ることが出来ます。しかし、その一方でその映像にどこか“もどかしさ”を感じていたこともまた事実です。
何故なら、実際のミニフィグは、CGアニメのように滑らかには動かないからです。
実際にレゴのミニフィグを所持している方なら強く実感して頂けると思いますが、本物のミニフィグはとても可動域が少ないフィギュアです。動くのは首(左右360度)、腕の付け根や手首(前後360度)、足の付け根(前後180度)のみです。ですが、この作品ではその少ない可動域のまま、魅力的にミニフィグたちが動き回ります。実際には、映画の中のミニフィグは首や腕の付け根の部分が実物よりも若干可動域が広かったようですが、それ以外ほぼ実物商品と同じ可動域で動いていました。CGだから動かそうと思えば、滑らかに動かせたはずなのに、敢えてそうしなかった監督のこだわりが、実に素晴らしいです。世界のレゴマニアの中には、ミニフィグのコマ撮りアニメーション動画を自作公開する強者がいますが、この映画はその究極を形にした人形アニメーション作品なのです!。
CGアニメでありながら、アナログ感満載の『レゴ・ムービー』は、ある種の映像革命を起こしたと言っても、決して言い過ぎではないと思います。
 
おもちゃが主人公のアニメと言えば、真っ先に『トイ・ストーリー』が思い浮かびますが、
この作品がトイ・ストーリーと決定的に違うのは、映画の中に出てくるキャラクターと実際の商品との間に、差異がほとんどないことです。例えば、トイ・ストーリーに出てくるウッディやバズはものすごく綺麗ですが、実際にディズニーストアなどで売られているトイ商品の多くは、作中のクオリティには遠く及ばないものばかりです。フィギュア好きなら、そのことにがっかりした方も多いはずです。しかし、映画の中のエメットは、実際に売られているレゴ商品とほぼ同じです。
だからこそ劇中のミニフィグに対して、親近感や愛着が湧くのを禁じ得ません。
 
     『ボクが救世主だなんて、誤解だよ〜ッ!』
      RIMG2138.JPG
エメットがクローズアップになると、胸のあたりにうっすらと指紋のあとが伺えます。
本来CGモデルなので、指紋がつくことはあり得ない訳ですが、こうしたフェイク表現がビジュアルにアナログ感を与えることに成功しています。そして、この“指紋”こそが、物語のクライマックスに於ける大きな伏線へとなっています。
 
 
さて、肝心の物語はどうでしょう。
ある日、主人公がヒーローと間違われて....というプロットは、これまでも様々な映画で散々使われてきた設定ですが、素直に感動出来る展開となっていました。ネタバレになるので敢えて詳しくは書きませんが、クライマックスでは予想外の展開が待ち受けています。
予想外....と言っても、劇中にそのことを匂わせるアイテムや伏線があるので、容易に想像出来る展開ではありましたが、そこで描かれる“親子愛”には素直に感動出来たし、全世界の大人レゴファンに向けての辛口メッセージも、心にチクリと刺さって好感が持てました。
(なぜ、おしごと大王の声がウィル・フェレルなのか?.....そういうオチだったのね!)
 
でも、個人的に一番感動したのは、クライマックスでのエメットの振る舞いです。
ヒーローと間違われたエメットですが、実際には何の特技もない普通の人でした。
物語には、ブロックを使用して個性的なアイテムを作り出すことの出来るマスタービルダーというのが登場します。エメットも当初、周囲からこのマスタービルダーだと思われていますが、実際には違いました。当然エメットのことを救世主だと思っていた周囲はそんなエメットに対して失望し、エメット自身もまたマニュアル通りにしか行動出来ない自分の不甲斐無さに落ち込みます。
しかし、レゴワールド滅亡の危機を前にしてエメットは言うのです....
 
確かに、ボクは皆のようなマスタービルダーじゃないし、マニュアル通りにしか行動出来ない。でも、皆をまとめることは出来るよ、いつも仕事でやってることだから。皆は個性的なマスタービルダーだけど、それ故に個性がぶつかって皆で協力するのは苦手でしょ?。ボクならそれをまとめることが出来ると思う。そして、皆がそれぞれの力を合わせれば、きっと世界を救えるよ!
 
昨今我が国・日本では、「個性を大事に!」という風潮が強いですよね。
確かに個性はとても大事ですが、その一方で協調性ということが、とても軽んじられているような気がします。個性強調と公共の場でのモラル低下とは、何かしらの因果関係があるのではないでしょうか?。
【皆で力をあわせて、何かを成し遂げることの大切さ】
....そんな当たり前の価値観を改めて教えてくれるエメットの姿は、本当に感動的でした。
特別な力を持った人たちだけで、この世界を救ったり変えたり出来る訳ではありません。
少数の特別な人たち+エメットに代表されるような大多数の“フツーの人たち”が、力をあわせることで世界を変えることが出来るのです。そんなメッセージが強く心に響きました。
そしてクライマックス、そんなフツーのエメットが皆を救うために自己犠牲という形で、真の意味での救世主(ヒーロー)となります。これには、自然と涙せずにはいられませんでした。
自らの命を投げ出して皆を救ったエメット。
果たして、彼はその後どうなってしまうのでしょうか?。
それは皆さんご自身の目で是非確かめて下さい。
 
      ♪すべてが、サイコー!な映画
      RIMG2153.JPG
 
レゴブロックによる壮大な映像美と、フツーの存在である主人公が真の意味でのヒーローとなる感動作『レゴ・ムービー』は、絶賛公開中です。皆さんも是非劇場で鑑賞して下さい。
合い言葉は....♪すべてはサイコーッ!!(^皿^)/
 
レゴ ムービー おしおき部屋 70801

レゴ ムービー おしおき部屋 70801

  • 出版社/メーカー: レゴ
  • メディア: おもちゃ&ホビー
手軽にエメットとワイルドガールをゲット出来るセット
でも、ワイルドガールはフードを被ったバージョンなので、他のも欲しくなっちゃうぜ♪

 

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真実の愛で、凍った心を溶かせ!〜『アナと雪の女王』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
          ディズニー創立90周年記念作品 
           『アナと雪の女王』
            ( 原題:FROZEN )
       2013年 アメリカ映画 カラー作品 1時間42分

    監督:クリス・バック 
       ジェニファー・リー
 製作総指揮:ジョン・ラセター
    脚本:ジェニファー・リー
    音楽:クリストフ・ベック
  劇中歌曲:クリステン・アンダーソン=ロペス
       ロバート・ロペス
 
  出演:イディナ・メンゼル   ....エルサ/アレンデール王国家の長女
     クリステン・ベル    ....アナ/アレンデール王国家の次女
     ジョナサン・グロフ   ....クリストフ/氷を売って生計を立てる山男
     サンティノ・フォンタナ ....ハンス王子/アナにひと目惚れし、求婚する
     ジョシュ・ギャッド   ....オラフ/エルサが作り出した生きた雪だるま
     アラン・テュディック  ....ウェーゼルトン伯爵/強欲な貴族
 
 【あらすじ】
アレンデール王国に住む国王の娘たち、エルサとアナの姉妹。
触れたものを凍らせる事が出来る能力を持って生まれたエルサは、幼い頃その能力のせいで妹アナを傷つけてしまう。そのことがトラウマとなったエルサは能力を封印し、それまで仲良しだった妹とは距離を置きながら、ひと目を遠ざけるようにして生きてきた。
だが、成人となったエルサ(イディナ・メンゼル)は、王位を継ぐ戴冠式のため、公の場に出ることを余儀なくされる。一方、アナ(クリステン・ベル)は、久々に城で開催される華やかなパーティーに大喜び。その席で南国からやってきたハンス王子(サンティノ・フォンタナ)と意気投合したアナは、ハンス王子との結婚を誓う。アナの突然の結婚宣言に驚いたエルサはアナと口論となり、感情的になったエルサは抑えていた能力を公衆の面前で思わず披露してしまった。長年秘密にしてきた能力を知られてしまったエルサは、そのまま城をあとにして、北の山へと立ち去った。と同時にアレンデール王国は、凍てついた冬の季節に包まれてしまった。
妹のアナは、アレンデール王国を救うため、姉エルサを追って北の雪山へと向かう....!
 
 
これぞ王道ミュージカル!!!
前前作『塔の上のラプンツェル』も素晴らしいミュージカル・アニメーションでしたが、
今作『アナと雪の女王』は、更にそれの上をいく王道中の王道ミュージカルでした。
ここまで正当派のミュージカルを見せられたら、もはや降参するしかありません。
ここにはっきりと断言します!....
傑作『レ・ミゼラブル』を完全に越えました!(^皿^)
 
映画公開前からイディナ・メンゼルが歌う劇中歌 ♪Let it go が話題となっていましたが、
それ以外にも素晴らしい楽曲が目白押しで音楽劇として非常に楽しめました。
 ・エルサとアナのキャラクターの対比を見事に描いた秀作:♪生まれてはじめて、
 ・アナとハンス王子が恋に落ちるロマンティクなナンバー:♪とびら開けて、
 ・雪だるまのオラフが大好きな夏を歌う愉快な:♪あこがれの夏、
 ・トロル族がクリストフを褒め讃える:♪愛さえあれば
....などなど、実にバラエティに富んだ楽曲が満載で、
どれもミュージカルシーンとして見応えがありました。
 
それでも、やはり特筆すべきは♪レット・イット・ゴーの場面でしょう。
幼い頃、自身の能力で妹を誤って傷つけてしまったエルサは、大人になった今でもその能力に脅えながら暮らしています。しかしながら、その一方でそれが自分らしくない姿だということもわかっています。妹と口論したことで、その能力を公のものとした彼女は、遂に本来の自分自身を取り戻します。エルサが「♪ありのままでいいの」と歌いながら氷の架け橋を駆け上がる場面は、その本来の自分自身を取り戻した喜びに満ちあふれていて、見るものに最高のカタルシスを味あわせてくれます。
恥ずかしながらこの場面でオイラは号泣してしまいました(^皿^;)>。
  
一方ミュージカル場面と並行して描かれるドラマ部分も、実にしっかりとしたものでした。
 妹を守るため、本来の自分をずっと抑え続けてきた姉エルサ
 ある時期から距離をおくようになった姉に対して、不満と寂しさを持ち続けていた妹アナ
そんな二人の葛藤や複雑な想いが、実にドラマチックに描かれます。
自分自身を取り戻して“雪の女王”となったエルサですが、その城は殺風景で寒々としています。それは単に氷で覆われているからではなく、エルサの孤独を象徴しているからです。
本来の自分=輝きを取り戻したはずなのに、孤独というエルサの姿が切なさを誘います。
一方、アナは冒険を通して色んなことを学びます。活発な女の子として描かれるアナは、正にディズニーヒロインの正当派で、応援したくなる魅力に溢れています。そんなアナと行動をともにすることになる山男クリストフもまた、素敵なナイスガイとして描かれています。個人的には外見をもう少しいかつい感じにして欲しかった感もありましたが、無骨な感じはよく出ていました。
 
今回珍しくヴィラン(悪役)らしいヴィランがいなかったので、物語がどんな風に展開していくのか?興味津々だった訳ですが、まさかアイツがあんなに悪いヤツだっただなんて!というネタばらしも意外性に富んでいて良かったです。
あんなドロドロした人間臭い悪役は、ディズニー史上初めてかもしれません(苦笑)。
 
もちろん、アニメーションとしての楽しさもきっちり描かれています。
今回コメディリリーフとして登場するのが雪だるまのオラフです。
実は映画を見る前、このオラフのデザインが今イチだなあと個人的に感じていたのですが、実際にはとてもチャーミングなキャラクターで、やはりこういうキャラを描かせるとディズニーは巧いなと痛感しました。日本語吹き替え版ではピエール瀧さんの好演が強く印象に残りました。
また、クリストフの相棒・トナカイのスヴェンがかっこ良かった!。
スヴェンは言うなれば、『〜ラプンツェル』に於けるマキシマスのような立ち位置。
アナを救うため、クリストフとともに猛吹雪の中を疾走する姿は本当にかっこ良かったです。
 
 
本作は、正にディズニーの王道を行く作品となっていますが、実は要所要所でその王道を外しています。それが、小さな驚きでもあり、また現代的とも言えます。
物語のネタばれになるので敢えて詳しくは書きませんが、クライマックスで描かれるいわゆる“真実の愛”というのが、我々観客が期待・想像していたものとは違う形で披露されます。オイラはその展開を見て思わず「そうきたか!」と唸ってしまいました。この結末には賛否両論あるかもしれませんが、個人的には満足しました。悪役の最期もこれまでのディズニーヴィランとは明らかに違う末路である点も、今風と言えるかもしれません。
いずれにしても、このあたりは是非皆さんご自身の目で確かめて頂きたいです。
 
 
『塔の上のラプンツェル』を超え、そしてあの『レ・ミゼラブル』を超えた!と言っても決して過言ではない、ミュージカル・アニメーションの最高傑作『アナと雪の女王』。
字幕スーパー版ももちろん素晴らしいですけど、日本語吹き替え版もかなり素敵な仕上がりになっていますので、お好きな方でご鑑賞下さい。
超お薦めの作品ですッ!(^皿^)/
 
 
     『運命の人に出会えるかも♪』
     アナ.jpg
     恋に恋するお年頃のアナ 神田沙也加さんの好演が光ります
     松たか子さんの歌にばかり注目が集まっていますが、
     もちろん神田沙也加さんの歌声も、素晴らしいです!
     冒頭の♪生まれてはじめてのアナが、本当に魅力的でチャーミング
     のむらさんも仰ってたように、戴冠式の朝の寝ぼけた姿が実に愛らしい
     ボサボサの髪の毛、そして....よだれ!(^皿^)
     あの姿で、女性観客の親近感をガッチリ掴むことに成功したのは確実
     もちろん、オイラもそのひとりです♪(^U^)
 


ディズニー アナと雪の女王 ビジュアルガイド

ディズニー アナと雪の女王 ビジュアルガイド

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: 単行本
本作を見たら、欲しくなる一冊
映画のデザイン画や、豊富な本編写真、充実したインタビュー記事など、読み応えあり
これで、日本語吹き替え版キャストのインタビューが掲載されていたら完璧だったのに...
 
 

ガーディアンズ 伝説の勇者たち [DVD]

ガーディアンズ 伝説の勇者たち [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD
『アナと雪の女王』に於ける、雪や氷の表現に感動した方は、
是非こちらのアニメーションも見て頂きたい!
『アナと雪の女王』に負けず劣らず、雪や氷の表現が素晴らしい作品です
ミュージカルでは決してないけれど、お薦めの作品です!
  

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『ネブラスカ』経由〜『アメリカン・ハッスル』行き [映画鑑賞]

2014年3月1日〜映画の日
久しぶりに、映画をハシゴしました(^皿^)>
鑑賞した作品は、『サイドウェイ』『ファミリー・ツリー』のアレクサンダー・ペイン監督最新作『ネブラスカ〜ふたつの心をつなぐ旅』と、『ザ・ファイター』『世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド・O・ラッセル監督最新作『アメリカン・ハッスル』です。
 
鑑賞した映画館は、新宿武蔵野館。シネコンじゃない映画館もまた久しぶりです。
当初は『ネブラスカ』のみを鑑賞予定だったのですが、タイムテーブルがうまい具合に続いていたので、思い切って面白いと前評判の高い『アメリカン・ハッスル』も続けて鑑賞することにしました。
結論から言うと、どちらも見て良かったです♪。
『ネブラスカ』は、いかにもアレクサンダー・ペイン監督らしい作品。
ロードムービーだった『サイドウェイ』と家族再生を描いた『ファミリー・ツリー』とを足して2で割って、更に渋みと苦みと侘びと寂びが絶妙にブレンドされたような作品でした。
(....って自分で言ってて、なんだかよくわからん)
「アレクサンダー・ペイン監督、ここに極まれり!」といったとにかく渋い趣きの作品で、我ながらオイラもペイン師匠の作品の味わいが理解出来る歳になったのかと、老いをしみじみ感じた次第です。
 
一方、『アメリカン・ハッスル』もユニークな作品で大いに楽しみました。
最初、出演者のスチール写真を見た時、「こりゃ、何かのコントか!?」と感じましたが、蓋を開けてみれば、実力派の俳優陣による白熱の演技合戦がものすごく見応えのある作品でした。中でもエイミー・アダムスの演技は素晴らしかったなあ。『マン・オブ・スティール』の時は冴えない地味な女優だと思っていたけれど、この作品を見てオイラの中でかなり評価が変わりました。ごめんね、エイミー(^皿^;)。それから何と言ってもデ・ニーロですよ、デ・ニーロ!。ほんのちょっとしか出ないチョイ役なのに、凄みのある演技を見せるデ・ニーロ師匠。最近変な作品に出てばかりのデ・ニーロでしたが、この作品で老いても尚健在!なところを見せられて、ちょっと嬉しかったです♪。
 
 
『ネブラスカ〜ふたつの心をつなぐ旅』『アメリカン・ハッスル』それぞれ個々の鑑賞記事は、また改めて記事にしたいと思っています(....と言いつつ、最近映画鑑賞記事はサボりぎみなので、実現するかどうかは現在不透明)。
 
それにしても、シネコンじゃない映画館も久しぶりで、そちらもちょっと新鮮でした。
シネコンだと座席は指定席ですが、新宿武蔵野館では全席自由席。入場チケットを購入すると、その場で整理券が配布され、整理券に印字された数字順にシアター内へと入場するというシステムがとられていました。もともと小さい劇場である上に、当日は映画の日ということもあって場内は満席、立ち見客も出るほどでした。
昔ながらの映画館と言えば、お馴染“座席問題”がありますよね。
自分の前の席に背の高い人が座ったりすると、字幕が読めないという例の惨劇(^皿^)。
比較的新しい作りのシネコンでは前の座席の方の影響を受けることはまずありませんが、昔ながらの映画館はそこまで計算して座席が配置されていないので、こうした惨劇が時として起こります。実際、オイラは今回『ネブラスカ』を見ていて、この惨劇に遭遇いたしました(笑)。オイラの前に座ってた人、そんなに長身の方でもなかったんですが、座席にきっちりと座られてたせいか、頭が半分以上座席からはみ出ていて、その後方に座っていたオイラは、字幕を読むのにとても難儀しました。かくいうオイラも身長176センチなので自分の後方に座る方に気を使ってかなり深く座っていたため、字幕の読み辛さは倍増するばかり。そのせいで字幕を読もうとしてしょっちゅう頭を左右にふっていたオイラに対し、後ろの方は結構うっとうしく感じられたかもしれません。
ごめんなさいね、オイラの後ろに座ってた方(^皿^;)>。
 
ところで、この日はあいにくの雨模様。
でも、新宿武蔵野館の座席の背もたれ後部には、傘をさせるようになっている部分があり、これにはすごく助かりました。雨の日に映画館へ行くと、意外に傘の置き場って困るんですよね。でも、差し込む穴が狭すぎて、キツキツだったのがやや難有り。もう少し大きくてもいいかな?と感じましたぞ。
 
という訳で、久しぶりにシネコンじゃない映画館での映画ハシゴを満喫した映画の日。
純粋に映画を楽しむだけならシネコンの方が断然いいのでしょうけど、映画館という雰囲気を味わいたいのなら、昔ながらの映画館の方が味わい深くていいですね(^U^)。
とは言え、4時間座り続けての映画鑑賞は....
腰へのダメージが、ハンパじゃないッス!(^皿^;)
 
 

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あなたは妖精の存在を信じますか?〜『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』を鑑賞する [映画鑑賞]

   
      暗闇.... 最初に覚えているのは闇だ
      暗くて、冷たくて.... 僕は怖かった
      そのとき、月が見えた
      とても大きく、とても明るくて
      闇を追い払ってくれたようにみえた
            
                   〜ジャック・フロスト
 
      
       『 ガーディアンズ 伝説の勇者たち 』
         ( 原題:RISE OF THE GUARDIANS )
          2012年 アメリカ映画 カラー 97分
 
   監督:ピーター・ラムジー
製作総指揮:ギレルモ・デル・トロ
   音楽:アレクサンドル・デスプラ
 声の出演:ジャック・フロスト(氷の妖精) ....クリス・パイン
      ノース(サンタクロース)    ....アレック・ボールドウィン
      バニー(イースターのうさぎ)  ....ヒュー・ジャックマン
      トゥース(歯の妖精)      ....アイラ・フィッシャー
      ピッチブラック(闇のブギーマン)....ジュード・ロウ
      ジェイミー(妖精を信じる少年) ....ダコタ・ゴヨ
 
【あらすじ】
冷気を操る氷の妖精ジャック・フロスト(クリス・パイン)は、いたずら好きの妖精。
自由気ままな生活をおくる彼だったが、人間たちにはその存在を知られることもなく、
孤独を感じながら長い日々を過ごしていた....。
一方、所変わってここは北極の地。
サンタクロースのノース(アレック・ボールドウィン)は、クリスマスに向けての準備に大忙し。だが、そんな時ノースは地球に異変が起こっていることを察知する。異変の原因は、かつて地球を支配していた闇のブギーマンことピッチブラック(ジュード・ロウ)。
彼の力が増していることに危機感を感じたノースは、自分と同じ地球の護り手である“ガーディアン”たちを招集する。集められたのは、歯の妖精トゥース(アイラ・フィッシャー)、眠りの妖精サンドマン、そしてイースター・バニー(ヒュー・ジャックマン)。
そして集いし4人の前で、月により新たなガーディアンが選ばれた。
選ばれたのは.... 氷の妖精ジャック・フロストだった!。
 
 
このクオリティで劇場未公開とは....残念無念ッ!
約1年前からその存在を知って楽しみにしていた「ガーディアンズ 伝説の勇者たち」。
ところが....、日本ではまさかの劇場未公開!(T口T)。
なんでも本国アメリカでは興行的に失敗したとのことで、そうしたことが未公開になったことと関係があるのかもしれません。或いは、作品に登場する妖精たちが日本人にとっては馴染みのない者ばかりで、配給会社からは日本の観客へのウケが良くないと判断されたのかもしれません。しかし、それだけの理由で劇場未公開になったのはあまりにも惜しいと感じさせる、実に独創性に溢れた素晴らしいファンタジー作品でした。
なぜこのクオリティでコケたのか?....アメリカという国は本当に不思議でなりません。
願わくば、劇場の大スクリーンと迫力ある音響で、この作品を見たかった!!(^口^)/
 
【ユニークで、個性的な妖精たち】 
〈楽しみを司るガーディアン〜ジャック・フロスト〉
一般的には雪だるまの姿で描かれるこの妖精も、本作ではとっても美少年♪。
映画の冒頭、彼が妖精として誕生する場面でこの作品は幕を開けます。
これがもう、最初から美しい映像と音楽で、いきなり心(ハート)を鷲掴みされました。
この作品を面白くしているのが、妖精である主人公のジャック・フロストが自身のアイデンティティーを模索している点を描いているところです。「自分は一体何者であるのか?」「なぜ、自分は妖精になってしまったのか?」そうした自分探しを模索している姿が、妖精ながら実に人間臭く親近感が湧くようになっています。
風を操り空を飛ぶ爽快感もさることながら、特筆すべきは冷気の表現。ジャックが触れたものには霜が走りますが、それがまるで草が生い茂るように広がるのです。これまでにはなかったその表現は実に新鮮で、本当に美しくため息が出そうな映像でした。
終盤、妖精の存在を信じるジェイミーの目にさえ、その姿が映る事のなかったジャック・フロストが、遂にその存在を信じてもらえる場面は、号泣必至の感動シーンです。
 
〈感動を司るガーディアン〜サンタクロース〉
ガーディアンの中でリーダー的存在のサンタクロース、ノース。
もはや説明不要の世界的な有名人ですが、本作のサンタはちょっとユニークです。
両腕にそれぞれ“良い子”“悪い子”のタトゥーを入れており、戦いの際には両手に大剣を持って暴れる猛者として描かれています。声を担当したアレック・ボールドウィン曰く「今作のサンタは、バイク乗りみたいだね」とのことですが、正にそんな印象。
外見はほぼロシアン・マフィアです(^皿^;)。
サンタと言えばその仕事のお手伝いをエルフが行っているのが通説で、映画「アーサー・クリスマスの大冒険」でも健気に働くエルフの姿が印象的でしたが、今作ではその仕事をなんとビッグフット=雪男が担当している点が実にユニーク。大きな身体をした雪男たちが、せっせとおもちゃ作りに精を出す姿は、なんともユーモラスです。
中盤、トゥース・フェアリーに代わって、世界中から歯を集めることになるガーディアンたち。リーダーであり年輩者でもあるサンタが、子どものように一番はしゃいでいる姿が微笑ましいです。
 
〈希望を司るガーディアン〜バニー〉
欧米ではキリストの復活を祝うイースター(復活祭)というお祭りがあります。
この日、カラフルに色付けされたたまごを街のあちこちに隠して、それをこどもたちが探すという風習があり、そのたまごを隠すのがうさぎ(イースター・バニー)だと言われています。
本作のバニーは人間の姿をしたうさぎで、ブーメランを武器にして戦う戦士です。
濃い眉毛がとっても凛々しく、体毛の模様もイレズミのようになっています。
過去にジャック・フロストとトラブルを起こして以来、彼とは犬猿の仲(劇中、ジャックがバニーのことを「カンガルー」とからかいますが、これは声を担当しているヒュー・ジャックマンがオーストラリア出身だから....!?)であるバニーですが、その二人が徐々に友情を育んでいく点も本作の見所のひとつとなっています。
後半、ピッチブラックのせいでガーディアンとしての力が弱まったバニーが、
普通のウサギ姿になってしまうところが、とってもキュートでした♪(^皿^)。
 
〈夢を司るガーディアン〜サンドマン〉
子どもたちに楽しい夢を見せる眠りの妖精サンドマン。
劇中いっさい台詞を口にしないキャラクターですが、これが逆にチャーミングで劇中一番の可愛さを見せてくれます。海外アニメはこうしたサブキャラを描くのが、本当にウマい!。言葉を喋らない代わりに、感情が頭上にマーク(絵柄)となって現れる点が実にユニーク♪。金色に輝く砂を変幻自在に操る能力があり、見た目の可愛さとは裏腹に砂を鞭(むち)に変えてピッチブラックと戦う姿は、実に凛々しくて、かっこいい!。その一方で、サンタのソリに乗る際、ジェットコースターのように楽しむ姿は、無邪気で可愛い♪。
 
〈記憶を司るガーディアン〜トゥース・フェアリー〉
抜けた乳歯を枕の下に入れて眠ると、翌朝にはコインと交換してくれるという妖精トゥース・フェアリー。映画「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」では人肉まで喰らう昆虫のような姿で怖く描かれていましたが、本作のトゥース・フェアリーはハチドリのような美しさで、可愛さ満点。白い歯を目にするとじっとしていられないその性格がとてもチャーミング♪。ガーディアンの中では唯一の女性キャラで、ちょこまかと忙しなく動く姿もキュートです。昔は自ら歯を回収していましたが、今ではその仕事を手足となって働くベイビー・トゥースたちに任せ、自身は歯のお城で世界中から集められた子どもたちの歯を管理・保管しています。
でも、ちょっと残念だったのは、他のガーディアンたちのような戦士としての強さが描かれなかった点。見た目の可愛さとは裏腹に、格闘技に長けた妖精....とかだったら面白かったのになあ....。
 
〈恐怖を糧とするブギーマン・ピッチブラック〉
人々が感じる恐怖を力の源としている、闇のブギーマンことピッチブラック。
(ご存知「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のウギー・ブギーも、ブギーマンです)
変幻自在に姿を現し、闇に紛れる、正にこれぞ悪役!といった趣きがたまりません。
声はジュード・ロウですが、外見はまんまクリストファー・ウォーケン♪(^皿^)。
かつて地上で絶大な力を誇示していたピッチブラックも、ガーディアンズが登場したことで、人々の中から恐怖が去り、その力が弱まってしまいます。ずっと孤独だったジャック・フロストは、同じく孤独に苦しんできたピッチブラックに自分と似た境遇を感じますが....
サンドマンの砂を悪夢に変えて生みだした夢馬が、非常にかっこいい!!。


主人公ジャック・フロストの自分探しを主軸に、信じることの大切さ、信じられることの嬉しさなどを妖精物語に絡めて描いた感動作「ガーディアンズ 伝説の勇者たち」。
子どもたちの信じる力によってその存在感を増すことが出来るガーディアンたちですが、それは悪役のピッチブラックとて同じ事。ガーディアンズとピッチブラックは互いに対立する間柄ではありますが、その存在理由の根っこはどちらも同じというところが、単なる勧善懲悪もののドラマにはならない深みを与えています。主人公ジャック・フロストの身に起きた過去の悲しい出来事をクライマックスに活かす巧みな脚本、個性的で魅力溢れるキャラクターたち(ジェイミー少年の妹ソフィの子どもらしい愛らしさがたまらないッ!)、ため息が出そうなくらい美しい映像と音楽(それぞれのガーディアンたちが住む王国の美しさは必見!)など、大人の鑑賞にも充分堪えうる作品です。確かに、出てくる妖精たちは日本人には馴染みのないものばかりですが、それだけの理由で敬遠すると絶対後悔しますヨ!。
何はともあれサンタクロースは出てきますし、主人公ジャック・フロストは冬の妖精なので、この時期鑑賞するには実にピッタリの作品だと思います。
 
子どもたちを護っているガーディアンたちが、実は子どもたちの信じる力によって逆に護られているという相互関係は、きっと親子関係にも通じるものがあると思います。
この冬休み&クリスマスに、是非ご家族揃って「ガーディアンズ 伝説の勇者たち」を楽しんで下さい!
 
 
      「僕の“核”は.... 人々を楽しませること!」
      ジャック・フロスト.jpg


ガーディアンズ 伝説の勇者たち [DVD]

ガーディアンズ 伝説の勇者たち [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

クリスマス・プレゼントにお薦めの一本♪(^皿^)

Rise of the Guardians

Rise of the Guardians

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Varese Sarabande
  • 発売日: 2012/11/13
  • メディア: CD

これまでアレクサンドル・デスプラ師匠の音楽を聴く機会がほとんどなかったけれど、
今回は見事にやられました!。映画を見始めてすぐ、その美しい音楽にノックアウト!。
作品を鑑賞した後、サントラ即買いしました♪(^皿^)/
実はバラエティ番組等のBGMで、結構この音楽が使用されてます♪
  
 

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自殺志願者、歓迎します♪〜「スーサイド・ショップ」を鑑賞する [映画鑑賞]

 
   『人生に失敗しましたか?、でもご安心を
     私たちなら失敗なく確実に逝かせてあげます』
        〜スーサイド・ショップのモットーより
  
   
          『スーサイド・ショップ』
          原題:Le Magasin des Suicides
      2012年 フランス・ベルギー・カナダ合作 カラー 79分
 
    監督:パトリス・ルコント
    原作:ジャン・トゥーレ著:「ようこそ、自殺用品専門店へ」
    音楽:エティエンヌ・ペルション
  声の出演:ベルナール・アラヌ     ....ミシマ・トゥヴァシュ
                          (スーサイド・ショップ店長)
       イザベル・スパド      ....ルクレス(ミシマの妻)
       ケイシー・モッテ・クライン ....アラン (トゥヴァシュ家の末っ子)
       イザベル・ジアニ      ....マリリン(トゥヴァシュ家の長女)
       ロラン・ジャンドロン    ....ヴァンサン(トゥヴァシュ家の長男)
【あらすじ】
そこは絶望に彩られた街。今日もあちらこちらで自殺者が後を絶たない。
そんな自殺志願者が目指す場所が、この街で代々続く老舗の自殺用品専門店「スーサイド・ショップ」である。主人のミシマ(ベルナール・アラヌ)と妻ルクルス(イザベル・スパド)は、悩める自殺志願者に対して、最良の自殺道具を提供すべく、仕事にせいを出す日々。長男ヴァンサン(ロラン・ジャンドン)や長女マリリン(イザベル・ジアニ)もそんな両親を手伝う親孝行な子供たちだった。
ある日、妊娠中だった母ルクルスが、待望の赤ちゃんを出産した。生まれたのは男の子で、アラン(ケイシー・モッテ・クライン)と名付けられすくすくと成長したが、家族にはひとつだけ大きな悩みがあった。それはアランが“超前向きなポジティヴな志向”の持ち主だった事!。常に明るく人生を楽しく生きようとするアランの姿に、ネガテゥヴ思想の一家は戸惑うが、やがて、ひとりまたひとりと、そんなアランの姿に影響されていく。
だが、それは『自殺用品専門店』の営業危機を意味していた....
 
 
独特の画のタッチと、扱うテーマがユニークなアニメ「スーサイド・ショップ」。
しかし、東京だと有楽町のみでの公開&苦手な3D上映、ということで、「残念ながら今回は劇場鑑賞スルーかなあ....」と思っていたところ、日曜日の夜に通常版の上映があることを知り、急遽先週末29日に鑑賞してきました(^皿^)。
 
【物語について】 
自殺に用いる道具を扱うお店を舞台にした物語ということで、全編とにかくブラック・ユーモアに溢れた内容となっていました。ただ、この物語のキモとも言うべき設定が同時に最大のツッコミどころでもあります。冒頭、自殺しようとしていた人を止めた老人がこう言います〜「公の場で自殺したら、残された家族が警察からひどい目にあうぞ!」。でも、そんな自殺志願者を手助けしている「スーサイド・ショップ」は、特に警察から目をつけられることなく、堂々と営業している矛盾。これは原作どおりの設定なのでしょうが、このあたりの矛盾はもう少し脚色(例えば、表向きは普通の道具屋だけど、裏で自殺用品も扱っています....みたいな)しても良かったなと感じました。
 
原作は残念ながら未読なので、映画版との違いはわかりかねますが、脚本的には「惜しい!」と感じさせられる部分が、いくつかありました。例えば、前向きなアラン少年によって家族が少しづつ影響されていくくだりですが、それが具体的に描かれるのは、長女マリリンとの関係のみで、長男ヴァンサンとの絡みはほとんどありませんでした。それだけに、長女だけでなく、長男、そして母親と、アランによって影響されていく一家の過程をそれぞれ見せて欲しかったと感じました。それがあって初めてクライマックスの父ミシマとアラン少年の追いかけっこに、より説得力が生まれたと思います。
更に、その追いかけっこ後に待ち受ける衝撃の場面も、演出的に実に惜しい場面でした。
ネタばれしますが、ビルの屋上に追いつめられたアラン少年は、父ミシマの目の前で飛び降り自殺!をします。疎ましい存在であったはずの息子の死を目の前にして、父ミシマは初めて息子に対する愛情を再確認します。これまで考えようともしなかった“愛する者を失う家族の悲しさ”を身を以て体現することになる父ミシマ。しかし、これはアラン少年によるイタズラで、実は死んでいなかったというオチがつきます。
 
でも....このオチを見せるのが早いッ!(^へ^;)
 
この場面では自殺でアランを失った父ミシマに、後悔と懺悔をさせなければなりません。
それをきちんと描いてからじゃないと、実はアランが“生きていた!”ことに対する驚きと嬉しさのカタルシスが生まれません。ついでに言うと何度も繰り返されるトランポリン場面も特に必要なし。あそこはビル屋上への出入り口=ミシマの背後から静かに登場した方が効果的だと感じました。その姿に思わず驚いて「飛び降りたはずなのに!」とビルの下を確認したら、そこにクッションを持った友人たちがいた!....みたいなネタばれでも充分だったように感じました。
 
 
【アニメーションについて】
一番目をひいたのが、背景の美術デザインの素晴らしさです。「スーサイド・ショップ」の内装や灰色のトーンで統一された街並など、本当に素晴らしかったです。
アクの強いキャラクターデザインは好みが分かれるところですが、個人的には大好きなジャンルなので、そこはOK!。ただ、ひとつだけ気になった点がありました。これは本筋とはまったく関係のない話なのではありますが、エンディングでの一コマでのことです。転職したトゥバシュ一家が人生讃歌の歌を謳い、この作品は幕を閉じます。その際、主人公一家をとりまく街の住人が出てくるのですが、これが明らかにメインキャラクーたちとは違うデザインになっていて、それが画(え)として違和感大でした。
こういう風に説明すると皆さんに伝わりやすいと思います。
例えば宮崎アニメに於いて主要キャラは駿タッチで描かれているのに、脇役キャラは駿タッチではなかった....みたいなことです。昔、80年代少年ジャンプ世代だったオイラは「キン肉マン」が大好きでした。でも当時、主要キャラを描くゆでたまご先生の画と、背景キャラを描いているアシスタントさんとの画があまりにも違い過ぎて、その事がとても嫌だった記憶があります。中には画のタッチを統一させる漫画家さんもいますが、そういうことにこだわりがない漫画家も結構いて、例えばいまだ連載中の「亀有公園前派出所」も、そうした傾向が顕著です。オイラはそうした画の統一感の無さが生理的に嫌で、そうした印象をこの作品のエンディングで受けてしまったのが残念でなりませんでした。あのエンディングを見て真っ先に頭に思い浮かんだことは、あの脇役キャラのモデルは、ひょっとしてスタッフを描いたものだったのでは?という印象を受けました。あくまでもオイラの想像でしかありませんし、仮にそうした内輪ウケのネタだったとしても、そのこと自体は別に構いませんが、せめて画(え)のタッチは主要キャラと同じデザインにして、画としての統一感を出して欲しかったです。
 
アニメ自体は手描き風ではありましたが、実は結構な部分でデジタル技術が使用されていました。車の挙動などはもちろんでしたが、キャラクターのモーションにも一部デジタル仕様になっていて、それがちょっと残念でした。せめてキャラクターだけは全編手描きにこだわって欲しかったです。この作品は三カ国による合作なので、デジタル部分とアナログ部分をそれぞれの国で分業していたのかもしれません。
 
 
【総括】
恐らく目の肥えた映画ファンがこの作品を鑑賞したら、真っ先に頭に思い浮かぶことは....
 
ものすごく、ティム・バートン的!!
 
....という事だと思います。実際、監督のパトリス・ルコントはプログラム内のインタビューでもティム・バートン好きを公言していますし、その影響が作品に色濃く反映されていた部分は否めません。オイラがこの作品を見終わって真っ先に感じたことは、パトリス・ルコント監督についてではなく、「もし、この作品をティム・バートンが監督していたら、どうなっていただろう?」ということでした。現在のティム・バートン監督には何の魅力もありませんが、「バットマン・リターンズ」を撮っていたころの、ギラギラしていたバートンなら、きっとこの作品をより魅力的に演出出来ただろうなあ....と強く感じた映画「スーサイド・ショップ」でありました(^皿^)。
 
 
     不幸にも、自殺に失敗しましたか?
     命の綱.jpg
  いいえ、幸いにも新たな人生を生きるチャンスを得たのです!

 
【追記】 
宮崎駿監督最後のアニメ作品と言われている「風立ちぬ」では、主人公の喫煙シーンをめぐり賛否両論の物議が醸し出されたそうですが、この作品を見たあとでは、そんな議論もアホらしく感じてしまいます。だって、この作品では父親が息子に喫煙を推奨する場面があるんですよ。しかも、息子が喜んでそれをスパスパ吸うという、実に不謹慎極まりない映像が満載!(^皿^)。PTA関係者が見たら確実に卒倒するような、そんなブラック・ユーモアがたまらなっかたです。

スーサイド・ショップ ようこそ、自殺用品専門店へ

スーサイド・ショップ ようこそ、自殺用品専門店へ

  • 作者: ジャン・トゥーレ
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

【更に追記】
日本では毎年3万人近い人が自殺によって自らの命を絶っています。
一方、フランスでの年間自殺者数は、1万人ちょっと。
日本では若い人の割合が多く、フランスでは高齢者の割合が多いとのことです。
「震災で亡くなった人のために、冥福を祈りましょう」という声は湧き起こるのに、
「自殺した3万人の方々のご冥福をお祈りしましょう」という声はあがらないこの国に、
変な気持ち悪さを感じるのは、私だけでしょうか?。
  

 

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内輪モメは地球外(よそ)でやってくれ!?〜「マン・オブ・スティール」を鑑賞する [映画鑑賞]


         『マン・オブ・スティール』
          原題:MAN OF STEEL(鋼鉄の男)
        2013年 アメリカ映画 カラー 2時間23分
 
        監督:ザック・スナイダー
        製作:クリストファー・ノーラン
        脚本:ディヴィッド・S・ゴイヤー
        音楽:ハンス・ジマー
 
   出演 
   クラーク・ケント/カル・エル    ....ヘンリー・カビル
   ロイス・レイン/DP紙・新聞記者   ....エイミー・アダムス
   ゾッド将軍/クリプトン星の軍人   ....マイケル・シャノン
   ジョナサン・ケント/クラークの父親 ....ケビン・コスナー
   マーサ・ケント/クラークの母親   ....ダイアン・レイン
   ジョー・エル/クラークの実の父親   ....ラッセル・クロウ
   ペリー・ホワイト/DP紙・編集長   ....ローレンス・フィッシュバーン
   ファオラ=ウル/ゾッド将軍の部下  ....アンチュ・トラウェ
   ネイサン・ハーディ大佐       ....クリストファー・メローニ
   他
【あらすじ】 
高度な文明を誇る惑星クリプトンは、今や崩壊の危機にあった。
科学者のジョー=エル(ラッセル・クロウ)は、生まれたばかりの息子カルを助けるため、脱出ポッドに子供を搭乗させると、宇宙へと放った。行き先はクリプトン星人とよく似た種族が住む“地球”という星。そして、クリプトン星は消滅した....
それからしばらくして....地球で立派な大人へと成長したカル=エルの姿があった。
ジョナサン(ケビン・コスナー)&マーサ(ダイアン・レイン)夫妻の子供として育ったクラーク・ケント(ヘンリー・カビル)は今、放浪の旅を続けている。「なぜ自分は人と違う能力を授かったのか?」その答えを探す旅だった。やがて、クラークは自身が他の惑星からやってきた異星人だということを知る。
一方、時を同じくして地球に飛来してきた一隻の宇宙船。搭乗していたのはクリプトン星で謀反を起こし、追放されていたゾッド将軍(マイケル・シャノン)だった。クリプトン星再生を願うゾッド将軍は、ジョー=エルが息子カル=エルに託した“ある物”を追って、地球へとやってきたのだ。やがてゾッド将軍による容赦のない攻撃が始まった....!
 
 
「ウォッチメン」「エンジェル・ウォーズ」など、その映像表現には定評のあるザック・スナイダー監督が「スーパーマン」を撮る....そう聞いて期待せずにはいられなかった本作「マン・オブ・スティール」。果たして彼がスーパーマンの世界をどのように描くのか?、興味と期待感に胸を膨らませながら作品を鑑賞しました。が、残念ながらその内容は期待していたものとはちょっと違っていました。いったい何がダメだったのでしょうか....?
それは今作が目指した“スーパーマンが存在するリアルな世界を描く”というアプローチが、途中から間違った方向に進んでいったのを感じたからです。
 
ディヴィッド・S・ゴイヤーによる脚本はまずまずでした。ザック・スナイダー監督の演出も好印象で、育ての父親であるケヴィン・コスナーの描き方などは琴線に触れるものでした。「ダークナイト」シリーズを成功させたクリストファー・ノーラン監督が製作ということもあって、作品の雰囲気はそれと非常に似通ったものとなっていたことは否めません。そして、それは途中までは成功していたように思います。しかしクライマックスになると、このリアルテイストのアプローチが、思わぬ形で間違った方向に進んでいった事を強く感じました。
 
クライマックス、ゾッド将軍は地球をクリプトン星人に適応するように、巨大な装置“ワールド・エンジン”を使い、惑星改造を行おうとします。しかし、クラーク・ケントは決死の覚悟でそのひとつを破壊することに成功、ゾッド将軍の目論見は崩れさってしまいます。クリプトン星再興の夢が断たれたゾッド将軍の怒りは最高潮に達し、遂にスーパーマンとゾッド将軍の一騎打ちが、大都会メトロポリスを舞台に始まります。地球に於いて超人である者同士の戦いは凄惨を極め、大都会メトロポリスの街並が次々と破壊されていきます。そして、遂に決着の時がきます。地球人を助けようとして、スーパーマンはゾッド将軍を殺してしまうのです。これが今スーパーマンファンの間で賛否両論の物議を醸し出しているという、いわゆる“スーパーマン人殺し問題”です。でも、個人的にはそのこと自体には、それほどのショックは受けませんでした。むしろ、「ウォッチメン」のザック・スナイダー監督にしては映像表現がソフトだなと感じたくらいです。クラーク・ケントは、地球人を救うためとは言え、自身がしたことにショックを覚え、思わず「うわわわわあぁぁ!」と咆哮します。
 
....でも、ちょっと待って!!
 
確かにゾッド将軍殺害(同じ同胞であるクリプトン星人殺害という意味に於いても)は、クラークにとってもの凄くショックだったかもしれません。でも、何かもの凄く大事なことを忘れちゃいませんか?。それはここまでの一連の戦い(ワールド・エンジンが作動・崩壊する過程も含む)に於いて、多くの地球人が犠牲になっているということです。あれだけ大都会が崩壊・壊滅すれば、例え直接的な映像がなくても、大量の死傷者が発生してしまったことは容易に想像出来ます。しかしながら、驚くことに今作ではそのことに一切触れません。クラーク・ケントが哀しみの慟哭を上げるのは、ゾッド将軍を殺した時ではなく、多数の地球人が自身の戦いによる影響で死んでしまったという、紛れもない事実を目の当たりにした時であるべきです。あれだけビルや街並の崩壊をリアルに描くんだったら、その後に待ち受ける現前たる事実もきちんと描くべき。そうしたリアルこそが今作「マン・オブ・スティール」の目指したリアル=現実志向だったはずです。しかし、最後の最後で描くべきリアルを放棄した「マン・オブ・スティール」は、残念ながら失敗作だと言えるでしょう。
 
余談ですが、映画「アベンジャーズ」では、クラマックスの戦いの後、復興に立ち上がる市民の姿が描かれます。また政治家らしい人物は「街を破壊したのは、ヒーローたちですよ」と批判してみせます。こうした光景こそがリアルというのではないでしょうか?。
本作のクラーク・ケントはオープニングから苦悩し続ける姿を見せますが、一番葛藤しなければならない事実(=地球人を守るため同胞であるゾッド将軍に立ち向かいその手で殺めてしまったにも関わらず、皮肉にも多くの地球人の犠牲者を出す結果になってしまった)に関しては、そんなに悩むこともなくうやむやとなってしまいました。プログラム内のアメコミ翻訳家ヤスダ・シゲルさんによれば、このゾッド将軍殺害は原作にもあるとのことで、その後クラーク・ケントはその罪悪感から精神状態が不安定になり、自らを宇宙に追放するそうです。
 
コミックスの方が、よっぽどリアルじゃんッ!(^皿^;)
 
映画「マン・オブ・スティール」が目指したリアルとは一体何だったのでしょうか?。
未知の惑星クリプトンの映像化?、破壊され倒壊するビル群や街並の映像?、超人同士の闘いによるあり得ない動き?、異星人の宇宙船や宇宙服?....etc
そうした映像のリアルさはもちろん大切ですが、本作が目指したリアルはもっと別なところにあったはずです。父と子の関係であったり、特殊能力をもったが故の悩みや葛藤、或いは自身のアイデンティティーの探究など、“もしスーパーマンがこの世に現実に存在したら?”という世界観的リアルを目指して製作されたはずです。途中まではそれがうまくいっていたのに、最後の最後で突然絵空事になってしまった点は、返す返すも残念でなりません。
映画のエンディング....
クラーク・ケントは、世界の状況を把握出来る場所として、デイリー・プラネット社へと就職します。ここで、ようやく我々がよく知っているスーパーマン本来の仮の姿“新聞記者クラーク・ケント”が披露される訳ですが、その姿に残念ながら感動はありませんでした。
脚本家ディヴィッド・S・ゴイヤーの「うまくまとめたでしょ?」的な声が聞こえてきそうで、かえってその事がシャクに触りました。自身の戦いで多くの死者を出したにも関わらず、その葛藤を描かずに呑気に新聞社に就職してきた彼の姿に、リアルさはありません。
リアル=現実的を目指すなら、クラーク・ケントの就職先は新聞社などではなく、倒壊したビルを解体・建設する工事現場だ!と、強く感じた「マン・オブ・スティール」でありました(^皿^)。
 
 
【誰がザック・スナイダー監督の今後を見張るのか....!?】 
 
 
 
主演で新スーパーマンを演じたヘンリー・カビルやロイスを演じたエイミー・アダムスなど、キャスト陣はなかなかの好配役。地味だけど意外な好演を見せるケビン・コスナーやダイアン・レインもグッジョブ。やっぱりケビン・コスナーはとうもろこし畑が似合いますなあ(^皿^)。ラッセル・クロウが科学者を演じるのは多少無理を感じるものの、父親像としてはいい雰囲気を出していました。ただオープニングのアバターチックな映像にはちょっとズッコケましたけど。あと人工知能(?)のジョー=エルは反応良過ぎ!(^皿^)。
そして、ローレンス・フィッシュバーンは太り過ぎ!(^皿^)。
「レッドブル」の時の華奢な身体はどこへいった!?。
そんな中抜群の存在感を見せるのが、ゾッド将軍!....じゃなくて、
その部下ファオラ=ウルを演じたドイツ人女優アンチュ・トラウェ。
全身から溢れ出るドSの雰囲気が、Mにはたまりませんデス!(^皿^;)。
 
  『“名誉の死”を遂げさせてやる!』
  ファオラ=ウル.jpg
  

【最後にもうひと言だけ!】 
クライマックスのスーパーマンVSゾッド将軍の闘いについて。
この映像自体はとても迫力があり、巷の噂通り実写版ドラゴンボールそのものでした。
ですが、一連の映像がほぼオールCGアニメになってしまった事で、返ってリアルさが薄れてしまった感は否めません。例えば、殴られた際の痛みとか、吹き飛ばされて建物に激突した際の痛みとかが全然伝わってこなかったのは残念。大都会メトロポリスで建物を破壊しながら超人同士が高速で戦うというシチュエーションは、映画としてはケレン味があって正解だったのかもしれません。でも、上記したようにその事による影響(=多数の死傷者が確実に発生する)という事を踏まえたら、この展開は明らかに間違っていたように思います。もし、スーパーマンが地球人の安全の事を本気で考えたら、真っ先に彼が頭に思い浮かべるべき事は、闘いの場を人気のない場所にするという事。当然映画の画としては地味になるだろうけど、その方が物語としては説得力が生まれ、断然リアルだったように思います。地球の事を思いゾッド将軍と対立したはずなのに、地球人のことをまったく考えない闘いを展開するスーパーマンの姿は、やっぱり矛盾だらけ。だから、最後の最後で地球人を救おうとしてやむなくゾッド将軍を殺害する場面も、とってつけたようでとても白々しく感じてしまいました。ケヴィン・コスナー演じる父ジョナサンの「あーもー、だから言ったじゃん、力は使うな!って」という声が聞こえてきそうでした(^皿^)。
スーパーマンVSゾッド将軍の映像は、今作で最も“ザック・スナイダー監督らしい”映像のオンパレードです。が、結局のところ、製作のクリストファー・ノーラン監督が目指した作品のリアルテイストとは真逆になってしまったことが、とても皮肉でした。ひょっとするとアレは、ノーランに対するザック・スナイダー監督のささやかなる抵抗だったのかもしれません。
「言う通りここまでシリアスに作ったんだから、最後くらい俺の自由に撮らせてくれ!」
そんなザック・スナイダー監督の心の叫びが聞こえてきそうです。
それはオイラの穿った見方でしょうかね?(^皿^)。
  
スーパーマン リターンズ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
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世間的には失敗作みたいな位置づけになっているらしい「〜リターンズ」。
でも、オイラは結構好きな作品です!(^皿^)
  

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