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幸せは心の中にある〜『トロールズ』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
 『今の僕は腹ペコだけど、心の中は幸せでいっぱいだ』
                    
                          〜恋するグリスル王子の言葉〜
 
 
       『トロールズ』(原題:TROLLS)
        2016年 アメリカ映画 カラー 92分
 
監督:マイク・ミッチェル
脚本:ジョナサン・エイベル グレン・バーガー
音楽製作総指揮:ジャスティン・ティンバーレイク
声の出演:ジャスティン・ティンバーレイク、アナ・ケンドリック、ズーイー・デシャネル、クリストファー・ミンツ=ブラッセ、グウェン・ステファニー、他

登場キャラクターの紹介
【トロール族】 
ポピー       歌と踊りが大好きなトロール族のお姫様
ブランチ      ベルゲンを恐れる臆病なトロール族の青年
ペピー王      ポピーの父親で、トロール族の勇敢な王様
クリーク      ヨガに心酔しているイケメンのトロール
ガイ・ダイヤモンド 全身銀色のラメに彩られたトロール
クーパー      帽子をかぶった4本足の陽気な性格のトロール
サテン&シェニール 髪の毛が繋がった双子姉妹のトロール
DJ・スキ      ドレッドヘアとヘッドホンがトレードマークのトロール
ビギー       太っちょのトロールで、ペットのMr.ディンクルスを溺愛している
スミッジ      小柄だけど髪の毛が長い力持ちのトロール
ファズバート    全身を髪の毛で覆われたトロール
 
【ベルゲン族】
グリスルJr.     幸せを知らないベルゲン族の若き王子
グリスル王     ベルゲン族を統治する王様
ブリジット     王宮に仕える雑用係の女の子
シェフ       トロール料理が得意な、王宮専属料理人
 
【その他】
クラウド・ガイ   ポピーが旅の途中で出会う雲の形をした謎の人物
 
 
【あらすじ】
ハッピーフォレストのハッピーツリーに住むトロールは、歌と踊りとハグが大好きな生き物。だが、ある日巨大な生物ベルゲンにその存在を知られてしまう。幸せという感情を知らないベルゲンは、トロールを食することで幸福感を味わっていた。だが、勇敢なトロール族の王様ペピーは、皆を連れて囚われの身からの脱出に成功。人里離れた森の中で新たな生活を始めたのだった。それから20年後....
大人へと成長したポピー姫(声:アナ・ケンドリックス)は、平和な生活20周年を記念して盛大なパーティーを開こうと意気揚々。だが、ベルゲンの出現を恐れて一人距離を置いて暮らす青年ブランチ(声:ジャスティン・ティンバーレイク)は、パーティーに大反対。皆に嘲笑されるブランチだったが、彼の不安は現実のものとなってしまう。パーティー会場に突如ベルゲンが現れたのだ。かつて王宮専属料理人だったシェフは、ポピーの友達であるトロール数人をさらって行ってしまった。ポピー姫はさらわれた友達を救うべく、一人ベルゲンタウンを目指し、冒険の旅に出かけるのだった....!
 
 
【トロール人形を知っていますか?】
その昔、トロール人形というのがあったのをご存知ですか?
キューピー人形のような容姿に派手な色の髪の毛が生えたもので、映画『トイ・ストーリー』にもちらっと登場していたので、若い世代の人でもひょっとしたら知っている方もいるかもしれません。本作『トロールズ』は、この世界的に有名な人形をモチーフに製作されたミュージカル・アドベンチャーです。過去の名曲やこの作品のために書き下ろされた楽曲が随所で流れ、ミュージカル好きにはたまらない内容となっています。
 
また、この作品はミュージカル作品であると同時にロード・ムービーであり、またバディ(相棒)ものでもあります。主人公のポピー姫は、険悪な仲であるブランチと共に旅を続けることになります。名作『48時間』や『大災難PTA』を例に挙げるまでもなく、当然のことながらポピーとブランチは旅の過程で絶えず喧嘩することになります。しかし、ロード・ムービーに於いてこの“衝突”という前フリはとても重要。やがて二人はお互いを理解し、最終的にはお互いがそれぞれを救うことになります。この鉄板とも言える王道的展開に、シンデレラ的スパイスをちょっと絡めた脚本がとても素晴らしく、非常に感動的な物語となっていました。

【歌って、踊って、ハグをして!】
さて、ミュージカル作品ということで、本作には昭和世代が泣いて喜ぶような有名楽曲が、至るところで使用されています。
まず、タイトルロールでアースウィンド&ファイアーの名曲♩セプテンバーがいきなり流れて、早くもテンションMAX!(笑)。ここではサビがちらっと流れるだけですが、エンドロールではたっぷりと流れるのでお楽しみに!(トロールたちのダンスも最高♩)。
 
仲間を救う旅に出たポピーは、ところ構わず歌を歌おうとします。そんなポピーに対して「静かなのが好きなんだ!」と怒るブランチ。そこでポピーが皮肉たっぷりに歌うのが、サイモン&ガーファンクルの名曲♩サウンド・オブ・サイレンス。選曲に思わずニヤリ。
 
王宮の雑用係であるブリジットが、グリスル王子に対しての淡い恋心を歌う場面で流れるのは、ご存知ライオネル・リッチーの名曲♩ハロー。ドリームワークスは、「シュレック・フォーエバー」でも♩ハローを使用していましたが、この曲イジるの、ほんと好きだなあ(笑)。この場面は切ないながらも思わず笑いがこぼれました。
 
そしてクライマックス、落ち込んだポピーを勇気づけるためにブランチが歌うシンディ・ローパーの♩トゥルー・カラーズ。元々歌う事が大好きだったブランチですが、ある悲しい出来事をきっかけに歌うことを止めてしまいます。そうした悲しいトラウマを乗り越えて、満を辞して歌うこの場面は、非常に美しく涙なしでは見られない感動的な場面となっていました。
 
一方、映画のために書き下ろされたオリジナル楽曲も既存の名曲に負けず劣らずの素晴らしいものばかりで、こちらも聴きごたえ十分!。
タイトルロール後に流れる♩Move Your Feet は、主人公のポピー姫が仲間のトロールたちと共に歌とダンスを披露する楽しい楽曲。ミュージカル作品にふさわしい、非常に華やかで賑やかな映像が見た目にとても楽しい場面です。
 
ポピー姫が仲間を救う旅に出かける際に歌う♩Get Back Up Again は、個人的に一番お気に入りの楽曲。歌い始めから「これぞミュージカルソング!」と言える楽曲で、旅の過程で散々な目に遭いながらも、それでも歩みを止めないポピー姫の前向きソングです。どんなに辛い目にあっても明るく力強く歩み続ける彼女の姿が、素直に感動的です。
 
そしてクライマックス、ベルゲンたちに「幸せとは何か?」を説く歌♩Can't Stop the Feeling! もノリノリで思わず踊らずにはいられない楽曲。ポピー、ブランチのデュエットで始まり、やがて皆での大合唱になって盛り上がっていく様は、圧巻!。トロール、ベルゲンみんな揃って仲良く踊るエンディングは、まさにハッピーそのもの。正にミュージカル映画にふさわしい締めくくりでした。
 
【フェルト生地への愛が、止まらないッ!】
数年前に「ヨッシー ウールワールド」というゲームがあったのをご存知ですか?。
任天堂お得意の横スクロール型アクションゲームで、ゲームの内容自体は可もなく不可もなくといったところでしたが、特徴的だったのがそのビジュアルでした。主人公のヨッシーや敵キャラなどが毛糸で作られたあみぐるみ人形で、背景なども毛糸や布地で編まれたようなデザインになっていたのです。
本作『トロールズ』も似たような世界観で構成されています。一見すると普通のCGアニメですが、よーく見ると、トロールたちの肌がフェルト生地のようになっていることに気づくはずです。天敵であるベルゲンたちも、同じようにフェルト生地の肌をしています。またトロールたちが住む森に生息する野生生物や木や花と言った植物も、ぬいぐるみのようなデザイン&質感です。この人形劇的空気感が、これまでのCGアニメ作品にはなかった独特の暖かさを醸し出しています。
 
【CGアニメの新たなる表現の可能性に挑戦!】
実のところ、最近のCGアニメの映像表現にはちょっと懐疑的な部分があるのです。
「カーズ3」のマックイーンは実写の車のようだったし、「アナ雪」のような作品では人間の肌色は透明感が増すばかりです。もちろん作品によって世界観も表現するものも違うので、当然ビジュアルが違ってくるのも当然ですし、それ自体は別に悪い訳じゃありませんが、一方で実写のような映像表現が果たしてアニメに必要なのかな?とも思ったりするのです。
 
本作ですごく象徴的な部分がありました。それは火の表現です。火や水といった表現は、CGアニメに於いて実写のような表現になるのがこれまでの通例でした。ですが、この作品では違ってました。この映画で松明(たいまつ)が出てくるのですが、よーく見ると炎の揺らぎが毛糸みたいになっていることに気づきます。つまり、この作品では実写のようなリアル表現を求めていないことがよくわかります。この作品におけるリアルさは、もっと別のところにあるのです。
森の中でポピーが蛇や蜘蛛の怪物に襲われる場面があります。その蛇や蜘蛛のデザインがまるっきりぬいぐるみなのです。生き物としてのリアルではなく、ぬいぐるみ(人形)としてのリアルさを表現しています。
 
つまるところ、この作品が目指しているのは、CGアニメ的人形劇なのです。
「レゴ・ムービー」がCGアニメでコマ撮り人形アニメーションを再現したように、「I LOVE スヌーピー」がCGアニメで2次元漫画を再現したように、本作「トロールズ」はCGアニメによる人形劇を再現しているように思えてなりません。デジタルとアナログが見事に融合した世界観は、ある意味「コララインとボタンの魔女」などを世に送り出しているライカ社の作品に通じるものがあります。これからのCGアニメは、そうした方向性が必要だと思うのです。実写映画のようなリアル表現ではなく、アニメでしか表現出来ないような世界....本作「トロールズ」は、そうした映像製作に果敢に挑戦し、見事成功した作品だと思います。これまでのCGアニメ作品にはなかった、新たな魅力に溢れた作品でした。
 
【クリスマス・シーズンに是非鑑賞して欲しい!】
毎度のことながら、日本では劇場未公開となってしまった「トロールズ」。
しかしながら、ここ数年のCGアニメ作品の中では、トップクラスに入る面白さです。
主人公ポピーをはじめとして、登場するキャラクターはどれもが魅力的だし愛らしい。ミュージカル映画らしく、歌や踊りも楽しく華やか。その一方で物語は非常に楽しくかつ感動的な構成となっていて、ダメなところが一つもありません。ぶっちゃけ、ここ最近のディズニーやピクサー作品よりも数倍面白い作品です。
三頭身キャラのトロールたちは子供が見ても楽しいと思いますし、大人は懐かしい昭和の名曲の数々に思わず体が動き出してしまう事でしょう。また、手芸好きの人にはフェルト生地にあふれた世界観にうっとりするかもしれません。
 
可愛いものが好きな人、歌と踊りが好きな人、
ミュージカルが好きな人、手芸好きな人、
あらゆる人にお薦めしたい、良質な作品「トロールズ」
ポピー姫のチャーミングな魅力にきっとハマるはず!
是非、ご家族でお楽しみ下さい!
 
 
トロール ポピー.jpg


トロールズ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray
最近、安価版も発売されたので、この機会に是非!

トロールズ みんなのハッピーホリデー! [DVD]

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • メディア: DVD
クリスマス直前には、TV用に製作されたスピンオフ作品も発売されます♩
 
TROLLS

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 2016/09/30
  • メディア: CD
映画は劇場未公開なのに、サントラは国内正規盤が出てる...どういうこと!?

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