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下ネタ、血と暴力、そしてWHAM!(ワム!)〜『デッドプール』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
        『デッドプール』(原題:DEAD POOL)
    2016年 アメリカ映画 カラー 108分 20世紀フォックス配給
 
監督:ティム・ミラー
脚本:レット・リース&ポール・ワーニック
音楽:トム・ホーケンバーグ
 
出演:ライアン・レイノルズ   ....ウェイド・ウィルソン/デッドプール
   モリーナ・ハッカリン   ....ヴァネッサ/ウェイドの恋人
   T.J.ミラー        ....ウィーゼル/酒場のバーテンダーでウェイドの親友
   エド・スクライン     ....フランシス(エイジャックス)/悪の科学者
   ジーナ・カラーノ     ....エンジェル・ダスト/フランシスの用心棒
   ブリアナ・ヒルデブランド ....ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド
                 (ヒーローチーム「X-MEN」の新人メンバー)
   ステファン・カビチッチ  ....コロッサス/ロシア出身のX-MENメンバー
   他
 
【あらすじ】
かつて特殊部隊に所属していたウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、現在傭兵としてその日暮らしの日々を送っている。仕事を斡旋してくれる酒場のバーテンダー、ウィーゼル(T.J.ミラー)とは気の置けない仲だ。そんなある日、ウェイドは売春婦ヴァネッサ(モリーナ・ハッカリン)と運命的な出会いを果たし恋におちた。二人は相思相愛となり、ウェイドはこれまでにない幸せに包まれる。だがその矢先、ウェイドは医者から末期ガンを宣告され、不幸のどん底へと突き落とされた。落ち込むウェイドだったが、その彼の前に謎の男が現われた。「あなたのガンを治療してあげますよ」....男の言葉に怪しさを感じつつも、愛するヴァネッサのため一縷の望みをかけるウェイド。
だが、それは人体をミュータントへと改造する禁断の手術だった....!
 
 
【マーベル映画の勢いが止まらないッ!】
マーヴェル・シネマ・ユニバース(MCU)の勢いが止まりませんッ!
『バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生』が正直微妙な出来だったDCユニバース映画に対し、快進撃を続けるマーベル映画。現在劇場公開中の『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』も、最高にエキサイティングな内容で大いに楽しめました。
その興奮も冷め止まぬままに、間髪入れずやってきたマーベル最新作『デッドプール』。
これがまた最高にクール!な出来映えで、大満足の内容でした。
つくづく感じるのは、MCU作品のバラエティに富んだ作風です。
厳密に言うと、『デッドプール』はいわゆるMCU路線とは異なる訳ですが、これまでのマーベル映画作品にはなかった下ネタや過激なバイオレンス描写が満載で、新たなマーベル映画の魅力を開拓した作品と言えるでしょう。
 
【本物の“デッドプール”、遂に登場!】
デッドプールと言えば、かつて『ウルヴァリン:X-MENゼロ』(09)に登場したことで有名なキャラクターです。しかし、原作とはあまりにもかけ離れたその姿に、ファンの間では失望が広がりました。その作品でデッドプールを演じていたのが、誰あろうライアン・レイノルズでした。彼自身が誰よりも「こんなのデッドプールじゃないッ!」と強く思っていたらしく、長年「デッドプール」主演の映画化を模索していたそうです。本作ではプロデューサーも兼任して、遂に本物のデッドプールを描くことに成功したライアン・レイノルズ。
映画本編の中でデッドプールが「これは愛についての物語だ」と観客に語りかける場面がありますが、正にその言葉通り、ライアン・レイノルズのデッドプール愛に満ち溢れた作品となっていました。
 
【実は、X-MENのスピンオフ映画....!?】
予告編にX-MENのミュータントであるコロッサスが出ていたので、デッドプールとどんな風に絡むのか?興味津々でしたが、蓋を開けてみたら、がっつり「X-MEN」シリーズのスピンオフ的作品に仕上がっていました。ちゃんと本拠地である“恵まれし子らの学園”も出てきますし、シリーズではお馴染みの戦闘機も出てきます。ついでに、ヒュー・ジャックマンも意外な形で登場します(笑)。
コロッサスと言えば、これまで「X-MEN」シリーズにもちらりと顔を出していましたが、本作ではよりコミックスに近いイメージで登場&活躍します。でかい図体にも関わらず、非常に生真面目な性格がデッドプールと対照的で、それが笑いを誘っていました。
一方、初登場だったのが、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド。
X-MENに所属する女性の新人ミュータントで、その身体からエネルギーを放出させて爆発を引き起こすという能力を持っています。クライマックスでの活躍を見る限り、まだ自身の能力を完全に使いこなせてないようで、今後の動向が非常に気になる新人ミュータントです。終始、不機嫌な表情を浮かべる今時の現代っ子を、ブリアナ・ヒルデブランドがチャーミングに演じています。クライマックスの戦いの時、しっかりX-MENスーツを着てくる真面目さが、逆に可愛くて惚れました♪
 
【“第4の壁”を突き破れッ!】
映画の中の登場人物が、画面の中から観客に向かって語りかける演出は、これまでにも色んな作品で見かけることもあって、それ自体は珍しい演出とは思いませんでしたが、本作の凄い所は“第4の壁”を超えた演出に付け加えて、現実とフィクションがごちゃ混ぜになっている点です。例えば、コロッサスがプロフェッサーXの話題を持ち出すと、デッドプールは「それってパトリック(・スチュワート)?、それともジェームズ(・マカヴォイ)のこと?」と、プロフェッサーXを演じた俳優名を挙げて茶化します。また、X-MENたちが暮らす“恵まれし子らの学園”を訪ねた際には、「なんでこんな大邸宅にお前ら二人しかいないの?、映画の予算がなくて他のメンバーを呼べなかったんだろ?」と、これまた自虐ネタで笑いを誘います。
こうしたギャグ演出は、下手をすると物語自体を破綻させかねない危険性をはらんでいますが、本作はそうした危険性をギリギリで回避させつつ、非常にバランスよく笑いを生みだしていました。観ているこちら側としては、フィクション部分と現実部分の両方を楽しみながら鑑賞出来ました。
 
【ライアン・レイノルズは、最高にかっこいい漢(おとこ)!】 
とかく主演俳優自身がプロデューサーも兼任すると、自分をかっこよく見せたがる傾向に走りがちです。ライアン・レイノルズもその点は同じですが、彼が偉いなと思うのは、デッドプール=ウェイド・ウィルソンの人間性をしっかりと描いているところです。
例えば、ヴァネッサとのベッドシーンでは、ア◯ルセックスさせられる場面(四つん這いになって不安そうな顔をしているライアン・レイノルズの表情が最高!)を取り入れてみたり、プロポーズをする場面では下半身丸出しだったりと、およそヒーローらしくない間抜けな場面をきちんと描いています。また、ガンを宣告された後、ひとり夜中に涙する場面や、全身がただれて醜くなった顔を周囲の人たちに見られた時の脅えなど、ひとりの人間しての弱さもきちんと描いています。また『イースタン・プロミス』(07)のヴィゴ・モーテンセンばりに全裸で敵と格闘したりと、役者としてはかなりハードなことにも挑戦していて、そういう姿勢は本当にかっこいいと思います。
映画の中のデッドプールは確かにかっこいいキャラでしたが、何より映画化を長年企画して、それを実現し、尚かつ魅力的にデッドプールを演じたライアン・レイノルズ自身が、最高にかっこいい男....いや、漢(おとこ)です!
 
【人としての度量を試される映画】 
この映画、“人としての心の度量”が試される作品です。
 
オナニー!など直接的な表現の下ネタを、「ガハハ!」と笑い飛ばせるのか?、
刀で切られた人体が宙を舞う、といったブラックユーモアに溢れたバイオレンス描写を、「ワォーッ!」と興奮出来るのか?、
超人たちのマンガ的活躍を、童心に返って「ウヒョーッ!」と楽しめるのか?、
ウェイドとヴァネッサの純愛を、思わず応援したくなる清い心を持っているのか?....etc
 
成熟した人ほど、楽しむことが出来る作品、それが『デッドプール』です。
デッドプール自体はとてもふざけたキャラクターで、これまでのヒーロー像とはかなりかけ離れた性格の持ち主です。簡単に人は殺すし、エロい話ばかりをしている、お喋り不真面目野郎です。ですが、そのマスクの下にはとても人間味溢れた人物が存在します。
その中身であるウェイド・ウィルソンをライアン・レイノルズがとても魅力的に演じたおかげで、デッドプールもまたひと味もふた味も違う魅力溢れるヒーローとなっていました。
「愛する人を命がけで守る!」....それこそがヒーローの基本中の基本。
そういった意味では、紛れも無くデッドプールは真のヒーローでした。
 
“俺ちゃん”ヒーロー、最高ッス!!(^皿^)/ 
 
 
  『それじゃあ、いっちょヒーローやってみっか!!』
  デッドプール.jpg
 
 
メイク・イット・ビッグ

メイク・イット・ビッグ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: CD
♪ケアレス・ウィスパーは、やっぱ名曲♪
 

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たまたま初日に鑑賞したら、劇場でデッドプールのフィギュアを頂いちゃいました♪
「どうせたいしたモノじゃないだろう」と思っていたら、
コレが意外に出来が良くてビックリ!....疑ってゴメンナサイッ!!
 
絶賛発売中の「映画秘宝7月号」 
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本書には冒頭デッドプールの日本語吹き替え版を担当した加瀬康之さんのインタビュー記事が掲載されています。加瀬康之さんと言えば、近年ではレオナルド・ディカプリオの吹き替えがハマり役ですが、本作でも実に魅力的にデッドプール(=ライアン・レイノルズ)を演じられています。インタビューでは加瀬康之さんの収録時の様子や、吹き替えお芝居に対する情熱が詳しく語られていて、読み応えあり!でした。
是非、溝端淳平さんにも読んで欲しいですね!(^皿^)/
 




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