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『ダークナイト・ライジング』の日本語吹き替え版について [吹き替えについて]

 
         『 ダークナイト・ライジング 』
           日本語吹き替え版キャスト
    日本語吹き替え版翻訳:アンゼたかし 日本語吹き替え版演出:???
 
   ブルース・ウェイン/バットマン      ....檀臣幸
   執事アルフレッド・ペニーワース      ....小川真司
   ジェームズ・ゴードン本部長        ....納谷六朗
   ルーシャス・フォックス(ウェイン産業社長)....池田勝
   セリーナ・カイル(窃盗犯)        ....園崎未恵
   ベイン(凶悪なテロリスト)        ....山路和弘
   ミランダ・テイト(ウェイン産業役員)   ....五十嵐麗
   ジョン・ブレイク(若手警察官)      ....土田大
   ラーズ・アル・グール(影の同盟)     ....佐々木勝彦
   ジョナサン・クレイン(悪徳精神科医)   ....遊佐浩二
 
 
『誰でもヒーローにはなれる 特別な事はしなくても....』
シリーズを通してブルース・ウェインを演じるは、檀臣幸さん。
2013年に50歳という若さで急逝された檀臣幸さんですが、クリスチャン・ベールの吹き替えは、檀臣幸さんにとって正にハマり役でした。クリスチャン・ベールという役者は、端正な顔立ちとは裏腹に、どこか近寄り難い雰囲気を醸し出していて、それが過去にトラウマを抱えたブルース・ウェインにピッタリだった訳ですが、その雰囲気を檀臣幸さんは吹き替えに於いて見事に表現されていました。願わくば、もっともっとクリスチャン・ベールの吹き替えで、我々吹き替えファンを楽しませて欲しかったです。
 
『大丈夫、勘ならすぐ戻りますよ』
執事アルフレッド・ペニーワースを演じるは、ベテラン小川真司さん。
主人公ブルース・ウェインを時に優しく、時に厳しく見守る親代わりの執事アルフレッドを、小川真司さんが好演されています。小川真司さんの声質は品があって、それが英国俳優マイケル・ケインに実にしっくりときます。今回珍しく個人的感情を爆発させるアルフレッドですが、そのあたりを見事に演じられる小川真司さんのお芝居は、必見です!。
 
『君のような熱い男が必要だ』
正義を愛する男、ジェームズ・ゴードン本部長を演じるは、ベテラン納谷六朗さん。
今年11月に82歳で亡くなられた納谷六朗さん。これまで数多くのアニメや吹き替えなどで素晴らしいお芝居を披露されてきた納谷六朗さん。ご高齢になられても現役を貫き通されたその姿勢には、敬意を払わずにはいられません。
この場をお借りして納谷六朗さんに対し哀悼の意を捧げたいと思います。
素晴らしいお芝居の数々を、ありがとうございました!(一礼)
さて、前作『ダークナイト』が映画史に残る傑作であることは、もはや指摘するまでもありませんが、実は日本語吹き替え版もまたもの凄く素晴らしい出来であることを、ここで強く主張しておきたい。その一因を大きく担うのが、納谷六朗さんです。正義を愛するあまり、そのジレンマに葛藤するゴードン本部長をゲイリー・オールドマンが好演していますが、そのゲイリー・オールドマンの素晴らしいお芝居を納谷六朗さんが日本語で見事に体現されています。
 
『いいモノをお見せしますよ、昔のよしみで』
ブルース・ウェインの理解者であるルーシャス・フォックスを演じるは、池田勝さん。
いわゆる黒人声声優のおひとりで、いぶし銀の演技が光る役者さんです。
モーガン・フリーマンと言えば、その低い声が魅力的で映画『レゴ・ムービー』では自ら美声をネタにしていましたが、池田勝さんのお声もまたモーガン・フリーマンに負けず劣らず魅力的です。威厳のあるキャラクターを演じるとその存在感が抜群です♪
 
『嵐が来るわよ、ウェインさん』
ファム・ファタール(運命の女)となるセリーナ・カイルを演じるは、園崎未恵さん。
アン・ハサウェイの吹き替えは未だフィックスが決まっていないので、これまでも色んな役者さんたちがアン・ハサウェイの声をアテていますが、本作のセリーナ・カイルというキャラクターに園崎未恵さんの声は実にピッタリ!だと感じました。ちょっと鼻にかかった甘い声が実にセクシーで、表情がコロコロと変わるセリーナ・カイルを園崎未恵さんは見事に演じられていました。
この先もご活躍が気になる役者さんです♪
 
『ゴッサム市が灰と化したら、貴様が死ぬのを許可してやる』
凶悪なテロリスト、ベインを演じるは、ご存知我らが山路和弘さん。
『スパイダーマン』のグリーン・ゴブリン、『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー』のレッド・スカルに続き、またまたアメコミのヴィラン(悪役)に抜擢です。
アメフトの競技場やマスコミを前にしての演説で大袈裟なパフォーマンスをうって見せるベインですが、それを日本語で見事に表現される山路和弘さんのお芝居はさすがだという他ありません。
 
『亡き父の使命は、私が果たす』
ウェイン産業の重役ミランダ・テイトを演じるは、五十嵐麗さん。
ブルース・ウェインに想いをよせる姿は、仮の姿。その真の正体は、ラーズ・アル・グールの愛娘にして、影の同盟の正当なる後継者。ベインを率いてゴッサム市壊滅を目論みます。
五十嵐麗さんの低血圧な喋り方が、フランス人女優マリオン・コティヤールの雰囲気と相性抜群で、これぞハマり役と言えるでしょう。惜しむらくは、ミランダ・テイトの正体が判明する前と後でのお芝居を、もう少し変化をつけて演じて欲しかったです。
 
『本部長には、バットマンが必要だ』
正義感溢れる若き警察官ジョン・ブレイクを演じるは、土田大さん。
ご存知『カーズ』のマックウィーンの声でお馴染みですよね?(^皿^)/カッチャウウ!
いわゆるイケメン声の土田大さんですが、これが演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットと見事にマッチしており、見事な好演となりました。若さゆえににじみ出る熱き血潮を、正義感たっぷりに演じられています。
 
 
 
さて、今回は『ダークナイト・ライジング』の日本語吹き替え版を取り上げます。
『バットマン・ビギンズ』『ダークナイト』そして本作と、シリーズを通して素晴らしい日本語吹き替えを堪能出来るシリーズ。今回の吹き替えで嬉しかったのは、いわゆる『インセプション』組のキャストが同じだったことです。マリオン・コティヤールを演じる五十嵐麗さん、ジョセフ・ゴードン=レヴィットを演じる土田大さんは、『インセプション』に引き続きの登板となりました。
もちろん『インセプション』と『ダークナイト・ライジング』の間には何も関連性がないので、同じ俳優とはいえボイスキャストが変わっても何ら問題はありませんが、同じクリストファー・ノーラン監督作品ということもあって、こうした統一感は素直に嬉しく感じます。五十嵐麗さんも土田大さんも『インセプション』に引き続き、素晴らしいお芝居を披露されてました。
それだけに、トム・ハーディの吹き替えが咲野俊介さんじゃなかったのが本当に残念。
ベインはメインヴィラン(悪役)なので、ベテラン山路和弘さんの起用はしごくまっとうなキャスティングだと言えますが、『インセプション』組キャストの吹き替えを統一するのであれば、是非咲野俊介さんをベイン役で起用して欲しかった。ある意味大抜擢のキャスティングかもしれませんが、『インセプション』での好演を考えたら、きっとベイン役も見事に演じられたと思います。
 
 
さて、今回の『ダークナイト・ライジング』日本語吹き替え版ですが、
前作『ダークナイト』の日本語吹き替え版の出来を100とするならば、
今回の『ダークナイト・ライジング』の出来は80ぐらいの印象を持ちました。
もちろん、日本語吹き替えキャストの皆さんは素晴らしいお芝居を披露されており、その点に関してはいささかの不満もない訳ですが、演出面でいくつか?に感じる箇所があり、その点をマイナスとさせて頂きました。以下はオイラがちょっと疑問に感じた箇所です。
 
【冒頭のブルース・ウェインの描き方について】
映画冒頭、ブルース・ウェインは世捨て人として登場します。
愛する女性レイチェル・ドーズを失い、バットマンとして戦いに明け暮れた結果、その肉体はボロボロ。更に地方検事ハーヴィー・デントの汚名を自ら被ることによって、ゴッサムシティでは殺人者として指名手配されています。そんな心身ともに傷ついた状態のブルース・ウェインを、クリスチャン・ベールは小声でとても弱々しく演じています。
ところが、日本語吹き替え版に於ける檀臣幸さんのお芝居は、オリジナルのクリスチャン・ベールほどの弱々しさがありませんでした。確かにボソボソと小声で喋る音声だと聴き取りにくくなるという弊害がありますが、このあたりはオリジナルの演出をきちんと踏襲して欲しかったです。
 
【果たして、ベインの声は再現出来ていたのか?】
今回の悪役ベインは、終始マスクを装着したままで台詞を喋ります。何でも公開当時のアメリカでは、このベインの台詞が聴きとりづらいとの声があがったそうですが、それは致し方ないところでもあります。逆にマスクをしているのに、台詞が鮮明に聴こえたら、そっちの方が不自然です。
映画の冒頭、頭巾を被らされたベインが、その第一声を発します〜
『何故撃つのか?不思議なだけだ。突き落とせば済むのに』
マスクによりくぐもった声が、何とも言えない不気味な雰囲気を醸し出しています。
更に時折挿入される独特な呼吸音が、その不気味さにいっそうの拍車をかけています。
一方、日本語吹き替え版ではどうだったでしょうか?。
オイラの第一印象は“山路和弘さんのお声そのまんまだな”でした。
せっかくマスクをしているにも関わらず、その台詞は山路和弘さんのお声そのものでした。だからオリジナル英語版で感じたベインの不気味さが、今ひとつ伝わってこなかったのが正直なところです。
このケースもまた、音声を加工しすぎると台詞が聴き取りづらくなるという弊害が生まれるため回避されたのかもしれませんが、もう少し音声にエフェクトをかけてオリジナルの英語版の雰囲気に近づけて欲しかったです。
 
 
いくつか演出面での不満はあったものの、『ダークナイト・ライジング』の日本語吹き替え版は概ね満足のいく仕上がりとなっています。カメオ出演しているリーアム・ニーソンのために参加された佐々木勝彦さんや、同じくジョナサン・クレインを演じた遊佐浩二さんにも敬意を払いたい。特に佐々木勝彦さんはほんのワンシーンのためだけに吹き替えに参加されており、こうした姿はシリーズのファンとしては実に嬉しい限りです。大物俳優気取りで『バットマン・ビギンズ』の吹き替えに参加しなかったケン・ワタンベは、佐々木勝彦さんの爪の垢を煎じて飲むべし!。
 
字幕スーパー版で本作を楽しまれた方も、是非この機会に日本語吹き替え版をお楽しみ下さいませ!(^皿^)/
 
 
     『まだだ まだ全てを捧げた訳じゃない』 
     ダンさんに捧ぐ.jpg
 

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