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『クルードさんちのはじめての冒険』の日本語吹き替え版について [吹き替えについて]

 
イープ:「これ、いい感じ.... 何ていうもの?」
 
グラグ:「パパが考えた呼び名は....“ハグ”だ
     グラグと語呂があう♪
     だけど、もし....気に入らなかったら変えろ」
 
イープ:「....ううん、ハグがいい! ....パパ大好き♪」
  
 
     『 クルードさんちのはじめての冒険 』
        日本語吹き替え版キャスト
      吹き替え翻訳:佐藤恵子 吹き替え演出:清水洋史
 
     てらそままさき ....グラグ/クルード家のお父さん
     朴路美     ....イープ/クルード家の長女
     さとうあい   ....ウーガ/クルード家のお母さん
     佐藤せつじ   ....タンク/クルード家の長男
     野沢雅子    ....グラン/クルード家のおばあちゃん
     小野大輔    ....ガイ/遠くからやってきた青年
 
 
『生きるために必要なんだぞ、俺のルールは!』
クルード家のお父さんグラグを演じるは、てらそままさきさん。
ひと昔前なら玄田哲章さんあたりが演じていたであろうグラグを、ソフトな語り口が特長のてらそままさきさんが好演されています。マッチョなキャラクターをてらそままさきさんが演じられること自体が非常に珍しいケースですが、このキャスティングは正に絶妙!と言えます。見た目はマッチョなグラグですが、その一方で世の中のあらゆること(好奇心や新しいもの)を怖れながら生きている臆病者でもあります。父親として一家の中心にいた時の頼れる存在場面や、ガイの登場によりどんどんその存在感が薄まり、思わず弱音を吐いてしまう場面など、複雑な心理の変化を見せるグラグを、てらそままさきさんが魅力たっぷりに演じていらっしゃいます。
何より洋画の吹き替えではあまりお目にかかれない、てらそままさきさんの楽しいマンガ的お芝居を堪能出来てファンとしては嬉しい限り♪。グラグが青年ガイに対抗心を燃やすあまり、彼の真似して若者言葉を使う下りは、爆笑ものです(^皿^)。
 
『なんでココにいるの?、怖がってるだけじゃん!』
クルード家の長女イープを演じるは、朴路美さん。
今やすっかり中堅所の実力者となった朴路美さん。洋画の吹き替えでは、ルーシー・リューやミシェル・ロドリゲスなど、勝ち気なキャラクターを得意とされていますが、そんな朴さんが長女イープをワイルドに好演されています。正直、場面によっては朴さんの実年齢を感じさせる部分が無きにしもあらずでしたが、全体的にはやんちゃなイープをチャーミングに熱演されていました♪。
 
『ひとりで考えたい年頃なのよ』
クルード家のお母さんウーガを演じるは、さとうあいさん。
大人の女性を感じさせる声質が、とっても大好きなさとうあいさん。台詞自体はあまり多くないウーガですが、そのひと言ひと言に母性あふれる感情を見事に表現されていて、本当に素晴らしかったです♪。
 
『いい子だった〜、ダグラス〜』
クルード家の長男タンクを演じるは、佐藤せつじさん。
『モンスターズ・ユニバーシティ』での双子モンスター・テリの好演も記憶に新しい佐藤せつじさんが、呑気で臆病者のタンクを好演。タンクは9歳(!?)の設定なのですが、ぽっちゃり体型でおっとりしたタンクに、佐藤せつじさんの声がピタリ!とハマるナイスキャスティングでした♪。
 
『くたばっとらんよ〜♪』
クルード家のおばあちゃんグランを演じるは、野沢雅子さん。
爬虫類の皮をズボン代わりに使用するグランの姿が、とってもお茶目です。
野沢雅子さんは、ご存知言わずとしれた業界の大御所!(^皿^)/
実は今回記事を書いた理由は、野沢雅子さんについて語りたいことがあったためです。
それは後述にて....
 
『あのねイープ....世界が終わる 名付けて...ジ・エンド!』
クルード家に天変地異を教える青年ガイを演じるは、小野大輔さん。
ガイは最近の流行り言葉で言えば、いわゆる草食系男子な訳ですが、本国アメリカでも草食系男子が流行っているのでしょうか?(^皿^)。
そんな好青年ガイを、イケメン声の小野大輔さんが爽やかに演じられています。
本作に於ける小野大輔さんのお芝居は本当に素晴らしいです♪。アニメ的な楽しさはちゃんと表現しつつ、アニメにありがちな過剰な演技になりすぎていない自然体の演技がポイント高し!。
 
 
 
さて今回は、ドリームワークスのアニメーション作品『クルードさんちのはじめての冒険』の日本語吹き替え版を取り上げます。残念ながら劇場未公開となってしまいましたが、作品としての面白さは保証付き。さすがはドリームワークス作品!と思える、エンターテイメント性の高い娯楽感動作品でした。
その日本語吹き替え版ですが、てらそままさきさんや朴路美さんなど、実力派の声優さんたちにより、そのお芝居もとても素晴らしいものとなっています。翻訳の佐藤恵子さんによる台詞も素晴らしいし、清水洋史さんによる演出も良かったです。
 
【大御所・野沢雅子さん、降臨!】
さて、吹き替え版キャストの中に野沢雅子さんというビッグネームを見つけて、思わず「おっ!?」と驚かれた方も多かったのではないでしょうか?。オイラもこのキャスティングを知って、驚きと喜びを隠しきれませんでした。野沢雅子さん、言わずと知れたこの業界の大物中の大物であり、アニメ好きの方なら知らない方はいない大ベテラン声優さんです。
かくいうオイラも野沢雅子さんの声で育ったアニメ世代です。
今でもオイラの中で傑作として位置づけている『ガンバの冒険』のガンバ、『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎、『ド根性ガエル』のヒロシ、『いなかっぺ大将』の風大佐衛門、『銀河鉄道999』の星野鉄郎、そして『ドラゴンボール』の孫悟空など、昭和アニメ世代の人間にとって、野沢雅子さんの声は無くてならない存在でした。無論、オイラも大・大・大好きな声優さんのひとりでした。
しかし、ある時期を境に、オイラの野沢雅子さんに対する愛情が徐々に薄れていきました。
そのきっかけとなったのが、後年の代表作とも言える『ドラゴンボール』でした。
 
【野沢雅子さん“らしさ”が消えていったDB....】
野沢雅子さんの声のイメージと言えば、“元気な少年!”というのが、誰しも異論のないところだと思います。過去の有名な作品群を見ればそれは明らかですし、そうした流れでドラゴンボールの悟空役にキャスティングされたことは想像に難くありません。
もちろん、オイラも野沢雅子さんによる孫悟空はハマり役だと感じましたし、アニメも楽しんで見ていました。しかし、やがて孫悟空が少年から青年へと成長したあたりから、徐々にそのお芝居から野沢雅子さんらしさが消えていくのをひしひしと感じました。野沢雅子さんクラスの実力者であれば、青年の声を演じる事は可能だっただろうし、野沢雅子さんにとってもある意味チャレンジだったのかもしれません。実際、野沢雅子さんは青年期の孫悟空を見事に演じられていました。しかし、その一方で野沢雅子さんの持ち味が活かされない青年役に、ジレンマを感じていたのも事実です。
 
日本のアニメ業界では、昔から少年役を女性声優が演じてきました。
大人の男性が子供を演じようとすると、一般的にどうしても声が低すぎるので、違和感が拭えません。そこで声変わりをする前の少年を女性が演じることになったのだと思います。
しかし、青年期の男性を女性が演じるとなると、逆に女性特有の高音がネックになります。そこで、ノドを絞って出来るだけ低い声質を維持しつつ、演技をすることになります。宝塚で男性役を演じる女性の声を想像して頂けるとわかりやすいと思います。しかし、これが曲者で、この演技法だとお芝居が一本調子になりがちです。宝塚の男性役のお芝居が皆同じような台詞回しに聞こえるのは、そのためです。実際、野沢雅子さん演じる青年期の孫悟空も、これと似たようなお芝居になっていきました。
常にお芝居がワンパターンとなり、少年を演じていた時のような活き活きとした演技はどんどんカゲを潜めていきました。それが見ていてとても辛かったのです。
 
そんな事を感じ始めた頃、『ドテラマン』というアニメーションに出演する野沢雅子さんを見かけました。確かタツノコプロの作品で、ギャグアニメだったと記憶しています。その『ドテラマン』のあるエピソードの回で、野沢雅子さんがゲスト声優として参加されていました。野沢雅子さんが演じられたのは、その回の悪役で魔女みたいなキャラクター。その時の野沢雅子さんのお芝居が、個人的にとても新鮮だったことを今でも鮮明に覚えています。それまで、少年役の多かった野沢雅子さんが、珍しく歳相応の女性キャラクターを演じられていたからです。
いくら野沢雅子さんが少年役を得意とされているからと言って、歳や性別を意識することなく役を演じる訳にはいきません。当然そうした事を踏まえた上で、少年役を演じられているはずです。しかし、別な言い方をすれば、それは制約のあるお芝居とも言えます。『ドテラマン』で歳相応の魔女を演じられた時の野沢雅子さんのお芝居に触れた時、そうした縛りから解放されたお芝居がとても新鮮でした。
 
その出来事をきっかけに、野沢雅子さんのこうしたお芝居に再び触れる機会を願っていましたが、残念ながらそうした機会にめぐまれることもなく、現在に至ってしまいました。もちろん、野沢雅子さんの全てのお仕事を網羅していた訳ではないので、オイラの知らないところでそうしたお芝居を披露されていたのかもしれませんが、オイラ個人はそうしたお仕事を見る機会には恵まれませんでした。
 
【野沢雅子さんが今、お婆ちゃんを演じる意味と価値】
長年そうした思いでいたところに届いた、今回の『クルードさん〜』でのお仕事。
野沢雅子さんが演じるのは、クルード家のおばあちゃん、グラン役です。野沢雅子さんは現在77歳、ほぼ実年齢に近いキャラクターということになります。少年役を演じる時のような声を作る作業がない分、純粋にお芝居そのものを楽しむ事が出来ました。野沢雅子さん、やっぱり素晴らしい役者さんです!。グランはシニカルなキャラクターで嫌みや辛口をたたくキャラクターですが、そんなキャラクターを野沢雅子さんは嫌みになることなく、愛らしい人物として魅力たっぷりに演じられていました。野沢雅子という声優の素晴らしさを久しぶりに堪能することが出来て、大いなる幸福感を感じました。
 
どんなに優れた声優であったとしても、加齢による声の変化は避けられません。それは野沢雅子さんとて例外ではありません。野沢雅子さんがどんなに優れた声優であったとしても、もはやガンバを演じていた時のような声はもう出せないのです。でも、それは決してネガティヴなことではありません。今の野沢雅子にしか出来ない声があるだろうし、例え歳をとって声が衰えたとしても、演技力が衰えたという訳ではありません。今回グランを演じる野沢雅子さんを見て、改めて野沢雅子さんの役者としてのスキルの高さを、コメディエンヌとしての才能を再確認出来たからこそ、そう強く感じます。
これからは、実年齢に近いキャラクターをどんどん演じて欲しいと思います。
今の野沢雅子だからこそ演じられる!、そういうキャラクターがまだまだあるはずです。
アニメでも、洋画の吹き替えでも、そうした役柄を演じられる野沢雅子さんに出会えることを強く願わずにはいられません。
 
 
野沢雅子さんという大ベテランをはじめ、てらそままさきさんの楽しい演技や、思春期を葛藤するイープを見事に演じきる朴路美さんなど、非常に見応えのある『クルードさんちのはじめての冒険』の日本語吹き替え版。
作品を鑑賞する際は、是非日本語吹き替え版でお楽しみ下さい♪(^皿^)/
 
 
    『今日は驚かせてくれたね、ヌケサク♪』
    グラン.jpg 
クルード家のおばあちゃんであるグラン。ウーガの母親なので、グラグにとっては義理の母ということになる。グラグはグランがはやく死んでくれることを密かに願っていて(強烈なブラックジョーク!)、そのことはグラン自身も気付いているという設定。義理の息子であるグラグとはあまり良好な関係とはいえないグランだけど、クライマックスで父親としての責務を見事に果たすグラグに対して、はじめて優しい言葉をかける場面が印象的だ。
上記の台詞はもちろん劇中の台詞ではあるけど、別な意味あいにも聞こえます。
本作で珍しく楽しいお芝居を披露してくれるてらそままさきさん。そんなてらそままさきさんに対して、大御所・野沢雅子さんからの賛辞と受け止めると、この台詞もまた違った味わいがあります♪(^皿^)。
 

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