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真のヴィラン(悪党)は、中村獅童!....『アメイジング・スパイダーマン2』日本語吹き替え版 [吹き替えについて]

映画『アメイジング・スパイダーマン2』には3人のヴィラン(悪党)が登場します。
 
  電気怪人:エレクトロ(ジェイミー・フォックス)
  緑悪鬼:グリーン・ゴブリン(デイン・デハーン)
  機械獣:ライノ(ポール・ジアマッティ)
 
さて、作品中で一番悪かったのは、いったい誰だったでしょうか?。
正解は! ....残念ながらこの中にはいません。
何故なら、本作における一番の悪党は、中村獅童さんだったからです!!。
と言ってもコレ、日本語吹き替え版に関する話なんですけど。
 
 
本作の日本語吹き替え版には、歌舞伎役者の中村獅童さんがボイスキャストとして参加されています。演じるはジェイミー・フォックス扮する電気技師マックス・ディロン。後に事故によって怪人エレクトロとなる人物で、本作品の中心的ヴィラン(悪党)です。電気を操る能力を得たマックスは、その能力を使ってスパイダーマンを苦しめることになります。
 
中村獅童さんと言えば、熱狂的なスパイダーマンファンであることで知られています。
これまでもメディア等でスパイダーマンに扮したコスチューム姿を披露するなど、その熱狂的なファンぶりを披露されてきました。今回、映画の吹き替えに抜擢されたのは、そうした経緯があったからだと推察されます。
しかし、これが予想以上にひどい出来で、驚愕しました。
はっきり言って、放送事故レベルのひどい有様で、このクオリティの吹き替えが実際に劇場で流れている事実を目の当たりにして、鳥肌が立つほどの寒気を覚えました。そしてまた、同時に怒りも覚えました。私が敬愛して止まない日本語吹き替えの世界を侮辱されたようで、劇中のエレクトロ並に怒りの電流を放出したい気持ちに駆られました。
 
【基本的な事が出来ていない】
電気技師マックス・ディロンが登場します。オフィスビルから出て来たマックスは、通りを歩いていて騒動に巻き込まれてしまいます。ここでマックスはスパイダーマンと運命的な出会いをすることになります。命を助けてもらったマックスはスパイダーマンと会話のやりとりをすることになりますが....
何を喋っているのかさっぱりわかりません。
特別滑舌が悪い訳でもないのに、台詞が不明瞭なのは基本的な発声が出来ていないからです。しかも、それに輪をかけて感情表現がほとんどない台詞回し。“棒読み”という言葉がありますが、中村獅童さんによる吹き替えは、正に典型的なそれでした。
実はマックスがエレクトロに変身した後は、その音声にエフェクト加工が施されます。
そのおかげでエレクトロに変身した後は、エフェクト効果の助けもあってか、台詞も随分と聞きやすくなるのですが、それでも台詞が棒読みなのは相変わらずです。中でも一番ヒドかったのは、自宅アパートでマックスがひとりごとを繰り返す場面です。ここはマックスの孤独やその精神に問題アリを表現するとても重要な場面なのですが、棒読み台詞のおかげで全てが台無しとなっていました。マックス・ディロンはこの後犯罪を犯す訳ですが、中村獅童さんはそれより先に“犯罪的行為”とも呼べる棒読み台詞で作品を台無しにしています。
 
【中村獅童さんの“スパイダーマン愛”は、本物なのか?】
先述したように、中村獅童さんは熱狂的なスパイダーマンファンであることを公言されています。しかし、私はそのことに大いなる疑問を覚えます。彼がもし本当にスパイダーマンファンを自負するならば、今回の仕事を引き受けるべきではなかったと思います。未熟な演技を披露して作品自体を傷つけた彼に、スパイダーマンファンを名乗る資格が果たしてあるでしょうか?。
無論、大人の事情はある程度理解しているつもりです。
中村獅童さん自身は、依頼された仕事を快く引き受けただけなのかもしれません。大好きなスパイダーマンの作品に関われることを嬉しく思い、参加されたのかもしれません。しかしながら、吹き替え演技が未熟なことは、中村獅童さん自身が一番理解していたはずです。
 
【歌舞伎の世界に置き換えてみよう】
中村獅童さん、あなたの本職である歌舞伎の世界に今回のケースを置き換えてみて下さい。
あなたが主役を勤める歌舞伎の演目があったとします。そこに日舞も満足に踊れない素人同然の役者を舞台に上げたり出来ますか?。そんな人間が未熟な芸を披露したら、その演目はどうなってしまうのか?、容易に想像出来ます。
或いは、中村獅童さん自身が演じてみたいと思っている演目があったとします。しかし、その演目を演じられるだけの技量がまだ身に付いていなかったとしたら、そんな状態でその演目を上演したりするでしょうか?。あなたは歌舞伎の世界で、卓越された伝統芸能を披露して、それでお客さんからお金を頂戴してるんですよね?。適当に踊って御足を頂いている訳ではありませんよね?。
日本語吹き替えの世界も同じですよ。お芝居の中でも特殊な技術や演技力を必要とされる吹き替えの世界で、プロの声優さん(俳優)たちは、文字通り“卓越された芸”を披露しているのです。観客はその芸に対してお金を支払っているのであって、決して素人芸に対価を支払っている訳ではありません。あなたの本作の於ける日本語吹き替えのお芝居、すなわち芸は果たしてお客さんからお金を取れるだけの価値があるものでしたか?。
演じたジェイミー・フォックスに負けないくらいのお芝居を披露されましたか?。
その答えは、中村獅童さんご自身が一番わかっていることでしょう。
人様に披露出来るだけの芸が身に付いていないんだったとしたら、その仕事は引き受けるべきではないはずです。それとも、中村獅童さんの中で「吹き替え芝居なんて、この程度で充分だろ?」といったような見下した気持ちがあったのでしょうか?。だとするならば、それはとても悲しいことです。
その姿勢は芸道を極めようとする者として、間違ってはいませんか?。
 
 
お芝居というジャンルには、実に多種多様なものが存在します。 
中村獅童さんの中では、その中で歌舞伎がトップであり、吹き替えお芝居を格下に見ていらっしゃるのかもしれません。その考え方自体は個人の自由なので、別にとやかく言うつもりはありません。
でも、それならそれで吹き替えお芝居の世界には入って来ないで下さい。
適当なやっつけ仕事(未熟な芸)で吹き替えという芸術を、これまでの先人たちが作り上げてきた吹き替えお芝居という“伝統芸能”の世界を愚弄されるのは、いちファンとして到底我慢が出来ません。声優さんの中には、文字通り、“命がけ”で日々仕事をこなされている方々がたくさんいらっしゃいます。芸の道を極めようと日夜努力を惜しまない方々が、たくさんいらっしゃるのです。
 
 
最後に、あなたのことを“悪党”呼ばわりした非礼をお詫び致します。
ですが、私もあなたと同じくスパイダーマンファンであり、また日本語吹き替えというお芝居を心から愛する人間なのです。愛するあまり、怒りも倍増してしまう....エレクトロを演じたあなたなら、この感情をきっと理解して頂けることでしょう。
無論、中村獅童さんだけを悪く言うつもりはありません。
この業界には、日本語吹き替えというお芝居を、単なる映画宣伝の道具としか見ていない邪悪な存在がいます。本作に例えるなら、オズコープ社のドナルド・メンケンのような輩です。そういった連中がニック・フューリーに竹中直人を起用したり、ミスティークに剛力彩芽を起用したりするのです。そうした邪悪な連中をなんとか一掃したい気持ちで、今回の件を記事にすることにしました。
タレントを起用した吹き替え全般を決して否定している訳ではありません。
ただ、ダメなものはダメ!と指摘することは必要だと思うのです。
何故なら、『大いなる力には、大いなる責任が伴う』からです
これからも、私は素晴らしい日本語吹き替えをどんどん紹介していきます。
ですが、同時にひどい吹き替えを目撃したら、徹底的に糾弾していきたいと思います。
 
 
      
      『 中村獅童....オレのことを利用したな! 』
      エレクトロ.jpg
     (映画本編台詞〜「スパイダーマン、オレのことを利用したな!」より)
 

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中村獅童さんに、この作品を是非お薦めしたい
ジェイミー・フォックスの吹き替えに何が必要か?を学べる教科書的一本
これを見て、吹き替えお芝居の何たるかを学んで頂きたい
  


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