SSブログ

ボクって、救世主(ヒーロー)....なの!?〜『レゴ・ムービー』を鑑賞する [映画鑑賞]

 
           『レゴ・ムービー』
          (原題:THE LEGO MOVIE )
        2014年 アメリカ映画 上映時間:100分
    翻訳:佐藤恵子/翻訳監修:鈴木おさむ/吹き替え版演出:久保宗一郎
 
   監督/脚本/原案:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
   製作:ダン・リン ロイ・リー
   原案:ダン・ヘイグマン&ケビン・ヘイグマン
   撮影:パブロ・プレイステッド
   美術:グラント・フレックルトン
   アニメーション共同監督/編集:クリス・マッケイ
   音楽:マーク・マザーズボウ
 
声の出演:クリス・プラット   ....エメット/ごくフツーの建設作業員
     ウィル・フェレル   ....おしごと社長/裏の顔は悪の“おしごと大王”
     エリザベス・バンクス ....ワイルドガール/エメットを救う謎の美女
     ウィル・アーネット  ....バットマン/ワイルドガールの彼氏
     ニック・オファーマン ....ロボヒゲ/おしごと大王に復讐を誓う海賊
     アリソン・ブリー   ....ユニキャット/ネコとユニコーンをミックスした動物
     チャーリー・デイ   ....ベニー/宇宙飛行士の旧型ミニフィグ
     リーアム・ニーソン  ....バッド・コップ/おしごと大王の忠実な手下
     モーガン・フリーマン ....ウィトルウィウス/救世主の出現を予言する長老
 
【あらすじ】
ここはレゴワールドのブロックシティ。
工事現場で建設作業員として働くエメット(クリス・プラット)は、ごくフツーの青年。
毎日マニュアルに従い、変化のない日常をそれなりに楽しく過ごしていた。
仕事が終わったある日の事、エメットは人気のない工事現場で不審な人物を見かける。
美しい女性だったその人物にひと目惚れしたエメットは、彼女のあとを追い、誤って深い穴へと落ちてしまう。落ちた穴の底で謎のアイテムを目にするエメット。不思議な魅力に満ちたその“アイテム”に触れたエメットは、幻覚におそわれ、そのまま気を失ってしまうのだった....
しばらくして....エメットが目を覚ますと、なぜかそこは警察の取調室だった。
バッド・コップ(リーアム・ニーソン)に「お前が“選ばれし者”なのか?」と執拗な取り調べを受けるエメット。気がつけば、穴の底で見た謎のアイテム“奇跡のパーツ”が、エメットの背中に張り付いていた。訳もわからず困惑していると、そこに工事現場で見かけたあの女性が現われた。ワイルドガール(エリザベス・バンクス)と名乗るその女性はエメットを救出すると、エメットに語りかけた。
「さあ、選ばれし者、私たちの世界を救って下さい!」
こうして、ごくフツーの青年エメットの壮大な冒険が始まった....!!
 
     『エメット、一緒に世界を救うわよ!』
     RIMG2132.JPG
 
 
みなさんは、レゴが好きですか?。
オイラは40を過ぎた、いい歳のおじさんですが、声を大にして言いたい....
『LEGO(レゴ)が、大好きだーーッ!(^口^)/』
そんなレゴ好き人間にとって、『レゴ・ムービー』は、至福の時を味わえる作品でした。
 
まずは、なんと言っても、その映像に驚かされます。
登場人物であるミニフィグ、建造物や乗り物はもちろんのこと、自然風景やエフェクト(水、火、煙、爆発、etc....)など、その全てがレゴブロックで再現されるという徹底ぶりには、本当に感動させられました。例えば、冒頭目覚めたエメットがシャワーを浴びる場面では、シャワーから出る水や水滴、石鹸の泡までもがレゴブロックで再現されています。それが違和感なく自然に見えちゃうから、不思議です。更に圧巻なのが、大海原の場面です。物語中盤でエメットらが海に投げ出される場面がありますが、そこで波打つ海面や波しぶきまでもが、レゴブロックで表現してありました。それは正に芸術的で、全世界のレゴファンが夢見た世界が、映画の中そこここに広がっていました。
(因みに、オイラが唯一レゴブロックで表現されていない箇所を確認出来た場面は、エメットが拷問を受ける場面での、レーザー光線のみでした)
 
また、特筆すべきはミニフィグの描き方です。
これまでも、ミニフィグを扱ったCGアニメはありました。
レゴのホームページを覗けば。魅力的に動き回るCG製ミニフィグたちの姿を垣間見ることが出来ます。しかし、その一方でその映像にどこか“もどかしさ”を感じていたこともまた事実です。
何故なら、実際のミニフィグは、CGアニメのように滑らかには動かないからです。
実際にレゴのミニフィグを所持している方なら強く実感して頂けると思いますが、本物のミニフィグはとても可動域が少ないフィギュアです。動くのは首(左右360度)、腕の付け根や手首(前後360度)、足の付け根(前後180度)のみです。ですが、この作品ではその少ない可動域のまま、魅力的にミニフィグたちが動き回ります。実際には、映画の中のミニフィグは首や腕の付け根の部分が実物よりも若干可動域が広かったようですが、それ以外ほぼ実物商品と同じ可動域で動いていました。CGだから動かそうと思えば、滑らかに動かせたはずなのに、敢えてそうしなかった監督のこだわりが、実に素晴らしいです。世界のレゴマニアの中には、ミニフィグのコマ撮りアニメーション動画を自作公開する強者がいますが、この映画はその究極を形にした人形アニメーション作品なのです!。
CGアニメでありながら、アナログ感満載の『レゴ・ムービー』は、ある種の映像革命を起こしたと言っても、決して言い過ぎではないと思います。
 
おもちゃが主人公のアニメと言えば、真っ先に『トイ・ストーリー』が思い浮かびますが、
この作品がトイ・ストーリーと決定的に違うのは、映画の中に出てくるキャラクターと実際の商品との間に、差異がほとんどないことです。例えば、トイ・ストーリーに出てくるウッディやバズはものすごく綺麗ですが、実際にディズニーストアなどで売られているトイ商品の多くは、作中のクオリティには遠く及ばないものばかりです。フィギュア好きなら、そのことにがっかりした方も多いはずです。しかし、映画の中のエメットは、実際に売られているレゴ商品とほぼ同じです。
だからこそ劇中のミニフィグに対して、親近感や愛着が湧くのを禁じ得ません。
 
     『ボクが救世主だなんて、誤解だよ〜ッ!』
      RIMG2138.JPG
エメットがクローズアップになると、胸のあたりにうっすらと指紋のあとが伺えます。
本来CGモデルなので、指紋がつくことはあり得ない訳ですが、こうしたフェイク表現がビジュアルにアナログ感を与えることに成功しています。そして、この“指紋”こそが、物語のクライマックスに於ける大きな伏線へとなっています。
 
 
さて、肝心の物語はどうでしょう。
ある日、主人公がヒーローと間違われて....というプロットは、これまでも様々な映画で散々使われてきた設定ですが、素直に感動出来る展開となっていました。ネタバレになるので敢えて詳しくは書きませんが、クライマックスでは予想外の展開が待ち受けています。
予想外....と言っても、劇中にそのことを匂わせるアイテムや伏線があるので、容易に想像出来る展開ではありましたが、そこで描かれる“親子愛”には素直に感動出来たし、全世界の大人レゴファンに向けての辛口メッセージも、心にチクリと刺さって好感が持てました。
(なぜ、おしごと大王の声がウィル・フェレルなのか?.....そういうオチだったのね!)
 
でも、個人的に一番感動したのは、クライマックスでのエメットの振る舞いです。
ヒーローと間違われたエメットですが、実際には何の特技もない普通の人でした。
物語には、ブロックを使用して個性的なアイテムを作り出すことの出来るマスタービルダーというのが登場します。エメットも当初、周囲からこのマスタービルダーだと思われていますが、実際には違いました。当然エメットのことを救世主だと思っていた周囲はそんなエメットに対して失望し、エメット自身もまたマニュアル通りにしか行動出来ない自分の不甲斐無さに落ち込みます。
しかし、レゴワールド滅亡の危機を前にしてエメットは言うのです....
 
確かに、ボクは皆のようなマスタービルダーじゃないし、マニュアル通りにしか行動出来ない。でも、皆をまとめることは出来るよ、いつも仕事でやってることだから。皆は個性的なマスタービルダーだけど、それ故に個性がぶつかって皆で協力するのは苦手でしょ?。ボクならそれをまとめることが出来ると思う。そして、皆がそれぞれの力を合わせれば、きっと世界を救えるよ!
 
昨今我が国・日本では、「個性を大事に!」という風潮が強いですよね。
確かに個性はとても大事ですが、その一方で協調性ということが、とても軽んじられているような気がします。個性強調と公共の場でのモラル低下とは、何かしらの因果関係があるのではないでしょうか?。
【皆で力をあわせて、何かを成し遂げることの大切さ】
....そんな当たり前の価値観を改めて教えてくれるエメットの姿は、本当に感動的でした。
特別な力を持った人たちだけで、この世界を救ったり変えたり出来る訳ではありません。
少数の特別な人たち+エメットに代表されるような大多数の“フツーの人たち”が、力をあわせることで世界を変えることが出来るのです。そんなメッセージが強く心に響きました。
そしてクライマックス、そんなフツーのエメットが皆を救うために自己犠牲という形で、真の意味での救世主(ヒーロー)となります。これには、自然と涙せずにはいられませんでした。
自らの命を投げ出して皆を救ったエメット。
果たして、彼はその後どうなってしまうのでしょうか?。
それは皆さんご自身の目で是非確かめて下さい。
 
      ♪すべてが、サイコー!な映画
      RIMG2153.JPG
 
レゴブロックによる壮大な映像美と、フツーの存在である主人公が真の意味でのヒーローとなる感動作『レゴ・ムービー』は、絶賛公開中です。皆さんも是非劇場で鑑賞して下さい。
合い言葉は....♪すべてはサイコーッ!!(^皿^)/
 
レゴ ムービー おしおき部屋 70801

レゴ ムービー おしおき部屋 70801

  • 出版社/メーカー: レゴ
  • メディア: おもちゃ&ホビー
手軽にエメットとワイルドガールをゲット出来るセット
でも、ワイルドガールはフードを被ったバージョンなので、他のも欲しくなっちゃうぜ♪

 
【おまけコラム〜その1】
余談ですが、レゴ・ムービーの予告編がネットを中心にかなり不評だったようです。
その理由は、本編とは直接関係のない芸能人のギャグや、流行語が満載だったからです。
ざっと挙げると....
 ・「いつやるか?、今でしょ!」 (林修先生)
 ・「ワイルドだろぉ〜?」    (杉ちゃん)
 ・「君、可愛うぃねぇ〜」  (オリラジ藤森)
 ・「姉さんのためなら」  (サザエさんネタ)
 ・「フライングゲット!」  (キンタロー。)
 ・「お・も・て・な・し♪」(滝川クリステル)
 ・「じぇじぇ!」       (あまちゃん)
 ・「ゲキ怒ぷんぷん丸」   (ギャル語!?)
 
レゴとは直接関係のない日本の流行語を多用したことに不快感を示す方が多かったようですが、実はオイラ、この予告編が大好きです!(^皿^)。
確かに、コレを「寒い」「スベってる」というひと言で片付けるのは簡単なことです。
しかし、言葉というものは生き物であり、その時代その時代を彩る言葉というのが存在するのもまた事実です。昔の洋画テレビ吹き替えを見ると、その当時に流行った言葉やフレーズが台詞に出て来たりすることも決して珍しくありませんでした。
要は、本編の面白さを損なっていなければ良いのです。
では、今回の「レゴ・ムービー」に於ける流行語満載の予告編は、
実際にそんなにヒドイものだったと言えるでしょうか?。
 
例えば、キンタロー。さんのギャグでお馴染みとなった「フライングゲット!」の場面ですが、別に本編の映像を損なうほどのものとは感じませんでした。むしろ「フライングし(空中を舞い)ながら(髪を)ゲットする」という場面にピッタリの台詞だったような気がします。あの台詞に違和感を感じる人は「フライングゲット」という言葉=キンタロー。さんという固定観念に縛られすぎです。逆にそういう人たちこそが、流行語に振り回されすぎだと言えないでしょうか?。因みに、本編ではエメットの声を担当する森川智之さんが「ハメまーす♪」とお茶目な台詞をアテていました(^皿^)。
また、こちらもオリラジ藤森さんでお馴染みとなった「君、可愛うぃねぇ〜♪」という台詞も、エメットの美女に弱いというキャラクターを表現するという意味では、違和感どころかピッタリだと感じました。
確かに、ギャグや流行語はある特定の人たちを連想させますが、それは最初のうちだけです。流行れば流行るほど、言葉というものは自然と一人歩きしていくものです。「お・も・て・な・し♪」や「じぇじぇ!」といった流行語も、元々存在していた言葉がたまたま流行語になっただけで、全ての人があの言葉から特定の人物やドラマを想像する訳じゃありません。
 
確かに国内向けの予告編を制作したスタッフ側には、流行語を使用することである種の注目度を上げたいという思いが強かったのかもしれません。皮肉なことに、この予告編に不平や不満を募らせた方は、結果的にそれに貢献したことになりますね。個人的な感想ですが、オイラはあの予告編を見て作品の面白さを感じましたし、映画を鑑賞しようという気持ちにさせられました。もしソフト化された暁には、是非映像特典としてこの予告編を収録して欲しいと強く思っているくらいです。
 
映画「レゴ・ムービー」の中では、レゴの遊び方についてのメッセージが込められています。マニュアルに従いモデルを組み立てる遊び方も魅力のひとつだけど、その一方で形式に縛られない自由な発想で好きなように組み立てて遊ぶ方法もまた、レゴブッロクという玩具の魅力のひとつだと。そういった意味では、今回の予告編は自由な発想で制作された映像だと、個人的には強く感じました。冨永みーなさんにカツオネタをやらせる「姉さんのためなら」とか、亡き永井一郎さんに「ゲキ怒ぷんぷん丸」なんて台詞を言わせるなんて、ある意味貴重な映像じゃありませんか!(^皿^)/
 
更に深読みするならば、このエメットの物語を想像してたのは、“誰なのか?”って事です。
物語のネタばれになるので敢えて詳細は明かせませんが、それを考えたらエメットの声が“カツオの声”でも決して間違いではないですし、流行語ネタ満載の台詞もあながち間違いとは言えないと思います。子どもっていうのは、タレントのギャグとか好きなものなんです。
そもそも、この予告編にクレームをつけている人で、オリジナル音声のことを100%理解している方がどれくらいいらっしゃるのでしょうか?。案外オリジナル音声にもアメリカ文化圏の流行り言葉が満載なのかもしれませんよ?(^皿^)。
 
 
【おまけコラム〜その2】
本編に登場するご存知バットマン。その他にもスーパーマンやワンダーウーマン、フラッシュやグリーンランタンなど、「レゴ・ムービー」にはDCコミックでお馴染みのヒーローたちがたくさんカメオ出演しています。(実写ではなかなか実現しないバットマンとスーパーマンが共演するという嬉しい驚き!)。
ところが、その一方でマーヴェルコミックのヒーローたちはひとりも出てきません。
どうやらスタジオ側からキャラクターの使用OKが出なかったようなのです。
ご存知のようにマーヴェルコミックを先頃買収したのが、ディズニースタジオ。
つまり、ディズニー側がキャラクターの使用に難色を示したってことですね。
ディズニーと言えば、口を開けば“夢”とか“魔法”を言葉にしますが、その一方でものすごくビジネスライクな態度をとるんですよね。世界最大大手のスタジオなんだから、レゴ世界に於けるキャラの使用くらい許可する度量の大きさを見せて欲しかったもんであります。
ただ、マーヴェルのキャラが出なかったことで、結果的にバットマンが主要キャラになったとも言えますし、これはこれで結果オーライだったかな?とも思います。
本編で流れるバットマンの歌は、爆笑です!(^皿^)/
  

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。