雷兄弟は、永遠に不滅です!〜「テッド」を鑑賞する [映画鑑賞]
『テッド』( 原題:Ted )
2012年 アメリカ映画 カラー作品 1時間46分
字幕・吹き替え版監修:町山智浩
監督:セス・マクファーレン
音楽:ウォルター・マーフィー
出演:マーク・ウォールバーグ ....ジョン・ベネット
ミラ・クニス ....ロリー・コリンズ/ジョンの恋人
セス・マクファーレン ....テッド/魂の宿ったぬいぐるみ
ジョエル・マクヘイル ....レックス/ロリーの上司
ジョヴァンニ・リビシ ....ドニー/テッドをつけ狙う謎の男
ジェシカ・バース ....タミ・リン/テッドの同僚
andノラ・ジョーンズ、サム・ジョーンズ、トム・スケリット、ライアン・レイノルズ
【あらすじ】
孤独な少年ジョンは、クリスマスに両親からクマのぬいぐるみをプレゼントされた。ジョンはそのぬいぐるみをテッドと名付け可愛がる。そして「君と本当にお喋りが出来たらいいのに」と願うのだった。やがて奇跡は起こる。ジョンの願いが通じ、ぬいぐるみのテッドに魂が宿ったのだ。こうして、ジョンとテッドは唯一無二の友達となった....。
あれから27年....35歳になったジョン(マーク・ウォールバーグ)はレンタルカー会社で働きながら気ままな生活。一方、テッドは“言葉を喋るぬいぐるみ”として一世を風靡したものの、やがてそのブームも去り、今ではアルコール漬けの不良中年と化していた。だが、大人になった二人の友情は今でも変わることがなかった。
数年前、恋人ロリー(ミラ・クニス)と運命的な出会いを果たしたジョンは幸せな日々を送っている。しかし、ことあるごとに二人の間に割って入ってくるテッドのことが、ロリーは気に入らない。ロリーに「テッドと別れて暮らして!」と迫られたジョンは、テッドとの共同生活を解消することを決意する。
こうしてジョンとテッドはそれぞれ別々に暮らすことになるのだが....。
ぬいぐるみやおもちゃに魂が宿る、とここまではよくある設定だけど、それがやがて年をとりアル中のスケベな不良中年と化しているという設定が実にユニークな物語の「テッド」。だけど、その奇抜な設定とは裏腹に、作品としては、しごくまっとうなコメディ作品として作られていたことに正直驚いた。確かに直接的な下ネタや、きわどいブラックジョーク、くだらないギャグなどが満載だけれど、全体的にはコメディ映画の王道をいく正当派。笑って笑って最後に泣かすというセオリーをきちんと踏襲しつつ、そこにサスペンス風味をちょっと盛り込んだ展開も面白い。結末は驚くほど何のヒネリもない普通のハッピーエンドで幕を閉じるものの、それがなぜだかちっとも嫌みじゃない。それは、監督のセス・マクファーレンの、コメディに対する誠実さが垣間見れたからに他ならない。
そのセス・マクファーレン監督のコメディ作品に対する誠実な姿勢を如実に現しているのが、劇中で音楽を担当しているウォルター・マーフィーの奏でる音楽だろう。これが実に品があり素晴らしい音楽なのだ。また挿入歌であるノラ・ジョーンズの歌う♪Everybody Needs A Best Friendは、友達ソングとして「トイ・ストーリー」の♪君はともだち、に続く名曲だと断言したい。小ネタとして使われる「スター・ウォーズ」の♪帝国のマーチや「ナイトライダー」のテーマ曲など、そのセンスにも思わず笑ってしまった。もちろん、劇中内に於ける重要な映画「フラッシュ・ゴードン」のテーマ曲も最高だった(クイーン万歳!)。
ぬいぐるみが喋るというファンタジー要素で溢れたコメディ作品「テッド」。
でも、この作品で一番ファンタジーなのは、決してテッドなどではない。
一番ファンタジー色が強いのは、誰あろうジョンの恋人ロリーなのである。
ミラ・クニス演じるロリーは、世のボンクラ男子にとって正に“天使”のような存在だ。
美しさと可愛さを兼ね備えたその容姿。甘えさえたい幼さと甘えたくなる母性の両方を併せ持つその人柄。優しく知的で、ユーモアのセンスがあり、下ネタを受ける度量もあれば、自ら下ネタをふりまくこともいとわない大人の女性。確固とした意志の持ち主であり、自身は一流企業で働きながら、恋人の職業にはこだわらないという太っ腹。
....こんな素晴らしい女性が世の中にいるだろうか?(苦笑)。
そう、ロリーは正に世の(ボンクラ)男性が理想とする女性像そのものなのだ。
ミラ・クニスが「出勤時間までまだあと20分もあるわ♡」と甘えながらソファで足をからませてくるシチュエーションを見て、「あー、羨ましいッ!」と思った男性諸氏は、決してオイラだけではないと思う。出勤前のセッ◯ス....正に男のロマンである!(....って、そうなの?)。
劇中内でとても破天荒なキャラクターとして描かれるテッド。
だけど、そんな彼が仲違いをしてしまったジョンとロリーのために奔走する姿は、ちょっと感動的だ。親友であるが故に、ケンカの時はボコボコに殴り合うジョンとテッド。人間とぬいぐるみが本気で殴り合うという映像はとてもシュールで爆笑ものだったけど、ケンカのあとで仲直りというベタな展開は、やっぱり感動的なのであった。伊丹十三監督の「タンポポ」で山崎努と安岡力也が殴り合いの末、友情を育む場面をちょっと思い出して泣けた。
“羊の皮を被った狼”という言葉がある。
映画「テッド」は、“狼の皮を被った羊”的コメディだ。
テッドの奇抜なキャラクターとは裏腹に、正当派コメディとしてさわやかな感動を味わえることに、驚きを感じることだろう。久しぶりに良質のコメディ作品に出会えた嬉しさを感じられた。
お薦めの作品です!(^皿^)/。
「親友(オレ)と恋人、どっちを選ぶんだよ!?」

あー、オイラもミラ・クニスとイチャイチャしたい♪(^皿^)
ウォルター・マーフィーの音楽が実に素晴らしいサントラ。
これで♪ナイトライダーのテーマ曲が収録されていたら完璧な1枚だったのに....残念ッ!
それにしても、ノラ・ジョーンズは実に太っ腹だ。
本人役で出演しつつ、その中で彼女はテッドのセックスフレンドだったという設定。
「あなたとのセックス、最高だったわ♪、ペニスはなかったけどね」
なんて台詞を言わせるセス・マクファーレン監督も凄いけど、それを言っちゃうノラ・ジョーンズもまた凄い。ノラ・ジョーンズの懐の深さに、ますます彼女のことが好きになりました♪(^皿^)。
コメント 0