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愛の力で空を飛ぶ!〜「ブルー 初めての空へ」を鑑賞する [映画鑑賞]

日本公開が決定していながら、公開直前にそれが急遽中止となってしまった不遇のCGアニメーション「ブルー 初めての空へ」を鑑賞しました。主人公は飛べないインコのブルー。生まれ故郷である南米ブラジルはリオの街で繰り広げられる珍道中を描いた物語。
鳥好きのオイラが、楽しみにしていた作品です♪(^皿^)。
 
  『ブルー 初めての空へ』(原題:Rio )
    20世紀FOXアニメーション作品 カラー 96min
    監督:カルロス・サルダーニャ
 制作総指揮:クリス・ウェッジ
    音楽:ジョン・パウエル セルジオ・メンデス
    
  声の出演:ジェシー・アイゼンバーグ (ブルー アメリカ育ちの青コンゴウインコ)
       アン・ハサウェイ      (ジュエル 貴重な青コンゴウインコの雌)
       ジェイマン・クレメント (ナイジェル マルセルに仕える凶悪なオウム)
       ジェイミー・フォックス      (ニコ 黄色い小鳥でペドロの相棒)
       ウィル・アイ・アム      (ペドロ ニコの相棒のコウカンチョウ)
       ジョージ・ロペス        (ラファエル 子だくさんのオオハシ)
       レスリー・マン              (リンダ ブルーの飼い主)
       ロドリコ・サントロ         (チュリオ ブラジルの鳥類学者)
       トレーシー・モーガン    (ブルドッグのルイズ ラファエルの友人)
       カルロス・ポンス      (マルセル 鳥の密売業者でブルーを盗む)
       他
       
【あらすじ】
青コンゴウインコのブルー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、幼い頃南米で密猟されアメリカに連れてこられた鳥。幸運にも優しい飼い主リンダ(レスリー・マン)と出会ったブルーは、彼女のもとですくすくと育ったが、密猟された時のトラウマで空は飛べずにいた。
そんなある日のこと、二人のもとへチュリオ(ロドリコ・サントロ)という男性が、はるばるブラジルから訪ねてくる。鳥類学者である彼は、絶滅危惧種である青コンゴウインコを繁殖させる手伝いをしてほしいとリンダに依頼する。最初は気乗りのしなかったリンダだったが、ブルーのことを考え協力することにする。こうしてブルーは、リンダとともに生まれ故郷であるリオ・デ・ジャネイロを再び訪れることになった。チュリオの研究所にはブルーと同じ青コンゴウインコの雌ジュエル(アン・ハサウェイ)がいたが、インドア生活の長かったブルーは、野生のジュエルと性格がまったく噛みあわない。
その夜、ブルーとジュエルは何者かによって、研究所内から盗み出されてしまった。
鎖につながれたブルーとジュエルの、脱走劇が始まった....!
 
 
いやー、面白かった!(^皿^)/
こんなに面白い作品が劇場未公開だったなんて、返す返すも本当に残念です。
噂では東日本大震災の影響を考えた20世紀FOXの経営判断により、劇場での公開中止が決定したとのことですが、そういうときだからこそ、こうした良質の作品を劇場で公開して欲しかったと強く感じました。それこそが、エンターティメントの役割だと思うんだけど。
 
まず、なにより鳥のアニメーションが素晴らしい!。
リアルな鳥のモーションと、アニメならではの楽しい動きとの、絶妙なバランス感覚が心地いい。鳥のアニメと言えば、その羽先が手になったりするのはお約束だけど、この作品ではその足も手のかわりをしていて、それが面白かった。ブルーがジュエルと初めて出会った時、握手しようと足を差し出したり、考え事をする際、足をアゴのところに持ってくる仕草とか、足を手の代わりに使うマンガ的表現がすごく楽しい映像になっていました。またそのビジュアルもブルーやジュエルのようにリアルなタイプ鳥から、ニコやペドロのようなディフォルメした鳥まで、リアルとマンガ的ビジュアルとが見事に融合していて、それもまた見ていてとても楽しい作品でした。
 
南米が舞台ということもあって、作品を盛り上げるラテン音楽もすごくノリノリ♪。
オープニング、色鮮やかな鳥たちが歌い踊る♪REAL IN RIOはとても華やか。エンディングでも流れるこの曲でほんの少しだけど、アン・ハサウェイが見事な歌声を披露しています。新作「レ・ミゼラブル」も楽しみになりました。ブルーとジュエルがハンググライダーに乗ってリオの街の上空を滑空する際に流れる有名ソング♪MAS QUE NADAは、本当に気持ちがいい。悪役ナイジェルが自身のことを高らかに歌いあげる♪PRETTY BIRDは、作中一番ミュージカルっぽい場面。「俺は悪だぜ」と歌うナイジェルとコーラス隊の鳥たちとのかけあいが面白い。この歌、英語歌詞はかなり韻を踏んでいて、聴いていてもとても楽しい曲です。悪鳥ナイジェルに仕えるチンピラ猿軍団が登場する場面に流れる♪FUNKY MONKEYは、縦ノリしたくなるアップテンポの歌。この曲にノッてダンスするモンキーたちがとっても可愛い。しかし、何と言ってもこの作品最大の注目は、ニコ役のジェイミー・フォックスが歌う場面。鳥たちが集うクラブ風会場で彼が相棒のペドロと歌う♪HOT WING(I WANNA PARTY)は、ブルーじゃなくても思わず身体が動き出したくなるノリノリの曲。そして、秀逸なのがブルーとジュエルのデート場面を盛り上げるためにニコが歌うボサノバ♪FLY LOVE。口笛のイントロで始まるこの曲は、本当にロマンチックでうっとりすること間違いなし!。この曲だけでも是非YOU TUBE等で聴いてみて欲しいッ!。
 
 
ビジュアルや音楽はとても素晴らしい「ブルー 初めての空へ」でしたが、
ストーリーに関してはあと一歩!の印象を受けました。もちろんそれなりに楽しい作品ではありましたが、脚本をあと一歩工夫する事で更に面白くなったのに!と強く感じた部分がいくつかありました。
その点をちょっと列挙してみたいと思います。
 
【ブルーとジュエルのロマンスについて】
この作品はブルーとジュエル2羽のロードムービーでもあります。性格のまったく違う二人が、旅や冒険を通して絆や親交を深めあう、映画としては定番の物語です。男性や女性同士ならそこに友情が芽生えるし、異性同士なら、そこに愛が芽生えます。古くは「スターウォーズ」のハン・ソロとレイア姫がそうだったし、近作「プリンス・オブ・ペルシャ」のダスタン王子とタミーナ王女がそうでした。この設定はロマンスがとても盛り上がる定番中の定番なのです。
しかしながらこの作品ではブルーとジュエルが互いに引かれあう決定的な場面が描かれていません。そのあたりは割りとざっくりしていて、そこがとても残念な部分でした。
恋愛感情が芽生えるためには、二つの要素を盛り込まなければなりません。
  
  ・1、相手の意外な一面を垣間見て、思わずドキッとする
  ・2、お互いの共通項を見いだして、共感を覚える
 
インドア生活の長かったブルーと、野生育ちのジュエル。今風に言えば、草食系なブルーと肉食系のジュエル。そうしたキャラの対比描写は一応あって見ていて楽しい(ブルーが夜のジャングルを怖がって脅えたり、歩くのが得意のブルーがジュエルに駆けっこを教えたりする)のですが、例えば相手の意外な一面を見てドキッとするような、内面に触れる場面がなかったのが残念でした。せっかく鎖に繋がれた状態でジャングルをさまよう場面があるんだから、そういうのをストーリーに盛り込んで欲しかった。共通項に関しては、ブルーもジュエルも密猟者によって家族から引き離されたという経験があるので、そのあたりを語り合う場面なんかを描いて欲しかった。人間に不信を抱いているジュエルに対して、人間の素晴らしさを説くブルーの姿なんかも描いて欲しかったですね。
 
【鳥たちの世界&人間たちの世界】
ブルーたちの冒険と並行して描かれるのが、リンダたち人間の物語。
一番気になったのがその描写です。ブルーたち鳥の世界と同じように人間サイドでも変なギャグやオーバーアクトの、いわゆるお笑い場面が随所にちりばめられていたのですが、そのことにやや疑問を覚えました。
例えば、鳥類研究所の警備員。強面の男ですが、ラジカセからサンバが流れてくると身体がムズムズと動きだし、派手な衣装に着替えてで踊りだすというギャグ場面があります。サンバが如何に人々を熱狂させるものなのか?を表現していて、思わず笑ってしまう場面ですが、後に出てくるブルドッグのルイズが同じようなギャグを披露します。でも、すでに警備員の件があるので、ルイズの場面では特に笑えません。ルイズのことを考えれば、警備員の場面はむしろカットすべきで、こうした特に必要のないギャグシーンを無理矢理詰め込んだ感がいくつかの場面で見られました。
例えば、鳥類学者のチュリオ。登場時から非常にオーバーアクトで、鳥の物真似をしたりするのですが、その姿が鳥類学者というより、ちょっとエキセントリックで滑稽なキャラクターになっていました。序盤のブルーとリンダをブラジルへ連れていくきっかけとなる重要な場面でもあり、ここは変なギャグを挿入するより、チュリオが如何に自然や鳥のことを愛しているのか?という描写に力を注ぐべきだと感じました。パレードに潜入する時も意味なく鳥の物真似をするチュリオは、やはりちょっとどこか変なキャラクターになってしまっており、そのことがとても残念に思えました。
アニメなので楽しい動きやキャラクターである事は結構なのですが、この作品の主人公はあくまでもブルーたち鳥です。人間側を普通に描くことで、ブルーたち鳥の世界とのメリハリがついて、ブルーをはじめとする動物たちがより活き活きとしたものになったのではないでしょうか?。別にリンダとチュリオのロマンスは必要なかったし、むしろその時間を割いて上記に挙げたようなブルーとジュエルのロマンスを丹念に描いて欲しかったです。
※ただ、ライオネル・リッチーの音楽ネタには笑わせて頂きました♪(^皿^)。
 
それとリンダ、チュリオ、フェルナンドの関係性でちょっと気になった点。
ストリート・チルドレンのフェルナンドはお金欲しさにブルーの誘拐に加担してしまうのですが、もともとは心優しい少年なので、そのことを反省し、リンダにブルーの居所を教えようとします。するとチュリオが「初めて会ったばかりで信用出来ない」とフェルナンドを突き放そうとします。でも、これってチュリオよりもリンダの役割だと感じました。基本的には心が優しいリンダですが、アメリカ人である彼女が見た目のみすぼらしい異国のストリート・チルドレンに偏見を持っていたとしても仕方のないことですし、流れとしては自然です。例えば、チュリオがフェルナンドに対して「君は鳥の事が好きなんだね?。鳥好きの人間に悪いヤツはいない。リンダ、僕はこの少年を信じるよ」と、逆にリンダを諭すような姿を描いた方が、チュリオという人間がより魅力的になったのでは?と感じました。
 
 
【総括】 
ストーリー的にはあと一歩!の感はありましたが、総じて大いに楽しめた「ブルー 初めての空へ」。作品を見終わって強く感じたのは、「コレってディズニーが作るべき作品じゃないの?」ということでした。魅力的なキャラクター、素晴らしい音楽、そして冒険とロマンス(愛のKissで魔法が解けるなんて王道すぎる!)など、皮肉にも今作品はディズニーらしさで満ち溢れた作品となっています。エンターティメントの中にさりげなく描かれる環境保護問題やブラジルの貧富の差などの社会問題。楽しいだけじゃなく、色々考えさせられる良質なアニメーション作品です。
クリスマスに是非ご家族や友人、恋人同士で是非ご覧になられることを強くお薦めします!。この作品でハッピーな気分を味わって下さい!(^皿^)/。
 

     「ボクだって飛べるはずッ!」
     ブルー.jpg 
ブルーと飼い主のリンダが挨拶をする場面(ブルーの足とリンダがコブシをコンとぶつける)が、仲睦まじくてとっても好きです♪ 
 
ブルー 初めての空へ [DVD]

ブルー 初めての空へ [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD
アマゾンのレビューでも、高評価♪(^皿^)

Rio: Music From the Motion Picture

Rio: Music From the Motion Picture

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Interscope Records
  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: CD
劇中歌を集めたオリジナル・サウンドトラック盤
とにかくジェイミー・フォックスの歌が絶品!

Rio

Rio

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Varese Sarabande
  • 発売日: 2011/04/19
  • メディア: CD
こちらはスコア盤サウンドトラック
「シュレック」「ヒックとドラゴン」「ハッピー・フィート」、そして今作と、
近年ジョン・パウエル師匠の仕事はますます冴え渡るばかりッ!。
オイラのジョン・パウエルコレクションも増える一方です♪(^皿^)
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