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本当に恐いのは、怪物と人間のどっち?〜「モンスター・ホテル」を鑑賞する [映画鑑賞]

吸血鬼ドラキュラや人造人間フランケンシュタイン、狼男、ミイラ男など、往年のホラー映画キャラクターをはじめ、古今東西様々なモンスター(怪物)たちが大挙して登場するアニメ「モンスター・ホテル」。「モンスター!」と聞いてはじっとしていられないほど怪物大好物のオイラ、早速鑑賞してきました♪(^皿^)。
ぶっちゃけ「メリダ〜」よりもずっと楽しみにしていた作品です!(結局メリダは未見)。
 
 『モンスター・ホテル』( 原題:Hotel Transylvania )
    2012年 アメリカ映画 カラー 1時間32分
 
 監督:ゲンディ・タルタコフスキー
 脚本:ピーター・ベイナム、ロバート・スミゲル
 出演:アダム・サンドラー  ....ドラキュラ/ホテル・トランシルヴァニアの総支配人
    セレーナ・ゴメス   ....メイヴィス/ドラキュラの愛娘、118歳の誕生日が目前
    アンディ・サムバーグ ....ジョナサン/世界中を旅するバックパッカーの青年
    ケヴィン・ジェームス ....フランケンシュタインのフランク/ドラキュラの親友
    スティーヴ・ブシェミ ....狼男のウェイン/子だくさん
    シーロー・グリーン  ....ミイラ男のマレー/陽気な性格
    デヴィッド・スペード ....透明人間のグリフィン/実は赤毛&巻き毛
    他
 
【あらすじ】
人里離れた森の奥深く、モンスターたちにとっての楽園「ホテル・トランシルヴァニア」は今年も盛況だ。そこは人間たちからの迫害を逃れた異形の者たちが、しばしの憩いを求めてやってくる安息の地。総支配人であるドラキュラ(アダム・サンドラー)は、今日もホテルへとやってくるお客様を歓迎しつつ、翌日に控えた愛娘メイヴィス(セレーナ・ゴメス)の118歳の誕生日パーティーの準備に余念がない。だが、思春期を迎えたメイヴィスは、そんな過保護な父親に内心うんざりしているのだった。
そんな時「ホテル・トランシルヴァニア」に招かれざる客がやってくる。偶然このホテルを見つけ、ふらりと立ち寄ったのが、世界中を旅するバックパッカーの青年ジョナサン(アンディ・サムバーグ)だった。過去一度たりとも人間の侵入を許したことがない、安心・安全が売りのホテルにとって、これは一大事!。焦ったドラキュラはなんとかしてジョナサンを追い払おうとするのだが、運悪く愛娘メイヴィスとジョナサンが出会ってしまう。そして二人は互いに“ビビン”とくるものを感じてしまうのだった。
ドラキュラはメイヴィスとジョナサンを引き離そうと悪戦苦闘することになるが....

 
 
なぜ、こんなにも楽しいのだろう!(^皿^)♪。
「モンスター・ホテル」を鑑賞している間、この感覚にずっと包まれていました。
無論オイラの大好きなモンスターたちが大挙して登場(ホントにたくさん!)していたことで見た目に楽しい作品ではありましたが、それとは別のもっと本質的な楽しさがこの作品にはたくさん詰まっていました。
それはいったい何だったのか?....
ズバリ、それは“動き”でした。
キャラクター(絵)が動くという、アニメーションにとってはごく当たり前である楽しさを、この作品では思う存分味わうことが出来ました。昔「トムとジェリー」や「バックス・バニー」といったいわゆるドタバタアニメがありましたが、そのテの作品を見ながら感じていた同じわくわく感を、今作を見ながらずっと感じていました。こんな感覚に陥るのは、本当に久しぶりです。
例えば主人公のドラキュラ。普段はマントを翻しピンと背筋を伸ばした紳士的な立ち振る舞いでいかにもホテル総支配人といったふるまいを見せながら、感情的になると一転、牙をむき出し爪を立て猫背になり、これぞ吸血鬼!といったスタイルに早変わり。足を動かさずスムーズに移動したかと思えば、大股でドカドカと歩いたり。指先で物に触れず操ったり、コウモリに変化したり。総支配人として働く時の仕事の顔と、娘と接する時の親の顔とのギャップがこれまた可笑しい。そんな文字通りアニメ的な動作が緩急をつけながら描写され、それがとても魅力的だったのです。
ゲンディ・タルタコフスキー監督は今作が長編作品デビューとのことですが、過去の仕事を見ると「パワーパフガールズ」や「デクスターラボ」などカートゥーン・ネットワークの2D作品で腕をふるってきた人。なるほど!それで合点がいきました。「モンスター・ホテル」のキャラクターたちは、その姿こそ今流行りのデジタルCGですが、動きそのものは昔ながらのカートゥーン・アニメーションそのものだったのです。思えば昨今のCGアニメは絵ばかりが綺麗になる一方で、モーションに関してはどれも似たり寄ったりの印象が強かったように思います。そこに登場した「モンスター・ホテル」は、アニメーション本来の楽しさに満ちあふれた作品となっていました。
 
娘のことが可愛くて子離れが出来ない(したくない)父親ドラキュラと、未知の世界への憧れを抱く思春期の娘。このあたりの描写は怪物の姿を借りながら、人間の親子間で見られる普遍的な姿を描写しています。また子だくさんの狼男が子供たちのおかげで寝不足気味になる場面や、恐妻家であるフランケンの姿には、共感を覚える人もきっと多いことでしょう。人間から恐れられる存在であるモンスターたちが、実は人間たちを恐れているという設定も面白いし、逆に人間であるジョナサンがドラキュラをはじめとする怪物たちと接していくうちに、自分が抱いていたモンスターたちに対する偏見に気付くという見せ方もうまい。ドラキュラとジョナサンは考え方も価値観もまったく違うため最初は衝突ばかりしているのですが、やがてお互いの素敵な部分を見つけそれを認めあい和解するくだりなどは、オーソドックスではありましたがなかなか感動的でした。
 
アニメーションとして楽しいドタバタ劇や笑えるギャグを盛り込みつつ、ドラマとして見せるところはきっちり見せる、コメディ作品としてのセオリーをちゃんと踏襲している点も見逃せません。主人公のドラキュラがなぜこれほどまでに人間を忌み嫌い恐れるのか?、その理由をジョナサンに切々と話す場面は涙なしでは見られませんでした。
(これが切なくも、とっても美しい場面となっています!)
そして、クライマックスはお約束の大活劇へと突入。派手なカーチェイスあり、そして人間たちとの意外な交流を経て、ついに娘のために命がけの行動をとるドラキュラ。その姿は実に感動的でした。怪物であれ人間であれ、愛する我が子のためならば親はいつだって命を捨てられるのです!。でもそんな感動的な場面にすらギャグをさりげなく盛り込むサービス精神がたまりません(ヴァンパイア作品として人気の「トワイライト」がギャグとしてとりあげられていますが、それは見てのお楽しみ!)。
 
 
「モンスター・ホテル」は、思春期を迎えた娘とのコミュニケーションに悪戦苦闘する父親の姿、自分の知らない世界へと憧れる思春期の少女の葛藤、それまでの価値観が変わる青年の成長と、様々なドラマをギャグやアクションの中にうまく盛り込みつつ、アニメならではの楽しみをこれでもか!と見せつける良質のアニメーション映画です。ディズニーやピクサー、ドリームワークスのアニメ作品とはひと味違うこの作品を、是非多くの方に見て頂きたいと切に思います。オイラはこの週末土曜日にシネコンで2D版を鑑賞してきましたが、観客のあまりの少なさにちょっとビックリ!してしまいました。こんな良作を劇場で見ないなんて、ホントもったいないですよ!。今月はハロウィーンですし、雰囲気を盛り上げるためにも、是非皆さんに鑑賞して頂きたい作品です。
アニメ&怪物好きのオイラが自信を持ってお薦めする「モンスター・ホテル」、是非劇場でご覧下さいッ!(^皿^)/。
 
 
   「ようこそ、ホテル・トランシルヴァニアへ!」 
   ドラキュラ.jpg
   「劇場にて、お待ちしております♪」
  

エンドロールが始まると、登場キャラクターたちが昔ながらの2Dアニメで登場します。
こちらも見ていて楽しいのですが、実はその後が必見!
通常こうした海外アニメ作品では制作の過程でいわゆるコンセプトアート(作品の世界観を描いたもの。例えばドラキュラの城はどういったものなのか?を複数のアーティストが描いて、そうした作品の中から実際に劇中に登場するものを決定していく)というものが描かれるのですが、その素晴らしいアートワークがエンドロールの背景として使用されています。普通こうした画はDVDの特典やアートブックなどでしか目にすることが出来ません。エンドロールとはいえ、こうした画を本編で見られるのはすごく希です。いわゆる背景がメインなのですが、とにかく素晴らしい絵の数々でため息が出るような美しさ。本編のドタバタとは裏腹に、まるで美術館巡りをしているような、そんな感覚に陥ること必至です。
こちらも是非劇場で体験して頂きたいです!。

The Art and Making of Hotel Transylvania

The Art and Making of Hotel Transylvania

  • 作者: Tracey Miller-Zarneke
  • 出版社/メーカー: Titan Books
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: ハードカバー

もちろん、コレは購入決定!(^皿^)/
....現時点ではサントラ未発売のようだけど、もったいないなあ...
  
今作は日本語吹き替え版のみの上映となっており、残念ながら劇場で英語オリジナル版を楽しむことが出来ませんが、そのぶん吹き替え版は非常に楽しい出来となっています。日本語吹き替え版のレビューは、ソフトが発売された時、改めてとりあげたいと思います。
とにかく山寺宏一さんのお芝居が絶品!(今作ではなんとラップを披露!)。ジョナサンを演じたオリエンタルラジオの藤森慎吾さん(イメージぴったり!)が意外な好演を見せ、川島海荷さん(かわいい!)のメイヴィスもすごく愛らしかったです♪。
  


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まみりん

こんばんは。
ブシェミにシーロー・グリーンって、すごい魅力的なキャストで♪
…って思ったら、やっぱり吹き替えのみなんですねぇ。
残念です。
が、吹き替えでも楽しそうですねぇ。
終わる前に観なきゃっ!!
by まみりん (2012-10-09 22:42) 

堀越ヨッシー

まみりんさん、こんにちは。
今作はとにかくキャラが動きまくるので、字幕スーパー版より吹き替え版の方が、より画面に集中して楽しめると思いますよ♪。英語オリジナル版はソフトが発売された時、改めてチェックしたいと思っています。
本当に面白い作品なので、是非劇場で!(^皿^)/。
by 堀越ヨッシー (2012-10-10 06:58) 

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