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SFスリラー「スプライス」を鑑賞する [映画鑑賞]

2011年最初の映画鑑賞となったのは、SFスリラーの「スプライス」。
「CUBE」のヴィンチェンゾ・ナタリ監督の新作です。
公開中の「キック・アス」と「スプライス」....
直前までどちらを観ようか?散々迷った挙げ句、最終的にコチラを選択。
思えば、昨年一発目の映画は「かいじゅうたちのいるところ」で、おととし一発目は「ヘルボーイ2」でした。オイラの映画初めは、怪物LOVEで始まるのです♪。
 
「スプライス」【原題:SPLICE(結合)】」(加・仏、合作)
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:エイドリアン・ブロディ、サラ・ポーリー、デルフィーヌ・シャネアック、他
【あらすじ】
遺伝子科学者であり、夫婦でもあるクライヴ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)の二人は、複数の動物の遺伝子を結合させる事に成功した。更に研究を押し進めたい二人であったが、二人の雇い主である製薬会社は、様々な観点から二人の研究に反対する。そこでエルザは、会社や同僚たちには秘密で実験を試みることにした。それは、作り上げた生命体と人間の遺伝子とを結合させた、新たな新生物を生みだすことだった。そして実験は見事に成功、新たに造り出した生物を“ドレン”と名付けて育てることにした。やがて、ドレンは急速に成長、その容姿は大人の女性のような姿(デルフィーヌ・シャネアック)へと変貌する....
 
 
所謂「フランケンシュタイン」的物語なのです。
それ故に、物語の展開は大体読める。主役である二人の遺伝子学者は、当然の如く破滅への道を辿ることになる訳ですが、その過程をどうアレンジして見せるのか?というのが見所。そういった意味では、クライヴとエルサ、それに新生物ドレンを加えた三人が、まるで“男女三角関係”のような構図になるのが、興味深かった。
エイドリアン・ブロディは、プレデター相手に狩りをやっているより、「キングコング」の脚本家の時と同じような、こういうひ弱なインテリ役の方が実によく似合う。ヒッピー風にアレンジして着こなす白衣がお洒落であり、また同時にアウトローな科学者だということを見事に表現していた。
一方、エルサを演じたサラ・ポーリーの演技も秀逸。オイラは初めて見る女優さんだったけど、ジュリアン・ムーア風の雰囲気を持つ女優さんで、科学への情熱がだんだんと間違った方向へと進んで行く過程を、狂気じみた演技で好演していて素晴らしかった。特にドレンのしっぽを切断する手術をする際に見せる、イッちゃってる目がすごく怖かった。
物語的にはまずまずだったけど、展開がちょっと地味だったのが残念だったかな。
クライマックスも人気のない森で、少人数だけでのバトルってのが、なんとも盛り上がりに欠ける。「キングコング」と同じとまではいかないにしても、もっと人々がパニックに陥るような展開が見たかった。
 
さてさて、怪物好きとしては、なによりも一番気になっていたのが、ハイブリッド・アニマル“ドレン”の容姿についてである。ドレンについて、まずは簡単な説明を。
この手のお約束通り、まずはブヨブヨした袋状のものから生みだされるドレン。芋虫のようにウネウネ動くその挙動は生理的嫌悪感100%!。その形態は男性器を模したデザインで、これは明らかに確信犯的デザイン。次形態である2足歩行のネズミ(この時、手はまだない)のような姿でもこのデザインは引き継がれ、つるつるになったことで、よりエロチックな姿に(見た目がもう男性器の亀頭そのまんま)。手も無事に生え、幼児のような体型になってからは、その不気味さは更に増す。目が異常に離れた配置、足は鳥のような逆関節、そしてしっぽと、見た目の異様さはこの時が一番。着ている子供服がよりいっそうその不気味さを際立たせている。やがて急速に成長し、上半身だけは大人の女性にも似た姿になって、ようやく外見的奇怪さは若干薄れることになるのだが、それでも足は相変わらず逆関節のままだし、しっぽもそのまま。その後、羽が生えたり、背中からトゲが生えたりと、若干の変身を見せるこのになるのだが、基本的には外見はこれ以降あまり変わらずで、その点だけが個人的にやや不満でした。
 
実はドレン、クライマックスで更なる変身(雌雄が入れ替わる!)を見せることになるのだけれど、そのデザインはあまり代わり映えせず、その点だけがちょっと残念でした。実のところ、最終的にはもっと化け物的な生物になることを個人的のは期待していたのだけれど....。生まれた時からずっとあった額を縦に走る亀裂がそのうちばっくり割れて!....みたいな“物体X”的展開を期待していたのだけれど。様々な動物の遺伝子を持っているんだから、人間よりじゃないもっと奇抜なデザインの怪物が見たかった!。
 
成人(!?)したドレンを、フランス人女優デルフィーヌ・シャネアックが体当たりで演じている(ヌード上等!)訳だけど、彼女の演技力とかはこの際抜きにして、個人的にはドレンを美しく描いた点についてはちょっと否定的な感想を持ちました。幼児期のビジュアルでそのまま大人になった方が、怪物好きとしては良かったのですが....。
ところが、物語的になかなかそうもいかなかったというのが実情のようで。
というのも、ストーリー上クライヴがドレンに誘惑されるシーンがあるため、そうなるとドレンが“美人”である必要があったという訳。ビジュアルが化け物のままだと、いくらエイドリアン・ブロディでも欲情はしなよいよね?....という訳で、結果、髪の毛はないのに、何故か眉毛はあるという無難なスキンヘッド女性的スタイルとなった訳です。この点が唯一オイラが不満に感じた点でした。
 
 
まあ、物語的な穴やオチが読める展開など、欠点はたくさんありますが、SFスリラーという場で、いろんなタブーに挑戦している点については、すごく好感が持てる。きもいドレンのデザインが特に気にならなければ、見て損はない作品だと思います。でも、一番気になったのはドレンの容姿より、異常にでかいエイドリアン・ブロディの鼻(アレがある意味一番“卑猥”だった)だったりしたオイラでありました(^皿^)。
 
 
     これが、我々の目撃したドレンの姿だッ!!
     ドレン.jpg 
     (※水曜スペシャル風でお願いします♪)
 
 
ところで、例によってこの作品もまた映画パンフレットが未製作なのであった。
「マチェーテ」もそうでしたが、マニアックな作品が劇場で観られる事自体は凄く嬉しいことなのだが、やはりパンフ無しってのは、なんとも寂しい気分にさせられるものなのだな.....ウム。
 
  
さて、ここからはちょっと余談。
映画を見ながら感じた、医学と倫理感について語ります。
固い話だし、オイラ的偏見もあるかと思われますので、関心のある方だけお読み下さい。
映画のエルサは科学者として明らかに倫理観を逸脱した行動をとり、結果的に破滅の道を辿ることになるのですが、現実の世界でも医療を優先すべきか?それとも倫理観を優先させるべきか?を問われるようなケースが多々あります。
 
例えば、臓器移植問題。
臓器移植法案が改正され、例え本人の同意が得られなくても親族の同意があれば臓器移植が可能となった訳だけど、この点についてオイラはちと懐疑的な立場です。この改正は明らかに臓器移植をしやすい環境を整えることを大前提に改正されたとしか思えません。もはや自分の臓器は、“自分のもの”ではないということなのでしょうか?。今は目に見えることのない臓器移植だけですが、やがて医療技術が発達して人体移植が可能となった時、果たして人はどういう行動をとるのでしょうか?。それすらもOKとしてしまうのでしょうか?。
 
例えば、不妊治療問題。
つい最近も某女性政治家が体外受精という形で妊娠・出産をしましたが、果たしてその行動は正しかったのでしょうか?。オイラは男性なので、不妊で悩む女性の方々の苦しみを100%理解出来るとは言いませんが、それなりに想像は出来ます。しかし、例え医学的には可能であったとしても、自然界に於いては絶対にあり得ない手段で妊娠・出産する行為が、果たして本当に正しい行動だと言えるのか?オイラには疑問です。まあ、それを言いだすと「じゃあ、普通の外科手術はどうなるんだ?」とか話が飛躍しがちですが、いずれにしても医療行為をどこまで行うのか?については、どこかに線引きする必要があると思うのです。
 
臓器移植問題にしろ、不妊治療問題にしろ、どの問題にしてもちゃんと話し合うこともなく、ただ可能だからという理由で医療だけが先行しているような印象を受けます。
臓器移植問題にしても、不妊治療問題にしても、何が誤りで何が正しいのかなんてオイラにはわかりかねますが、少なくとももっともっと議論を重ねる必要があることだけは確かだと、そう強く思わずにはいられません。
  
 
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