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オイラはナヴィより断然エビが好きッ!〜「第9地区」を観る [映画鑑賞]

新年早々、巷ではエコな雰囲気を醸し出す青い肌色の原住民エイリアンがスクリーンから飛び出したりして注目の的でしたが、「どっこいエイリアンなら“ナヴィ”より“エビ”だッ!」という訳で、第82回アカデミー賞に於けるダークホース的存在だったSF映画「第9地区」を観てきました!。
 
『第9地区(原題:DISTRICT 9)』
監督:ニール・ブロムカンプ 出演:シャルト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、他 
【あらすじ】
南アフリカ共和国ヨハネスブルグ上空に突如現れた謎の巨大な飛行物体。だが異星人からのコンタクトはいっこうにない。しびれを切らした政府は飛行物体内への侵入を敢行、すると中には弱り切った宇宙人たちが大勢いた。その見た目から“エビ”と蔑称された彼らは、難民として“第9地区”と呼ばれる施設に一時的に隔離されることになる。が、長引く生活のせいでそこはスラムと化し、地元住民との軋轢も深刻さを増していた。治安の悪化に頭を悩ませた政府は多国籍民間企業MNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド)社に管理事業を委託、エイリアンたちを第10地区と呼ばれる場所へ強制移動させる事を決定した。その現場責任者に任命されたのがMNU社エイリアン課所属のヴィカス・ファン・デ・メルデ。昇進を喜ぶヴィカスだったが、調査のために訪れた第9地区で立ち寄ったとあるエイリアン宅で謎の液体を浴びてしまう。それ以来、肉体に変化が起き始めるヴィカス。そんなヴィカスをMNU社は治療するどころか、彼を利用した人体実験をし始めた . . . .
 
 
「面白い . . . . 面白すぎるッ!」
映画を見終わった後、「はあ[たらーっ(汗)]」と思わずため息が出てしまうような、そんな見応えのある作品に出会えることは滅多にありません。だからこそそんな作品に出会えると、映画ファンとして本当に幸せを感じてしまいます。今回久しぶりにそんな気持ちになれました。
映画「第9地区」は、紛れも無く傑作と呼ばれる作品となるでしょう。
 
映画に於ける“リアル(真実味)”とは何なのか?....最近そんなことを漠然と考えることがあります。その定義は様々だと思いますし、人によって感じ方も千差万別だとは思いますが、映画「第9地区」にはそんな“リアル”感が溢れています。
例えばCG映像の使い方ひとつをとって見ても、実に巧い。これ見よがしの使い方は決して行わず、要所要所で実に効果的な使い方をしています。空中に浮かぶ巨大な宇宙船に霞がかかっているその情景には、圧倒されます。エイリアンは時勢柄CG製だけど、その佇まいはどこぞの惑星に住む青色土人エイリアンなんかよりもよっぽどリアル。クライマックス場面で見せるクリストファーの眼差しの、なんと力強かったことか。「彼は3年後に絶対帰ってくる!」....そう信じさせるだけのリアルが、彼のCG製の瞳の中に存在していました。これこそがリアル!、映画に於ける大事なリアリティそのものです。ジェームズ・キャメロン監督が莫大な金をかけても描けなかったリアルを、ニール・ブロムカンプ監督は今作で見事に描ききりました。近い将来、この「第9地区」という作品は、ひとつの時代の移り変わりを象徴するモニュメント的作品になると信じて疑いません。
 
全体的なトーンはSF映画調でありながら、フェイクドキュメンタリータッチというユニークさ。社会風刺が随所に盛り込まれ、ウィットに富んだ笑いも忘れない。そうかと思えば、手に汗を握るような緊張感溢れるサスペンスシーンがあったり、はたまたド派手なアクション場面があったりと、映画としての様相を様々に変化させる今作。観ているこちらはただただそれらに翻弄されることになる。しかしそれが逆に心地良い。これぞ映画!、これぞエンターティメント!、ジャンルに捕われない唯一無二の映画、それが「第9地区」という作品です。
 
心に潜む差別意識がひとつのテーマとなっている今作。地球人の手によっていとも簡単に殺されるエビ星人の姿に、「シンドラーのリスト」のユダヤ人虐殺を重ねて見ずにはいられません。人間は状況さえ整えばいとも簡単に平気で残酷なことを出来るということ、そういう危うさを持っているという事を我々は常に意識しておく必要があります。「ダークナイト」でジョーカーも言ってましたよね→「普段モラルを語ってるヤツだって、その気になりゃあ平気で人を殺すようになる」と。そうなんです、本来人間とはとても邪悪な生き物なのです。「自分は決してそうじゃないッ!」と胸を張って言う人がいたら、その人の事は信じない方がいい。そんな人が身の回りにいたら、くれぐれも気をつけて下さい。
 
更におまけですが、SF映画好きが思わずニヤリとしてしまう場面が随所に盛り込まれているのもこの映画の素敵なところです。
例えば、エビ星人の気持ち悪い容姿はまるで「ザ・フライ」の怪物のようだし、巨大な宇宙船が起動する際に発する「バオーン!」という音は「宇宙戦争」のトライポッドとまったく同じでした(バオーン最高!)。エビ星人の所有するパワードスーツがクライマックスで大活躍しますが、その動きはジャパニメーションばりでSF好きにはたまらない映像です。エイリアンの武器によって木っ端微塵に吹き飛ぶ人間の様子は、「ウォッチメン」でのDr.マンハッタンの攻撃のようでした。もっと細かく観ていけば他にも小ネタがちらばっているのかもしれません。ソフトが発売されたら改めて観直してみようと思います♪。
 
 
とにもかくにも間違いなく傑作と呼べる作品「第9地区」。
とかくSF映画は日本ではヒットしないと言われていますが、そういう偏見を捨てて是非大勢の方にこの傑作映画を劇場で観て欲しいです。111分間、スクリーンに釘付けになることをお約束します!(^皿^)。
  
 
謎のウィルスに感染してしまったヴィカス....その身をMNU社が、地元ギャングが執拗に追ってくる!。果たして、ヴィカスの運命やいかにッ!?
 ヴィカス風.jpg
 
【4月29日追記】
寺田克也先生も、ブログで絶賛されてました!→ブログはこちらです
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dorothy

確かになんで「バオーン!」音にこんなに惹かれてしまうんでしょうね?
エビの手になると使える武器(うー、下手な説明だ)ってのが、
改造人間ぽくてカッコイイ!と思いました。
by dorothy (2010-04-22 20:41) 

堀越ヨッシー

dorothyさん、こんにちは。
「バオーン!」音をまさか「第9地区」で耳にすることが出来るとは....嬉しい驚きでした!(^皿^)。
オイラはエイリアンのパワードスーツにぞっこんでした♪。パワードスーツなのに口元に触手のようなものがあって、それが生物っぽくて凄くかっこ良かったです(笑)。
by 堀越ヨッシー (2010-04-23 00:10) 

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