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劇団青年座第196回公演「その受話器はロバの耳」を見る〜下北沢・本多劇場 [舞台・コンサート]

「その受話器はロバの耳」
作:土田英生 演出:須藤黄英 
 
【あらすじ】
東京から遠く離れた場所にある小島・ヘソ島。そこにミキマツ製菓のお客様相談室はあった。もっとも、お客様相談室とは名ばかりで、そこはいわゆる左遷の場所であった。本社から飛ばされてやってきた三田村慎司と新見律子は同期で、同じように“島流し”された藤原眞美、そして現地採用の3人〜永田理沙・片瀬英里・田崎治雄らとともに日々の仕事をそつなくこなしていた。
そこに同じ同期でヤリ手の社員・稲本充が新室長として、部下の後藤あづさと共に赴任してくる。後藤は今まで規律がゆるんでいた職場を正そうとして、なまけもの社員・藤原眞美と何かと衝突するのだった。
そんな折り、ミキマツ製菓のヒット商品「ナキ豆ちゃん」に欠陥が見つかり、お客様相談室にはクレームの電話が殺到し始める。それまで平穏だった職場環境が一変し、困惑する社員たち。職場の歯車は、少しずつ狂い始める...。
 
 
閉ざされた環境の中で異常な状況下におかれた時、人は普段隠している本音を思わず露出してしまう。そういうひとたちによって作り出される物語が、好きだ。
和を乱すことを嫌い、なんとなく“なあなあ”でやりすごす...現実世界でもありがちなことだ。なぜなら本音をさらし出すことは、誰にとっても怖い事だからだ。「こんな事を言ったら嫌われるかな?」「これがバレたら、大変なことになるぞ!」...大抵の人が、まわりの目を気にしながら生きている。ヘソ島で働く人たちもそうだった。だが、本音を語ることである種の解放感を味わえるのもまた事実。心の中にたまっていたモヤモヤが吹き出した時、そこには必ず衝突が生じる。が、それは果たして悪いことなのだろうか?。衝突したその先に何かしらの希望が生まれれば、それもまた良いではないか?。衝突することを恐れ、受け流しているだけでは何も生まれやしない。この宇宙が“爆発”によって生み出されたように、恐れず衝突してみよう、ぶつかってみよう!。何かが生まれるかもしれないから...。
 
 
新室長として本社からやってきた稲本充を演じる綱島郷太郎さんが、汗だくで演じる姿が印象的だった。本社側と社員との間に挟まれて四苦八苦する稲本。やがて不倫は発覚するは、社員は反抗し始めるはで、室長としての面目は丸つぶれで、まさに踏んだり蹴ったり。
そんな稲本充と同期の三田村慎司を演じる五十嵐明さんの台詞には、個人的に響くものが多かった。成功した人間の言葉より、挫折してる人間の言葉の方に親近感が湧きますね(苦笑)。
現地採用の元漁師・田崎治雄を演じる山崎秀樹さんは、こういう役柄がホントはまり役です。興奮すると方言丸出しになってしまう田崎。そんな田崎と稲本のちぐはぐなやりとりが、場内の笑いを誘う。以前見た「3 on 3」での田舎からやってきたサラリーマン役も良かったし、「8月のキャデラック」での鬼気迫る軍人役も迫力が凄くて印象的だった山崎さん。今回はそんな山崎秀樹さんを描いてみました。

 
    ヘソ島に暮らす人々は、語尾に“〜っち”をつけるのだ
    山崎さん.jpg
    “裸の大将”じゃないよ(^皿^;)
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うつぼ

山下清、、、じゃないのか。(ガッカリ)
会社社会でありがちな光景をうまく描いているような印象を受けましたが
私が観たら自分のこととダブらせて笑っていいのか泣いていいのか、、
悩んでしまうかもしれない。。。(^_^;)
by うつぼ (2009-06-02 23:11) 

堀越ヨッシー

うつぼさん、こんにちは。
自分の記事に連動しないからってガッカリしないで下さい(^皿^)。
会社勤めだと多かれ少なかれ上と下に挟まれて四苦八苦...なんて事、あるんでしょうね。めげずに頑張って下さい(〜としか言いようがないな...苦笑)。
by 堀越ヨッシー (2009-06-05 08:13) 

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