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誰がヒーローを監視する!?〜「WATCHMEN」を鑑賞する [映画鑑賞]

アメコミの金字塔とも言うべき作品「WATCHMEN」が遂に映画化されました。監督は「300」のザック・スナイダー。映像化不可能(←よくある宣伝文句)とも言われ、数々の監督が候補にあがっては消えていったこの作品を、ザック・スナイダー監督はいかに料理したのか?、興味津々です!(^皿^)。
 
『ウォッチメン』(原題:WATCHMEN)
 監督:ザック・スナイダー
 原作:アラン・ムーア
 音楽:タイラー・ベイツ
 出演:ジャッキー・アール・ヘイリー
    パトリック・ウィルソン
    ジェフリー・ディーン・モーガン
    ビリー・クラダップ
    マシュー・グッド
    マリン・アッカーマン
    カーラ・グギノ
    他
 
【あらすじ】
ある夜のこと、ひとりの男がビルから転落して死んだ。
男の名前はエドワード・ブレイク(ジェフリー・ディーン・モーガン)、かつて“ザ・コメディアン”という名でヒーロー活動をしていた男だった。彼の死は事故なのか?、それともなんらかの事件なのか?...コメディアンの死に疑問を持ったかつてのヒーロー仲間であるロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)は、単身調査を開始するのだった...。
 
 
アメコミ好きのオイラではありますが、「ウォッチメン」のことはまったく知りませんでした。でも今回は原作を知らなかったことが逆に功を奏したようです。原作に対する強い思いがあると、それが映画化された時ある種の妨げになり作品自体を楽しめないことがありますから(例:ドラゴンボールなど)。そういった意味では今回の映画版「ウォッチメン」はすんなりと物語の世界へ入り込めたし、また素直に楽しめました。2時間40分というやや長尺の作品ではありましたが、それでも飽きることなく最後まで見続けられました。
 
今までにも“ヒーロー”をあつかった作品はたくさんありましたが、この「ウォッチメン」はややアプローチが違います。“もし実際にヒーローがいたらこの世界はどうなっていたのか?”、そんなパラレルワールドを舞台に物語は展開していきます。この架空の世界ではアメリカはベトナム戦争に勝利し、ニクソン大統領は4期目に当選、ソビエトとは今も冷戦が続いているという設定です。この下手をするとものすごく嘘くさくなる物語を、ザック・スナイダー監督は手堅く演出しています。
 
「ウォッチメン」には様々なヒーローが登場しますが、ひとりを除いては皆基本的には普通の人間です(身体的能力や知的レベルは一般人より優れてはいますが)。ヒーロー活動を理由に犯罪すれすれの行為を楽しむ者、ヒーロー活動を早々と引退し、ビジネスマンとして成功した者、同じくヒーローを引退して隠遁生活をおくる者、法律でヒーロー活動を禁止されたあとも頑なにヒーロー活動を続ける者....様々なヒーローたちの姿がそこには描かれています。それぞれが皆魅力的で惹きつけられます。ただそれぞれを丁寧に描いているため、結果どうしても作品自体が長くなってしまう訳ですが、それでもバランス配分がいいので、そんなに苦ではありませんでした。
 
その反面教師として登場するのが、Dr.マンハッタンというキャラクターです。
この物語の中で唯一本当に超能力を持つヒーローです。巨大化や分身化が可能で、物質を一瞬にして破壊することが出来、果ては火星までワープすることも可能という、ある意味無茶苦茶な(苦笑)最強のキャラクターです。その一方でこのキャラクターは人間性がとても希薄に描かれています。その象徴が服を着ない姿であり、表情もほとんど変わりません。事故(アクシデント)により偶然手に入れた強大なパワーと知性で、すでに人類を超越した存在であるにも関わらず、その彼が従順にアメリカ政府に従っているその姿が、なんとも滑稽で皮肉です。
 
この映画にはいわゆるスター俳優は出演していません。はっきり言ってすごく地味です。でもそのことがオイラ的には物語へとすんなり入り込める要因になっていたと思います。実際オイラは出演してた俳優さんをほとんど知りませんでした(Dr.マンハッタンを演じたビリー・クラダップだけは何かの映画で見かけたような記憶がありますが...)。
 
 
「300」を撮ったザック・スナイダー監督だけに、映像はすごく見応えがあります。意外だったのはアクション場面のライブ感がすごく良かったこと。「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ監督もそうでしたが、ザック・スナイダー監督もなかなか迫力のある殺陣シーンを見せてくれます。刑務所でのナイトオウルⅡ世やシルクスペクター2のファイトぶりや、クライマックスでのオジマンディアスvsロールシャッハ&ナイトオウルⅡ世の戦いなどは、見応えがありました。これからのおたく監督に必要なのは単にデジタルな映像センスのみだけじゃなく、アクション場面をきっちり撮れるかどうか?も重要ですね。もちろんドラマをきちんと描けるって事が大前提ですけど(^皿^;)。
 
 
とにかく見終わったあと、いろいろと考えさせられる娯楽作品です。正義とは何か?とか、やっぱり外人は“モノ”が違うな!とか(^皿^;)!。アメコミ映画は日本では今イチ人気がありませんが、偏見を捨てていろんな人に見て欲しいなと思える作品でした。とりあえずDVDが出たら改めてじっくり見直してみたいと思います。ロールシャッハのあの独特な語りをいったい誰が吹き替えしてくれるのか?、今から楽しみです!(^皿^)。

WATCHMEN ウォッチメン Official Film Guide (SHO-PRO BOOKS) (SHO-PRO BOOKS)

WATCHMEN ウォッチメン Official Film Guide (SHO-PRO BOOKS) (SHO-PRO BOOKS)

  • 作者: ピーター・アペロー
  • 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
  • 発売日: 2009/02/28
  • メディア: 単行本


パンフレットが買えなかったので、代わりに買ったオフィシャル・フィルム・ガイド
写真が満載で、初期のヒーローたちである“ミニッツメン”の紹介もあったりして見応えは充分です。映画では説明されてない細かい設定も載ってて、より深くウォッチメンの世界を知ることが出来ます。

    
     「タフじゃなければ、生きていけない」
     シブい男.jpg
事件を調査するのは、昔からトレンチコートの男と相場が決まっているのだ(^皿^)
 
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dorothy

感想待ってました!
私のは興奮してイキオイで書いちゃった感じで、
なんだかとっちらかっちゃってしまってますが、
ヨッシーさん、落ち着いててサスガです。
でも、次から次へと言いたいことが出て来ちゃうんですよ、コレ。
あまりにもディテールが良すぎで。
ロールシャッハのトレンチコートの肩ベルトが片方外れてるの気が付きました?
あそこにグッと来ました〜!とか。
うう、まだ興奮してます。失礼しました。
by dorothy (2009-04-10 00:38) 

堀越ヨッシー

dorothyさん、こんにちは。
いやいや、オイラの文章なんかよりdorothyさんの方がよっぽど素晴らしい文章を書かれてますよ。簡潔でわかりやすいですし、何より文章自体のセンスがいい。オイラはいつも羨望の眼差しでブログを拝見しておりますヨ(^U^)。
 
実はオイラも下書きはもっと長かった(個々のキャラクターについて色々書いてたせいで)のですが、あまりにも長くなりそうだったので自粛しました(苦笑)。
ロールシャッハの肩ベルト、映画を見てる時は気がつかなかった(顔の模様ばかり見てた...笑)のですが、あとでフィルムブックを見て「外れてる〜」と知りました。
オイラが一番気になったのはオジマンディアスが連れていた謎の動物(苦笑)。すごくかっこ良かったのにあっさりと...(涙)。あとモニターに映ってた「マッドマックス2」は個人的にツボにハマりましたね(^皿^)。オイラもまだまだ興奮状態ですッ!。
by 堀越ヨッシー (2009-04-11 08:35) 

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